VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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今章のエピローグです




インパクト・オブ・ザ・ワールド ~雨天に語らう魔王と勇者~

「あー…………疲れた」

 

黒狼との会談を終えてペンシルゴンと別れ、兎御殿に帰還したペッパーは休憩室のベッドでセーブ&ログアウト後、現実世界で梓として目覚め、布団の上で身体を伸ばす。

 

外では雨が降り頻り、水滴が窓にぶつかり、自然がリズムを奏でていた。

 

今日だけでも色々有った。トワセツナの花を探してセツナの墓参りをし、蛇の林檎では永遠の誕生日を祝い、更には影法師の最終試練を乗り越えた結果、冥響のオルケストラ攻略に関わるだろう、ユニークの品を手にして。

 

旅狼(ヴォルフガング)所属のクランメンバーに秋津茜(アキツアカネ)の紹介、サンラクから深淵のクターニッドに続くユニークシナリオの事を聞き、黒狼(ヴォルフシュバルツ)には最大火力(アタックホルダー)サイガ-0の援軍を依頼したりと、本当に色々な事をしたのだから。

 

「サイガ-0さんの『あの話』、どーしたもんかな…………」

 

黒狼との会談後、サイガ-0から話を聞いた時は自分の耳と白亜の鎧に身を包む重騎士を疑ったし、ペンシルゴンに至っては其の話で色々出来ると、其れは其れは生き生きとした表情になっていた。

 

しかも此れが公に成ろうものなら、黒狼とは『どう転んでも激突不可避』の事態に陥る事は避けられない。

 

「何とか穏便に済ませられる様に、立ち回らないと。……よし、夕飯作るか!」

 

クランリーダーとしての務めを果たす為にも、クラン連盟間のゴタゴタは出来る限り避けていきたい。梓はそう決意し、本日の夕食作りを開始。

 

冷蔵庫の中にあった薄切りの豚肉パックと生姜焼きのタレ、1/4残りのキャベツと半玉レタスに卵一個、半分残った人参とピーマン二個とシラスを取り出す。

 

先ず始めにパックのビニールを外して、生姜焼きのタレを適量投入に豚肉を浸けつつ、人参とピーマンを始めとした野菜達を洗い、レタスは一口大サイズになるよう手でちぎり、キャベツは繊切り・人参は薄く短冊切り・ピーマンも短冊切りに。

 

タレに浸けた豚肉の反対側もタレを染み込ませ、其の間に取り出した鍋に適量の水を注いで火を着け、同じく取り出したフライパンに油を敷いて、火が通りにくい人参を投入・炒め始める。

 

鍋の中の水の沸騰具合を見ながら、別の小さな器に卵を割って撹拌しつつ、火を調節。鍋にはレタスを、フライパンにはピーマンを各々入れ、加熱していく。

 

そしてレタスに火が通った所で醤油・塩・胡椒で味を整え、溶き卵を加えて軽く混ぜつつ、最後にゴマ油を一匙加えて、鍋をコンロから外し。フライパンにはシラスを入れて、軽く和える様にしながら火を通して皿に盛り、普段はオリーブオイルを仕上げに使うが、今回は御試しとして一味唐辛子を軽く振り。

 

さっとフライパンを洗い、火を着けて水気を飛ばし。油を敷いて、生姜焼きのタレに浸けていた薄切り豚肉を焼く間、汁椀に作った『レタスと卵の中華風スープ』を、マグカップに『牛乳』を一杯注いで、テーブルに運び。皿に盛った『ピーマンと人参とシラスのピリ辛焼き和え』を、茶碗に炊飯器に残った『白米』をよそって運び。

 

豚肉をひっくり返して加熱を続け、丸皿には繊切りキャベツを乗せ、生姜焼きのタレを追い掛け焼き上げ皿に乗せ。

 

「よしッ……出来た!『豚肉の生姜焼き』!本日の夕食完成!」

 

