VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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リュカオーン戦、此所に終結




夜天に星を、勇気に灯火を 其の十二

「我は混沌を手繰る者。天上に在りて天の果てへ飛翔し、奈落に在りて深淵の底へ潜行す」

 

 

サイガ-0の詠唱と共に、其の身に纏うユニーク装備『双貌の鎧』が、其の手に握る『神魔の大剣(アンチノミー)』が、変化を起こし始めた。

 

白亜の重鎧は色を、輝きを、力を失い、赤土色の本来の姿(・・・・)へと戻っていき。変わりに黒の巨剣には白のエネルギーが流れ込んで、黒のエネルギーが反発。剣身に白黒の『螺旋』を描きながら、互いに其の力を高め合っていく。

 

 

「双貌たる天魔、尚も手を伸ばし極点へと至る」

 

 

 

天帝魔王(サタン)のカタストロフィー、魔王天帝(サタナエル)のアポカリプス。其れ等の二つのスキルを用いて、尚も倒せぬ相手にのみ開示される此の『奥義(スキル)』は、世界観を彩る設定から『切札』とされている。

 

発動までの条件と長い詠唱を必要とするが、其の一撃は『絶大』の一言に尽きる。事実、サイガ-0が【最大火力(アタックホルダー)】を賜るに至ったのも、クラン:黒狼(ヴォルフシュバルツ)のメンバー達による強化(バフ)も有ったが、一番は此のスキルによる部分が大きい。

 

 

「我が覇道を塞ぐ大敵よ、我が覇たる道の先導は我が他に要らず。即ち我が一撃は塞がる万象を砕く」

 

 

白き聖と、黒き邪。相反する力を二重螺旋に織り込み、交ぜ合わせ、混沌を創り出し。サイガ-0は此のスキルはきっと、此の時の為に在ったのだと確信する。

 

クラン:旅狼(ヴォルフガング)のメンバーが、各々の出来る事を成し遂げて来たからこそ。誰か一人でも欠けていたら、出来なかったからこそ。今こうして自分の持つ最強の一撃を放てるのだと、サイガ-0はそう想うのだ。

 

 

「我が身は天に在りてサタナエル、魔に在りてサタン。双貌一つに混沌を執行()す」

 

 

透明分身は防がれ、復讐の得物の臭いに縛られ、全てが後手に回ったリュカオーンは、斬られた右後足を其のまま『オマエだけは』と、ペッパー目掛けて渾身の力で飛び掛かり、粉砕されていた顎を形作り直して襲い。

 

しかし其の前に立ち塞がったのは、此所まで仲間達の献身と援護により、遂に詠唱を終えて攻撃に漕ぎ着けたサイガ-0の姿。其の両手に握る剣には、混沌の螺旋渦巻く力の奔流が在り。

 

 

始源(ハジマリ)終焉(オワリ)を謳え━━━!【アルマゲドン】!!!!」

 

 

解き放たれるは、白と黒の混沌が紡ぐ二重螺旋。破壊に次ぐ破壊の連鎖を宿せし、力の濁流にして奔流。絶大無比の一言に尽きる、他の追随を許さない最大火力(アタックホルダー)の切札が、リュカオーンの━━━━夜の帝王の顔面に直撃する。

 

アルマゲドン………其れがサイガ-0が称号【最大火力】を取るに到りし切札にして、其の由縁となったユニークスキル。

 

初段の1,0倍の攻撃から始まり、続いて1,1倍率、更に続いて1,2倍率、更に更に続いて1,3倍率、1,4・1,5・1,6・1,7・1,8・1,9の倍率での攻撃を多段式に連ね、最終的には2,0倍率での攻撃を行う━━━━━━━其れ即ち『十段階乗算式十一回連続ダメージ判定を叩き込む』という究極の切札(・・・・・)にして、使用者に勝利をもたらす『必勝の一撃』なのである。

 

「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

『ギ、ガッ……グルァ………!!!』

 

サイガ-0が吠え、リュカオーンの身体を混沌螺旋のエネルギーが削り、リソースを凄まじい速度で削り尽くしていく。大火力と大質量の激突による衝撃波が襲い掛かり、近くに居たペッパーはタンブルウィードの様に転がって、ペンシルゴン達は吹き飛ばないよう近くの瓦礫にしがみつく。

 

「おわああああああああああああ!?」

「ぴゃあああああああああああああ!!!」

「なんつー火力……!コレが、レイ氏の切札……とんでもねぇスキルじゃねーか……!」

「対人戦で、アレは食らいたくないね……!」

「私も同意だよ、カッツォ君!というより、あーくん待ってて今助けに行くよ!!」

「とんでもないね、全く…………!」

「ほわぁぁぁぁ………」

「凄い、のさ……!」

「何という……!」

 

ぶつかり、爆ぜて、轟音が鳴り。十一連撃目━━最後の波動がリュカオーンに当たって、アルマゲドンが終わりを告げた。

 

「す、凄い……!凄いですよ、サイガ-0さん!此れならリュカオーン………も……!?」

 

御決まりなフラグの台詞を秋津茜が言い放ち、砂塵が晴れた先で全員が見たのは。右顔面は完全に崩壊し、右半身はすっぱりと叩き斬られ。本来ならば立っている事等、狼の構造上不可能な筈(・・・・・)であるのに。

 

夜襲のリュカオーンはサイガ-0の前で、戦いに関わった全ての者達の視界に立っていた(・・・・・)

 

「ッ………これでも、まだ足らない………!?」

「レイ氏!」

「サイガ-0さん!」

 

兎月を取り出したサンラクが、ペンシルゴンに受け止められたペッパーが、そして他の者達もリュカオーンの前に膝を付いた、土錆びた重騎士を守らんとして走り出し。

 

リュカオーンはサイガ-0を、走ってくるサンラク達を、最後にペッパーの姿を見つめて。愉悦と歓喜に口元を歪めた後(・・・・・・・・・・・・・)心底愛おし気な視線(・・・・・・・・・)をペッパーに向け、其の身体を崩壊させていく。

 

「リュカオーンが、崩壊していく……?」

「や、やりましたか……?」

 

消え行く宿敵を見たサンラクが、フラグな台詞をサイガ-0が呟く。辺りを見回す一同だったが、此所でエムル・アイトゥイル・シークルゥの三羽のヴォーパルバニー達が、上を見上げて叫んだ。

 

「サ、サンラクさん!まだ、リュカオーンが見てる(・・・)ですわ!」

「ペッパーはん!上に、上にリュカオーンが!」

「秋津茜殿!まだ、夜の帝王は其処に(・・・)居るで御座る!!」

 

兎達の声に皆が見上げた視線の先には『何もない』。だが其処にはハッキリと、リュカオーンの気配が『在る』。小さな開拓者達が力を結集し、自分を打ち倒した事を見届けたかのように、リュカオーンは小さく『笑っていた』。

 

そして彼等彼女等の前に、リザルト画面が表示される。其の中で唯一人、ペッパーだけは『もう一つの項目』も追加されて表示されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『称号【影狼(かげろう)穿(うが)つ】を獲得しました』

『特殊状態【導きの灯火】を入手しました』

『ユニークシナリオEX【夜闇を祓うは勇気の灯火】を開始しますか?【Yes】or【No】』

『ユニーククエストEX【七星の皇鎧よ、我が元に集え】が進行しました』

 

 

 

 

 

 






影を討ち、ユニークシナリオが現れる


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