VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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タイトル通りです




半裸の鳥頭、水晶の地にて友に出逢う

旅狼(ヴォルフガング)黒狼(ヴォルフシュバルツ)・SF-Zoo・ウェポニア・ライブラリによる、5クランの話し合いと連盟締結、そして現地解散から十数分後。クラン:旅狼のメンバーの一人、サンラクは現在単独行動を取り『奥古来魂(おうこらいこん)渓谷(けいこく)』にやって来ていた。

 

「フッフッフ……人って生き物は『やるな』と言われたなら、やりたくなってしまうもんなんだよなぁ?」

 

しかし彼の目的地は渓谷に有らず、瘴気の霧満ち充ちる渓谷の()に在る━━━━『水晶巣崖(すいしょうそうがい)』を目指している。

 

 

━━━━━彼処には水晶群蠍(クリスタル.スコーピオン)っちゅう、わっちやエムルでも手に負えん、とんでもない奴等が居るけぇ。出逢ったら、袋叩きで一貫の終わりじゃの。

 

 

ビィラック・エムルと共にパーティーを組み、奥古来魂の渓谷を攻略する最中、ヴァイスアッシュの長女が言った其の言葉をサンラクは覚えていた。パーティーを組んだビィラックのレベルが98であり、彼女が一貫の終わりと言った事から察すると、水晶群蠍達のレベルは確実に100オーバーと見て良い。

 

「んじゃ、登りますかね!」

 

艘跳びの強化により到達した、軽戦士必須級スキル『遮那王憑(しゃなおうつ)き』と、スキルレベル1に付き十秒間、壁や天井に足の裏が接している場合、重力を変更する合成スキル『グラビティゼロ』を起動させ、サンラクは三角跳びの要領で渓谷を跳ね上がっていく。

 

渓谷を登り、グラビティゼロの効果が切れ、すかさずグレイトオブクライムの進化スキルたる、『トライアルトラバース』で崖を駆け上がり、遮那王憑き終了前に霧を抜けて登頂に成功。そうして彼の目の前に広がるは、辺り一面が水晶で構築された神秘のフィールド・水晶巣崖に到着する。

 

「おおぉ……随分と足場が最高(最悪)じゃねーか」

 

大小太細異なる水晶により、まるで迷宮となった其処に、サンラクは恐れる事無く足を踏み入れた。

 

「下の空気わりぃ谷底と違って、此処は空気も清潔だ。さて、ビィラックが言ってた水晶群蠍ってヤツは何処に居るんだろうか?」

 

辺りを見回せど気配は無く、硝子特有のしっとりした質感が素足である足裏から伝わり。そして己の後ろで、無機質である筈の水晶が揺れた(・・・)━━━━直後『其れ』は水晶を砕き割り、爆ぜて現れる。

 

全身に水晶を纏った全長10mの巨体と鋏、鋭い脚と針を携える蠍型のモンスターが、サンラクの後ろに出現した。

 

「ハハッ、フィールドに擬態するタイプのモンスターか!逢いたかったぜ、水晶群蠍!」

 

歓喜の声を上げた侵入者(サンラク)へ、水晶群蠍は蠍型モンスターの不動のシンボルたる針を振るい、刺し殺さんと暴れ出す。

 

「うおっ、とぅ!でぇい!?オイオイ、暴走列車かよ!?足場の悪い水晶地帯で追跡しまくって、質量で圧し潰すつもりか?」

 

だが、サンラクも簡単には殺られない。ウェザエモンとの戦いを経て、大量に手に入ったポイントを、敏捷・スタミナ・幸運に多く振り分けた事で、今まで以上に長くアクションを取れるように成っている。

 

更に足を離したアクションを行う場合、消費するスタミナを減らすスキル『アクロバット』。自身の視覚内限定だが、移動ルートを割り出す『アサイラムサイン』。そしてクソゲーで培ったプレイスキルを用いて、入り組んだ水晶巣崖をプロのパルクール選手顔負けの機動力で乗り越えていく。

 

(水晶群蠍……初見で討伐したいとこだが、今回の目標(ミッション)は其処じゃねぇ。此のエリアにある『アイテム』を何か1つ持ち帰る事だ。其れが出来れば、今回は俺の勝ち━━━━━━ん?)

 

サンラクの視界の其の先に見えたのは、明らかに『ピッケルを使って叩いてね』と言わんばかりの、採掘ポイントのクリスタルの塔。そして更に奥からは、夜空に浮かぶ月の光で輝くオーロラ………ではなく、無数の水晶群蠍の姿。

 

其の数およそ『三十体』。

 

「侵入者一人に対して、どんだけの人員割いてるんだよオマエ等ァ!!!?」

 

サンラクが水晶群蠍の生態を目の当たりにし、採掘ポイントたるクリスタルの塔が水晶群蠍によって破壊され、悲鳴を上げた其の直後。

 

