VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

228 / 1074


試練は続く




影法師は歌を奏で、勇者は天を舞い、風雷が劇場に迸る

自分(ペッパー)というシャンフロでのアバターを、一言で言い表すならば『前衛偽装の高機動スキルアタッカー』だ。

 

地上だろうが、空中だろうが、両脚と闘志とスタミナが尽きない限り、何処までも駆け抜けて、昇って上がり、相手の攻撃パターンやスキルを分析する。

 

そして勝利の道筋が完成したなら、一気呵成に攻めへと転じ、スキルを惜しみ無く使い潰して、勝利を掴み取りに行く。其れがペッパーの、此のアバターの『プレイスタイル』なのだ。

 

「んなろっ……!同じ戦い方をするんなら、其の『弱点』だって解る……!」

 

高機動アタッカーの弱点、其れは『カウンター』だ。どんなに速く走れようが、どんなに高く飛べようが、自前のスピードにジャストミートで攻撃を食らわされれば、致命的大ダメージを負うし、其の一撃で死亡する事は避けられない場合が多い。

 

高速の交錯の中で、黒ペッパーの目がエフェクトを帯びる。おそらく使ったのは、瞬刻視界(モーメントサイト)天空の心眼(ラトゥルスカ・アイザイン)。スローモーション+俯瞰の視点で此方が繰り出す攻撃を、高速移動中にカウンター(・・・・・・・・・・・)するつもりなのだろう。

 

(━━━━━━━って、俺なら(・・・)そう考える!)

 

現在に近い状態の黒ペッパーを出された事で、ペッパーは『自身の思考も模倣している』可能性を考慮。左手に装備したイーディスを投擲スキルであり、其の『飛距離と投擲速度』が高潔度・歴戦値を参照して決定する『アドヴェイン・スロー』と共にモーションに入り、踏み込みの瞬間に『別のスキル』を起動させる。

 

金色の盾が高速で投げられ、刹那に劇場内を大音量が鳴り響く。

其れは例えるならば『万に等しい雷鳴と無数の雷閃』。

其れは謂わば『一瞬の内に数十に渡る、超高速で昇降縦横の移動を行う』物。

そして其れは『神が地上へ裁きの稲妻を降らすが如し』。

 

神の御業たる領域へと踏み込む、神名冠する其の技能(スキル)の名は━━━━

 

神謳万雷(しんおうばんらい)!」

 

跳躍し、天井を蹴ってはレディアント・ソルレイアの飛翔能力で空中を舞い踊り、『リコシエット・ステップ』で壁を蹴って空中を駆け、黒ペッパーへ突撃するペッパー。

 

対する黒ペッパーは『スート・アヴェニュー』並びに『戦神の心構え(モンチュ・レ・プライド)昇華(スタンバイ)』で感覚と動体視力を強化、同時に持っていたイーディスを、焔将軍(ほむらしょうぐん)両刃長剣(ロングソード)に切り換えてきた。

 

(ギリッチョンで避けてから、首の叩ッ斬るつもりだろう。いや、黒ペッパー(アイツ)ペッパー(俺である)なら、其処から………!)

 

レディアント・ソルレイアのブーストを全開とし、空中で描くは六芒星。其の中心でイーディスを掴み取り、『対象の頭を狙い投擲』する投擲スキル『ブルズアイ・スロー』で再び盾をぶん投げて、其れすら追い越す勢いで真っ直ぐに、直線高速移動を行い、同時にサキガケルミゴコロで黒ペッパーの狙いが『正しい』かを見極め。

 

黒ペッパーは手に取った両刃長剣を手から離し、英雄王の威光(ギルガメッシュ・サイン)の強化を自身に上乗せながら、トルネードレッグスで持ち手たる柄を蹴り、サッカーボールの様にして飛ばしてきたのだ。そして同時に、黒ペッパーは左手にイーディスを取り直す。

 

「ッ……!だよなァ、俺でも『そうした』よ!」

 

飛来する両刃長剣をペッパーは回避━━━━━ではなく、動体視力強化と思考加速に加えて『攻撃の波を可視化する』スキルの『真界観測眼(クォンタムゲイズ)』により、両刃長剣の投擲と背後に在るトルネードレッグスの衝撃波を視認し、自身の『五感及び直感を大幅に強化』するスキル『局極到六感(スート・イミュテーション)』で更に感覚を強化。

