VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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新たな出逢い

※作者様の除夜ゲロにて神秘:星の能力が明かされたので変更します




爪弾くは神秘、示されるは未知の可能性

終点と港の街・フィフティシア。

 

シャンフロ・第15の街にして、此の大陸を統治する『エインヴルス王国』の終わりの街として知られ、サードレマから分かれた三つのルートを通り、幾多の難関を越えた開拓者(プレイヤー)が辿り着く最後の街である。

 

ルートは異なれど、此処まで辿り着いたプレイヤー達のレベルは軒並み高い上、其の殆どがレベル80後半から90台前半に至っており、差異は有れども皆強い者ばかり。

 

そして聖盾(せいじゅん)イーディスがもたらした、モンスターの連続襲来を乗り越え続けた事で、アイトゥイルはレベル87、レーザーカジキはレベル83にまで上昇し、既に一線級で戦えるだけのレベルになった。

 

「Animaliaさん、SOHO-ZONEさん、マッシブダイナマイトさん、レーザーカジキさん。今日は此方の呼び掛けに答えて下さり、本当にありがとうございました」

「アイトゥイルちゃんを堪能出来たし、ペッパーさんの実力を間近で見れて良かったわ。レーザーカジキさんを良くしてくれて、ありがとうね」

「何か新しい武器が見付かったら、是非とも声を掛けて下さい。価値に見合う金額や報酬を提示します」

「良い経験になったわぁ~♪」

「と、とても楽しかったです…!ありがとう、ございました…!」

 

フィフティシアの街に入り、パーティーを組んだトッププレイヤーに御礼を言いつつ、パーティーを解消して街を歩く。

 

此れからの予定を聞いた所、Animaliaとレーザーカジキは宿屋でセーブとログアウト、マッシブダイナマイトはクラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)の根城たる『黒狼館』へ帰還、SOHO-ZONEはクラン:ウェポニアの本拠地に戻って聖盾イーディスの事を資料に纏めるのだとか。

 

そしてやはりと言うか、当たり前と言うか。高レベルプレイヤーの一団が、其れもシャンフロをプレイする者からすれば、名の知れたプレイヤーが行動を共にしている状況は、良くも悪くも目立つ物であり。

 

「マッシブダイナマイトさんだ……!」

「園長に武器狂い、あと廃人狩りまで居る……」

「名無しプレイヤー誰だよ……」

 

往来する他のプレイヤーのざわめき声を耳にして、一向は足早に其の場を離れ、街の裏路地へと入る。

 

「やっぱり昼間だと目立つなぁ、此のコート……」

「色々目立ってるからねぇ、ペッパー君」

「ウフフフ、有名になると大変ねぇ~」

 

影法師の愉快合羽(グルナー・ト・シェミンコート)の強制装備状態を解除し、状況に応じた装いがしたいと思いながら歩いていると、ペッパーの視線の先に一人の老人が胡座を掻き、座っているのに気付く。

 

「ん………?」

 

其の老人は立派な白い髭を蓄えており、涅槃に至った様に腕を広げ。顔までスッポリとローブで覆い隠し、不思議な紋様を背中に背負い、質素な絨毯に座っている。

 

「ペッパー君、どうしたの?」

「あの御爺さん、誰なんだろうって」

 

ペッパーが指差す先を見た他のメンバーも、其の老人に気付いて慎重に近付いて行き。其の老人は突然喋り始めた。

 

『強きに至りし者よ……。(なんじ)神秘(アルカナム)を、覚醒してしんぜよう……』

「神秘?何ですかソレ?」

『強きに至りし者よ……。汝が神秘を、覚醒してしんぜよう……』

「あ、昔のレトロゲームのNPCみたいな奴か」

 

何度話掛けても、同じ会話しか繰り返さないタイプだと判断したペッパーは首を傾げ、同時にローブで見えていない其の老人の視線が、Animalia・SOHO-ZONE・ペンシルゴン・マッシブダイナマイトの四人に注がれているのに気付く。

 

「此のおじいちゃん、さっきから同じ事しか言わないねぇ?ボケてるのかな?」

「辛辣だなオイ……。どうもペンシルゴンとSOHO-ZONEさん、其れとAnimaliaさんにマッシブダイナマイトさんが関係してるみたい」

「えっ、そうなの?」

「あら、私も?」

「自分も……ですか」

「まぁまぁ……」

 

神秘と言う気になるワードを放つ、老人が起こしたイベント。誰が先にやるか、水面下での視線の送り合いの末、先陣を切ったのはSOHO-ZONEだった。

 

「どうも、よろしくお願い致します」

『強きに至りし者よ……。汝が神秘を、覚醒してしんぜよう……』

 

