剣に込められた『力』の意味
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!???」
戦闘開始から二時間が経過した頃、戦局は大きく動き、変わった。
分身が襲い掛かる。本体が襲い掛かる。ペッパーは正直生きた心地がしなかった。
(だがッ!『此れで良い』んだ!!!)
墓守のウェザエモンの魂たる『折れたバンガード』を用いて、ヴァイスアッシュの力によって真化に至った剣であり、リュカオーンにとって自分の片目を奪った武器であり、其の持ち主を必ず殺すと誓いを立てた。
故にこそ、持ち主であるペッパーに攻撃が集中する。彼を完全に殺すまで、其のヘイトは、其の攻撃は文字通り
「ヘイトがペッパーに移った……!」
「というか、あの剣から『黒いオーラ』出てない?呪いの剣?」
「あーくんが囮を買ってくれたから、サイガちゃんは今の内に作戦続行!カジキ君は今の最大魔法準備、
単身でリュカオーンのヘイトを全て受け持ち、フィールド内で駆け跳ねて、左手に
「オイカッツォさん!敏捷強化魔法です、頑張ってください!」
「お、ありがと。レーザーカジキも魔法援護、頼りにしてるよ」
「はいっ!大きな一撃、放つ準備します!」
距離を維持しつつ、メンバーが動いたのを見ながら、ペッパーもまたリュカオーンに挑発を入れる。
「どうした、リュカオーン。俺は此所に居るんだぜ?」
サイガ-0が奴等の要だと言うのは『解っている』。だが目の前に在る『復讐対象』を、リュカオーンは無視する事は出来ない。剣の切っ先で手招くペッパーに、リュカオーンが襲い掛かる。
幕末や様々なレトロFPSで培った、バトルロイヤルの知識を総動員し、リュカオーンの視線や瓦礫の影の位置を把握、分身攻撃と本体の攻撃から身を守り、そしてメンバーの攻撃を当てられる位置に誘導していく。
「アポカリプス……!」
「アガートラム!」
「
左脇腹にサンラクとオイカッツォの、左後ろ足にサイガ-0の攻撃が突き刺さり、リュカオーンが体勢を崩す。
「サンラクさん、オイカッツォさん、ペッパーさん……!このまま、カタストロフィーを……ぶつけます!」
「了解だ、レイ氏!」
「解った!」
「任された!」
分身攻撃の合間を縫い、本体の攻撃を掻い潜り、ペッパーの握りしグランシャリオが、リュカオーンの毛並みを切り裂く。傷は僅かに出来はしたが、其れも直ぐに修復されてしまう。
彼の攻撃の御返しとばかりに、分身攻撃が襲い掛かる中、イーディスで往なしてグランシャリオで斬る、パリィ&スラッシュで反撃しながら、ペッパーは思考を止めない。
(効果が薄くても良い………!俺が一分一秒でも、リュカオーンから生き残れば!皆を守り、作戦を遂行出来る!)
「エムル!マジックチェーンいけるか!」
「はいなぁ!!」
「頼む!んで、リュカオーンよぉ。ペッパーばっかに『オネツ』なら、コイツを食らってやがれ!」
「行くぞ、【
そして生成された水晶柱は打撃時の威力上昇だけでなく、水晶の砲弾として発射可能なのだ。リュカオーンがペッパーに集中している中、
僅かにリュカオーンの前足が止まった所に、エムルのマジックチェーンが絡み付く。
「カタストロフィー!」
サイガ-0の攻撃が突き刺さる。切札発動の為の条件の一つ、カタストロフィーを同一対象に当てるという目標は達成し、残すはアポカリプスを一発当てるだけの所まで来た。
「あと、アポカリプスを……一回で、条件達成……します!一分、ください……!」
「きっちり生き残ってみせる、よぉっ!!!」
「よっし、このまま一気に『ビーッ!ビーッ!』んぉ、何だ!?」
だがそうは問屋が下ろさないとばかりに、悪い事が起きる。サンラクの頭に装着された
「ちぃ、マジか!?まだ十分も経ってねぇのに、燃料バカ食いか……!朱雀にゃあ、まだ『大仕事』が残ってるんだ!ブースターを切って、低出力で下降して待機!」
「サ、サンラクさん。一体誰とお話してるですわ……?」
「お空の鳥さん」
「サンラクサン……頭がオカシク………」
「俺は極めて正常だよエムル」
何かオイカッツォが遠い目で此方を見ていた。取り敢えず奴には、此の戦いの後でデコピンを叩き込む。
「サイガ-0さんにサンラクさん、ペッパーさんにオイカッツォさん……皆凄いです………!」
「僕も前線に出たい所だけど、生憎リュカオーンには斬撃は薄いと来た。まぁ、出番と有らば即行動の心構えでは居るけれども」
前線を張り続け、
「雲は………まだ大丈夫。後はレイちゃんの切札発動前に曇らなければ、何とかなる………!」
「ペッパーはん、エムル……気張るのさ……!」
「アイトゥイル、拙者達も各々の役目を全うしようぞ」
ペンシルゴンが空を見上げて雲と月の状態を確認し、アイトゥイルとシークルゥは来るべき時に備えて。
「巡り満たす水よ。暗闇を照らす炎よ。生命を育む土よ。音色を奏でる風よ。四の素と輪廻は廻り、歯車は噛み合い、大いなる力の奔流は出で顕る………」
レーザーカジキは今の自分に繰り出せる、最高の魔法を繰り出すべく詠唱を続けていく。
戦いはクライマックスを迎えようとしていた………。
いざ、終幕へ