狼達は進む
「よいしょぉ!」
「今だ!攻撃!!!」
「ヨッシャア、ぶちかませ!」
オイカッツォの拳が、秋津茜と
「行きます……!
体力を粗方削り切った所に、サイガ-0の攻撃が其の巨躯を断ち斬り倒す。シャンフロで今も揺るがぬ、
「わぁ、レベルが上がりました!」
「俺も上がったよ。やっぱり、此の辺りのモンスターは軒並み強い事も有ってか、レベリングが捗る」
「といっても殆どがレベル99超えのモンスターばかりだからな……ハードラック・ライノやストーム・ワイバーンは良い例だし」
「オマケに
レベルアップで獲られたスキルの確認と、ポイントの振り分けを秋津茜とオイカッツォは行いつつ、モンスターが落とした素材をペッパーとペンシルゴンが一同に分配しながら、フィフティシアへと歩みを進める。
「其れに、しても……皆さん凄い、ですね」
そんな時、
「各々がやりたいように、やりつつも……。其の状況に応じて、役割を遂行してる……と言いますか。特にサンラクさん、は………前衛を張っているのに、一度も被弾していないのは……凄い、です」
「まぁ、直撃=死なんで……リュカオーンにマーキングされてから、胴と脚に装備出来なくなりましたし」
ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンと善戦し、其の身に二ヶ所の呪いを受けたサンラクは、必然的に耐久無振りの機動力特化に成らざるを得なかった。
「で、では…早い所……呪いを解呪して貰って、装備出来るように、ならなくては……ですね!」
「あ~……其れなんですが、レイ氏。実は解呪するか否かで、ちょっと悩んでるんですよ」
「え?」
「紙装甲だったり他プレイヤーのバフを受けられなかったり、色々とデメリットは有るんですが………
実際ペッパーも秋津茜も、ユニークモンスターの
「まぁ、出来ることなら脚の呪いは解きたい……とは考えてますね。最近は
此れはサンラク自身の本音であり、ペッパーが使っているレディアント・ソルレイアを含めた、籠脚による攻撃スキルも獲得してみたいと考えている。ただ今の自分には、呪いを『一時的に相殺する手段』への糸口を手にしているので、今すぐに解呪したいかと言われたなら、悩みに悩んだ果てに『Yes』と答えるが。
「そう言えばレイ氏、聖女ちゃんに会えればリュカオーンの呪いを解く事が出来ると、家のクランリーダーが言ってたみたいですが……」
「は、はい……。此のゲームの、世界観における宗教【
口ごもるサイガ-0に、ペッパーが助け船を出す。
「彼女を護っている、ジョゼットさん率いる『
「あ、はい。そうです……ペッパーさんは、イリステラさんに会った事が?」
「えぇ、王都・ニーネスヒルで。ジョゼットさんとも其所で出逢いました」
詳細は明らかにしない。彼女との約束を含めて、クランメンバー以外にレディアント・ソルレイアの━━━延いては身内にも
「あーくんやサンラク君は目を離すと、すぐ色んな隠し事を溜め込むからねぇ………。定期的に叩いて吐き出させないと、私達も巻き込まれかねないからさ」
「僕もペンシルゴンに同意だね、ほんと叩けば叩く程に知らない情報ばっかり出てくるし」
「ホントそれな」
「俺達ゃ、縛られたくは無いがな」
「其れは同意」
「でも、ペッパーさんもサンラクさんも。サイガ-0さんも、皆さん凄いですよ!」
言いたい事を言い合いながら、フィフティシアへと向けて進んで行く。と、サイガ-0はサンラクにもう一つ、彼に質問をしてきた。
「あ、あの、サンラク……さん」
「ん?どうしました、レイ氏」
「明日迄に、フィフティシアへ……向かい、たい……と言っていた、そうですが……。ど、ドナカ……との、
話の空気が変わる兆候を、ペッパーとペンシルゴン、そしてサンラクが感じ取る。警戒を厳としつつ、周囲の敵が此方に迫ってこないかを見定めながら、成り行きを見守る。
「えっ?あ、はい。別のゲームで知り合った『男女』二人組のプレイヤー何ですけど………。
サンラクの答えに、果たしてどんな反応をサイガ-0は如何なる反応をするのか………。
「ソ、ソウナンデスカ…!………………良かった、まだフレンドじゃない」
どうやらセーフだったらしく、空気が穏やかに成っていく。しかし同時にサイガ-0から放たれるは、並々ならぬ気迫であり。
(まだ、フレンドじゃない……つまり『チャンス』が有る……!此の
漫画ならば背景の効果音で、ゴゴゴゴゴゴゴ………!と響く様な其れに、ペンシルゴン・京極・秋津茜以外のメンバーとヴォーパルバニーが、ビクリ!と反応。
「あ、皆さん!実は、此のエリアには『エリアボスまでの最短ルート』が在るんです。少し複雑では有るんですが、良ければ御案内致します!」
「えっ!?マジすか!?」
そんな中、サイガ-0からの提案にサンラクが反応する。此の危険地帯を、最短でエリアボスまで行ける道程は、武器の耐久値を減らさず済む上に、日を跨がすにフィフティシアに到着出来るなら、好都合な事は無い。
「皆、良いか?」
「最短でエリアボス到達なら悪くないね」
「私も賛成、道中の相手と戦わずに済むなら」
「僕も賛成」
「私もです!」
「サイガ-0さん、案内をよろしくお願い致します」
全員一致の賛成でサイガ-0が先頭を行き、クラン:
サンラク・ペッパー・ペンシルゴン・オイカッツォ・京極・秋津茜は知らない。
サイガ-0が此の最短ルートを、虚覚えでいる事を。
サイガ-0は知らない。
サンラクと少しでも、一分一秒でも長く居たいという気持ちにより、旅狼からの要請を半分裏切っている事を。
「ペッパーさん達、エリアボスと
レーザーカジキは知らない。
今進んでいる其のルートは、本来到達出来る筈のエリアボスから、完全に『離れた方角』に向かっている理由を。
彼は、狼達が違う方向に進んでいると伝えるべく、其の脚で追い掛けて行く。
そして彼等彼女等は知らない。
此のエリアには既に、『夜の帝王』が来ている事を。
夜が来る
夜が、来る
夜が━━━━━来る