スマフォで写真を取り、何時ものように「いただきます」からの合掌。キャベツの繊切りを、豚肉の生姜焼きでクルリと巻いて食べ、白米を頬張りながら咀嚼し、野菜とシラスのピリ辛焼き和えを挟み、スープと牛乳で口を直し。

 

そうして15分の食事を終えて、全て食べきって「御馳走様でした」と合掌し、シンクで食器を洗い終えて専用のタオルで吹き上げ、元の位置に戻し。さてシャワーを浴びて二日後のフィフティシア行軍に備え、今日は寝るとしようかとしていた時、突如スマフォが鳴り響く。

 

一体誰からかとスマフォの画面を覗いて見れば、其処には『永遠』の二文字。まだ一週間経ってないのに、電話が掛かってくるとは、一体何を考えてるんだと梓は考えて。だが電話に出なかったなら、彼女がまた面倒な拗らせ方をすると察し、彼は電話に出た。

 

「もしもし」

『お。やぁやぁ、あーくん♪シャンフロ以来だね』

「おぉ、トワか。毎週の火曜日の22:30に電話掛けるとか言っておいて、随分なフライング(・・・・・)をするってのはどーいうこっちゃ?」

『んふふふふ………♪君の声を聴きたくなっちゃったから』

 

永遠の喜色の声が電波として伝わり、梓はシャンフロでのハッピーバースデーとフルーツホールケーキが、相当御気に召したと考えられる。

 

『というのは『本音』でさ、あーくん。私の『本題』は別に有るんだよね?………最大火力(アタックホルダー)ちゃんが言ってた()、君はどう考える?』

 

声が真剣な物に変わる。梓は少々考えて、己の考えを永遠へ伝えた。

 

「………サイガ-0さんの『話』、どうも『サンラク』絡みであると見て良い。フィフティシア行軍の話でクラン:旅狼(俺達)……………ではなく『サンラク一人』を名指ししていた事と、『あの話』から察するに、彼(?)は『サンラクとの繋がり(コネクト)構築を目指している』━━━━━そんな気がした」

『………へぇ?あーくんはそう考えてるんだ?』

「あくまでも『そう感じた』だけで、確信が有る訳じゃ無いからな。………まぁ、公になったら『非常に面倒な事』になりかねない、と俺は見ている」

 

三日後、フィフティシアでの『深淵のクターニッド』に関わる、ユニークシナリオの交渉をしに行かなくてはならないので、可能ならば交渉後に。出来るならばユニークシナリオの後に続く、ユニークシナリオEXの受注後にして貰いたい所だ。

 

『まぁ、あの話は流石にね……。仮に私がクランリーダーでも、アレは私達のクランにとって『鬼札』になるし、同時に『爆弾』にもなる要素。扱い方には注意しないと』

 

旅狼のリーダーとサブリーダーの意見は、サイガ-0の扱いには十分に気を付けねばならない、という見解で一致している。

 

『さて、あーくん。秋津茜ちゃんはまだエイドルトには着いてないらしいから、明日キャリーするのは良いけれど。浮気防止(・・・・)の為に、私も付いて行く事にします』

「浮気って………大袈裟だなぁ、トワ」

『君はちょ~~~………っと眼を離すと、色々やらかしかねないからねぇ?其の防止の為でも有るのだ!』

「解った、解ったから……。ログインして秋津茜に合流したら、連絡入れるから頼むよトワ」

 

フフンと、明らかにドヤ顔しているのが目に浮かびながらも、梓は努めて冷静にやるべき事を確認し。其れから暫くの間、永遠との電話をしたのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが梓は知らなかった。此の先で自分達を待っている『出来事』を。

 

シャングリラ・フロンティアというゲームの大きな『転換点(パラダイムシフト)』と成る引き金(・・・)に、自分達の指先が触れていた事を。

 

そして其れが引かれた先で、自分達を待っている運命を、彼等彼女等は想像だにしなかったのだから。

 

 

 

 

 






備える為、話し合い


※次章の骨組み作りの為、二週間程御休みをいただきます。其れと一週間前後を目安に、現在の旅狼に所属しているメンバーのステータス一覧を上げる予定です



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