VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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新章開幕




夜闇を越えて、深淵の街を駆け、煌星達は瞬き輝く
来るはアップデート、変わるは世界


クラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)との会談から一夜。梅雨本番となった雨模様の中、梓は大学での講義の後のコンビニバイトに勤しんでいた。

 

「梓くーん、雑誌の入れ替え頼むよー」

「はーい!」

 

今週号の少年誌や青年誌を始め、週刊文集やグルメ情報、そして天音 永遠が大々的に表紙を飾る、ティーン向けファッション雑誌等を、梓は古い物を最新の物へと変えていく中、一冊の雑誌に眼が止まった。

 

タイトルは『ゲーマーズ最前線(フロントライン)』━━━━話題のゲームに関する最新情報が掲載されている此の雑誌は、梓自身もゲーム情報収集時に世話になっている。其のゲーム雑誌にはデカデカと『シャングリラ・フロンティア最新情報』と書かれ、其の下には『神ゲー・シャンフロ、大型アップデート迫る!』の文字が在る。

 

「………あぁ、そう言えば今日の『ツウィッター』のトレンドにも載ってたっけか」

 

 

 

 

 

『6/30。シャングリラ・フロンティアは、大型アップデートを行います』

 

 

 

 

 

今日の0:00、日付変更と同時にシャンフロのゲーム内を含めた、メディア各所にも伝達された一大ビックニュース。トレンドに大きな影響を与えた、運営からの公式発表。

 

要約すると、ワールドストーリーが『第二段階』に進んだ事で、今の大陸の王国…………『エインヴルス王国』が此迄調査を続けていた、フィフティシアから先の海たるフィールド・断絶(だんぜつ)大海(たいかい)の先で『新大陸』を発見したらしく、其処の調査に乗り出す船を造っている。

 

其れがアップデートの日に『完成』し、先見隊として百人のプレイヤーをフィフティシアに駐在する者の中から、抽選・当選者を船で派遣するらしい。其の船も今は一隻だけだが、追加で二隻出来るらしく、急ピッチで造船しているのだとか。

 

そして其の新大陸の何処かに、多くのプレイヤーが待ち望んだ『レベルキャップ解放』を可能にする祭壇が在り、レベル99で足止めを食らい続けて、レベルダウンビルドを行っていたプレイヤー達からは、歓喜の声が上がる程だった。

 

ただ、其のキャップ解放にはレベル99(カンスト)に加えて、自身のレベルの隣に『Extend』なる表記が記載されてなくては出来ないらしく、二日後の小型アップデートで、条件達成プレイヤーには全員漏れ無く、ステータス画面に表示される『仕様変更』を行う━━━━━との事。

 

他にも新職業として『ライダー』が追加されたり、プレイヤーの所持しているスキル・魔法のUIが見易くなったり、プレイヤーが振り分けたステータスに対する恩恵等、変更色々が行われたりするのだとか。

 

「店長、バイトが終わったらゲーマーズ最前線を適切価格で購入しても良いですか?」

「おぉ、良いよー。梓君もシャンフロ興味有る感じー?」

「そうですね、実際プレイしてるので」

「解った。着替え終わったら、レジに持ってきてね」

 

「了解です」と言いつつ、梓は己の仕事を着々とこなし、午後四時にバイトを終えて、ゲーマーズ最前線を購入。帰宅してから熟読する事として、スーパーに向かう。週に一度のタイムセールという、戦場にて安売り食材確保という戦果を手にするべく、向かうのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後六時過ぎ。スーパーでタイムセールという戦場を越えて、雨脚が一段と強くなる中、靴やジーンズが若干濡れながらも、住居たるアパートへ帰って来た梓は、リュックサックの中の雑誌とマイバックの中の食材が濡れてないのを確認して、ホッと一息付いて。

 

冷蔵庫に食材を収納し、手洗いと嗽にシャワーを行い、本日の夕食に焼きおにぎりを作り、10分で完食。食器と調理用具の洗浄して、満を持して購入したゲーマーズ最前線を読み始め、そして幾つか解った事が有る。

 

