VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

234 / 1075


ゲーマーは 目と目が合えば 戦場だ

※α-ΩをAZに変更しました




レトロゲーマーはコロシアムにて、全米一位と対峙する

「くあぁ………んんん、眠いぃぃ……」

 

ブシカッツォによって此方にもたらされた衝撃の情報と、全米一位(ゼンイチ)シルヴィア・ゴールドバーグこと『リアルミーティアス』からの挑戦状により、梓は此の三日間深夜二時近くまで、ギャラクシーヒーローズ:バーストをプレイし続けていた。

 

お陰で日中は眠気に襲われ続け、大学では休み時間中も寝落ちしかけたが、ゲームの仕様の研究と原作に置けるミーティアスの軌跡を辿り読み漁って、何とか堪え忍ぶ。

 

「………全米一位との戦いが終わったら、翌日はトワとフィフティシアで隠しエリアに行って、ポポンガさんの最終試練を終わらせて………。其の次の日には、エイドルトでライブラリとの会談が待ってるんだよなぁ………」

 

ペンシルゴンこと天音 永遠から届いたEメールによると、キョージュからのハヤブサが届いたらしく、内容が『五日以内で会談可能な日が在るならば、其の日に合わせて会場を準備したい。今回はライブラリと旅狼による会談であり、他のクランは関わっていないので安心してくれ』━━━━━━━との事だ。

 

「ブシカッツォめ……今度会ったら、色々文句言ってやるぅ………ぐぅ━━━━━━」

 

眠気で押し潰されそうになりながらも、梓は何とか此の日のバイトを終えて、自身の住むアパートまで帰宅するや、布団を引いてスマフォでタイマーをセットし、其のまま眠りに落ちていく。

 

そして、梓にとって運命の日がやって来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラクシーヒーローズ:バースト。

 

其れはアメリカのポピュラーなコミック『ギャラクシア・レーベル』内に登場するヒーローとヴィランが、御互いの誇りや矜持を懸けて雌雄を決する━━━━━と言った内容。

 

そして其のカテゴリーは『コロシアム型のフィールドで戦う一般的なVR格闘ゲーム』である。キャラクターを己の身体として操り、先に相手の体力(HP)全損()させた方が勝つと言う、レトロゲームやアーケードゲームでも良くあるタイプだ。

 

キャラクターの性能(パラメーター)資質(ステータス)は原作を準拠とし、細かな部分まで忠実に数値化されていて、キャラクターの性能と相性だけでなく、プレイヤー自身の力量も問われるゲームとなっている。

 

(シルヴィア・ゴールドバーグのミーティアスは、講義の合間やバイトの休み時間で何回か動画は見たが、正直に言えば………俺に真似出来る要素が『一つたりとも無い』。

いや、マジで何なの………?先読みは極まり過ぎてるし、直線移動くらいしかトップスピード繰り出せないのを、直線走りながら角度付けてカーブ切るし、其所止まらんと事故るだろって場面すら、逆に加速して振り切るしで意味解らん…………)

 

総評して梓が、リアルミーティアスこと『シルヴィア・ゴールドバーグ』を一言例えるならば、最早『怪物(モンスター)』以外の言葉が思い付かない、と言った所だろう。

 

「そんな怪物と此れから戦うって考えると、改めてヤバいわって認識するなぁ………」

 

電脳大戦内の格闘ゲーム部門、其の不動のエース・ブシカッツォや、彼の所属するトップチームの首領が自分の戦いを見ると言う事実に、梓は緊張で震える。

 

「いや……寧ろ『開き直ろう』。シルヴィア・ゴールドバーグっていう『強敵』に、挑めると言う此の幸運。彼女の……リアルミーティアスが操るミーティアスに、無名のレトロゲーマーが『ジャイアントキリング』出来たなら、世界は騒然とするだろうなぁ?よしやるぞ、やってやるぞ……『ヴォーパル魂』全開で!」

 

二ヶ月前、ランダムエンカウントしたユニークモンスター・夜襲のリュカオーンの時と同じ様に、梓は開き直る。せめてラウンドを一つ……出来れば一撃当てて負けてやると。

 

「と、そろそろ時間だな………。ふぅ………ヨシッ!」

 

