VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ペッパーが望む武具達




胡椒は三種の武具を望み、半裸の鳥頭は水晶地帯へ狩りに向かう

「両脚に装備出来る『籠脚(ガントレッグ)』に、片腕に対応した『大型の籠手(ビックスケール.ガントレット)』。そして最後に『斧槍(ハルバート)』が使いたい………か」

 

古匠となる事で、新たに遺機装(レガシーウェポン)を製造出来るようになると言う、ビィラックの発言。そしてティラネードギラファとカイゼリオンコーカサスの素材で、ペッパーの為の遺機装を造りたいと言うオーダーを受け、彼の提示した武器種と彼が起こしたイラストを見つつ、彼女は呟く。

 

「籠脚は爪先と膝にカイゼリオンコーカサスの角、其の間をティラネードギラファの鋏で出来た斬撃機能。……こりゃ籠脚一つで、斬打突の三要素が出来てまうな。

籠手もまた豪華じゃのぉ。指パーツは全部カイゼリオンコーカサスの角、手刀に用いる部分と手甲にゃティラネードギラファの鋏、回避されても掠り傷で致命傷に至らす。

そして斧槍……全く『とんでもないギミック』入れおってからに。最高に『頭悪ぅのぉ』ペッパーや」

 

凄まじい気配が漂う武器イラストに、ビィラックは引き吊ったような、然れど不敵な笑みを浮かべた。

 

「知り合いに、武器のデザインやギミックに精通した、凄い奴が居ましてね。特に斧槍のギミックは、俺と其の知り合いが昔、一緒に考えた物なんです」

 

武器狂いの異名を持つ、クラン:ウェポニアのクランオーナー・SOHO-ZONE。本名を『創太(そうた) 宗助(そうすけ)』。中学時代に同級生だった彼とは、美術の授業で作った段ボールアートで知り合い。

 

文化祭の出し物で用いた段ボールの武器を見て、武器作りレトロゲームこと『ウェポニアメーカー』で登場した、大剣武器の正式名称とギミックを、一言一句外す事無く言い当てた事で、友達になった記憶が有る。

 

まさか思い出のゲームの名前を、クラン名にしているとは考えてはいなかったが。

 

「成程の……してペッパーよ。武器は三種類有るが、何れを最優先で作りたいとかは有るかの?」

「やはり籠手ですかね。材料的にも一番量が要りますので」

 

事実、籠手の指パーツにカイゼリオンコーカサスの角と、手甲及び小指の側面部分にティラネードギラファの鋏を用いるともなれば、少なくとも彼等を『5体』。もしくは、其れ以上の体数を狩らなくてはならない。

現状ユニーククエストで呪いの装備と化している、影法師の愉快合羽(グルナー・ト・シェミンコート)の解除。そしてポポンガの護衛が有る為に、素材集めはかなり先に成るだろう。

 

色々と合って精神面で疲れたペッパーは、まだ夕食も食べていなかったのと、明日はペンシルゴンとエリア踏破を目指す為に備える事として、今日は此処で終わりにしようとログアウトする為に兎御殿の休憩室に赴き、ベッドに寝転がってコンソール画面を操作。

 

「ん……『お知らせ』?何々……『モンスターの一部挙動を修正しました』とな?バグでも有ったのかな?」

 

疑問に思いつつも、ペッパーは此の日のシャンフロを終えたのだった。しかし彼は知らない……此の緊急修正は、同じクランメンバーのサンラクが、水晶巣崖(すいしょうそうがい)での荒稼ぎによって引き起こされた物である事を。

 

そして運営が行った緊急修正対象の一体が、昨日荒稼ぎしまくった水晶群蠍(クリスタル.スコーピオン)で有る事を知らないサンラクは、ビィラックから水晶群蠍の素材を用いた遺機装を造りたいと言うオーダーを受け、単身死地へと赴いていたのである………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペッパーが兎御殿の休憩室にて、セーブ&ログアウトをしてシャンフロから退場していた頃。サンラクは一人水晶巣崖を登り上がり、昨日見た水晶地帯へ到着していた。

 