先ず各種ステータスポイントを振った後の恩恵だが、筋力なら持っている武器の必要ステータスを『2倍以上』上回っていれば、ダメージ上昇補正が掛かり。

 

技量が優れているなら、武器やアイテムの使い方、及びクリティカルに対する補正が入り。

 

スタミナは一定値以上保有しているなら、軽いアクションでの減少が少なくなる等、所謂『極振り』型のプレイヤーに対する恩恵がデカい物だった。

 

特に梓が注目したのが『食い縛り』の発動条件の変更、其れは『幸運値が50以上かつ、自傷及び反動ダメージに限り、確定で体力を1にします』というもの。此れによって、ドロップ率とクリティカル発生に関わっていた幸運が、益々意味を持つようになったと言っても過言では無い。

 

何より甦機装(リ.レガシーウェポン)風雷皇の御手(サルダゲイル・アトゥヌ)の必殺技たる超排撃(リジェクト)の反動ダメージを受けても、体力をギリギリ1残して耐えられるようになるので、戦線離脱を防げるのはデカい。

 

「さて、そろそろログインしようか」

 

午後八時が迫る中、布団を敷き、玄関の鍵を掛け、水分補給にトイレの済まし、ヘッドギア型のVR機材のチェックを終えて。梓はEメールアプリで永遠にログインする事を伝えた後、神ゲーたるシャングリラ・フロンティアの世界へ、ペッパーとなって飛び込むのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペッパーはん、こんばんわなのさ」

「やぁ、アイトゥイル。こんばんわ」

「おぉ、ペッパー殿。目覚められたか」

「あ、ペッパーさん!こんばんわですわ!」

 

兎御殿・休憩室のベッドにて覚醒したペッパーを待っていたのは、コンビを組んでいる黒毛のヴォーパルバニーのアイトゥイルと、秋津茜(アキツアカネ)のパートナーの白毛武者ヴォーパルバニーたるシークルゥ、そしてサンラクの付き兎たるエムルだった。

 

「あれ、シークルゥさんにエムルさん。どうして此処に?」

「ウム。拙者、秋津茜殿が起きるのを待っているので御座る」

「サンラクさん、何時もの『友達』の家に遊びに行くと言って、私は御留守番ですわ」

 

どうやら秋津茜はログアウト中であり、シークルゥは現在待機。サンラクは水晶巣崖で素材や宝石集めに行ったらしく、残されたエムルはやれやれといった表情をしていた。

 

取り敢えずベッドから立ち、ペッパーは拡張したスロットに久方振りの『旅人のマント』を装着。現状五つ解放されていたアクセサリー装備可能分を全て埋めた所で、ベッドに構成される人影『二つ』。

 

片や何時見ても変態ファッションな半裸の鳥頭・サンラク、片や狐の面を頭に乗せた橙色の忍者装束の少女・秋津茜。

 

「あ、サンラクさん。今日は随分速く戻ってきましたわね?」

「そりゃ封雷の撃鉄(レビン・トリガー)の威力を、マブダチ相手に試してたからなぁ。まぁ、最終的には金蠍の甲殻をひッぺがしたが、ぶん殴られて水晶柱のシミになったけど」

「シークルゥさん、来ましたよー!」

「秋津茜殿!待ちわびて居ったで御座る!」

 

各々のパートナーバニーと合流した所で、ペッパーは秋津茜に言う。

 

「秋津茜、此れからペンシルゴンと一緒にサードレマから『千紫万紅(せんしばんこう)樹海窟(じゅかいくつ)』と『奥古来魂(おうこらいこん)渓谷(けいこく)』を越えて、エイドルトまでキャリーする。準備は良い?」

「はい!よろしくお願いします、ペッパーさん!」

 

元気よく返事をして、ペッパーと秋津茜はペンシルゴンが待つサードレマに行く為、アイトゥイルが開いたサードレマへのゲートを越えて。

 

サンラクはアクセサリーを使い熟すべく、再びマブダチの元へ向かう為にエムルにエイドルトへのゲートを開いて貰ったのだった………。

 

 

 

 






いざ、踏破へ


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