ファイヴァル到着、そして一悶着
「いやぁ、まさか此処のエリアボスに『あんな攻略方法』が有ったなんてね……」
「SF-Zooに知り合いが居るって言う、レーザーカジキが教えてくれた裏技でな。初見の時は驚いたし」
「
「ん~……本当はもう少し遊びたかったけど、トップガン討伐で疲れちゃったから休む」
エクゾーディナリーモンスターを相手にし、苦戦を強いられながらも討ち取り、念願のスキルを獲得したのも有るのだろう。PKerにユニーククエストでの、ポポンガの護衛依頼するのもどうかと考えたが、ペッパーは彼女の意思を尊重する事にした。
そしてファイヴァルの門を越えて街中に踏み込み、宿屋に向かっていた時。ペッパーが目撃したのは、ニッコリ笑顔で建築物に背を凭れる、アーサー・ペンシルゴンと武器狂い事ウェポニアのSOHO-ZONEで。
「ペッパー君。ちょっと『オハナシ』、しようか?」
彼女の言葉には、何時もの様に邪悪さと企みと、そして其れ等を纏めて飲み込むような、
どうしてこうなった。
「なぁ、ペンシ……あ、いや、トワ」
「ん~?何かな、あーくん」
「コレ、言わなくても『壁ドン』……だよな?」
「そうだねぇ………でもねぇ、コレに関しては
もう一度言おう。どうしてこうなった。
SOHO-ZONE・京極・ペンシルゴンと共にファイヴァルの宿屋にチェックインしたペッパーは、ペンシルゴンに2階の別の部屋へと連れ込まれ、只今壁ドンをされていた。
因みにSOHO-ZONEは別室で待機し、京極は漸く成し遂げた
「さぁて、あーくん。何で京極ちゃんと一緒に居たのかなぁ?ん~?デートかなぁ?デートでもしてたかなー?ん~?」
「何で発想が飛躍して、決め付けになるんだよ………。此方のユニーク関連を進めてたら、色んなエリアを巡り歩いて最終的にフィフティシアを目指す事になったんだ。で、ファイヴァルに向かう為に、死火山を登山ルート選んで登ってたら、最速走者と戦ってた京極を見付けてね。リュカオーンの
「ペンシルゴンはん、其れに関してはワイも保証するのさ」
京極が幾度も挑んでは、悪辣駝鳥によって火口に放り込まれて居たのを、彼女は知っている。ペッパー……五条 梓の性格的に、クランメンバーの助けに入る事は目に見えて解っていた。
他の女性プレイヤーやNPCに呆けていない……其れを加味しても、ペンシルゴンは『自分以外』に彼の隣に他の女が居る事を、許容する事はない。
そして其れは、彼の肩に乗っかった黒毛のヴォーパルバニー・アイトゥイルに対しても同様に。
「あーくんの隣は、私だけのモノなんだから」
小さく、しかしハッキリと言い切る。
「何か言ったか、トワ?」
「何でもなーいよ」
表情を取り繕い、上手く誤魔化し、彼女は笑う。彼と二人きりになったなら、思いっ切り自分に注目させて魅せよう。そして必ず、彼方から自分に好きだと言わせてやるんだと、強く決意して。
「さて、ペッパー君。私からのオハナシは終わりだけど、此処からは武器狂いの話が待ってるのだよ……」
「およそ予想は付いてるが……ユニーク小鎚だよな?」
「そうそう。先に勇者武器渡して、直ぐにユニーク小鎚全部作りに行きたいんだって」
先んじて武器を渡す事で、製作までの流れを一気に進める魂胆であり。そしてペンシルゴンと共に居たのは、先の会議から参謀の彼女を通せば、此方が話し合いに応じるだろうと睨んだのだろう。
「OK、解った。SOHO-ZONEさんと話し合いをするよ。ペンシルゴンは、立会人として話し合いを記録して欲しい」
「はぁい、ペッパー君♪」
武器に対して誠実な彼だからこそ、此方も自分の発言に真摯で有りたいと思うのだ。ペンシルゴンと共に、アイトゥイルを愉快合羽に隠したペッパーは、別室で待機している武器狂いこと、SOHO-ZONEとの話し合いに臨む。