絨毯に座り、声を掛けた其の直後。SOHO-ZONEと老人を包むように、絨毯が展開してドーム状に二人を覆い隠した。

 

「あわわ……!どどどど、どうしよう……!」

「落ち着きなさい、レーザーカジキさん。此れは一種の演出よ、慌てない慌てない」

 

パニックになるレーザーカジキをAnimaliaが静めていると、蓮の華が開くように絨毯が元に戻り、手に『1枚のカード』を掴んだSOHO-ZONEと、老人が現れる。

 

「何が起きました、SOHO-ZONEさん?」

「簡単に述べると『神秘(アルカナム)』と言う、サブ職業(ジョブ)限定で付けられる『アイテム』を入手出来る………そんなイベントですね。因みに其のアイテムは『タロットカード』で、自分の場合は『隠者(ハーミット)』でした」

 

SOHO-ZONE曰く、どうやら此の老人は『覚醒の導師アーカナム』と呼ばれ、プレイヤーに対してサブ職業限定ながら、アイテム状の新しい職業を与えてくれるユニークNPCであり、其れがタロットカードの大アルカナたる22種に関係する物なのだとか。

 

そして【神秘(アルカナム):隠者(ハーミット)】には『習得難易度の高いスキル及び魔法を覚えやすくなる反面、習得難易度の低いスキル及び魔法を覚えにくくなる』と言う効果が有るらしい。

 

「サブ職業限定ねぇ……じゃあ、私もやってみようかしら」

 

SOHO-ZONEが手にした神秘が気になるAnimaliaは、自分は何れに成るのか確かめるべく絨毯に座り、先と同じく絨毯のドームに包まれて。数分後に出て来た彼女の手にも同様、タロットカードが握られていた。

 

「あ、あの……神秘は、何でした……か?」

「私は『太陽(サン)』だったわ。『昼間であればスキルと魔法の効果倍率が高くなって、夜間だと其の効果が逆になる』みたい。あと、何て言うのかしら……そう、此の神秘って『強力なんだけど極端過ぎて使いにくい』、そんな印象ね」

 

つまり神秘と言う特殊な職業は、プレイヤーにハイリスクハイリターンの恩恵を与える物で有り、其の能力も大アルカナに由来する物だと解る。

 

「ふぅーん………。なら私も試してみるか」

 

SOHO-ZONEとAnimaliaに続き、ペンシルゴンも神秘チャレンジをおこなって。数分後に出てきた彼女の手には、前の二人と同じくタロットカードが握られていた。

 

「で、ペンシルゴン。神秘は何だった?」

「私は『(ストレングス)』だったよ。『スキルや魔法での状態異常付与確率の向上と、格上の相手と戦う場合のステータス上昇。代わりに格下だとステータス低下と、一定時間内に一定以上のダメージを加えないと其の戦闘中永続ステータスダウン』って、ちょっと無視出来ないデメリットが付いてた」

「弱い者虐めせず、ジャイアントキリングしろって事かな?」

 

廃人狩りの名で知れ渡っていた、ペンシルゴンにある意味でピッタリな神秘だろう。そして最後にマッシブダイナマイトがアーカナムの前に座り、数分後に出てきたのだがタロットカードが握られていなかった。

 

「あれ、マッシブダイナマイトさん。タロットカードは?」

「其れが神秘を選んだら、身体の中に吸い込まれちゃってねぇ。あら、でも外せるみたいよぉ」

 

そうして掌に納めたタロットを見て、マッシブダイナマイトは自分が手にした神秘を説明する。

 

「私のは『戦車(チャリオット)』で、どうも筋力と敏捷を『常時二倍にする』代わりに、自身のスタミナ減少の『倍増』と、スタミナが尽きた時の回復速度を『半減』させちゃうみたいねぇ~」

「まぁた極端と言うか、強烈な神秘な事で……」

 

戦車は筋力と敏捷を高め、力は影響を与え。太陽は昼間に恩智をもたらし、隠者はスキル習得に影響を及ぼす。確かに極端なメリットデメリットを抱えているが、使いこなす事が出来れば面白い能力ばかり。

 

そうして一仕事終えてか、覚醒の導師アーカナムは絨毯に包まれて、一瞬で其の場から消えたのだった。

 

「………取り敢えず、本日はありがとうございました!」

 

対象メンバーの神秘チャレンジ終了と、ペッパーの言葉を皮切りとして、パーティーは此処にて御開きとなり、皆目的地に向かって歩みを進める。

 

一期一会か運命の巡り合わせが有るならば、開拓者達は再び集い、手を取り合って困難を乗り越えるだろう………。

 

 






各々の手にした神秘


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