VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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イレベンタルに辿り着き




そして旅する狼達は最大火力と接触す

「此所がイレベンタルかぁ………」

「何て言うかイタリアン的な雰囲気を感じるぜ……」

「綺麗な場所だ………」

「サードレマくらいの大きな街ですね!」

 

シャンフロ第11の街・イレベンタル。現実世界の美食の街・イタリアを思わせる水路と煉瓦造りの街並みに、初めて此所を訪れたオイカッツォ・サンラク・京極(キョウアルティメット)秋津茜(アキツアカネ)は想い想いの声を挙げる。

 

「皆、集合時間の午後九時まで一回解散する。其れまでに水分補給やトイレ、消費アイテムを各自で揃えて、此の街のシンボルである『朽ちた巨剣像』に集合だ」

 

ペッパーが指差す先に魔力のカンテラでライトアップされた、巨大な剣のオブジェクトが見えており。其所に今回のフィフティシア行軍の助っ人、サイガ-0が待って居る。

 

一旦パーティーを解散し、ペッパーとペンシルゴンはエンハンス商会・イレベンタル支店に赴いて。サンラクと秋津茜はラビッツとイレベンタルを繋ぐべく、ランドマークを更新に。京極は水分補給の為に宿屋を探して、オイカッツォは装備を更新するべく、防具屋を目指すのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後九時の五分前。街のシンボルたる朽ちた巨剣像の一角で、一人の『プレイヤー』が静かに立っていた。白い神秘の力を宿す純白の重鎧と、漆黒の大剣を持ち合わせる其のプレイヤーは、此所イレベンタルに到着した他プレイヤーからすれば、見知らぬ者は一体誰かと首を傾げ、見聞きしたプレイヤーは驚愕を顔に現す。

 

名を『サイガ-0』。クラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)の切札で有ると同時に、此所シャンフロ内で最高火力を叩き出し、称号【最大火力(アタックホルダー)】を賜った廃人プレイヤーの一人。

 

其れが一時間半前から(・・・・・・・)此の場所で、一歩たりとも動かずに居れば、一体誰と待ち合わせをしているのかと、他のプレイヤー達は気になり。

 

ある者は『最大火力待たせてる奴、どんだけ図太い性格してるんだよ』とか、またある者は『何で此所に廃人プレイヤーが居るんだ?』とか、そんな疑問等を抱いて。

 

其所へ近付いてきたのは、最大高度(スカイホルダー)に廃人狩り、半裸の鳥頭なHENTAIファッションと、金髪ツインテールで女性用発掘研磨シリーズで固めたプレイヤー、そして人斬りの異名で知られる現役PKerに忍者少女の六人という、端から見れば個々のインパクトがあまりにも強過ぎる一団であり。

 

「待たせてしまって、申し訳御座いませんでしたぁ!?!?」

「ア、イエ!イマ、キタトコロ……デス………!」

 

先頭に立つプレイヤー………クラン:旅狼(ヴォルフガング)のリーダーたる者が、非常に気不味い顔をしながらダイナミック土下座を行って、最大火力は棒読みしながら答えるという、そんな光景を目の当たりにして。

 

(ペッパーじゃねーか!?)

(げぇっ、廃人狩り!?)

(なんだあの変態!?)

(ツインテ!ツインテ!)

(うわ、京極居るじゃん……)

(あ、可愛い娘いる………)

(いや嘘付けェ!?)

 

此の場に居たプレイヤー達の心境は、何れが多数を占めるのかは判らず、はたまた別の感情が大半を占める状況かも判らぬ中、旅する気高き狼達は遂に最大火力との接触を果たしたのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか一時間半も待たせていたとは……。本当に申し訳ありません………!」

「い、いえ!私としても『サンラク』さんの……延いては旅狼の皆さんの、御力に成れればと……!」

「本当に悪いね、サイガちゃん」

 

サイガ-0を護衛としてパーティーに加えた、旅狼一向はイレベンタルを出立し、フィフティシアを結ぶエリア『無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)』へと歩み始めた。

 

「いやぁ、まさか家のクランリーダーがサイガ-0さんへ、救援要請してたなんてねェ……」

「未知のエリアだし、案内役兼戦闘要員は欲しかったとこだし、良いんじゃないかな?」

「まぁ、サイガ-0さんの攻撃力は黒狼の御墨付きさ。頼りにしてるよ?」

「今日はよろしくお願いします!」

 

黒の色紙に玩具の小型ジュエルをバラ撒いた様な星空の下を、最大火力の案内で旅する狼達はフィフティシアを目指して歩いて行く。

 

(おい、ペッパー……というか、よくまぁサイガ-0さんに応援要請出来たな?一体何やったんだ?)

