VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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オーバードレス・ゴーレム、解体の極意




瓦礫纏う者へ、大質量の鉄盥を落として

「全員、降ってくる瓦礫に気を付けて!」

 

動き出したエリアボスたる、オーバードレス・ゴーレムを前にペッパーは注意を促しつつ、以前致命極技(ヴォーパルヴァーツ)を習得した時と同じく、頂上付近に有る巨大ホイールを目指して、使えるスキルを洗い出していく。

 

(先ずはウツロウミカガミでヘイトを分散させつつ、地上ギミック無視コンボ+空中ダッシュスキルで、一気に頭頂部まで到達する!)

 

ウツロウミカガミ起動。其の場にヘイトを纏った残像を残し、オーバードレス・ゴーレムに接近しつつ、セルタレイト・ケルネイアー起動と共に地面を蹴り、黒の戦士は空へと跳ねる。

 

蒼天律駕歩(アンソジーウォーク)天翔歩奏(てんしょうほそう)・ヴィールシャーレの三つのスキルによって、三分間限定で地上ギミック完全無視と、空というフィールドで自由を獲得。

 

其所へ再使用時間(リキャストタイム)を終えた鞍馬天秘伝(くらまてんひでん)破天爽駆(はてんそうく)、追加とばかりに英雄王の威光(ギルガメッシュ・サイン)、そしてデュアルリンクとトルクチャージを重ね掛けながら、空中を足場として駆け上がっていく。

 

下からペンシルゴンが何かを言っていたような気がしたが、余所見や脇見による不注意は事故の大方を占めているので、オーバードレス・ゴーレムの最上部、ホイールを支える二本の支柱を目指す事に集中する。

 

と、此処でゴーレムに搭載されたクレーン達が、空中を走るペッパーに瓦礫投擲による攻撃と、直接殴りに行く攻撃を開始。ウツロウミカガミの囮が切れたのだろう。しかしペッパーは止まらない、空中を駆け歩く事が出来るなら、空中を滑る事が今なら出来るのではと考え、摺り足の要領で空を滑って跳躍し、再び駆け上がって目的地へと辿り着く。

 

「始めよう…!」

 

両脚に装着していた甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)改五より切り替えるは、此迄耐久値回復がヴァイスアッシュ以外で出来ず、慎重に扱わなくてはならなかった代物。

 

ユニークモンスター・天覇のジークヴルムを模倣し、神代の頃に世界に示された人が蒼空を舞う為の答え………其の一欠片であり、ビィラックが『古匠』と成った事で、此処から先はある程度の消耗も視野に入れての運用も可能になった。

 

「いくぞ、レディアント・ソルレイア」

 

白と金の輝きを放ち、勇者の叫びに応えるように、ドリルバンテージが唸りを上げる。先ず使うスキルは、封栓認視界(ブロット・ウラタナ)破界の視覚(ミュリミア・メナトス)。此の二つで、打撃によるダメージの通りやすい箇所を視界に示す。

 

次は自身に対する強化(バフ)天壱夢鳳(てんいむほう)とスート・アヴェニュー、全身全霊(フルドレイズ)で体力を削り、マシニクル・リブラで上昇値を強化。其処に『ヴァーミンガムスナッチャー』の起動により、攻撃で相手にダメージが入った場合、『仰け反りや硬直からの復帰に時間を割かせる』スキルを乗せて、最後にデッドユアセイブで準備完了。

 

「ぶちかます!」

 

聖攣の神覇業(ウルク・フォルセティ)起動、重ねたバフの総数に応じて其の威力が上がっていく、ストレングス・スマッシャー時代より自分(ペッパー)を支える拳擊・脚擊スキルが、オーバードレス・ゴーレムの巨大ホイールを支える支柱の止金具を蹴り砕き、爆音と共に破壊した。

 

「あと………ひっとォッつッ!」

 

空中歩走スキルの時間は、まだ継続している。空中を走り、オーバーラップ・アクセラレートでクレーンを回避しつつ、反対側の支柱の止金具が有る場所に着地する。

 

「どうせやるなら、盛大に……ってな!」

 

クイックスピンによるターンを刻み、メタルレッグス・クリティカルメナス・ニトロスマッシュ・コラプションスマッシャーで重ねて紡ぎ。スキルの連鎖を〆るように、破戒神の舞脚(カルナダーハ・シヴァ)と自動発動したラセルクロスアップで、威力を高め。

