特別なアクセサリー
虎猫の
其のダルニャータなのだが、カタカタと震えているのだ。一体何が有ったのだろうか?
「サ、サンラク殿………アラミース殿からの依頼を受けて、あああ、アクセサリーを……御作り致しました。で、ですが……完成した『アクセサリー』の一つは、非常に……そう、本当に非常に『危険な物』なので御座います………」
今にも『ちびって』しまいそうな雰囲気に、ペッパーとサンラクは首を傾げていると、ヴァイスアッシュが口を開いた。
「サンラク。おめぇさんが渡した宝石の中にィ『とんでもねぇヤツ』が入っていたと、キャッツェリアの国王を通じてダルニャータが言っててなぁ。『オイラの舎弟であり、ペッパーの友人たる』おめぇさんを、其れのせいで危険に遭わせるかも知れねェと、アクセサリーを作ったは良いが渡すか否かで、今も悩んでいるんだそうだ。でぇ………悩んだ末に、おめぇさんの判断に委ねたいってオイラん所を訪れたってェ訳だァ」
「極めて危険、で御座いやすか……兄貴」
頷き、ダルニャータに視線を送ったのを合図とし、ガチガチの緊張で歩きつつも、虎猫の宝石匠はサンラクの前まで行き、大きな装飾が施された箱を取り出して彼の前で開いて見せてくる。
其の中に入っていたのは、綺麗に折り畳まれた『白地のマント』に『親指部分に宝石が埋め込まれた右手用の革手袋』、そして『歯車と車輪と風車を足して三で割ったが似つかわなくなった不思議な物』が、其の中には納められていた。
「此方の三種のアクセサリー……が、
マントが『
「あぁ、えっと……コホン。ケット・シーの王国・キャッツェリアと、此等三種のアクセサリーを作ってくれたダルニャータに、感謝の意を。もし困った事が有ったなら、ヴァッシュの兄貴だけでなく俺も頼って欲しい」
突発的なロールプレイをして、アクセサリーを受け取ったサンラクは、早速アクセサリーの内容をチェックし。数秒後に突如として硬直してしまった。
「サンラクさん!?大丈夫ですか!?」
「サンラク、どうした!?」
「ヤベーわ、此のアクセサリー達。取り敢えず、ヴォーパルコロッセオで性能を確かめてくる」
そう言ってサンラクは実験場へと走って行き、エムルとダルニャータも其の後を追い。更にはヴァイスアッシュまでもが煙を吹かしながら、コロッセオへと移動を開始。唯成らぬ事態にペッパーと秋津茜も各々のパートナーを連れて移動するのだった………。
ヴォーパルコロッセオに移動し、コロッセオ内のベッドにてリスポーン地点を更新したサンラクは、アクセサリー・装備の整理を行い、手始めに封雷の撃鉄・災を右手に装備する。
「さて………やるか」
ふと観客席を見れば、ヴァイスアッシュを始めとしてペッパーに秋津茜、ダルニャータやアラミース、エムル・アイトゥイル・シークルゥの姿も在る。
サンラクは呼吸を一度、其れを合図として右手親指を己の胸に叩き付け。刹那、彼の身体を静電気が迸った音が響き、其の身を『黒い雷』が包み込んだのだ。
「サンラクさん!?」
「黒雷を……纏った?」
「お、おおぉお!?」
バチバチバチと鳴り止まぬ電音の中、サンラクは己の全身に力が漲り満ち、荒ぶる様な力の奔流を感じて。思わず全力で駆け出した瞬間、目の前に壁が迫った事に気付くも対処出来ず。
「ほぐべぇ!?」
壁に思いっきり叩き付けられたトマトの様に、サンラクはヴォーパルコロッセオの壁に突っ込んで、シミとなって死んだ。
「サンラクさぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
「サンラクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
「サンラクさーーーーーーーーん!?」
秋津茜、ペッパー、エムルの声が響いた後。
「はっ!?」
コロッセオ内のベッドにて覚醒したサンラクは、先程起きた事を確かめるべく、再び表に出てからペッパー達の方へと走って行き。彼は「なぁ、今何が起きた?」と質問をしてきたのだ。
