走れ、走れ、走れ
「いやぁ、まさか極太レーザー砲撃が切札だったとはねぇ………。因みに何で顔を狐のお面で隠してるの?」
「はい!『ジークヴルムさんのブレス攻撃』を模倣した、私の切札なんです!ペッパーさんのお陰で、何か『掴めた』気がします!あ、実はジークヴルムさんと戦って逆鱗に攻撃したら焼き払われて、頭に『呪い』が付いてたんです!」
「そ、そうなんだ………」
フォスフォシエを越えて、此処は
(模倣したとはいえ、アレは火焔放射じゃなくて極太のレーザー砲撃じゃん………ジークヴルムさんのブレスって、アレよりも威力有るの?マジかよ………。じゃあ、
ペッパーは自身の持ち物にして、天覇のジークヴルムを模倣した一式装備の全種装備時限定能力に有る、レーザー砲撃の項目を思い出して益々遠い目をし。
(秋津茜ちゃんのパートナー、白毛のヴォーパルバニーのシークルゥ……。あーくんと一緒に居るヴォーパルバニーのアイトゥイルちゃん……。サンラク君と行動を共にするヴォーパルバニーのエムルちゃん………。もしかして『そういう事』なのかな?)
ペッパーの右手に付き、今は自分がオススメしたフィンガーレスグローブを付けた事で隠れている、リュカオーンの呪いを。
秋津茜が狐面の下に隠している、ジークヴルムの呪いを。
そしてペッパーと同じく、しかし胴体と脚の両方にリュカオーンの呪いを受けた事で、鳥頭半裸の変態スタイルになったサンラクを思い浮かべ、ペンシルゴンは散らばったヒントから、一つの『当たり』を付け始めた。
(サンラク君の言ってた、ユニークシナリオの発生条件……
誰にも気付かれず、小さく微笑んだペンシルゴンは、念密に作戦を頭の中で練り込み始め。其の道中で現れた
そして三人と二羽は此のエリアで瘴気が最も濃い場所、即ち瘴気のドームと其の中に居座るエリアボス・
「さて……アイトゥイル、前回やった『アレ』をもう一回頼めるか?」
「任されたのさ、直ぐ準備するさね」
「前回やった………」
「…………アレ?」
取り出しますは
「さぁ皆、討伐に行こう!」
そんな奇妙な行動を取る中、一人と一羽は準備万端と言わんばかりに、二人と一羽を連れてドームに突入。其処にはドス黒い瘴気を黒いドレスの如く、其の身に纏った髑髏のエリアボスが居た。
「アイトゥイル!」
「はいさ!」
戦闘開始と同時、油を縫った両刃長剣に黒兎の吹き放った酔伊吹が直撃。炎熱耐性を持つ赤い刀芯が燃え上がり、暗闇という名の瘴気の中で輝々と燃え盛り、松明の如く此の場所を照らし出す。
「出来た……『
「駆けて、切り裂き、一撃で………倒す!」
「戦ってくださり、ありがとうございました」
剣に付いた炎を薙ぎ払って鎮火した刹那、瘴骨魔を構成するポリゴンば爆発四散。同時に瘴気のドームも消え去って戦闘が終了し、瘴骨魔の居た場所には確定ドロップアイテムが一つ転がった。
「ペッパーさーん!凄いですー!」
「一刀必殺、御見事で御座る。ペッパー殿」
「いやぁ、あーくん。君も秋津茜ちゃんに劣らず凄いね………エリアボスを一撃必殺とは」
アイテムを拾って駆け足合流してきた秋津茜とシークルゥ。そんな秋津茜を見ながら、君も人の事言えない火力持ちじゃんと言わんばかりに、ペンシルゴンがアイテムを拾いながら言う。
「瘴骨魔自身、体力が他のエリアボスより低く設定されてるのと、対アンデット+部位特効武器+武器スキルを組み合わせれば、手数は其処まで掛からないからな」
エリアボスのドロップアイテムをどうするか話し合った結果、秋津茜に渡す事になったのだが、彼女から「一撃必殺で撃滅に持っていった、ペッパーさんに受け取って欲しいです!」と言われ、ペンシルゴンが秋津茜をジッ………と見つめるも、ペッパーが宥める形で落ち着き。
ペッパーはアイトゥイルをマントの中に隠し、秋津茜はシークルゥを箱に擬態させて背中に背負い、三人と二羽は目的地のエイドルトへ到着したのだった……。
シャンフロ第8の街、エイドルト。
奥古来魂の渓谷の真上に在る、
「ペッパーさん!ペンシルゴンさん!今日はありがとうございました!」
「裏路地だし、他のプレイヤーにも聞こえる可能性が有るから、静かにしようね秋津茜ちゃん」
「ユニーク狙いの連中も居るからな……出来るだけ隠密にな」
「あ、はい……!今日は本当にありがとうございました!お疲れ様でした!」
ペコリと御辞儀し、秋津茜と箱に擬態するシークルゥは裏路地の闇の中へ消えていく。おそらくラビッツとエイドルトの間を繋ぐ為、ランドマークを更新する為だろう。
「さてと……あーくん、私も此れから『やらないといけない事』が出来たから、行くね?」
「やらないといけない事?」
「うん、ちょっと時間が掛かる感じ。其れと電話だけど、此の間のフライングもあるから『来週』に回す事にするから。ちゃんと出てね?約束だよ?」
「解った解った、ちゃんと出るよトワ」
「ん、よろしい」
そう言ってペンシルゴンはペッパーと別れて別行動を開始し、周囲に誰も居ない事を確認したペッパーは、アイトゥイルを連れて別の場所にゲートを開いて貰う。
「アイトゥイル、此れから俺はビィラックさんのクエストを済ませる為に、水晶巣崖に居る
「金晶独蠍さね……とっても強力な相手なのさ、十分に注意して頑張ってなのさ」
「あぁ。五時間以内に金蠍を仕留めて、此処に戻ってこれるように挑戦してみるよ」
アイトゥイルとパーティーを解消し、ペッパーは単身で水晶巣崖に向かうべく、準備に入る。其の地に住まう孤高なる金蠍を、己の力で攻略する為に………。