オハナシを終えて
「SOHO-ZONEさん、本日はありがとうございました」
「此方こそ、貴重な時間をありがとうございます。ペッパー君」
クラン:ウェポニアとの会談を終え、取引成立と依頼完遂により、晴れて
「聖盾イーディスで解った事や、武器防具で解らない事が合ったら、
「は、はぁ……其れは心強い。其の時はよろしくお願い致します」
力強い視線で言い切ったSOHO-ZONEは「其れでは」と言い、ファイヴァルの宿屋へと歩いて行き。ペッパーはSOHO-ZONEが見えなくなった事を確認して、緊張からの解放と共に「はぁぁ~……」と息を吐く。
「お疲れ様。そして勇者就任おめでとう、ペッパー君」
「立会ありがとうな、ペンシルゴン。というか、勇者になるとユニークシナリオ発生するのか」
「あぁ、ユニークシナリオ【勇ましの試練】でしょ?君が持ってるユニーククエストと同じ『段階型クエスト』みたいでね。最初は勇者武器を装備して、幾つかのエリアを制覇するみたいなの」
彼女が言うには、勇者と成ったプレイヤーは未踏のエリアの踏破したり、自身よりレベルの高い相手と戦ったりし、そしてペンシルゴンのシナリオは、現在『勇者武器を持つ者同士が戦う』といったフェイズに入っているらしい。
「
そして何やらペンシルゴンが企み始めて、ニヤニヤしているのを横目にしていると、二人のEメールアプリに1通のメールが届いた。
一度ファイヴァルの裏路地で内容を確認すると、サンラクからのメールで『ビィラック育成計画で稼働してる
「サンラク君順調みたいだね。ねぇ、あーくん。明日暇だったりしない?」
「ん?まぁ、明日は丸一日フリーだが……」
「そっか。じゃあさ……新人勇者のあーくんを、先輩勇者たるトワおねーさんが、フィフティシアまで護衛してあげよう!」
実際レベル99のカンストに到っているプレイヤーの護衛は心強く、何よりNPC込みで4人のパーティーが構築される事によって、勇者武器の聖盾イーディスとペンシルゴンが持つ聖槍カレドヴルッフの特殊スキル:アンブロークンを活かせるようになる。
「………良いよ、トワ。何時に集まる?」
「おやおや即決、悩むかと思った。そうだねぇ……明日の午前9時、場所は此処で良い?」
「OK、其れで行こう。もし急な予定が入ったら、Eメールで連絡出すよ」
「うん、御願いね。あーくん」
あっさりと決まった協力プレイ。然れどペンシルゴンこと
(フフフ……あーくん。一日掛けてた~っぷりと、おねーさんの魅力を教えてあげるんだから♪)
(イーディスの性能チェックや、イレベンタルで武器防具の新調もしたいし、ペンシルゴンが誘ってくれて助かったな)
ペンシルゴンとペッパー。互いに思惑は内に秘めど、目指す場所は御互いに同じであり。
「あ、トワ。ユニーククエストの関係でサードレマに行ってから、シクセンベルトにも立ち寄りたいんだが良い?」
「ん?OKOK、良いよあーくん」
予定を決め、そして二人は「また明日」と別れて行った………。
ペンシルゴンと現地解散の後、他者に見られないようにアイトゥイルのゲートで兎御殿に帰還したペッパー。サンラクがメールで言っていた、ビィラック育成計画が現状、どんな状態に至ったかを知る為、彼女の鍛冶場へと向かった。
そしてペッパー、両肩に乗るアイトゥイル・ポポンガが目撃したのは、VRゴーグルに似た円形のユニットを頭に装着し、ウェザエモンの遺産にして格納鍵インベントリアに入っている、規格外武装の一つ【コメットカタパルト】を分解し、研究しているビィラックの姿が在った。
「お、ペッパーか。今わちは、神代の技術の深奥を学び取っとるけ。もう少ししたら、エーテルリアクターの修理に入る。ちゃちゃっと終わらせて、明日にはキッチリ直しとくわ」
「よろしくお願いします。頑張ってください、ビィラックさん」
部品やパーツを一つ一つ見つめながら、一際真剣な眼差しをしているビィラックにエールを送り。邪魔をしては不味いなと思い、鍛冶場から立ち去ろうとする。
「あぁ、ペッパー。ちょいまちや」
「え?何ですか、ビィラックさん」
何かフラグを踏んだかと身構えるが、当の本人はゴーグルの一部がスライドして顔全体がハッキリと出て。彼女はペッパーにこう言った。
「……遺機装を扱える
「遺機装の修理……?もしかして、ウェザエモンさんの一式装備も!?」
「あぁ。アレも凄まじい年季が入った遺機装じゃけ。わちが古匠に成れば、修繕出来るようになるけぇの」
今までヴァイスアッシュに頼まなくては、耐久値を回復出来なかったが、ビィラックが古匠となれば彼一人に頼らなくて済むようになる。
「でじゃ、ペッパー。引き留めたんは他でもない、わりゃに『頼みたい事』が有るん」
「頼みたい……事?」
「そうじゃ」と言った彼女の目付きは真剣で、そしてペッパーに言ったのだ。
「以前………わりゃが新武器製造の為に持ってきた、『ティラネードギラファ』と『カイゼリオンコーカサス』……。双皇甲虫達の素材を用いて、遺機装を造りたいんじゃ」
颶風の申し子と雷嵐の申し子と呼ばれる、気高く強かな甲皇虫達の素材を用いた、神代の技術が産み出す新たな遺機装を造りたいと言う彼女。
「製作する過程で、かなりの量を使うじゃろう……!おまけに双皇甲虫達の戦いは苛烈を極める上、希少部位とも成れば収集は更に困難となる……!じゃが、アレを使えば『
頼む!わちを信じて、わりゃの為の遺機装を造らせてくれんか!」
此の通りじゃ!と深々と頭を下げるビィラック。彼女程の鍛冶師が見せた、凄まじい覚悟を犇々と感じたペッパーは、膝を曲げて腰を落とし、彼女と同じ視線まで身を屈めて言った。
「ビィラックさん、顔を上げてください。どんなに時間が掛かっても、沢山集めて持ってきますので、最高の逸品に仕上げてください」
此処まで言われて断ったなら、男が廃る以前に人間として彼女に顔向け出来なくなる。成ればこそ、此方も最大の覚悟で答えるのが筋と言うモノ。
「あぁ、あぁ!必ず、最高の逸品を仕上げてやるけぇ!で、何を造りたいんじゃ!何でも言うてみ!」
目を輝かせ、オーダーを聞くビィラック。ペッパーは暫く考えた後、彼女に向けて己が望む
「そうですね。俺が使いたいジャンルは…………
両脚に装備出来る『
━━━武器のイメージは、既にイラストとして起こしてあります。どうぞ、御参照下さい」
と………。
デートという名の行軍取り付け、兎の国の名匠は古匠へと昇る