襲い掛かった一匹の水晶群蠍の前鋏を、致命舞術(ヴォーパルまいじゅつ)月光円舞(げっこうえんぶ)】にて自動回避に成功したのだが、其処に追撃とばかりに数匹の水晶群蠍が殺到、サンラクは押し潰されて死亡したのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、兎の国・ラビッツの兎御殿。其の休憩室にて月を見上げながら、サンラクとコンビを組むヴォーパルバニーのエムルは、彼の帰還を待っていた。

 

「サンラクさん、まだ戻って来ないですわ……」

 

先に兎御殿に帰還したペッパーは、今日は寝ると言ってベッドで眠り、アイトゥイルはポポンガと食事処で晩酌をしてくると行ってしまった。

 

「やっぱり、迎えに行った方が良かったですわ……?」

 

サンラクからの依頼で、エムルは既に長男のエードワードに『ラビッツ再訪問』の件は話しており、彼からの返事は「二週間程時間を貰いたい」との事だった。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ!!ぢぎじょーが!!あの蠍野郎共、派手に採掘ポイントブッ壊しやがって!!ぜってぇ許さねぇ!!」

「ぽぴゃあぁ!?」

 

と、エムルの真後ろ━━━休憩室のベッドで半裸の肉体と鳥面を被った頭部が再構築され、怒号と共に跳ね起きる。

 

「おう、エムル!良い所に居たな!エイドルトまでゲート頼むぜ!」

「サンラクさん……もしかして水晶群蠍と戦ってましたわね?」

 

あっやべ、といった表情のサンラク。ジト目のち膨れっ面になったエムルが、プンスコとSEが鳴るようにサンラクへと説教をする。

 

「もう!水晶群蠍は危ないって、ビィラックおねーちゃんも言ってたじゃないですわ!!」

「未知が其処に有る限り、開拓者は死を恐れない生き物なんだよッ!!」

 

此のまま終わらぬ、絶対アイテムゲットする。そんな物欲にまみれたオーラが、サンラクに纏わり原動力となって突き動かす。

 

「はぁ……解りましたわ。全く、ゲートを開けるのもタダじゃないんですわ………」

 

嗚呼、コレは何言っても止まらない時のサンラクだ。半ば諦めにも似た、悟りを開いたような表情で、アイテムインベントリからマナポーションを取り出したエムルは、ジト目に加えてハァ……と溜息を溢しつつ、飲もうと口を付け。

 

「……………ん?」

 

エムルの発言が、サンラクの脳内に在る琴線に触れる。何か、何か『とんでもないアイデア』が閃きそうな。

 

「………………んんん?」

 

ぐぴぐぴ…とマナポーションを飲み干すエムルを見、サンラクの脳内で情報が精査されていく。数十体の大群と成って包囲圧殺を仕掛ける蠍達、マナを使って開く物、ヘイトの消滅、逃げ込める安全地帯……………何処に逃げ込む(・・・・・・・)

 

「うおっ!?いや、待て!MPの消費……エリアボスの素材売却……タイミング……!行ける!行けるぞ!」

「サンラクさん、何が行けるですわ?」

「エムル!お前、ホントグッドガールだッハッハッハァ!!懐に余裕が出来たら、ラビッツスペシャルパフェと、前に欲しいって言ってた魔導書買ってやるよ!」

「えっ!?本当ですわ!?」

「応とも、約束するぜ!」

 

獰猛な黒い笑みを浮かべ、サンラクは勝利を確信した。

 

(待ってろよ、レベル100オーバーの蠍式水晶地雷地帯…!俺が超ヌルゲーにしてやるぜ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デスペナルティの解除、スキルのリキャストタイム終了。エムルのゲートを越えて、夜のエイドルトの街に駆り出したサンラクは、早速エリアボスやその他の素材を売り払い、其のマーニでマナポーションを購入。

 

其の脚で奥古来魂の渓谷へ向かい、スキル温存の為に素手によるクライミングを敢行。およそ1時間振りに、彼は水晶巣崖に帰って来た。

 

「さぁて……始めるか!」

 

最初と同じく、夜空に浮かぶ星と月が照らす水晶地帯を、サンラクは全速力で中心地点を目指して走り出し。其の全力疾走によって起きる、水晶や空気の振動を受けて8体の水晶群蠍達が、擬態状態から目覚めて侵入者へと襲い掛かった。

 

「ハッーハッハッハッハァ!おーい、寝転けてねェで起きろォ!蠍共!!!!」

 

わざとらしく、見付かるように大声を上げながら、サンラクは走る。そして其の声に反応して、案の定十数体の水晶群蠍が目覚めるや、追跡していた蠍含めて二十五体の軍勢となって彼を包囲した。

 

「わぁー囲まれちったーどうしよっかなー」

 

明らかに棒読み発言のサンラクに、我先にと飛び掛かり、突撃の掛ける蠍達。月と星の明かりに照らされる、煌美やかで美しき死の津波が迫る。

 

だが…………━━━━━━━━

 

「なぁーんちゃって」

 

渾身のドヤ顔と共に、サンラクは己の右手首に装着された『格納鍵(かくのうけん)インベントリア』に、己の左手を触れる。

 