 

そんな折、サンラクがペッパーに耳打ちするように、最大火力が助っ人に来た理由を聞いてきた。

 

(まぁ簡潔に言うなら、俺達が持ってるユニークモンスター『無尽のゴルドゥニーネ』の名前をちょっとだけ出してね。ペンシルゴンと一緒にライブラリと話をした時、手に入れた情報を黒狼にほんの少し流しただけ。あぁ、流石に『アレ』に関しては教えてないけどな?)

(ってか、ライブラリも無尽のゴルドゥニーネの情報調べあげてたのか……あっちもあっちでスゲェな)

 

ひそひそ話でネタバレをしつつ、サンラクと自分だけが知っている事で話をしていた時である。

 

「あ、あの………サンラク、さん」

「ん?どうしましたか、サイガ-0さん」

 

突如声を掛けてきたサイガ-0に、旅狼の視線が向き。ペッパーは其の手に勇者武器(ウィッシュド.ウェポン)聖盾(せいじゅん)イーディスを握り、周囲警戒を続ける。

 

「えと、その……さ、サイガ-0って名前………姉さ、じゃなくて、あの………クラン、リーダーと被るじゃ、ないですか?な、ので……あの………構わないので、あれば『レイ』の方で呼んで、いただければ……と!」

 

どうやら最大火力のPNは、サイガ-0(ゼロ)ではなく、サイガ-0(レイ)である事を、此の日旅狼の面々は知る事になり。

 

「確かに、同じサイガだと名前被りますもんね。解りました、では此れからは『レイ氏』と」

 

サンラクがそう答えた瞬間、サイガ-0は硬直し。其の瞬間に一同の中で、様々な考察が過る。

 

(あれ、皆サイガ-ゼロって呼んでたけど、サイガ-レイだったのか。………ん?レイ?サイガ?………何か聞いた事有ったような………)

 

サンラクの記憶の琴線に触れて。

 

(そういえばトワが前に、サイガ-100さんの事を『モモちゃん』って呼んでたが、もしかして本名を捩ったPNなのか?)

 

ペッパーは遠からずサイガ-0の名の由来に辿り着き。

 

(へぇ~?私と同じで好きな人に下の名前で呼んで欲しいって感じかなぁ~?百ちゃんの妹ちゃんは)

 

ペンシルゴンは恋愛の匂いを嗅ぎ付け。

 

(なぁ~る~ほぉ~ど~ねぇ?コレはレイちゃんとサンラクの弄り甲斐が出てきたかな?)

 

京極(キョウアルティメット)はニマニマとゲスい笑顔を心中抱き。

 

(もしかしてサイガ-0って女の子かな?だけど体格からして男性アバター使ってる……。確か筋力に関して、男女のアバターで若干補正が変わるとかwikiには在ったし)

 

オイカッツォは同じネカマプレイヤーとして、そしてプロゲーマーとして、サイガ-0のアバターを冷静に分析し。

 

(もしかしてサイガさん、女の人なんでしょうか?)

 

秋津茜(アキツアカネ)は目を輝かせ。

 

(し、ししし、下の名前で呼んで貰えましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)

 

当初の目的の一つだった、自身を下の名前で呼んで貰うという目標(タスク)を成し遂げたサイガ-0は、プルプルと歓喜の中で小刻みに震え。

 

其の直後、一向に飛来するストーム・ワイバーンが一匹。

 

「皆!敵襲!ストーム・ワイ━━━」

 

ペッパーが叫んだ刹那、サイガ-0が己の武器であり最大火力何たるかを証明した漆黒の(つるぎ)、ユニークシナリオ『覇天に手を伸ばす魔王』と『覇淵に踏み入る天帝』をクリアして手に入れた、双貌(そうぼう)(よろい)とワンセットたるユニーク武器・神魔の大剣(アンチノミー)を握るや、其の剣芯に轟々とエフェクトが纏い。

 

そして一同の前に躍り出るや━━━━━━

 

断撃(だんげき)破城斬(はじょうざん)】!!!」

 

対城塞クラス(・・・・・・)のモンスターを叩き斬る為の大剣武器攻撃スキルによって、脳天唐竹割を食らったストーム・ワイバーンが、真っ二つの開きになってポリゴンを撒き散らしながら、古城骸の大地に落ち。

 

其れと同時にペッパー・サンラク・オイカッツォは、最大火力の持つスキルの破壊力に「えぇ…………」と、言葉を溢した。

 

「道中の敵は任せてください、何が来ても必ず斬り倒しますので………!」

 

サイガ-0の鎧の下に在る顔は、サンラクから下の名前で呼ばれた事でニッコニコの笑顔だったのだが、其れを知らない旅狼の面々の男性陣は、引き吊った表情で「「「た、頼もしいぃ………」」」と言葉を溢したのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペッパーさん達、フィフティシアに行くのかな………?」

 

そして一向の知らぬ所で、彼等彼女等を見付けた青い魔術師が、其の後を追い掛け始める………。

 

 

 






いざ行かん、フィフティシア


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