VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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此所からが本番




ライブラリの報酬、もたらすは荒ぶる蛇神

 

「クラン:旅狼は『ユニークモンスターに由来、もしくは模倣した一式装備を探せる』━━━━━そんな『ユニークシナリオを受注している』…………違うかね?」

 

やっぱり此の人(キョージュ)ヤバいわ。クラン:ライブラリのリーダーたる彼女()を見ながら、ペッパーの額に冷や汗が滲む。口論になったら間違いなく負ける、舌戦に持ち込まれたら確実に詰む………其れがペッパーの抱くキョージュに対する評価だった。

 

(ヤバいな……真理書を見てた時から、既に会談(此れ)へ持ち込む事を考えていたのか………!)

 

そんなペッパーとは裏腹に、ペンシルゴンは笑う。此所からは私の独壇場(ステージ)だと宣わんばかりに、彼女はキョージュに言う。

 

「流石だね、考察クランのリーダー。そう……私達の隠している手札の中には『天将王装』と同じく、七つの最強種(ユニークモンスター)に由来か模倣した一式装備を探せるシナリオを受注した『プレイヤー』が居るんだ。実際装備が在ったお陰で私達は、ウェザエモンの討伐に漕ぎ着けられた………と言っても良い」

 

『誰が』『何時』『何処で』受注したかは語らない。話の中で相手から情報を引き出す為、ペンシルゴンの滑舌が唸る。

 

「其の人曰く『下手に開示したり使用すると、他のプレイヤーから追及される危険が有るから、取り扱いに気を付けろ』との事。そして其れは今、此の瞬間に話を聞いた『ライブラリの皆様方も同様に』ね?あ、後下手したら『クラン:旅狼(ヴォルフガング)のメンバー全員抱え落ちするかも』知れないから」

 

やりやがった、やりやがったよペンシルゴン。ライブラリが肩を持つと言う、先制の豪速球による手札に対し、後手からエグいホームランクラスの一撃を、カウンターで叩き付けやがった。

 

クラン:旅狼の肩を持つ上に、手助けをすると宣言した手前、下手をすればクランメンバーが全員蒸発するという『脅し』を掛けたのだ。もし其れが発覚すればクランの威信にも関わる、大きな『傷』になるのは必然的であり、様々な繋がりが断絶する危険も孕む事になる。

 

「………フフフ……ハハハハハハ!やれやれ、此れは一本取られたよ。成程成程………其れは我々としても『非常に困る』な」

「此方も天将王装っていう『切札』を切ったんだ、タダでは引き下がらないんだよねぇ?」

「真理書提示の時点で、五億マーニを取った口でよく言うよ……」

 

楽しそうなペンシルゴンを見ながら、そう呟くペッパー。そうしてキョージュは、ペッパーとペンシルゴンに向け、こう言ってきた。

 

「良かろう、此方もクラン:旅狼に『とっておきの情報』を渡そう。とは言っても、其の情報はまだまだ不透明な部分も多く、『確約』出来る━━━━と言う訳では無いのだがね?」

 

考察クランが一体何を提示するのか、ペッパーは身構え、ペンシルゴンが余裕を崩さぬ中で、キョージュは己の言葉を以て『其れ』を伝えたのである。

 

「此れは『黒狼(ヴォルフシュバルツ)』や『SF-Zoo』を含めて、他のクランやプレイヤーにも開示していない情報だ。我々ライブラリは、君達のクラン:旅狼に対し『荒ぶる蛇神』の情報を渡す用意がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒ぶる蛇神………其の情報を聞いた時、ペッパーは『無尽(むじん)のゴルドゥニーネ』の事かと思った。何故なら彼は、既に『無尽の偶像(フィギュア)』と、ヴァイスアッシュの発言で『其れ』を知っているが故に。

 

と、コートの中に居るアイトゥイルが震え、飛び出さんとしているので、ペッパーは彼女をコートの上から彼女を撫でつつ宥め、ライブラリを相手に余計な詮索をされる訳にはいかないと、言葉を放つ。

 

「荒ぶる蛇神、ですか?」

「そう。様々な文献に記載された其の蛇が、君達に渡す情報だ。ある文献には『此の世界に存在する蛇型のモンスター達は、荒ぶる蛇神より産まれた』。他には『其の蛇より分かたれ、形を変え、そして無尽蔵(・・・)に増え、世界に根付いている』………ともある」

 

「そして」とキョージュは、ペッパーとペンシルゴンに其の存在を言葉を以て示した。

 

「様々な文献に記載されていた、其の蛇神こそ………『七つの最強種(ユニークモンスター)』の一角たる存在。名を『無尽のゴルドゥニーネ』と言うのだよ」

 

ヴォーパルバニーの宿敵であり、ペッパーのコンビを組む風来黒兎たるアイトゥイルの友を殺した仇敵、そして七つの最強種の一角の存在が、ペッパーとペンシルゴンに伝えられた。

 

「無尽のゴルドゥニーネ…………蛇のユニークモンスター、か」

「うむ……跳梁跋扈の森のエリアボスに『貪食の大蛇』が居るが、アレもゴルドゥニーネから派生した存在なのだとか」

 

思い返してみれば、貪食の大蛇は蛇でありながらも、頭部と尻尾に『女性』を思わせる白髪が生えていた。

 

「つまりゴルドゥニーネは、性別が『雌』である可能性が高い……と?」

「おそらくだかね。そしてゴルドゥニーネに由来もしくは模倣した一式装備は、先程の天将王装に関するペッパー君の発言から、間違いなく『女性用装備』であると予想出来る」

 

天覇のジークヴルム・墓守のウェザエモンが『男性』、冥響のオルケストラ・夜襲のリュカオーン・無尽のゴルドゥニーネが『女性』と考えるなら、仮にヴァイスアッシュがユニークモンスターであれば、其の一式装備は『男性用』として見て良いだろう。

 

問題なのは『深淵のクターニッド』であり、其の一式装備が男性か女性かによって、男性と女性の纏える一式装備の『総数』が決定する事になる。

 

「ただ厄介なのは、一式装備が『性別限定装備』であると言う所でね……。あの様にクランメンバーも、着れないと嘆き叫んでいる」

「実際此れを見付けた仲間の一人が、男性用装備だと知って絶望していましたし。な、ペンシルゴン?」

「うんうん、アレは正直笑った……じゃなくて凄惨だったもの」

 

そう考えると、アバターと異なる性別の一式装備を纏う場合、何かしらの方法で『性別変更』が必要になるわけだが、其の『方法』が見付からなくては話にならないのは明白だった。

 

「もしも━━━━━俺達『クラン:旅狼』が性別を変えられる方法を見付けたら、其の重要度にもよりますけど、ペンシルゴンに言っていただければ、『交渉』と言う形で御話も致しますが?」

「ほほう………其れは僥倖だ」

 

交渉面での話し合いに持っていけば、ペンシルゴンが得意とする領分での戦いが出来る。フフン♪と悪い笑顔を浮かべた彼女を横目に、ペッパーとキョージュは握手を以て話し合いを締結。

 

そしてペッパーは天将王装を『見る』という条件で、ライブラリに開放し、キョージュも含めて閲覧会が始まって。日本に上陸したパンダに、ガラス越しで群がった日本人の様に、ライブラリの面々から360度見られる事となって。

 

途中、ペッパーは彼等彼女等からの一式装備に関する質問攻めに逢いながら、午後八時に漸くペンシルゴン共々解放される事となったのである………。

 

 

 






6体目のユニークモンスター


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