「昨日振りです、ペッパー君。本当はペンシルゴンさんに依頼して、呼び出して貰おうかと思っていました。タイミングが良くて助かりました」
「此方も別件でファイヴァルを目指してましたので、噛み合った感じでしょうかね」
別室にて待機していたクラン:ウェポニアのオーナー・SOHO-ZONEと、クラン:
「単刀直入に行きましょう、ペッパー君。我等ウェポニアが昨日取引した、ロックオンブレイカーと其の成長派生形態製作の依頼。此方が、ロックオンブレイカーと其の成長派生形態を各々『10本ずつ』作る為に必要な、素材とマーニに成ります」
そう言ったSOHO-ZONEが、アイテムインベントリから大量の素材が入った袋と、マーニがズッシリと収まった革袋を置いてきた。
「……もしかして、一日で全部?」
「えぇ。まだまだ未開拓の部分が多い小鎚。其のユニークともなれば、やる気と気合が入りましたから。皆、素材とマーニ集めで本当によく頑張ってくれました」
圧倒的な熱意と執念に、ペッパーとペンシルゴンは内心引きつつも、製造秘伝書と照らし合わせて、数に誤差が無いかを入念にチェック。ペッパーはペンシルゴンにも確認を取る事により、二重チェックでミスを押さえに掛かる。
「素材数過不足、及び資金の誤差無しを確認したよ。流石はウェポニアだね」
「責任を持ってロックオンブレイカーと其の成長派生形態の製造を、ファイヴァルの鍛冶師に依頼してきます」
「よろしくお願いします。では、此方も『約束』を果たします」
そう言い、SOHO-ZONEが取り出すは『金と白に染めた神々しき盾』であり、其のサイズたるやシャンフロ最後の街『フィフティシア』で購入可能な、現状最上位クラスの大盾『タワーシールド』よりも一回り小さく。
形状は野球のホームベースの形をしながら、然れども放つオーラは美しく、金の鏡面に己の顔が写る程に曇り無き物であった。
「我等ウェポニアが保有する切札、そしてペッパー君に譲渡する盾の
「ありがとうございます。大事に使わせていただきます」
SOHO-ZONEより渡された、盾の勇者武器こと聖盾イーディス。ユニークの何たるかを体現する、ユニーク武器の一角たるコレが一体どんな性能を誇るのか。ペッパーはアイテムインベントリに収納するや、早速其の性能をチェックした。
選ばれし者のみが使うことを許された勇者の武器。イーディスが見定む金色の鏡面は、あらゆる殺意を退け、弱き者を守り抜く。其の四肢が朽ちようと、其の魂が砕けようと、我が身一つで守らんとする者に勇者の盾は、大いなる加護と再起を与える。
苛烈に倒れる事も、困難に屈する事も無く、命を掛けて守る者を、人は勇者と呼ぶのだ。
此の武器を装備した場合、装備者の全ステータスにボーナス補正を与え、
此の武器の耐久度が0になった場合、体力・MPの何れかを消費することで、此の武器の耐久値を10%回復する。
此の武器を装備した場合、特殊スキル【アンブロークン】・【ブレイブリバイヴ】・【
アンブロークン:装備者の体力が0になった時、25%の確率で最大HPの10%を回復・復活する。パーティメンバーが0人、もしくは3人以上の場合に使用可。
ブレイブリバイヴ:装備したプレイヤーに、エネミー・NPC・プレイヤーのヘイトが全体の80%以上向けられている状態で、自身の体力が全損するダメージを受けた場合、アンブロークンの発動条件が充たされているなら、発動確率が50%になる。
【耐久力+3000】
あっコレヤバい奴だ。
此処に勇者武器は届けられた
聖盾「身体が半分になろうが、四肢が腐り落ちようが、絶対に諦めるな。己を顧みずに弱き者を守り抜け」
聖盾イーディスのモチーフは、千年戦争アイギスの最高レアリティ・ブラックのユニット:『光の守護者アルティア』の未覚醒状態の盾を一回り大きくしたイメージ。