パーティープレイで不世出を討ち果たせ
サードレマの黒い流星。
そして
衝撃、爆発、振動。重ね繋いだスキルの連鎖が超新星の如く炸裂し、不世出の頂点捕食者は其の一撃に瞳孔が振るえ、然れどスキルによって発動した効力を受けて、仰向けで地面に倒れた。
「今だ皆、翼膜を狙い打て!!」
己の力を以て、決定的な隙を作り上げた聖盾の勇者の叫びをトリガーに、パーティーメンバーも此の
「任せなさぁい!
「行くわよぉ~~!
「食らうのさ!魔人斬!」
ペンシルゴンの持ちし聖槍による、螺旋を描きし渾身の破壊属性効果を宿す刺突が、威風堂々の巨大な翼膜に大きな風穴を穿ち。
マッシブダイナマイトの鍛え続ける筋力が振るう、筋力を参照する拳撃スキルの一撃が、威風堂々の翼骨の関節を粉砕、其処にアイトゥイルの薙刀による斬撃が翼骨の関節間を切断する。
『グルォラァ!?』
気絶状態の身に叩き付けられた、マッシブダイナマイトの一撃に跳ね起きた威風堂々だったが、其の眼前に在ったのは『バチバチと電気が走る、一つの巨大なシャボン玉』。
「
「効力が浸透しやすいよう、オマケで【リアスパーク】も付けといたぞい」
ペッパーが、SOHO-ZONEが、アイトゥイルがヘイトをかき集めた間に、レーザーカジキは己の持ち得る水属性魔法の中で『水属性攻撃及び脱力のデバフ付与の融合魔法』を叩き付け、ポポンガは水属性魔法と極めて相性が良く、其の効力を倍化させる雷属性魔法でサポート。
破裂した水が濁流となりて威風堂々を襲い、付与された雷属性の効力で効果は即効性を以て発揮され、威風堂々は全身を襲う脱力感に苦しみ、苛まれて。だがそんなものは、今も自分を襲い続ける『痛み』に比べれば何ともないと言わんばかりに、其の口から巨大な咆哮を上げて、竜巻ブレスを放たんと構える。
「よくもハードラック・ライノの群れを……!其の子供達を……!!傷付けたわね、威風堂々!絶対に……絶対に許さないんだからァ!!!!!」
「いや、怒る所其処ォ!?」
Animalia怒りの咆哮に、此の場に居た全員のツッコミを代弁したSOHO-ZONEが、弓を構えて弦を引き絞り、仕掛け鏃を乗せた矢を
仕掛け鏃……其れは弓にボウガンといった武器を使うプレイヤーに取って、戦局を切り開く武器でもある。一本に付き3000マーニという、シャンフロを始めたてのプレイヤーは、此れ一本で所持金をすっからかんにするが、其の能力は単純明快。
『グリュリァアアアアアアア!?』
「どんなに身体を鍛えても、眼球『そのもの』は鍛えられない!」
着弾時に爆発する。右目の真ん中を居抜き、網膜を貫いて、視神経に到達した鏃が起動し爆発。竜巻ブレスのモーション解除と共に威風堂々はのたうち転げ回り、空中に逃げようとするものの、既に翼は二ヵ所壊されて飛ぶには至らず、更には泡の魔法により引き起こされた脱力感が、ジワジワと己の神経を侵食する。
「逃がす訳無いでしょう!覚悟なさい!【アトラス・バインド】ッ!!」
錫杖から放たれる正三角形の魔法が、威風堂々の首筋に絡まり付き、其の動きを止めに掛かる。普段の威風堂々であるならば、此の程度の足止め等雑作も無く退けられる。
だがSOHO-ZONEの放った仕掛け鏃が右目を直撃、爆発による衝撃で右脳に障害を負い、身体機能の一部に支障をきたしていたのだ。
「さぁ、決めなさいッ!」
『ペッパー!!!!!!』
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
此の戦いのフィニッシュは、聖盾勇者に託される。上空を駆けて、高みへと走り登った彼は再使用時間を終えたセルタレイト・ケルネイアーと
「此れでッッッッッ……………終わりだぁアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
加速した己の身を一回転、
此処まで使い続けて来たスキル達の総数に比例して、ダメージ補正が伸びていく其のスキルは、数多有るペッパーのスキルの中でもトップクラスの威力を誇る『切札』。着弾と共に威風堂々の首が時計回りに五回転程捩り回って、最後はゴキョン!と首の骨が折れる音が、戦場に甲高く鳴り響く。
そして当然ながら、此れだけの威力の脚撃スキルを繰り出したペッパーもタダでは済まず、超上空からの高速落下エネルギーと、威風堂々の硬い頭蓋骨による硬度補正がもたらす『反動ダメージ』は甚大極まり、聖盾勇者の体力を削り取って『全損』させるには充分過ぎる物であった。
だが、ペッパーは自身の体力を全損させて死ぬ事も見越して、スキル発動中に一度だけ『確定自己蘇生』が働く
実は戦帝王の煌炉心のスキル効果発動と同時に、聖盾イーディスの復活効果も発動し、其の効力が重複していたのだが、ペッパーは其の事実を知らない。しかし其れ故に、『戦闘中に一度だけの確定自己蘇生』という凄まじい『手札』を持っている事が、白日の元に曝されずに済み。
そして彼は落下する身体を、空中ジャンプで整え直しつつ着地を行い。首を捩り回され折れた、"威風堂々"へと言葉を紡ぐ。
「ストーム・ワイバーン"威風堂々"。其の圧倒的な巨体と、単純明快なスペックでの戦いを仕掛けてきた、強大で強き翼竜よ。お前は俺達パーティー全員が力を合わせなくては、倒しきれなかった強敵だった。
次に逢う時は、
其の言葉をトリガーとし、威風堂々を構成するポリゴンが崩壊、爆発四散する。
パーティーが一丸となって討伐を果たした、不世出たる頂点捕食者。其の報酬は此の戦いでレベルアップを果たした者達のSEがファンファーレと成りて響き、ラストアタッカーとなったペッパーの前には、リザルト画面が表示される。
『モンスター
『討伐対象:ストーム・ワイバーン"
『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』
『称号【
『称号【嵐を我が手に】を獲得しました』
『
嵐を其の手に掴む者
習得条件:ストーム・ワイバーン"
効果:発動から3分間、自身の装備する剣武器に高出力の竜巻を纏わせる。
己の身体を襲う破壊の力に、臆し屈する事の無く堂々と敵を打ち砕く嵐従える牙。其れこそが不世出の奥義。