「オマエ等の大質量袋叩きに、誰が付き合ってやるかバーカ!あばよ!『転送:格納空間(エンタートラベル)』!!!」

 

刹那、サンラクの身体を光が包み込み、其の姿を水晶巣崖から消し去り。殺到した蠍達は互いが互いに激突し、おしくら饅頭状態となって、水晶の身体が砕け散る。

 

離れてみれば、先程まで居たはずの半裸の侵入者の姿は無く、頻りにキョロキョロと首を左右に振って必死に探すも見付からない。

 

そしてサンラクは……………

 

「フッ……くっくっく!あーっはっはっはっは!文明万歳!結局最後に笑うのはテクノロジーなのさ!」

 

彼が思い付いた策……其れが格納鍵インベントリアの説明文に有る『シェルター』というワード。古今東西ゲームにおいて安全地帯と認識される其れは、まさに今自分が思い描いた通りの成果を出した。

 

蠍達を引き付け、再び擬態するまでインベントリアにて待機。こうする事で安全に、採掘ポイントで掘り出せる様になる。

 

「使いようによっちゃ……コイツは、滅茶苦茶ヤバい代物になるな。インベントリアは………。っと、いけねぇ。時間はもう少し待った方が良いか……?」

 

インベントリアの性能に奮えながら、サンラクはタイマーアプリを起動して時間を計測。およそ3分が経過する頃を目安に、元のエリアへと戻る為の合言葉たる『転送:現実空間(イグジットトラベル)』を唱え、水晶巣崖に再び降臨。

 

其処には何と、水晶群蠍の素材達が大量にドロップしており、思わぬ副産物にサンラクは目を丸くした。

 

「ハハハ……やっべぇ、コレやり方『大正解』じゃねーか……!激レアモンスターの素材を無傷で確保出来るし、安全に採掘も可能になった……!こりゃあ予想以上に稼げるぞ!」

 

インベントリアに水晶群蠍の素材を次々と突っ込みつつ、サンラクは己の産み出したアイデアを駆使し、行動を開始した。すっからかんとなった懐を、此の荒稼ぎで目一杯に潤し、エムルとの約束を果たす為に………。

 

 

 

 






裏技で一攫千金へ



水晶巣崖再突入時点のサンラクのステータス



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

PN:サンラク


レベル:77


メイン職業ジョブ:傭兵【二刀流使い】
サブ職業ジョブ:無し

 
体力 55 魔力 50
スタミナ 150
筋力 100 敏捷 130
器用 100 技量 100
耐久力 3 幸運 209



残りポイント:0

  


装備

左:無し
右:無し
両脚:リュカオーンの呪い(マーキング)

 

頭:凝視(ぎょうし)鳥面(ちょうめん)(耐久力+2)
胴:リュカオーンの呪い(マーキング)
腰:無し
脚:リュカオーンの呪い(マーキング)

 

アクセサリー


・ダイナボアドール(スタミナ回復時間短縮:小)
小鬼人形(ゴブリンドール)(HPリジェネ:微小)
格納鍵(かくのうかぎ)インベントリア

 
30マーニ

 

致命武技

 
致命刃術(ヴォーパルじんじゅつ)水鏡(すいきょう)(つき)】捌式
致命舞術(ヴォーパルまいじゅつ)月光円舞(げっこうえんぶ)】肆式
致命剣術(ヴォーパルけんじゅつ)半月断(はんげつだち)】壱式



スキル

 

縷々閃舞(るるせんぶ)
一念岩穿(いちねんいわうがち)
・インファイト レベルMAX
・フォーミュラ・ドリフト レベル1
瞬刻視界(モーメントサイト)
・アガートラム レベル1
・トライアルトラバース レベル1
・クライマックス・ブースト レベルMAX
・バルカンスタンパー
・プレス・ドミネイト
戦火の瞳(ウォーアイズ)
・ストランダイトバンカー
遮那王憑(しゃなおうつ)
・グラビティゼロ レベル1
・ヘイト・トランプル レベルMAX
・スカイウォーカー
・ストロングプレス レベル6
孤高の餓狼(トランジェント)
逸撃斬羅(いつげきざんら) レベル1
・バリストライダー
雄々しき狼魂(ベイオヴルフ)
血戦主義(けっせんしゅぎ)
・メルニッション・ダッシュ レベル8
裂刃尖斬(れっぱせんざん) レベル6
・アミュールディルレイト
・ジェットアタック
・ブレスドラウム レベルMAX
・バッツクローシス レベル5
・オーバーヒート レベル8
・ニトロゲイン レベルMAX
・イグニッション レベル7
・マグナマイトギア レベル6
・タイフーンランペイジ
・ディコード・ブロッション
・パワースラッシュ レベル1
武頼闘気(ぶらいとうき) レベル1
・オーファジール・セイド レベル1
包囲先見(ほういせんけん)
・アサイラムサイン
・スティアウィスパー レベル1
・アクロバット レベル1
・トルクチャージ レベル1
・チェインズアップ レベル1

 


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