VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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オハナシを終えて




古の御業は、太古の技術を今に甦らせる

「SOHO-ZONEさん、本日はありがとうございました」

「此方こそ、貴重な時間をありがとうございます。ペッパー君」

 

クラン:ウェポニアとの会談を終え、取引成立と依頼完遂により、晴れて(たて)勇者武器(ウィッシュド.ウェポン)聖盾(せいじゅん)イーディスを手にして勇者となったペッパーは、SOHO-ZONEと握手を交わした。

 

「聖盾イーディスで解った事や、武器防具で解らない事が合ったら、伝書鳥(メールバード)で連絡を下さい。クラン:ウェポニアとして全力でサポートします」

「は、はぁ……其れは心強い。其の時はよろしくお願い致します」

 

力強い視線で言い切ったSOHO-ZONEは「其れでは」と言い、ファイヴァルの宿屋へと歩いて行き。ペッパーはSOHO-ZONEが見えなくなった事を確認して、緊張からの解放と共に「はぁぁ~……」と息を吐く。

 

「お疲れ様。そして勇者就任おめでとう、ペッパー君」

「立会ありがとうな、ペンシルゴン。というか、勇者になるとユニークシナリオ発生するのか」

「あぁ、ユニークシナリオ【勇ましの試練】でしょ?君が持ってるユニーククエストと同じ『段階型クエスト』みたいでね。最初は勇者武器を装備して、幾つかのエリアを制覇するみたいなの」

 

彼女が言うには、勇者と成ったプレイヤーは未踏のエリアの踏破したり、自身よりレベルの高い相手と戦ったりし、そしてペンシルゴンのシナリオは、現在『勇者武器を持つ者同士が戦う』といったフェイズに入っているらしい。

 

黒狼(ヴォルフシュバルツ)に二人の勇者武器持ち、そして私達旅狼(ヴォルフガング)にも二人……。フフフ、此れは良いかも知れないわね………」

 

そして何やらペンシルゴンが企み始めて、ニヤニヤしているのを横目にしていると、二人のEメールアプリに1通のメールが届いた。

 

一度ファイヴァルの裏路地で内容を確認すると、サンラクからのメールで『ビィラック育成計画で稼働してる遺機装(レガシーウェポン)が必要なんだが、インベントリアの中にある武装のコメットカタパルトを使って大丈夫か?』との事。

 

「サンラク君順調みたいだね。ねぇ、あーくん。明日暇だったりしない?」

「ん?まぁ、明日は丸一日フリーだが……」

「そっか。じゃあさ……新人勇者のあーくんを、先輩勇者たるトワおねーさんが、フィフティシアまで護衛してあげよう!」

 

実際レベル99のカンストに到っているプレイヤーの護衛は心強く、何よりNPC込みで4人のパーティーが構築される事によって、勇者武器の聖盾イーディスとペンシルゴンが持つ聖槍カレドヴルッフの特殊スキル:アンブロークンを活かせるようになる。

 

「………良いよ、トワ。何時に集まる?」

「おやおや即決、悩むかと思った。そうだねぇ……明日の午前9時、場所は此処で良い?」

「OK、其れで行こう。もし急な予定が入ったら、Eメールで連絡出すよ」

「うん、御願いね。あーくん」

 

あっさりと決まった協力プレイ。然れどペンシルゴンこと天音(あまね) 永遠(とわ)の狙いは、勇者武器を持つ者としてペッパーこと五条(ごじょう) (あずさ)護衛・誘導(一日デート)を取り付ける事だったのだ。

 

(フフフ……あーくん。一日掛けてた~っぷりと、おねーさんの魅力を教えてあげるんだから♪)

(イーディスの性能チェックや、イレベンタルで武器防具の新調もしたいし、ペンシルゴンが誘ってくれて助かったな)

 

ペンシルゴンとペッパー。互いに思惑は内に秘めど、目指す場所は御互いに同じであり。

 

「あ、トワ。ユニーククエストの関係でサードレマに行ってから、シクセンベルトにも立ち寄りたいんだが良い?」

「ん?OKOK、良いよあーくん」

 

予定を決め、そして二人は「また明日」と別れて行った………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンシルゴンと現地解散の後、他者に見られないようにアイトゥイルのゲートで兎御殿に帰還したペッパー。サンラクがメールで言っていた、ビィラック育成計画が現状、どんな状態に至ったかを知る為、彼女の鍛冶場へと向かった。