「さぁて……稼ぐとしましょうか。運が良ければ、あのキンイロソード野郎に出逢えるかも知れねぇしな」

 

不意討ちとは言え、針を持って帰れなかった原因を作った金色の水晶群蠍を解らせてやると心に決め、わざとらしく音を立てて着地する。

 

こんな時に限って幸運なのか不運なのか、乱数の振れ幅が凄まじい事になり、水晶に擬態していた蠍達が眠りを邪魔されて覚醒するや、数十体がアクティブ状態となって一斉に侵入者(サンラク)へと襲い掛かる。

 

「ハッハァー!良いぞ良いぞ、付いてきやがれ蠍共!」

 

機動系スキルを全点火、アサイラムサインで入り組んだ水晶地帯のルートを割り出し、複数の敵や攻撃に晒される程にステータスへ強化(バフ)が入る『包囲先見(ほういせんけん)』を加えつつ、走り続ける。其の爆走に反応した他の蠍達も水晶を爆ぜながら、包囲陣を敷くようにサンラクを取り囲み、我先にと襲い掛かった。

 

「3…2…1……今ッ!」

 

合い言葉は【転送:格納空間(エンタートラベル)】。完全安全地帯に逃げ込んだサンラクは一人、凄まじく悪い笑顔で勝利宣言をするかのように、笑い声を上げる。

 

「フハハハハハハハハ!楽勝楽勝、テクノロジーの大勝利だぜぇ!此れなら大量の水晶群蠍の素材で、すんげぇモンをビィラックが造れそうだな……クックック!」

 

タイマーアプリで時間計測から、およそ三分経過。【転送:現実空間(イグジットトラベル)】のコールで、サンラクが格納空間から、元の場所へと転移。

 

「フフフ…見渡せば勝利の光景━━━━あれ?」

 

だがサンラクを待っていたのは、驚くべき光景で。昨日と同じ方法でやった時には、大量の水晶群蠍の素材が其処彼処に散らばっていた。

だが、今日は足の一本処か水晶の一欠片さえも、水晶群蠍の素材が存在していないのである。

 

「どうなってやがる?転移のタイミングは完璧だった筈だろ……?」

 

巨体の突撃からの急ブレーキは、シャンフロが誇る物理エンジン(・・・・・・)の都合上、反動は襲い掛かる為に『絶対に有り得ない』。重力と慣性が働いて無くては、此の世界は今頃『バグと面白おかしな挙動を取る』プレイヤーとNPCで、溢れ返ったバグゲーに成っている。

 

そして水晶群蠍を1時間近く観察出来たサンラクには、あの蠍達のAIは『賢くない』と判断出来ていた。だからこそ激突寸前で、あの蠍達が止まれる筈が無い。

 

「……………いや、まさ━━━━━━」

 

サンラクが水晶群蠍の変化した挙動の真実(カラクリ)に辿り着いた、まさに其の刹那。足下の水晶が震えて、サンラクの左脇腹を抉る様な衝撃と共に、彼の身体が夜空に舞った。

 

「ガハッ………!?う、運営の野郎……サイレント修正しやがべぼば!?!?」

 

水晶群蠍が行った新戦法、其れこそがサンラクが受けた攻撃にして、通常の潜伏状態から行う奇襲の『もう一段階上の奇襲』。

 

アクティブ状態で行う潜伏奇襲(・・・・・・・・・・・・・・)と言う圧倒的な初見殺しを誇る一撃に、サンラクは運営に対する怨嗟の声を上げながら、四方八方から襲い掛かった蠍達の振るう針によって滅多刺しにされ、死亡したのであった……。

 

 

 






運営の善意と悪意(修正)






200話到達、設定開示コーナー






七つの最強種をモチーフ、もしくは由来するユニーク遺機装は、各々対応した武器が在る



光輝へと昇る金龍王装(レディアント・ドラゴニウス):籠脚

悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ):刀

━界━━━━兎━━:???



深淵━━━蛸極━━:大盾



夜闇━━━━黒狼━━:戦双爪

永━━━━━歌━━━:???

━━━━━━蛇━━━:変幻武具







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