リュカオーン戦、此所に終結
「我は混沌を手繰る者。天上に在りて天の果てへ飛翔し、奈落に在りて深淵の底へ潜行す」
サイガ-0の詠唱と共に、其の身に纏うユニーク装備『双貌の鎧』が、其の手に握る『
白亜の重鎧は色を、輝きを、力を失い、赤土色の
「双貌たる天魔、尚も手を伸ばし極点へと至る」
発動までの条件と長い詠唱を必要とするが、其の一撃は『絶大』の一言に尽きる。事実、サイガ-0が【
「我が覇道を塞ぐ大敵よ、我が覇たる道の先導は我が他に要らず。即ち我が一撃は塞がる万象を砕く」
白き聖と、黒き邪。相反する力を二重螺旋に織り込み、交ぜ合わせ、混沌を創り出し。サイガ-0は此のスキルはきっと、此の時の為に在ったのだと確信する。
クラン:
「我が身は天に在りてサタナエル、魔に在りてサタン。双貌一つに混沌を
透明分身は防がれ、復讐の得物の臭いに縛られ、全てが後手に回ったリュカオーンは、斬られた右後足を其のまま『オマエだけは』と、ペッパー目掛けて渾身の力で飛び掛かり、粉砕されていた顎を形作り直して襲い。
しかし其の前に立ち塞がったのは、此所まで仲間達の献身と援護により、遂に詠唱を終えて攻撃に漕ぎ着けたサイガ-0の姿。其の両手に握る剣には、混沌の螺旋渦巻く力の奔流が在り。
「
解き放たれるは、白と黒の混沌が紡ぐ二重螺旋。破壊に次ぐ破壊の連鎖を宿せし、力の濁流にして奔流。絶大無比の一言に尽きる、他の追随を許さない
アルマゲドン………其れがサイガ-0が称号【最大火力】を取るに到りし切札にして、其の由縁となったユニークスキル。
初段の1,0倍の攻撃から始まり、続いて1,1倍率、更に続いて1,2倍率、更に更に続いて1,3倍率、1,4・1,5・1,6・1,7・1,8・1,9の倍率での攻撃を多段式に連ね、最終的には2,0倍率での攻撃を行う━━━━━━━其れ即ち『十段階乗算式十一回連続ダメージ判定を叩き込む』という
「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
『ギ、ガッ……グルァ………!!!』
サイガ-0が吠え、リュカオーンの身体を混沌螺旋のエネルギーが削り、リソースを凄まじい速度で削り尽くしていく。大火力と大質量の激突による衝撃波が襲い掛かり、近くに居たペッパーはタンブルウィードの様に転がって、ペンシルゴン達は吹き飛ばないよう近くの瓦礫にしがみつく。
「おわああああああああああああ!?」
「ぴゃあああああああああああああ!!!」
「なんつー火力……!コレが、レイ氏の切札……とんでもねぇスキルじゃねーか……!」
「対人戦で、アレは食らいたくないね……!」
「私も同意だよ、カッツォ君!というより、あーくん待ってて今助けに行くよ!!」
「とんでもないね、全く…………!」
「ほわぁぁぁぁ………」
「凄い、のさ……!」
「何という……!」
ぶつかり、爆ぜて、轟音が鳴り。十一連撃目━━最後の波動がリュカオーンに当たって、アルマゲドンが終わりを告げた。
「す、凄い……!凄いですよ、サイガ-0さん!此れならリュカオーン………も……!?」
御決まりなフラグの台詞を秋津茜が言い放ち、砂塵が晴れた先で全員が見たのは。右顔面は完全に崩壊し、右半身はすっぱりと叩き斬られ。本来ならば立っている事等、狼の構造上
夜襲のリュカオーンはサイガ-0の前で、戦いに関わった全ての者達の視界に
「ッ………これでも、まだ足らない………!?」
「レイ氏!」
「サイガ-0さん!」
兎月を取り出したサンラクが、ペンシルゴンに受け止められたペッパーが、そして他の者達もリュカオーンの前に膝を付いた、土錆びた重騎士を守らんとして走り出し。
リュカオーンはサイガ-0を、走ってくるサンラク達を、最後にペッパーの姿を見つめて。
「リュカオーンが、崩壊していく……?」
「や、やりましたか……?」
消え行く宿敵を見たサンラクが、フラグな台詞をサイガ-0が呟く。辺りを見回す一同だったが、此所でエムル・アイトゥイル・シークルゥの三羽のヴォーパルバニー達が、上を見上げて叫んだ。
「サ、サンラクさん!まだ、リュカオーンが
「ペッパーはん!上に、上にリュカオーンが!」
「秋津茜殿!まだ、夜の帝王は
兎達の声に皆が見上げた視線の先には『何もない』。だが其処にはハッキリと、リュカオーンの気配が『在る』。小さな開拓者達が力を結集し、自分を打ち倒した事を見届けたかのように、リュカオーンは小さく『笑っていた』。
そして彼等彼女等の前に、リザルト画面が表示される。其の中で唯一人、ペッパーだけは『もう一つの項目』も追加されて表示されたのだった。
『称号【
『特殊状態【導きの灯火】を入手しました』
『ユニークシナリオEX【夜闇を祓うは勇気の灯火】を開始しますか?【Yes】or【No】』
『ユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】が進行しました』
影を討ち、ユニークシナリオが現れる