VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ユニーククエストの進展




黒兎が語るは未知なる武器、鍵を握るは三体の強者

「はぁぁぁぁぁ……」

 

ユニーククエスト【インパクト・オブ・ザ・ワールド】の四つ目のクエスト【想いの御手は、境界線を超えて】をクリアして、五つ目のクエストである【覇道を刻みて、武は形を成す】を受注したペッパーは、頭を抱えて踞った。

 

手にしたアクセサリーの性能も凄まじい気配しか漂っておらず、此れをクリアする過程で最大高度なるレコードまで獲ってしまった事で、他のプレイヤーやクランから事情説明等を受ける可能性が高まったからである。

 

「いやはや、此れはまた大変な事になりそうだねぇ………」

 

ふと顔を上げれば、ペンシルゴンがニヤニヤと笑っており、ペッパーが成し遂げた事や、手に入れたアクセサリーを踏まえ、如何に交渉をしようかと考えている。

 

「こんな状況を楽しめる、トワの図太い精神が時折羨ましく感じるよ……」

「んふふ~♪そりゃあ私の(・・)あーくんが色々な物を手にして、宝箱の様に納めて居るんだもの。此れを知ってるのは私だけ(・・・)って優越感が、何よりも嬉しい♪」

 

相変わらず自分のペースに持ち込むのが上手い。そして電話番号を交換したので、今後はゲームだけでなく現実方面からも、何か仕掛けてくる可能性が非常に高くなった。

 

「今日は疲れたし、何より武器の修繕が出来てないから、直しておかないとヤバい」

「まぁ、其れもそうだね………あれ?ポポンガおじいちゃんが居ない」

「え?あ、本当だ」

「ポポンガはんは、ペッパーはんに似て神出鬼没なのさ………ふらっと現れたら、何時の間にか消えているなんてザラなのさ」

 

ペッパーに試練を与え、最終試練を乗り越えた事で、職業(ジョブ)の変化とアクセサリーを渡していったポポンガは、何時の間にか此のエリアから消えてしまっていた。

 

「まぁ、うん………。取り敢えず、お疲れ様でした……で良いのかな?」

「良いんじゃない?私としては『十分な成果』を得られたし♪」

 

電話番号入手と言う、『作戦の第一段階』を此所に完了させたペンシルゴンは一際上機嫌であり。ペッパーは色々ヤバい事になりそうだなぁと、未来の自分を案じながらも、取り敢えずはユニーククエストクリアでゲットしたアクセサリーを装備しつつ、ヴォーパルコロッセオで其の性能を確かめる為、フィフティシアへの帰路に着くのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最大高度のレコード保持者となったペッパーを探し、プレイヤー達がギラギラと捜索の目を光らせるフィフティシアを、建物の壁や物陰を利用しながら移動し、何とか裏路地に到着したペッパーとアイトゥイルは、兎御殿に帰還を果たす。

 

「アイトゥイル、ビィラックさんの所へ行こう」

「はいさ!」

 

アイトゥイルを肩に乗せて、ビィラックが仕事場として居る鍛治場へとやって来たペッパー。其所で一人と一羽が見たのは、壁と言う壁に貼り付けられた無数の紙━━━よく見ると『設計図』たる其れと、熱心に何かを記載する古匠・ビィラックの姿が在った。

 

「えっ、ナニコレ」

「ビィラック姉さん、コレなんなのさ」

「お、おおおっ!ペッパーか、よう来たの!」

 

振り返り様、此方の到着を心待にしていたとばかりに目を輝かせ、飛び込んできたビィラックにペッパーも驚きの色を隠せずにいる。

 

「どうしたんですか、ビィラックさん。何か興奮してると言いますか……」

「ペッパーよ………!わちは今、とんでもない『発明』をしようとしてるんじゃけ……!其れが『コレ』じゃ!」

 

地面に降り、取り出したのは二枚の『設計図』。ペッパーも屈み、彼女の視線から其の設計図に目を通す。其所に描かれていた物は、『巨大な洋弓の図面と、弦の一部分が刃の物に置き換わった、変わった形状の弓』。

 

もう一枚の方には『折り畳まれて弦の先端がくっ付く事によって、一本の大剣として機能する』という、何ともロマンに溢れた物としてイラストという形で描き出されていたのである。

 

「コレは……?」

「フッフッフ……!コイツの名は『弩弓剣(アーチブレイド)』!巨大な弓と大剣の能力を組み合わせて、わちが創る新しい『武器』じゃけぇ!」

 

ペッパーは此の瞬間に確信する。此れは『ユニーククエストのフラグ』だと。此の武器━━━つまり弩弓剣を造り出し、其れがシャングリラ・フロンティアの新たな武器カテゴリーとして解放される、其の為に必要となるフラグであると。

 

そんな時「じゃが……」とビィラックが苦い顔をしており、彼女はペッパーを見つめて言ったのだ。

 

「コイツを創るに当たってな………ひっじょぉぉぉぉぉぉぉに『厄介な問題』にブチ当たったんじゃ」

「厄介な問題、ですか?」

「そう……コイツは一つの武器ながら、遠距離と近距離の『異なる武器種の力を持つ』。故に武器の耐久性は、通常の武器よりも『強く』。そう…………『大盾よりも』強くせんといかんのじゃ」

 

曰く、遠距離と近距離の二種類を使い分ける為に、どちらが偏った状態ではいけないらしく、使われる素材も生半可なモノでは壊れてしまうのだとか。

 

「其所でじゃ、ペッパーよ。ワリャには今からわちの言う『強者(ツワモノ)達』を倒して、其の素材を獲ってきて欲しいんじゃ」

 

そう言ってビィラックはペッパーに、オーダーを伝え始める。

 

「倒すべき存在は『三体』じゃ、ペッパーよ。

 

一つは『月下の水晶を闊歩する孤高なる金蠍』。

二つは『暗き深穴にて眠る揺り篭の中の赤子』。

三つは『天貫く大山に居着く無限掘削の女王』。

 

其の三体の素材があれば、弩弓剣の耐久問題を解決出来る。危険なのは承知しておる!じゃが、其の三体の素材こそが、問題を解決するのに必要なんじゃ!……頼める、か?」

 

此方を『信用』し、新しい武器を造らんとする『熱意』。其れだけでペッパーにとっては十分だった。

 

「任せて、ビィラックさん。必ず其の三体を狩って、新武器に必要な素材を獲ってきますよ」

「ッ……忝ない!」

 

深く頭を下げたビィラックに、ペッパーは此迄の戦いで耐久が減った武器達とマーニを支払い、修繕を彼女へ依頼する。

 

そして彼はアイトゥイルと共に、ヴォーパルコロッセオへ向かう。ポポンガより託されたネックレスにしてアクセサリー、超星煌耀宝珠(クロック・スタリオン)の実力を確かめる為に………。

 

 

 

 

 

 






打ち倒すべき強者達

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