勝利の為、道を作る
夜襲のリュカオーン。ペッパーとサンラクが出逢い、其の身に『呪い』と言う名のマーキングを刻み付け、何れ倒すと心に定めた敵。
夜の影より現れる黒い狼は『単純な近接戦闘能力』の凄まじさに加えて、自身と同じ大きさか其れ以上の『影』から、分身による『飛び掛かり攻撃』を仕掛けてくる。
「全く、常に『フィールドの影』に気を付けなきゃなんねぇって……!クッッッソ、面倒な事してくれやがる……!」
「おまけにっ…!分身攻撃の頻度がさっきより『上がって』来てるな、サンラク!ペンシルゴン!ペッパー!具体的に体感一分に三回程度!」
「本体を狙わなくちゃならないのに、分身が其れを『邪魔』してくるなんて……!相変わらず厄介極まりないよ!」
分身攻撃を回避しつつ、パリィを続けるサンラクとオイカッツォ。本体の前足薙ぎ払いから逃げ仰せつつも、新たに現れた分身による飛び掛かりを、何とか避けるペンシルゴン。
「でも、こうも分身攻撃を見せられれば『色々』と判ってきた事も有る!あの分身攻撃は、必ず『出現時に影が変形』するっていうモーションが『発生する』!反射神経が優れていないプレイヤーは、常に『影から10m以上離れる事』でギリギリになるけれど、回避は可能だ!
そしてフィールドに存在している『影の位置』を意識しながら、一人では対処出来ない『死角』を、他者の視界で補い合えば、攻撃に対処出来ない訳じゃない!」
ペッパーが状況を説明しながら、
『上段唐竹割り』の如く、リュカオーンの身体に攻撃を叩き付けるが、其の毛並みは強靭であり頑強。斬撃による攻撃はやはり効果が薄いと認識し、直ぐにギルフィードブレイカーへと装備変更を行う。
「わぁ!?今度は此方にも来ました!?」
「いいいいいいいいいいいい!!!??」
「これヤバイですわぁああああ!?」
「シー兄さん、エムル!」
「何としても御守りするで御座る!」
レーザーカジキが自身に敏捷強化のバフを施し、
「今だよ、サイガさん!」
「『カタストロフィー』………!」
「そして俺が、後を取るッ!」
「俺も居るんだよッ、リュカオーン!」
ノックバックの僅かな隙を、ペッパーが空中を駆けながらにギルフィードブレイカーを振るい、鎚武器系スキル:
サンラクが
戦闘開始から五十分が迫る中、
「レイ氏!アポカリプスの
「あと30秒、です!」
「サンラク、オイカッツォ!リュカオーンのヘイトは一旦、俺が受け持つ!万が一に備えて秋津茜とレーザーカジキの方へ援護を!」
「あーくん!其のヘイト受け持ちは、おねーさんも出来るから協力させなさぁーい!」
「解った!けど、涙珠は使えるようにしておこう!」
ミルキーウェイの効果終了と同時に、ギルフィードブレイカーを己の
其の時、リュカオーンがグルル……!と喉を鳴らして。ペッパーとペンシルゴンの目の前で前足を叩き付け、砂塵を発生させてきた。
「ぐっ……!?」
「目眩まし……!けど、距離は……えっ!?」
砂埃が晴れるも、リュカオーンの姿が無い。何処に居るのかと辺りを見渡せば、黒から白へ鎧の色が反転したサイガ-0の真後ろの影が蠢き、黒狼の形を作るのが見えて。
「レイ氏!後ろだ!」
「!」
逸早く気付いたサンラクの声によって、サイガ-0が飛び掛かり攻撃を回避する。だが、其の瞬間。ペッパーのゲーマーとしての直感が、高らかな
彼はずっと疑問を抱いていた。何故リュカオーンが影から出現するのか?何故巨大な影から其の姿を見せるのか?
そして━━━━━━
『リュカオーンの本体も、影移動が出来るのではないのか?』と
「サンラクさんのお陰で、何とか……避けられまし「もう一回避けろ!そいつは『本物のリュカオーン』だ!」
『!?』
ペッパーの声でバッと振り向いたサイガ-0に、リュカオーンは『してやったり』と口角を吊り上げ笑いながら、其の前足を振り翳して。
「さっっっっっっせ、るぅかあああああああ!!!!」
己の胸に琥珀を叩き付け、
そしてリュカオーンとの狼達の連合軍の間に、ペッパーが割り込む形で盾を構えて守備に入りつつ、再び一同が合流する。
「あ、わわわわ!?ひゃああ………!?」
「ふぅ……あっぶね。間に合って良かった」
「てか、サンラク。其のバチバチしてる黒雷何なの!?めっちゃ速くなったよね!?」
「其れは後でな、カッツォ!全く『とんでもない事』してくれたな、リュカオーンの野郎……!」
「い、いやまさか……えと、本体も影移動出来るなんて……」
「あーくんが気付いてなかったら、レイちゃんが倒されてたかも知れないないね……」
「油断も隙も無いね、本当に……!」
「本当に機敏ですね、リュカ……リュカ……リュカローン!」
「リュカオーンですよ、秋津茜さん………」
「い、命が幾つ合っても足りないですわ……」
「エムル、気張るのさ。ヴォーパル魂を全開に燃やすのさ……!」
「アイトゥイルの言う通りで御座る!」
お姫様抱っこされた事でバグり掛けたサイガ-0を下ろしつつ、琥珀を胸に叩き付けて黒雷を散らし、解除したサンラクにオイカッツォが反応してきて。ペンシルゴンと京極、そして秋津茜とレーザーカジキに三羽の兎達も集い、此方の様子を伺い続けているリュカオーンを見る。
だが、サンラクはサイガ-0に。延いては此の戦いに関わる、全てのプレイヤーに向けてこう言った。
「いいや。リュカオーンの本体が『影移動出来る』ってのは、其処まで『重要な事』じゃない。一番の問題は………『其れ』を意図的に、此所まで『隠していた』って事だ」
「……………?………あ、もしかして『そういう事』……!?」
此所で事の重大さに気付いたペンシルゴンが声を出し、サンラクは答えを示す。
「俺達はリュカオーンの分身攻撃を見せられ、モーションを刷り込まれ続けた事で。リュカオーンの本体は、影移動が出来ないと━━━━━━━
明かされたリュカオーンの『狡猾さ』、そしてペッパーの『思考深度』に全員が息を飲む。
「…………確かに其れなら、リュカオーンが此所まで分身攻撃を『しつこく続けてきた理由』にも、説明が付くな」
「そうなると此所からは、影移動で『避けられる事』も考慮しないといけなくなるね。今まで以上に当てる事が難しくなる」
「責任重大……ですね」
「僕達で何とかするから、サイガさんは切札の為に準備を続けて」
「私も御手伝いしますよ!」
「その、僕も……!自分に出来る事、頑張ります!」
「や、やってやりますわ!」
「其の意気さ、エムル!」
「うむ!拙者もヴォーパル魂を燃やすで御座るよ!」
開示された情報を元に、攻略への
ユニークモンスターの本領