 

そしてペッパー、両肩に乗るアイトゥイル・ポポンガが目撃したのは、VRゴーグルに似た円形のユニットを頭に装着し、ウェザエモンの遺産にして格納鍵インベントリアに入っている、規格外武装の一つ【コメットカタパルト】を分解し、研究しているビィラックの姿が在った。

 

「お、ペッパーか。今わちは、神代の技術の深奥を学び取っとるけ。もう少ししたら、エーテルリアクターの修理に入る。ちゃちゃっと終わらせて、明日にはキッチリ直しとくわ」

「よろしくお願いします。頑張ってください、ビィラックさん」

 

部品やパーツを一つ一つ見つめながら、一際真剣な眼差しをしているビィラックにエールを送り。邪魔をしては不味いなと思い、鍛冶場から立ち去ろうとする。

 

「あぁ、ペッパー。ちょいまちや」

「え?何ですか、ビィラックさん」

 

何かフラグを踏んだかと身構えるが、当の本人はゴーグルの一部がスライドして顔全体がハッキリと出て。彼女はペッパーにこう言った。

 

「……遺機装を扱える古匠(こしょう)となれば、わちは神代の技術を用いて『遺機装を直したり』、遺機装を『新しく造り出す』事が出来るようになるんじゃ」

「遺機装の修理……?もしかして、ウェザエモンさんの一式装備も!?」

「あぁ。アレも凄まじい年季が入った遺機装じゃけ。わちが古匠に成れば、修繕出来るようになるけぇの」

 

今までヴァイスアッシュに頼まなくては、耐久値を回復出来なかったが、ビィラックが古匠となれば彼一人に頼らなくて済むようになる。

 

「でじゃ、ペッパー。引き留めたんは他でもない、わりゃに『頼みたい事』が有るん」

「頼みたい……事?」

 

「そうじゃ」と言った彼女の目付きは真剣で、そしてペッパーに言ったのだ。

 

「以前………わりゃが新武器製造の為に持ってきた、『ティラネードギラファ』と『カイゼリオンコーカサス』……。双皇甲虫達の素材を用いて、遺機装を造りたいんじゃ」

 

颶風の申し子と雷嵐の申し子と呼ばれる、気高く強かな甲皇虫達の素材を用いた、神代の技術が産み出す新たな遺機装を造りたいと言う彼女。

 

「製作する過程で、かなりの量を使うじゃろう……!おまけに双皇甲虫達の戦いは苛烈を極める上、希少部位とも成れば収集は更に困難となる……!じゃが、アレを使えば『水晶群蠍(クリスタル.スコーピオン)の素材』を用いた遺機装にも匹敵し得る、凄い物が出来る予感がする…!

頼む!わちを信じて、わりゃの為の遺機装を造らせてくれんか!」

 

此の通りじゃ!と深々と頭を下げるビィラック。彼女程の鍛冶師が見せた、凄まじい覚悟を犇々と感じたペッパーは、膝を曲げて腰を落とし、彼女と同じ視線まで身を屈めて言った。

 

「ビィラックさん、顔を上げてください。どんなに時間が掛かっても、沢山集めて持ってきますので、最高の逸品に仕上げてください」

 

此処まで言われて断ったなら、男が廃る以前に人間として彼女に顔向け出来なくなる。成ればこそ、此方も最大の覚悟で答えるのが筋と言うモノ。

 

「あぁ、あぁ!必ず、最高の逸品を仕上げてやるけぇ!で、何を造りたいんじゃ!何でも言うてみ!」

 

目を輝かせ、オーダーを聞くビィラック。ペッパーは暫く考えた後、彼女に向けて己が望む武器種(ジャンル)を上げたのだ。

 

「そうですね。俺が使いたいジャンルは…………

 

 

 

 

 

両脚に装備出来る『籠脚(ガントレッグ)』に、片腕に対応した『大型の籠手(ビックスケール.ガントレット)』。そして最後に『斧槍(ハルバート)』が使いたいです。

 

 

 

 

 

━━━武器のイメージは、既にイラストとして起こしてあります。どうぞ、御参照下さい」

 

 

 

 

 

 

と………。

 

 

 

 

 






デートという名の行軍取り付け、兎の国の名匠は古匠へと昇る


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