VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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パーティープレイで不世出を討ち果たせ




黒の流星は煌めきて、吠える嵐を討ち沈める

サードレマの黒い流星。

 

逢魔時(おうまがとき)に出現し、サードレマの街並みの上空を駆けて消えた、文字通り流星の如き速度を放つ、ペッパーの持つ異名の一つである。音速か下手すれば超速(マッハ)に比肩し得る可能性を持った、凄まじいの一言では表現出来ない様な、圧倒的な機動力。

 

そして勇者武器(ウィッシュド.ウェポン)のカテゴリーの中でも、抜きん出た耐久値を誇る聖盾イーディスを、有ろう事か籠手(ガントレット)の変わりとし、確定気絶付与の打撃スキルを含んだ一撃を以て戦局の転換点にするべく、ストーム・ワイバーン"威風堂々(リーガルック)"の顔面を己の速度+聖盾の硬度による融合攻撃で、思いっきり叩き据える。

 

衝撃、爆発、振動。重ね繋いだスキルの連鎖が超新星の如く炸裂し、不世出の頂点捕食者は其の一撃に瞳孔が振るえ、然れどスキルによって発動した効力を受けて、仰向けで地面に倒れた。

 

「今だ皆、翼膜を狙い打て!!」

 

己の力を以て、決定的な隙を作り上げた聖盾の勇者の叫びをトリガーに、パーティーメンバーも此の好機(チャンス)を逃さぬとばかりに攻めに転じる。

 

「任せなさぁい!羅刹貫鐵(らせつかんてつ)!」

「行くわよぉ~~!爆砕剛撃(ばくさいごうげき)!」

「食らうのさ!魔人斬!」

 

ペンシルゴンの持ちし聖槍による、螺旋を描きし渾身の破壊属性効果を宿す刺突が、威風堂々の巨大な翼膜に大きな風穴を穿ち。

マッシブダイナマイトの鍛え続ける筋力が振るう、筋力を参照する拳撃スキルの一撃が、威風堂々の翼骨の関節を粉砕、其処にアイトゥイルの薙刀による斬撃が翼骨の関節間を切断する。

 

『グルォラァ!?』

 

気絶状態の身に叩き付けられた、マッシブダイナマイトの一撃に跳ね起きた威風堂々だったが、其の眼前に在ったのは『バチバチと電気が走る、一つの巨大なシャボン玉』。

 

完全(フル)詠唱━━━━【力奪う水気泡(パワードレイン・バブル)】ッ!行きます!」

「効力が浸透しやすいよう、オマケで【リアスパーク】も付けといたぞい」

 

ペッパーが、SOHO-ZONEが、アイトゥイルがヘイトをかき集めた間に、レーザーカジキは己の持ち得る水属性魔法の中で『水属性攻撃及び脱力のデバフ付与の融合魔法』を叩き付け、ポポンガは水属性魔法と極めて相性が良く、其の効力を倍化させる雷属性魔法でサポート。

 

破裂した水が濁流となりて威風堂々を襲い、付与された雷属性の効力で効果は即効性を以て発揮され、威風堂々は全身を襲う脱力感に苦しみ、苛まれて。だがそんなものは、今も自分を襲い続ける『痛み』に比べれば何ともないと言わんばかりに、其の口から巨大な咆哮を上げて、竜巻ブレスを放たんと構える。

 

「よくもハードラック・ライノの群れを……!其の子供達を……!!傷付けたわね、威風堂々!絶対に……絶対に許さないんだからァ!!!!!」

「いや、怒る所其処ォ!?」

 

Animalia怒りの咆哮に、此の場に居た全員のツッコミを代弁したSOHO-ZONEが、弓を構えて弦を引き絞り、仕掛け鏃を乗せた矢を瞬刻視界(モーメントサイト)による視界の中で、威風堂々の右目を狙って放つ。

 

仕掛け鏃……其れは弓にボウガンといった武器を使うプレイヤーに取って、戦局を切り開く武器でもある。一本に付き3000マーニという、シャンフロを始めたてのプレイヤーは、此れ一本で所持金をすっからかんにするが、其の能力は単純明快。

 

『グリュリァアアアアアアア!?』

「どんなに身体を鍛えても、眼球『そのもの』は鍛えられない!」

 

着弾時に爆発する。右目の真ん中を居抜き、網膜を貫いて、視神経に到達した鏃が起動し爆発。竜巻ブレスのモーション解除と共に威風堂々はのたうち転げ回り、空中に逃げようとするものの、既に翼は二ヵ所壊されて飛ぶには至らず、更には泡の魔法により引き起こされた脱力感が、ジワジワと己の神経を侵食する。

