此れはお前が決めた道
ペッパーが影法師が課した試練により、裏路地から劇場へ案内された頃。ユートピア社内地下10階の原典閲覧室にて、シャングリラ・フロンティアの創世神たる
「ペッパー、オルケストラのユニーク
黒闇の中に吸い込まれ、劇場へと案内されていく姿を神の視点から見つつ、彼女は『プログラム』を起動する。
「三回目の試練。だけど、此れ以上進ませる訳には行かない」
「さぁ………オルケストラの課した試練。越えられるなら越えてみなさい、ペッパー」
創世の神が記したデータから、オルケストラ━━━━『
「ッ……来た来たァッ!」
浮遊感、後に足裏に痺れ。落下ダメージは発生しておらず、辺りを見渡せば薄暗いながらも、三度目の風景たる中世ヨーロッパ風劇場と観客席が在った。
「無事に入場出来た訳だが……他のプレイヤーが入っても大丈夫な訳か」
フィールドに入る事自体は出来るらしいが、戦闘が始まれば一対一がデフォルトになる事から、おそらく此の影法師を操るユニークモンスターの攻略推奨人数は、『一人』である可能性が極めて高いと見て良いだろう。
「ペッパーはん、また此処なのさね」
「来おったか……劇場の中に」
「だな。おーい、おーいペンシルゴーン。目を覚ませー」
「ウフフ………♪」
「駄目だコリャ……」
使い物にならなくなったペンシルゴンを下ろし、肩を揺さぶらんとした其の瞬間、伸びてきた黒い影の手がコートから出て来たアイトゥイルとポポンガ、そしてポワポワ状態のペンシルゴンを掴んで、ステージから退場させていく。
「ペッパーはん、頑張ってなのさ!」
「ペッパーよ、気張れよ……!」
「あぁ、確り攻略してやるぜ!」
ステージに唯一人残されたペッパー、彼の耳に聞こえ響くは、三度目となる歌声。しかし其の歌声のリズムが
『ラララ………ラララ、ラララ~♪ラララララ~~~ラーーーーーー…………♪』
同時に注がれるは、スポットライトの光達。白く、白く、白く。視界が、ステージが塗りつぶされ、観客席はオレンジのライトが点り、場内が明るくなっていく。
『ララ、ラララー♪ラララララ~、ラララ………ラララ~~…………♪』
歌声が響く。自分だけに捧げられる様に。
『私は………貴方の強さを知った。貴方の奏でる………歌を聴いた。私は歌い、貴方も歌う…………』
其の声はやはり『悲しそう』に聞こえ。足元を見れば影が蠢き、離れて黒いペッパーの形を作り出す。
『影は何時も貴方を見る………』
飛来する
『さぁ、三度示して……貴方の光を。影が見つめる、貴方の輝きを。揺らぐ事無い、貴方の強さを……』
「今回は何時の自分が来…………!?」
ペッパーが
「おい、嘘だろ………?『今日討伐したオーバードレス・ゴーレムの時の自分』………!?」
『影は時間を問わず、場所を問わず……。見定むは……過去と、今……。乗り越えるは未来の己━━━━━!』
ペッパーを示す物語。
創世の神が施した
『…………………』
「だぁい!?」
戦闘開始から一分。黒ペッパーとペッパーの戦いは、現時点で黒ペッパーが優勢である。
理由は三つ。一つ目が、
二つ目が、使うスキルと使える武器が最新のペッパーとほぼ同じであり、イレベンタルで入手した鞭と手斧を除けば、自分に近しい状態だという事。
そして三つ目…………其の三つ目こそが、ペッパーが黒ペッパーに勝つ上では、絶対に乗り越えなくてはならない確定事項。相手に『
(盲点だった………!そりゃそうだ!影は『何時も』自分を見てるなら、過去の自分だけじゃなくて今に近い自分も、彼方は出してくる『可能性が在った』筈……!二度に渡って昔の自分を出された事で、其処に対する警戒が疎かになってた!)
自分の影法師に対する思考の甘さを改め、当時の自分が持つスキルや使用武器の種類を、脳内記憶から引き摺り出しては、繰り出される攻撃を何とか凌いでいく。
(
風竜骨の筋鞭をクリスタルナイフに切り替え、ウツロウミカガミ起動で距離を離し、其所から聖盾イーディスへ装備変更。サブ
同じくイーディスを構え、残された
黒の閃光がステージを駆け抜け、黄金の盾に金色のエフェクトが纏わり、呪いの影響で装備が無い右側から思いっきりぶん殴って、後方に大きく吹き飛ばす。だが黒ペッパーは其の両脚に、レディアント・ソルレイアを装備している。吹き飛ぶ方向と逆にブーストを掛ける事で、彼方との距離を取らせず、即座に距離を詰めに来た。
「だぁ、もう!復帰するのが速いっての!?」
四の五の言って入られず、ペッパーも甲皇帝戦脚からレディアント・ソルレイアに装備をチェンジ。対する黒ペッパーは装備をイーディスから、
同時に刀身から巻き起こす風と雷を食らい、黒ペッパーのレディアント・ソルレイアが『エネルギー、フルチャージ!』の音声を鳴らし、劇場に響かせた。
戦いは、第二ラウンドに突入する━━━━━━。
強くなったのは、お前だけではない