 

「決めるッッッッッ!!」

 

致命蹴術(ヴォーパルけりじゅつ)円月砕(えんげつさい)】によるサマーソルトキックを、レディアント・ソルレイアがもたらすブーストで、加速した右脚による一撃を叩き込み、一際大きな破砕音と共に物理エンジンがもたらす重力が、大質量の巨大ホイールを真下へと落とす。

 

「此れにて━━━━━チェックメイトだ」

 

空中へと跳び、残されたスキルの効力で空を駆け。同時に真後ろでは、巨大ホイールに己を動かす『核』を潰されたオーバードレス・ゴーレムが、瓦礫を纏った巨体を崩壊させ、ポリゴンと化して爆発四散。

 

同時にペンシルゴンと、自らを縛り弱体化したポポンガを除き、レーザーカジキとアイトゥイル、そしてペッパーにレベルアップを告げるアナウンスが鳴り響いたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一番星の様に輝く、黒い星を私は見た。

 

「ペッパー君、空飛べるの!?」

 

柄にもなく叫んでしまった。ウェザエモンとの戦いでレディアント・ソルレイアの秘めた、恐るべき力を目の当たりにしていたが、其れを用いずに空を駆け上がって往く、流星の様に煌めく彼の姿を見たから。

 

真っ直ぐに、唯一つの到達地点を見据え。オーバードレス・ゴーレムの巨大ホイールが在る、頭頂部を目指して空を駆ける姿は、彼が高機動と空中系統の戦いに重きを置く、軽戦士だと理解するには充分で。

 

自由に空を走り、縛られる事無く駆け、天……いや宇宙にさえ届く程の、そんな可能性を秘めているのを。そして同時に思ってしまった━━━━何時か彼は、私よりもずっとずっと、高く遠い場所まで往ってしまうのではないか?……………と。

 

怖い……と、不安を抱いた。

嫌だ……と、心が声を溢した。

 

だけど。

 

彼はゲームをしている時、何時だって真剣なのだ。ゲームをしている時の、彼の真剣な眼差しが私は好きなのだ。一つの事に誰よりも真剣でいられる、彼の心構えが私は大好きなのだ。

 

だから、だからこそ。

 

そんな彼を、私だけの物にしたい。

そんな彼を、誰にも渡したくない。

そんな彼を、独り占めにしてしまいたい。

そんな彼を、誰かに取られたくない。

そんな彼を、私の物だと言い触らしたい。

 

内なる獣が吠える様に、心が叫びを上げていく。

 

「あぁ……カッコいいなぁ……」

 

まるで夜闇を照らす蛍光灯に、引き寄せられる虫の如く。スクリーンショットを取る為に、両手を長方形にして一枚の写真を撮る。

 

其処には雲一つない快晴の青空と、背後には堂々と佇む建造遺物。そして爆発四散したオーバードレス・ゴーレムのポリゴンの雨の中、地面に降りてくるペッパーの姿が写っていた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れたァ………」

「やぁやぁ、ペッパー君。空中を駆け上がって行く姿は見物だったよ」

「凄かったです、ペッパーさん……!」

「フォホッホッホ………彼処まで昇るとは、流石じゃのぉ」

「流石、ペッパーはんなのさ」

 

空中歩走スキルの効力終了ギリギリで地上に降り、着地時に両足を若干の痺れと落下ダメージが体力を削るが、ペッパーは無事にオーバードレス・ゴーレムの頭部へ巨大ホイールを落とす、所謂『脳天ダンクシュート作戦』を成し遂げ、仲間達に迎えられる。

 

体力回復ポーションとマナポーションを飲み干して、オーバードレス・ゴーレムが落としたドロップアイテムを見ると、レアアイテムの一つ『サファイアインゴット』が落ちており、話し合いの末にレーザーカジキが手にする事となった。

 

そしてペッパーはアイトゥイルとポポンガをコートの中に隠し、三人と一羽と一匹のパーティーは街へと続く道を歩み。遂に、シャンフロ第11の街・イレベンタルに到着したのであった………。

 

 

 

 

 

 






オーバードレス・ゴーレム攻略、其れを見たペンシルゴンの心中


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