トイレに水分補給用、機材チェックに布団を敷いて、梓はVRヘッドギアを装着し、布団にダイブ。そして戦場へ、シルヴィア・ゴールドバーグの待つフィールドへと向かうのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラクシーヒーローズ:バーストのアバターは『半透明の状態』━━━━謂わば『霊体』のような存在であり、キャラクターの中に入る事で実体を得て、動く事が出来るようになる。

 

時刻は19:50、ゲームにログインしてブシカッツォが用意した専用部屋が出来るまでの間に、梓………ギャラクシーヒーローズ:バースト(此のゲームの中)では『AZ』と名付けたアバターになった彼は、エントランスフロアにて其の時を待ちつつも、ギャラクシア・レーベルのヒーローこと『ミーティアス』の設定や挙動、其の他諸々を含めて復習していた。

 

『……………ヘイ!ヘイ、コンバンーワ!』

『んぉっ!?』

 

と、集中していたのか声を掛けられた事に気付かなかったAZが、バッと顔を上げる。其所には女性の輪郭を持った霊体のアバターが立っていた。

 

其の頭上には『Silvi』のプレイヤーネーム、此のゲームでシルヴィア・ゴールドバーグの名を表すネームだ。間違いない…………自分は今、此の瞬間。全米一位と向き合っている。

 

『ユーがKの言ってた、ブラックシューティングスターね?ドーガを観たよ、スッゴイ、スピードだネ!』

 

片言日本語ながら、随分とハイテンションだなぁとSilviを見ているAZだったが、ふと周囲を見渡せば他のプレイヤー達が此方のやり取りを見ていた。

 

『あれ誰?』

『見たこと無い名前だ……』

『もしかしてプロゲーマー?』

『てか、何でSilviと話せてる訳?許せないんだが?』

 

ざわざわと観衆の声と、此方に突き刺さる様々な感情を含んだ視線が痛い。寧ろ此れから全米一位と戦う身である上に、下手を踏んで惨めに負けようものなら、ブシカッツォに何を言われるか解らない。

 

何より電脳大隊(サイバーバタリオン)のトップが御忍び観戦しているともなれば、手を抜くことすら許されない状況である。

 

そんな絶大なプレッシャーがAZを襲う中、彼とSilviの前に今回の黒幕(ブシカッツォ)が用意した、専用部屋への入場コードが送られてきた。

 

『ヘイ、AZ!レッツバトル!』

『…………アッハイ』

 

ハイテンションなSilviと真逆で、今にも地の底に沈んでしまいそうなAZは、彼女に引っ張られる形で用意された部屋へ連れて行かれ。

 

其の光景を見ていた他プレイヤーからAZは、羨望やら憎悪やらの様々な感情の籠った視線で、背中を刺されまくる事になったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全米一位に引っ張られて連行され、ブシカッツォの用意した対戦部屋にやって来たAZは、改めてSilviと向き合う。

 

『えと……コホン。本日は対戦させていただきます、AZです。呼び辛い場合は『アズ』とでも呼んでいただいて構いません。全米一位の貴方に、胸を借りて全力かつ本気で戦わせて貰いますので、どうぞ御手柔らかに御願い致します』

 

ペコリと90度に近い御辞儀と共に、此れから戦う者への礼儀を示したAZ。と、そんな彼の何時もやっている事に対し、Silviは目を輝かせながら言う。

 

『ジャパニーズ、ワビサービ……!』

『えぇ………』

 

日本文化は世界に誇るべき要素だ。侍やアニメを始めとして、華道茶道や日本食に詫び錆び、日本から生まれて世界に発信される其れ等は、本当に素晴らしい物なのだから。

 

Let's have a fun battle(楽しいバトルをしましょう)!』

 

互いに自己紹介が終わり、セレクト画面が表示されて、操作キャラを選択。此の時、自身の操るキャラクターのカラーリングは各々『8種類』ずつ存在しており、同キャラ対決時には被らないよう配慮がなされている。

 

全米一位は当然『ミーティアス』を選択(チョイス)し、カラーも白と金のラインが入った原作準拠。そしてAZは彼女からのオーダーに応える為、Silviと同じミーティアス選択。其のカラーリングは原作のミーティアスとは対照的に、黒と青のラインが入ったダークヒーローを彷彿とさせる物を選んだ。

 

今此処に流星が相対し、そしてぶつかり合う……。

 

 

 






ヒーロー 対 ヒーロー

流星 対 流星


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。