戦いが始まる
ミーティアス。ギャラクシア・レーベル『ミーティアス』の主人公で、レーベルに置けるデウスマキナこと『ギャラクセウス』により、流星の力を与えられてヒーローとなった、極めて普通のサラリーマン。護身術として、ジークンドーを習得している男性。
変身するとマッチョで濃い顔、白と金のラインに星を掲げるヒーロースーツを纏い、空を高速で駆ける事が出来るようになる。其のトップスピードはまさに『
『サァ、楽しもう!ブラックシューティングスター!』
『全米一位からの挑戦状。其の胸、全力で借りさせて貰います……!』
『おいおい……Silviのミーティアスに同キャラで挑むって、赤っ恥自殺志願者か?』
『黒と青の流星ねぇ………彼女への当て付けかな?』
『派手に負けやがれー!』
ギャラクシー・ヒーローズ:バーストの中でも、圧倒的な強さと無敗のチャンピオンとして君臨しながら、今尚進化を続ける彼女の姿勢と強さに魅了され、彼女に惹かれるプレイヤーとファンは多い。
そしてそんな彼等彼女等は、彼女に『ミーティアス』で無謀にも同キャラ対決を仕掛けた愚か者に、モニターを見ながらガヤガヤと沸き立っている。
一方のAZは、そんなリアルミーティアスたるシルヴィア・ゴールドバーグが、わざわざ来日してでも『黒い流星』と言う渾名が付いていた自分に会いに来た事実を受け入れ、ミーティアスとなった自分の胸に手を当てながら、深呼吸で高鳴る鼓動を鳴らす胸を静め、真っ直ぐに彼女のミーティアスをジッ……と見詰めた。
(やっべーな………)
レトロゲーマー………否、一人の『ゲーマー』としてシルヴィア・ゴールドバーグと対峙したからこそ。
では、諦めて降参するのか?其の問いに関する、彼の答えは『No』だ。
些細で。微塵で。極僅かで。
蜘蛛の糸よりもずっと細く、ミジンコの様にずっと小さく、広大な砂漠の中で一粒の砂金を探すような、ほんの僅かな可能性であったとしても。
手繰り寄せて勝利を掴む為に、自分が持つ全てを懸けて挑む事こそが、彼女に━━━━━リアルミーティアスであるシルヴィア・ゴールドバーグに対する、自分自身に出来る最大の礼儀であると信じて。
『ラウンド1、3………』
カウントダウンが始まる。
今回の勝負は『1ラウンド・制限時間300秒』で行う、3ラウンド制の2本先取による勝利の、格ゲーでよくあるポピュラーなルール。
ダメージを与えるか、ダメージを受ける事でゲージが蓄積。一定量消費で『ゲージ技』及びゲージ全消費で『
『2………』
AZがシルヴィア・ゴールドバーグの操るミーティアスを、過去に渡る動画含めて数日間と言う限られた時間の中で調べ上げ、解った事が『三つ』有る。
一つ、キャラコントロールと
二つ、対戦相手の一挙手一投足を読み切る『先読み』と、自身のリズムを『変幻自在』に切り替え・組み換え・叩き付ける、凄まじい『柔軟性と瞬発力』。
だが、AZにとって『本当に恐ろしい』のは、其の二つ等では無く『三つ目』にある。あらゆる動画を注意深く、隅々まで観てきた彼だからこそ気付けた、彼女の『真の強さ』に。
『1………』
其れは『速攻』を掛けようが、雑な『長期戦』をやったとしても『意味が無い』。彼女を倒すには、そんな生半可な方法では『絶対に勝てない』。
やるならば『徹底的』に、彼女の選択肢全てを『読み切り』、そして全て『潰さなくてはいけない』のだから。
『Fight!!』
そんな彼の視線を、白と金の閃光が塗り潰し。黒と青のミーティアスはコロシアムと言う箱の中を、スーパーボールの様に跳ね飛んで、地面に叩き付けられ転がったのであった。
何が起きた?何をされた?一体どうなっている?
