VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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其の頃、外道達は


※少し短いです





とても楽しい、すごく愉しい、オハナシ

ペッパーが弩弓剣(アーチブレイド)を新武器として解放するユニーククエスト【覇道を刻みて、武は形を成す】を受注し、アイトゥイルの協力を得ながら、三体の強者が一角『FM's(フォッシルマイナーズ)クリサリス』と激闘を繰り広げていた其の頃。

 

世紀末略奪ゲーこと『ユナイト・ラウンズ』の某館の一室が『物々しく』、そして『殺意』で満ち溢れていた。

 

「さぁて、サンラク君とカッツォタタキ君。言い訳をするなら、今の内に聞いてあげるけど━━━━━どうする?」

 

ニッコリと笑い、しかし其の額には青筋を浮かべた鉛筆戦士(ペンシルゴン)が、テーブルを向い合わせにして座る、ダンディーな顎髭を生やす『サンラク』と全身を甲冑で身を包んだ『カッツォタタキ』に、詰め寄る形で言ってきた。

 

「ペッパーがお前とのオハナシで、何時も感じてる感覚ってヤツが、よーく解ったわ」

「俺もドーカンだね、何時か胃が潰れそう(笑)」

 

ビシリッ……と空気が割れるような音が響き、彼女の殺意が膨張したので、サンラクとカッツォは此れ以上は言わない事にする。

 

「何で呼び出されたか……解ってるよね?二人共」

「………先に断っとくが、俺はあくまでも(・・・・・)アイツに幕末を『オススメ』したに過ぎないからな?其れでアイツがハマったなら、奨めた甲斐が有っただろう」

「む………」

 

サンラクの言う事は一理有る。彼はあくまでゲームを奨めただけに過ぎず、最終的な判断はペッパー本人に任せただけなのだ。

 

「そーだそーだ、俺達何にも悪くなーい」

「そんな訳無いよねぇ、カッツォくーん?」

 

話の流れのまま無実を訴えようとしたカッツォタタキに、鉛筆戦士の眼光が突き刺さる。元を正せば、ペッパーが『全米一位』こと『シルヴィア・ゴールドバーグ』と戦う羽目になったのは、カッツォが彼に要請を出したからに他ならない。

 

「いやな、鉛筆戦士。アイツ曰く、シャンフロのサードレマの街中で『パーフェクトステルススキル』持ちのPKerに襲われたらしくてね?其れから全力逃走したら、他のプレイヤーが録画したのが『全一』に目撃されたんだとよ」

「其れは彼から聞いた。で、電脳大戦(サイバーバタリオン)のトップまで観てたのは、どーいう事な訳ー?」

 

あぁ、コレは面倒臭くなった時のペンシルゴンだと、其れなりにゲームでの付き合いを持った二人は感じた。

 

「…………アーケードゲーム『ビルディファイト』。俺とペッパーが遊んでる格闘ゲームで、其の対戦動画を家のトップが目撃してな。曰く『コイツの思考深度なら、世界にも通用する』って言ったんだよ。で、実際にシルヴィア・ゴールドバーグ……『世界最強の格ゲーマー』からの挑戦状を受けて戦い、アイツは自分の実力を示したって訳だ」

 

其れからカッツォタタキはシルヴィア・ゴールドバーグの事を話し始めた。彼女の伝説となった五年前の戦いを、彼女の今も尚続く伝説を、そしてプロの世界に伝わる彼女の話を。

 

映像を絡め、ペッパー……ギャラクシーヒーローズ:バーストでは『AZ』と名乗る彼と、ゲームの絶対王者たる『Silvi』の、ミーティアス同士のマッチングを録画した物を二人に見せながら、カッツォは説明したのだ。

 

「うわマジか……。ってか、第1ラウンドから全部計算(・・)してやがったか、ペッパーの奴」

「二手三手とは言え、絶対王者を思考で縛る………普通(・・)は出来ないでしょ」

「言ったろ?アイツの思考深度は、プロゲーマーの其れよりも二段階くらい深いってさ」

 

世界最強の格ゲーマー、リアルミーティアスたるシルヴィア・ゴールドバーグを相手に、一矢報いて見せたペッパーの凄まじい実力を、三人は改めて『ペッパーはヤバイ』との認識で思考が統一された。

 

「と、言う訳なんだが………。御理解頂けたかな、鉛筆戦士?」

「そうだね……。コレを見せられたら、納得するしか無いよねぇ………」

 

実際シャンフロで空を駆け上がり、凄まじい速度で空中を走った光景を見て居たからこそ、全米一位が彼と戦いたいと願ったのも、鉛筆戦士には何と無く解ってしまった。

 

アレは誰かに見付かるまでは目立たないが、見付けたならば見た者を魅了するギラリと輝く『一番星』。ゲームでよくある『ザコ敵だけど何故か記憶に残る』ような、そんな感じの存在に似ているだろうか。

 

「………OK、二人に対するオハナシは終わりだよ。悪いね、時間を取っちゃってさ。何か有ったら、ちゃんと連絡してね、二人共」

「特にサンラク、お前シャンフロでユニーク見付けたら、俺も絡ませろよ?」

「え~~~ユニーク自発出来ない惑星マン、そんなんで良いのかぁ~~?」

「だぁーーーーーー!?シャラァアアアアプ!!!其れは禁句だろがーーーーーー!!!」

 

ギャーギャーと取っ組み合うサンラクとカッツォタタキの姿を見ながら、鉛筆戦士は自然な笑みで微笑んだのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして同時刻、シャングリラ・フロンティアのエリアの一つ、栄古斉衰(えいこせいすい)死火口湖(しかこうこ)にて、誰もが知らない新たな『出逢い』が在った。

 

「たぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

『むっ!?』

 

山頂にて対峙するは『橙色の忍者装束に身を包む少女』と『天覇する金色の龍王』の激突。十数分の戦いの果て、少女の渾身の一突きが龍の『逆鱗』に刃を突き立てた。

 

「やっぱり硬ッ……!?」

『ククク……ハーッハッハッハッハッハ!!!見事、見事見事!我が『逆鱗』に!よくぞ其の刃を届かせたァッ!』

「えっ、わぁ!?」

 

高らかな笑い声と共に繰り出す、超高熱の炎………否、極太のレーザー光線が少女を━━━『秋津茜(アキツアカネ)』を無情にも焼き払った。

 

「小さき者よ、強くなれ……!其の牙を研ぎ澄まし、我すらも喰らい尽くす牙とせよ!」

 

焼き払われ、ポリゴンとなって消える少女の頭部に『傷』が刻まれる。金色の龍王━━━━━『ユニークモンスター・天覇のジークヴルム』が彼女に与えた『己の呪い』たる証を。

 

『良い……良いぞ!強き者が育っている………!あの少女もだが、ペッパーもまた強くなったか。フフフ……!ククク……!』

 

 

 

嗚呼、英雄よ。

 

おお、英傑よ。

 

我を越える、強き者よ。

 

試練の時は、そう遠くはない………!

 

 

 

そうしてジークヴルムは空へと舞い上がり、何処かへと飛んで行く。

 

世界は少しずつ、確実に動き始めている………。

 

 

 

 






光の少女、金龍より呪いを賜る


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