VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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遺跡攻略より再び遺跡へ




勇者は外道を鎮め、シクセンベルトに着く

「いやぁ、我等が外道アーサー・ペンシルゴンにも、遂に春が訪れていたとはなぁ~~~???」

「結婚報告待ってまーす」

『ッッッッッッ………!!!!』

「あわわわ……」

 

エリアボスのルイン・キーパーを瞬殺し、早足でシャンフロ・第6の街たるシクセンベルトに向かう、ペッパー・ペンシルゴン・アイトゥイル・ポポンガの一向を、サンラク・オイカッツォ・レーザーカジキ・エムルのパーティーが追い掛ける。

 

「もう良いでしょ!?此のネタおしまいッ!!」

「其れを決めるのはペンシルゴンじゃないんだよなぁ……ヘッヘッヘ」

「因みに此れ何時まで続けるの?」

「少なくとも半年は確定で擦るから、御二人さん覚悟しておいてね?」

「いや、流石に半年はキツイって……」

「はわわ………」

 

サンラク・オイカッツォの怒濤の弄り攻撃に、普段の余裕が失われたペンシルゴンは、ぐぬぬ…と言った具合に後方でニヤニヤニマニマしている、外道二人に視線を送り。そんな外道組のやり取りで、自分はどうすれば良いのか解らないレーザーカジキは、唯々慌てている事しか出来ず。

 

そんな中ペッパーは一人、サンラクとオイカッツォを静かにさせ、此の状況に終止符を打つべく『カウンター』とも言うべき爆弾を放つ。

 

「なぁ、サンラク」

「ん~?何だ、ペッパー?弁解の余地でも有るんか~?」

「『行列、エナドリ、妖怪一足りない』」

 

たった三つの言葉(ワード)、然れどサンラクにとって其れは、桁違いの破壊力を秘めた言葉であり。

 

「すいません、クランリーダー。其れだけは、其れだけは止めて下さい」

「素直でよろしい」

 

深々と頭を下げて、何なら今すぐに土下座か五体投地をやらかしかねない勢いを見て、ニッコリと笑って許し。

 

「えっ、何?ペッパー、サンラクに何したの?」

「『初戦、ストレート、正体』」

 

彼がやった其の真意を、確かめんとしたオイカッツォだったが、ペッパーのオイカッツォにだけ伝わる言葉で、彼の目から光を消し去る。

 

「一応ゲームってのも有るし、不特定多数が此の世界で生きているので、程々に………な?」

 

ペッパーのニッコリ笑顔に、サンラク・オイカッツォは唯一言「「はい」」とだけ言った。そして同時に、外道二人は同じ真理に辿り着く。

 

『クラン:旅狼(ヴォルフガング)の中で、一番ブチキレさせたら恐いのはペッパーだ』━━━━と。

 

「さて……レーザーカジキは此れからどうするの?」

「えっ、僕……ですか?」

 

サンラク・オイカッツォに連れられて来ていたレーザーカジキに、今後の予定を問うペッパー。小さな青の魔術師はこう答える。

 

「その……えと、あの……ペッパーさんの後に、付いて行きたい……です。実は、 去栄(きょえい) 残骸遺道(ざんがいいどう)のエリアボスが倒せなくて………協力して貰えませんか?」

 

去栄の残骸遺道、其のエリアボスをペッパーは知っている。オーバードレス・ゴーレム━━━致命極技(ヴォーパルヴァーツ)習得の為に戦い、無尽の偶像を拾う事となった巨大ゴーレムだ。

 

「良いよ、レーザーカジキ。俺とペンシルゴンもフィフティシアを目指してる。今のレベルは幾つかな?」

「あ、ありがとうございます!僕、今レベルは62です!」

 

ラビッツのユニークシナリオを受注したあの日から、レーザーカジキも随分と己を鍛えたようだ。遠からず追い抜かされるだろうと思い、そしてペンシルゴンがレーザーカジキをジィッ……と黒い物を含んだ視線で見ていた時、サンラクが全員に問い掛けてきた。