ミーティアスを通して、全身に伝わる痺れや痛み。体力ゲージは尽きていないが、開始してから5秒経たずに半分まで減らされていた。
(ははは………笑えねぇ━━━━!)
コロシアムを走り、残された白金の軌道が己の瞳に映る。
全米一位は動画で観た以上のスピードで此方の反応速度さえ完全に上回り、初手から本気を叩き付けに来た。
『んな、わぉあ!?』
直感。身を屈めて躱わせば、先程まで頭が在った場所を閃光が過ぎ去り。しかし直ぐ様、とんでもない加速で地面を蹴り砕きつつ、再び攻撃を仕掛けてくる。
『くぉ、っ!だぁ!?』
『!』
身体を動かし、攻撃を回避。常にコロシアムの壁と、過ぎ去った軌道から入射角を意識して、全米一位の攻撃方向を『予測』。
動画で観てきた彼女と、今此の瞬間に見せている彼女の動きを精査しながら、此方も高速で移動を開始。情報をインプット、アウトプットで『更新し直す』。
『だぁ、せいっ、とう!のぉぉぉぉん?!』
『ヘェ……ソコソコ、動けるんだ?』
『こう見えて、まだプレイ開始
事実、突如決められたシルヴィアとの対戦で、梓が此のゲームをプレイした時間は、僅か数日と言う短さしか無い。しかし数々のレトロゲームや、ブシカッツォとの戦いを経た事で、人体と生物の『体格挙動』を身体に染み付かせた彼は、コロシアム型のフィールドをレトロ格ゲーの其れに『例え直し』、自分と彼女の操るミーティアスをレトロ格ゲーのキャラに『写し直す』事で、此の短時間の内に微細ではあるものの、リアルミーティアスの動きに『適応』し始めていたのだ。
『じゃあ
『━━━━━━━━━は?』
全米一位の発言、直後に打ち上げられる黒と青のミーティアス。空が、白と金の軌道に染まり出す。
『ッッッ、負けっかぁ!!』
ゲージ消費、ミーティアスの技『スターロード』起動。5秒間と言う僅かな時間だが、空中すら走れる其のゲージ技は、ミーティアスが何たるかを示すには十分であり、同時に滅茶苦茶扱い辛いのがプレイヤーの総評だ。
だがリアルミーティアスに掛かれば、其れすらも完璧にこなす。空中戦は彼女に掛かれば朝飯前、寧ろ十八番と言わんばかりに叩き付けてくる。
だからなんだ?此方は最初から負けるつもりで戦うなんざ、毛頭思っちゃいない!
シャンフロでレディアント・ソルレイアを使い続けて、高速機動で培った感覚を!スキルを全開にして、空を駆けた衝動を!此の瞬間に!
『ブッ放す!!!』
空を黒い流星が迸る。自身に繰り出せるトップスピードを解放し、積み重ねてきた鍛練の成果を引き出しながら、
『アハッ、此れがブラックシューティングスターなんだネ!AZ!』
『プレイヤーやキャラ性能で、勝敗が決まる訳じゃねぇってのを見せてやらぁ!』
『上等ッ!』
ぶつかる、
空を走る二つの流星が幾度の激突の果てに、白と金の流星が、黒と青の流星を打ち砕き、コロシアムの地面に墜落させた。
『ぐっ………!やっぱ、リアルミーティアスは伊達じゃない………か』
結局一撃も当てる事が出来ず、AZのミーティアスの体力はミリになって。Silviのミーティアスが、ダッシュで接近してくる。
『イイネ、ブラックシューティングスター。速さも空中戦も今までのミーティアス使いだと、良い方に居る。けど……此のラウンドは私の勝ちダヨ!』
蹴りのモーション、此の状態では避けられない。
『あぁ。此のラウンド
最後に不敵な視線を送り、Silviのミーティアスによるサッカーボールキックを脇腹に受け、蹴り抜かれたAZのミーティアスが爆発する。
ラウンド1、勝者・Silvi to ミーティアス
全米一位の実力