戦いは続く
夜の帝王、ユニークモンスター・夜襲のリュカオーン。夜の時間帯にフィールドの影より現れて、自由気ままに様々なエリアへと飛び回る、暗闇が狼の貌を持った存在。
己の分身を作り出し、多方面からの飛び掛かり攻撃に加え、自らも其の分身に紛れ、攻撃を仕掛けてくるという確かな狡猾さをも、此のモンスターは持ち合わせている。
「わあああああ!?」
「ひぃぃぃぃぃ!?」
「レーザーカジキは炎魔法!アイトゥイルは
「解ったのさ、ペッパーはん!」
「は、はい!」
戦闘開始から一時間になる頃。分身攻撃を偽装した本体に、危うく捕まり噛み千切られそうになった、青い魔術師とパートナーのヴォーパルバニーを抱え逃げ、ペッパーが全力疾走で駆けて指示を出す。
「すぅぅぅぅぅ………ッ!酔息吹!」
「エンチャント・ヴォーパル!からの……フレイム・ジャベリン!」
口に含んだ酒の総量を参照する火炎放射と、兎の国ツアーを完遂して習得した致命魔法と共に打ち出される、火炎属性の魔法の槍がリュカオーン目掛けて飛来する。
だが一人と一羽の攻撃は、リュカオーン自身が正面に居た事もあってか、横ステップで躱わされてしまう。
「あぁ、外れちゃいました!」
「素早いのさ、夜の帝王は!」
「いや、其の攻撃で………三人の攻撃が届く!」
チラリと見つめた先、回避方向に走り込むオイカッツォとサンラク、そしてサイガ-0の姿が在り。
「オルゥア!!」
「赤と黄色………重ねて、橙!拳気【
サンラクが左前足へ、アガートラムとハリケーン・ハルーケン、そしてテンカウンターの三種同一系統攻撃スキルを使い、〆に
オイカッツォは左後ろ足に、クリティカル時の威力が上昇する拳気と左フック→右ストレートの連接攻撃、更に筋力を参照したノックバックスキルでぶん殴る。
とあるクソゲーをプレイした時にサンラクとカッツォ……其の時は『カッツォマール』が試した、獣型モンスター限定の禁断技『片側膝カックン』。巨大な敵を確定で転ばせ、代償に敵のヘイトを大特価で買い取る大技でリュカオーンの体勢を崩し、其の動きを止める。
「アポカリプス………!」
倒れて体勢を立て直さんとするリュカオーンの背中に、漆黒を放つ
「レイ氏!あと何発!?」
「アポカリプスが二回、カタストロフィーが三回……です!」
「オーケー!援護するよ!」
此所まで順調に条件達成に向けて動けている。だが相手は分身に本物を混ぜ込み、此方を欺いてきたユニークモンスター。そう簡単に崩せる相手かと言われれば、否と言うべきである。
そしてシャンフロの天気は、現実と同じように『変化していく』。風が吹き。ゆっくりと雲が流れ、此の『
フィールドを『暗闇』が満たしたのを、膝カックンを喰らい起き上がったリュカオーンは見、其の姿が黒の闇の中へと━━━━━━━『消える』。
「えっ……!?」
「リュカオーンが……」
「消え、た?」
サンラクは知っている。最初の邂逅と戦闘で、リュカオーンが暗闇の中に消えたのを。其の後に背後や真横から『いきなり』現れて、此方を食い殺さんとしたのを。
「あーくん!」
「全員、フィールドを警戒!何を仕掛けてくるか解らない、気を付けろ!」
イーディスを構えながら、
局極到六感によって強化された視覚により、本来なら『目に見えない物』や『耳に捉えて聞こえない音』をキャッチ可能になったペッパーと、其の方角に逸早く気付いた秋津茜の目には。
『
「京極!前に飛べ!」
「
「えっ、な━━━━━ガッ!?」
ペッパーが渾身の力で駆け出し、秋津茜が忍者特有の指の構えを取った瞬間、京極はリュカオーンと目が合い。次の瞬間に彼女の胴体は噛み千切られて、下半身が其の場に残され、上半身はリュカオーンの剣山に等しい鋭い歯達に貫かれ。
「京極!」
「きょ、京極さん!?」
「京極ちゃん!」
「
オイカッツォ・レーザーカジキ・ペンシルゴン・サイガ-0が叫び。シークルゥ・アイトゥイル・エムルが、夜の帝王の力を目の当たりにし、目を見開く中。
サンラクは一人、ユニークモンスター・夜襲のリュカオーンの持つ、夜襲の
「『夜に襲って来るから夜襲』なんじゃない………!
『
上半身を噛み千切られ、出血のようにポリゴンを撒き散らす京極が、突如『丸太』に変わって転がり落ち。同時に雲が動き、フィールドに月光が射し込んだ事で、透明になっていたリュカオーンが姿を現す。
「………へ?」
「丸、太……?」
「だぁはっ!?し、死ぬかと思った!?」
「え、身代わり!?」
「間に合いました!【
「凄い、忍者みたい……!」
ペッパーとペンシルゴンが声を上げ、レーザーカジキの真後ろに京極が現れた事に、オイカッツォが反応。秋津茜が種明かしで、レーザーカジキが目を輝かせる。
そんな中、サンラクが皆に宣言するかのように言い切った。
「皆、リュカオーンの『透明化攻撃』━━━そいつを『無効化する方法』を思い付いた。一分、時間をくれ」
「………何か策が有るんだな?サンラク」
「あぁ。頼めるか?」
「任せろ」
ペッパーが力強く答え、サンラクが頷いて。連合軍がフォーメーションを変える。ペッパーとペンシルゴンがサイガ-0のカタストロフィー直撃をサポートしに行き。
秋津茜は空蝉による緊急回避に、オイカッツォは秋津茜が対処出来ない速度の攻撃へ備え。
京極・シークルゥが遊撃、レーザーカジキ・アイトゥイル・エムルがサポートに付き。
そしてサンラクは『インベントリア』の中から、三つのアイテムを取り出し、装備していく。
「こんな真夜中に叩き起こして悪いが、お前の力が必要になる!さぁ、初仕事だ………『
サンラクがビィラックを育成し、規格外エーテルリアクターを直した後。所持者たるオイカッツォに頼み倒し、更には『便秘百連戦』で手を打ち、死闘を乗り越えた事で『一番乗りの権利』を得ていた。
彼はインベントリアから、鳥の頭の形を模した
規格外エーテルリアクターから莫大なエネルギーが送られ、四幻獣の一角の名を冠せし赤い機械の鳥が起動。遂にウェザエモンの遺産が永き時を越え、再び動き始めたのだった………。
夜襲の意味、状況打開の一手