戦いは続く
※3連続更新の第2陣
「オラァ!いくぞォ!」
戦闘開始からおよそ三時間、新たに発覚した金蠍こと
振り回される巨体の苛烈な攻撃を避けて、全身に渾身の打撃を与えても、毒液を潜り抜けて水晶の隙間を狙い、刃を差し込み突き立てても、一定以上のダメージを受けた瞬間に金蠍は露骨にサンラクから距離を離し、近くに在る水晶柱の頂上に登って回復行動を取ってしまう。
しかも最悪なのは、マッドネスブレイカーの武器特性で金晶独蠍の甲殻を削った時であり、一発殴った瞬間に彼方は露骨に距離を離してしまったのである。
「特効レベルで刺さる武器は、ぜってぇ食らってやらねーよバーカ!ってか。あの金蠍
武器を連接ゲージが高められ続ける煌枹から、
「
「要するにリジェネ持ちは『回復する隙を与えない』か、其の『回復を阻害するように動けば』、
此の戦闘、五回目となるストランダイトバンカー。しかし今回の斬打は一味も二味も違う。刺突攻撃に
「ヨッシャア!しっかり刺し込んだ!ってあぶっ!?」
水晶を貫いた湖沼の短剣が深々と、尾と針の付け根に突き刺さり、金晶独蠍の針がビクンと跳ねるや至近距離での散弾毒液が襲い掛かり、サンラクも格納空間へ緊急退避を行い、難を逃れる。
「油断も隙もありゃしねぇ…!一応マナポーションは有るが、其れでも残り回数はおよそ『10回』程度。良いね、残り回数に追われながらやる……此の感覚!」
マナポーションを飲み干し、再び水晶をフィールドへ。見上げれば水晶柱の上に座し、夜空に両鋏を広げて月光を其の身に受ける金蠍の姿。
「あんの金蠍が!ちょっと目を離したら直ぐに回復しやがって………!」
短剣と小鎚をインベントリに収納、取り出すのは赤身を帯びし刀身の『ツーハンデットソード』、名を『
サンラクがフォスフォシエからエイドルトに向かう途中、エムル・ビィラックと共に攻略した
「此れ以上回復させて堪るか!オラァ!」
本来、首に対するダメージ補正の上昇。及び炎熱耐性に秀でると共に、湖沼の短剣のおよそ五倍の耐久値を誇る武器を、サンラクはあろうことか『槍投げ』として用いて、スキル『
思いがけぬ一撃を受け、しかしまだ傷は浅いと割り切り、月光を受ける事を止めない金晶独蠍。
「おいゴラ金蠍、テメェ此れでも無視を決め込めるか?」
潰れて死角となった左側より、
至近距離での格闘による、ダメージ補正を与える『インファイト』。
拳闘や脚撃等の格闘による、ダメージ補正を加える『マグナマイトギア』。
負傷箇所への攻撃で、追加ダメージが入る『バッツクローシス』。
敏捷と筋力を参照し、進化前よりダメージを与える数値が伸びた『タイフーンランペイジ』。
自身の幸運値を参照としてダメージ、及びクリティカル成功でダメージ補正追加の格闘スキル『アガートラム』。
最後に駄目押しとばかりに、スタミナ消費で攻撃モーションを更に加速させる『ジェットアタック』と、重ねたスキルの数だけ威力を上昇させる『チェインズアップ』。そして、再使用時間を短縮させる『トルクチャージ』を纏いし拳で、金蠍の左目に突き刺さる焔将軍の斬首剣の柄尻へ、思いっきり殴り付けた。
左目に突き刺さった斬首剣の穂先が、ゴヂャリュと更に深く、立ててはいけないような音を鳴らし、金蠍が痛みに悶えて、のたうち回り出す。
「ハッハァー!少しは効いたか、金蠍!転がってる場合じゃねぇーぞ、ゴラァ!!!」
スイッチするは、対刃剣の兎月達。紅白の刃を握り締め、
怒りに震える金蠍の前鋏の攻撃を回避し、敏捷と技量を参照する逸撃斬羅で回復しきれていない傷口をなぞって、連続または追撃時に繰り出す斬撃ダメージが伸びる裂刃尖斬の『スキル二刀流攻撃』により、傷口を更に刻み。同時に表示されるは、兎月二本の合体ゲージMAXの表記。
「おっしゃあ!兎月、合体ゲージMAX!」
赤と白の刃が交わり一つの刃、
「良い加減ッ……チョン斬れろ!!!」
ニトロゲインでバフを加え、スキル『パワースラッシュ』を
「オッシャアアアアアアア、斬ったぞォォォォォォォォォ!!!アッハッハッハッハッハァ!!!」
宙を舞う、レアエネミーの希少部位。部位破壊による達成感でテンションがブチ上がり、サンラクは笑い吠え。シンボルたる針を斬り飛ばれ、憤怒に唸る金晶独蠍は大鋏を振るうも、彼は皇弦月をインベントリに収納しながら、同時にスカイウォーカー起動。
「はい、二段ジャンプゥーーーーーーー!!!」
空中を蹴って、地面に落ちる針をキャッチ。インベントリアに針を放り込むと、金蠍に変化が起こる。
全身の水晶の隙間という隙間より、黄金の魔力が焔の如く燃え広がり、全身を這い尽くす姿たるや夜空に浮かぶ太陽の如く。
爆発的に増大した魔力が、周りの水晶片を吹き飛ばし、其れを
「おいマジかよ!?此処で面倒事を増やすんじゃねぇよ、金蠍……!」
周りの水晶群蠍が現れた事で、サンラクは嫌な顔をする。唯でさえ金晶独蠍の対処に追われ、其所に他の水晶群蠍までもがやって来た。インベントリアエスケープには一応の余裕は有るものの、残り回数も両手の指で数えられる程度しか無い。
だが、サンラクは。水晶群蠍を見た事で、此の状況を打破する『手立て』を閃いたのだ。
「………いや、そうか……!見えたぜ、金蠍。オマエに勝つ為の
前門の金晶独蠍、後方の水晶群蠍。然れど半裸の鳥頭は、恐れる事非ず。見えた勝利の道を見据え、闘志を更に燃やしていくのだった。
戦いはクライマックスへ