 

両刃長剣の持ち手を掴まえ、レディアント・ソルレイアのブーストを吹かして回転、全力の投擲でダイナミック返送を行う。

 

対する黒ペッパーもレディアント・ソルレイアで其の場を逃れるや、残り二発のトルネードレッグスをアイアンレッグス・ピアッシングアーマー・クリティカルメナスの重ね掛け。

 

駄目押しにトルクチャージで再使用時間(リキャストタイム)を短縮しながら縦回転蹴りを打ち放ち、ペッパー目掛けて攻撃を行う。

 

「ジャストタイミン………グゥッ!」

『………………………!』

 

が、ペッパーは其れを『読んでいた』。ブルズアイ・スローで予め投げていた聖盾イーディスが左手に収まり、重ね掛けられたトルネードレッグスの衝撃を、黄金の鏡面は真正面から受け止め、持ち主たる勇者を守り抜く。

 

だが、複数の攻撃スキルによる重ね掛けられた衝撃は凄まじく、直撃を防げど発生したノックバックにより、ペッパーは劇場内を飛んで行き。黒ペッパーはレディアント・ソルレイアのブーストと共に、驚雷羅刹(きょくらいらせつ)を起動して一気に距離を詰めながら、爆芯蹴脚(メテオ・アドレウズ)の体勢に入る。

 

『……………………』

「ッ!」

 

タイミングは一瞬、イーディスから風神刀(ふうじんとう)碧千風(そうせんふう)】に切り換えて、居合より放つは斬撃スキル『煌軌一閃(こうきいっせん)』。

 

高潔度・歴戦値を参照にしながら、強力な『飛ぶ斬撃』を可能とする一撃を、剣人闘魂(サムライ・ハート)並びに二天無双(にてんむそう)、至近距離から超至近距離下での戦闘時に感覚が強化される『デッドオブスリル』で上乗せ。

 

更に其所へ居合(いあい)切燕(きりつばめ)】と共に、デュアルリンクとヴィールシャーレの合成から生まれ、使用したスキルの補正と威力上昇を与え。同時発動時に『足が地面から離れた場所である程』に上昇値が増大する合成スキルの『イクス・トリクォス』。

 

そしてトルクチャージ・ラセルクロスアップの合成により、スキルレベルに応じて再使用時間短縮+次に同じスキルを繰り出す場合に威力と補正を高める『マーシフルチャージャー』と共に翡翠の刃を抜き放つ。

 

風と雷を乗せた刃が黒ペッパーの首に向かって飛ぶが、其れを読んでいたとばかりに、爆芯蹴脚のモーションからレディアント・ソルレイアのブーストを全開とし、サマーソルトキックの要領で吸収してしまう。

 

『……………………!?』

 

再び元の体勢に戻った時、黒ペッパーが目撃したのは居合を放った筈のペッパーが一瞬で再抜刀状態になりながら、超至近距離に飛び込んでいた光景だった。

 

神謳万雷と共に神の名を冠するに至り、今もペッパーを支える其のスキルは、あらゆるモーションから発生する運動エネルギーを、自身のスタミナを対価に変幻自在に操作、其の動きを『早送り』にも『急停止』にも『突発的な加減速』をさせる事も、朝飯前が如く可能にする。

 

碧千風は、黒ペッパーにレディアント・ソルレイアの風雷吸収効果を使わせる為の『第一の囮』。

 

首を狙っての居合による遠距離一閃は、サマーソルトキックのモーションを誘発させる為の『第二の囮』。

 

セルタレイト・ケルネイアーによる空中下での跳躍、そして『神律燼風(しんりつじんふう)』によるモーションを高速化させた、碧千風の再納刀と再抜刀による、神速の抜刀居合。其れこそ、ペッパーの『本命』であり。

 

「ペッパー流……断風(たちかぜ)ェアッ!!」

 

墓守のウェザエモン━━━━━ウェザエモン・天津気(アマツキ)が代名詞たる絶技を、自身のスキルと共に再現しながら。神の速さたる風の力を借り、解き放った神速の抜刀居合が、黒ペッパーが構えんとしたイーディスを寸分速くすり抜けて、其の胴体を切り裂いたのだった。

 

 

 

 

 






其の一太刀が再現するは、墓守の御人の超絶技能


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。