「サンラクさん、何かすっごいスピードで走り出して、壁にぶつかりました!」
「俺も秋津茜と同じだ。強いて言うなら『過剰な速度』で突っ込んで行った………そんな感じ」
「アタシもペッパーさんと秋津茜さんと同じですわ!」
「マジ?いや…………もしかして、つまり『そういう事』なのか………!?」
此方の説明を聞いたサンラクは、徐にステータス画面を開き、其の後に封雷の撃鉄を起動。黒雷が彼を包み込み、先程とは違って彼は暫く其の場で留まって、再びステータス画面を開き。
バク転をしようと、其の身を後ろに跳躍した結果、サンラクの身体は空中で二回転半の弧を描き、顔面からコロッセオの地面に落ちて。
「ぼへっ」
彼の首はあらぬ方向へと曲がって死んだ。
「サンラクさぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
「サンラクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
「サンラクさーーーーーーーーん!?」
そして数十秒後に再びコロッセオに現れたサンラクは、ダルニャータに視線を向けながら言った。
「……………ダルニャータ君。兇嵐帝痕は封雷の撃鉄よりヤバいってマジ?」
「は、はぃい……!其れは、本当で御座います……!」
「そうか………封雷の撃鉄よりもヤベェのか。よし、使ってみよう」
「サンラクさん!?」
「物は試しだ、実際に使用すれば判る事も有る」
他者の意見には耳を貸すが、最終的な判断は己自身で決める。兇嵐帝痕をスロットにセットすると、彼の腰辺りに左右一つずつ、歯車らしき物が浮遊していた。バフスキルを全開にし、封雷の撃鉄を起動。
サンラクが走り出した直後、ペッパーは状況を理解する為に
「ッんお!?」
真界観測眼で見つめても、圧倒的な高速回転を止めんとしたサンラクが、己の右足を踏み込めば、今度は
「おぼえっ!?」
雑巾を渾身の力で思いっきり地面に叩き付けた様な音と共に、コロッセオの壁までぶっ飛んで、顔面からぶつかって再び死んで。
「サンラクさぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」
「サンラクぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」
「サンラクさーーーーーーーーん!?」
本日三度目となる二人と一羽の声が、夜の帳が降りるコロッセオに響き渡ったのだった………………。
「こりゃヤベーわ………」
三度のリスポーンを経て、サンラクは封雷の撃鉄と兇嵐帝痕を見ながら呟いた。
「サンラク、どうだった?」
「端的に言うなら、今の俺じゃ此の二つは『同時に使用したら』間違いなく死ぬ。片方だけなら練習し続ければ『何とかなる』気がする」
黒雷を纏う封雷の撃鉄に、凄まじい加速と回転挙動をもたらす兇嵐帝痕に触れながら、サンラクはダルターニャへと言葉を述べる。
「あー……ダルニャータ君。良い仕事をしてくれてありがとうな。作ってくれたアクセサリー達、確り使いこなしてみせるよ」
「は、はいサンラク殿!どうか貴方に、運命神の導きと加護が在らんを!!」
ニッと笑って言葉を放てば、ダルニャータは深々と頭を下げて。其れを見るヴァイスアッシュも微笑み、そしてペッパーに言った。
「あぁ、ペッパーにサンラク。そいや、ビィラックの奴がペッパーを、エードワードがおめぇさん等を呼んでたぜ」
「ビィラックさんと………」
「エードワードが……?」
「おぅ」
そう言ったヴァイスアッシュは、ペッパーにとって待ち焦がれていた『ある物』が出来上がった事、そして二人にとって『最重要となる話』を伝えたのである。
「おめぇさんが依頼した『
━━━━━━━と。
使い熟して己とせよ