 

「逃がす訳無いでしょう!覚悟なさい!【アトラス・バインド】ッ!!」

 

錫杖から放たれる正三角形の魔法が、威風堂々の首筋に絡まり付き、其の動きを止めに掛かる。普段の威風堂々であるならば、此の程度の足止め等雑作も無く退けられる。

 

だがSOHO-ZONEの放った仕掛け鏃が右目を直撃、爆発による衝撃で右脳に障害を負い、身体機能の一部に支障をきたしていたのだ。

 

「さぁ、決めなさいッ!」

『ペッパー!!!!!!』

「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

此の戦いのフィニッシュは、聖盾勇者に託される。上空を駆けて、高みへと走り登った彼は再使用時間を終えたセルタレイト・ケルネイアーと天空神の加護(レプライ・ウーラノス)を起動。高みへと登った己が身を、天から地に向けて蒼空を蹴って加速し。

 

「此れでッッッッッ……………終わりだぁアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

加速した己の身を一回転、爆芯蹴脚(メテオ・アドレウズ)烈風轟破(れっぷうごうは)の加速と共に、破戒神の舞脚(カルナダーハ・シヴァ)を起動。黒い流星が煌めき瞬いて、威風堂々の顔面に超スピードの飛び蹴りが直撃。

 

此処まで使い続けて来たスキル達の総数に比例して、ダメージ補正が伸びていく其のスキルは、数多有るペッパーのスキルの中でもトップクラスの威力を誇る『切札』。着弾と共に威風堂々の首が時計回りに五回転程捩り回って、最後はゴキョン!と首の骨が折れる音が、戦場に甲高く鳴り響く。

 

そして当然ながら、此れだけの威力の脚撃スキルを繰り出したペッパーもタダでは済まず、超上空からの高速落下エネルギーと、威風堂々の硬い頭蓋骨による硬度補正がもたらす『反動ダメージ』は甚大極まり、聖盾勇者の体力を削り取って『全損』させるには充分過ぎる物であった。

 

だが、ペッパーは自身の体力を全損させて死ぬ事も見越して、スキル発動中に一度だけ『確定自己蘇生』が働く戦帝王の煌炉心(オライオン・スピリッツ)を使っており、崩れ落ちる最中に暗転し掛けた視界を光が満たし、意識が再び覚醒する。

 

実は戦帝王の煌炉心のスキル効果発動と同時に、聖盾イーディスの復活効果も発動し、其の効力が重複していたのだが、ペッパーは其の事実を知らない。しかし其れ故に、『戦闘中に一度だけの確定自己蘇生』という凄まじい『手札』を持っている事が、白日の元に曝されずに済み。

 

そして彼は落下する身体を、空中ジャンプで整え直しつつ着地を行い。首を捩り回され折れた、"威風堂々"へと言葉を紡ぐ。

 

「ストーム・ワイバーン"威風堂々"。其の圧倒的な巨体と、単純明快なスペックでの戦いを仕掛けてきた、強大で強き翼竜よ。お前は俺達パーティー全員が力を合わせなくては、倒しきれなかった強敵だった。

次に逢う時は、一対一(タイマン)で勝負をしよう」

 

其の言葉をトリガーとし、威風堂々を構成するポリゴンが崩壊、爆発四散する。

 

パーティーが一丸となって討伐を果たした、不世出たる頂点捕食者。其の報酬は此の戦いでレベルアップを果たした者達のSEがファンファーレと成りて響き、ラストアタッカーとなったペッパーの前には、リザルト画面が表示される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『モンスター不世出(エクゾーディナリー)……解明(クリア)!』

『討伐対象:ストーム・ワイバーン"威風堂々(リーガルック)"』

『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』

『称号【風塵烈破(ふうじんれっぱ)】を獲得しました』

『称号【嵐を我が手に】を獲得しました』

不世出の奥義(エクゾーディナリー.スキル)偉風導動(リーガルック)】を習得しました』

 

 

 

 

 

 

 

 






嵐を其の手に掴む者





不世出の奥義(エクゾーディナリースキル):偉風導動(リーガルック)

習得条件:ストーム・ワイバーン"威風堂々(リーガルック)"を討伐する。

効果:発動から3分間、自身の装備する剣武器に高出力の竜巻を纏わせる。再使用時間(リキャストタイム)はおよそ4日。

己の身体を襲う破壊の力に、臆し屈する事の無く堂々と敵を打ち砕く嵐従える牙。其れこそが不世出の奥義。

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