 

「あ、ペッパーとオイカッツォにペンシルゴンよぉ。今お前等レベル幾つだ?」

「レベル57。鮭と海蛇にザリガニ釣り上げて、漸くって感じ」

「此方はレベル66」

「私は当然カンスト、レベル99。じゃあ言い出しっぺのサンラク君は幾つなのさ?」

 

ペンシルゴンの問い掛けに、サンラクはクックック……と笑いつつも、自信に満ちた声で答えを示した。

 

「俺か?俺は『レベル99』!カンストでーす!」

 

渾身のドヤ顔を決めたサンラクと、彼以外の全員が同じ言葉を口にする。

 

『……………え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『男子三日会わざれば刮目して見よ』なる言葉が在る。人は誰もが能力を持っており、僅か三日の時間でも人は変わる事が出来るという意味だ。

 

現実でも有るが、特にゲームともなれば顕著に現れる。始めたばかりの初心者が、レベリングで最も優れた場所を見付けて三徹し、レベルカンストに至らせた……と言う逸話も有ったりするが、此処は大衆が神ゲーと認める『シャンフロ』であり、サンラクは其の身に『リュカオーンの呪い(マーキング)』を二ヶ所持つ。

 

何をどうしたら此の半裸の鳥頭は、本当に三日の短期間でレベルカンストに至る事が出来たのか、此の場に居た全員が例外無く思った事だった。

 

「サンラク君、レベルカンストってマジなの?」

「応よ、俺の『マブダチ』の所で戯れて来たんだ。友情………そう。友情パワーが、俺に力をくれたのさ……」

 

何やら吟遊詩人の様に語らい、ドヤ顔を噛ましているサンラク。と、ペッパーの肩に何時の間にかエムルが乗って来ており、簡潔に事情を伝えてきた。

 

「ペッパーさん、サンラクさんはマブダチ………水晶群蠍(クリスタル.スコーピオン)金晶独蠍(ゴールディ.スコーピオン)と戦っていたのですわ」

「…………マジ?」

 

小声で答えるとエムルは小さく頷いて、ペッパーの肩からサンラクの頭へと跳ね飛び移るのを見ながら、彼は思考を開始した。一体辺りの平均レベルは100オーバー、実戦的訓練の中で嫌と言う程味わったペッパーは、其の実力をよく知っている。

 

其の言葉に嘘が無いようであり、水晶群蠍を何らかの方法で討伐したのだろう。そして金晶独蠍なる存在は水晶群蠍に関係するモンスターで、名前から予想するにレアエネミーである可能性が非常に高い。

 

「「マブダチ?」」

「海蛇やザリガニなんか比にも成らん、素晴らしい強敵だよ……。ぶん殴れば素材は落ちるし、何処までも追い掛けてくる……そんな可愛い奴等だ」

 

あの(・・)蠍達の事を『可愛い奴等』と言い切るサンラクに、ペッパーは内心震え上がって強張った表情になる。

 

「まぁサンラク君には、急激なレベルアップについて『オハナシ』して貰うとして……。私とペッパー君、レーザーカジキ君はシクセンベルトに着いたら、其のままサードレマにUターンして、フィフティシアに向かうからね」

「気を付けてな。サンラク、オイカッツォ」

 

「「おーう」」と軽口で答えて、サンラク・オイカッツォ・エムルは先にシクセンベルトに入り。其の後にペンシルゴンとレーザーカジキ、そして愉快合羽にポポンガとアイトゥイルを隠したペッパーが街に到着。

 

そして三人と一匹と一羽が、其のまま街の外へと出た瞬間、ペッパーの目の前にリザルト画面が現れた。

 

 

 

 

 

 

『ユニーククエスト【想いの御手は、境界線を超えて】が進行しました』

『条件達成まで、残り━━━三つ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 






開拓者達は各々が目指す場所へ


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