変化したマーキング
違う、そうじゃない。そうじゃないんだよ、リュカオーン。俺は呪いを解けと言ったんであって、呪いを更新しろとは一言も言ってないんだよ。しかも内容の充実や、一定時間経過で装備破壊とか、ギャグやりたい訳じゃない、人としての最低限の尊厳が欲しいんだわ。
━━━そんな心の声を挙げてか、青筋を鳥面にビキビキと走らせるサンラク。
いや、何故そこで愛ッ!?いや何で?なんで??ナンデ???突発的なロールプレイが必要な場面だと感じたから、自分とリュカオーンの勝敗が1:1で有る事実を踏まえて、御決まりの御決まりな台詞でキザっぽく決めたら、リュカオーンの寵愛受けましたって何なの?
━━━ますますリュカオーンという存在が、何を考えてるのか解らなくなったペッパー。
「「何か悪化してるーーーーー!?」」
「サンラクさんは真っ黒に、ペッパーさんは赤くなってるですわ」
「あ、本当……ですね」
そうして台詞がハモった所で、エムルが呪いの『色』を言及し皆の視線が集まる中、当のリュカオーンはまるで『悪戯成功』と言わんばかりに、サンラクとペッパーを見ながら『グルッグルルッル♪』と笑って。
「オイゴラ、駄犬!今すぐコイツを取り……アアア!テメ、何勝手に消えようと……いや、待って!待ってってば!ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??チクショー!ぜってークソ犬許さねぇーーーーーーーーーーーーー!!!!」
サンラクの悲痛な呼び止めも完全に無視、其の身を崩壊させて夜空に溶け込み、リュカオーンの頭は此のフィールドから気配が消え去って。
漸く一同に静寂が訪れる。
「…………なんてこった。まさかこんなトラップが有るなんて………」
「何で愛なんだよ………どうしてこうなったし………」
「大丈夫ですか?大声上げて思いっきり走れば、大体の悩みは吹っ飛びますよ!」
「そーゆーのはRTAだけで良い……」
「……一考しとくよ、
あーだこーだと、何時までも過ぎた事をウジウジ言っても、事態や状況は何も好転しない。両頬を叩いて思考を切り替えながら、リュカオーンを討伐してしまった事について、サイガ-100に報告するか否かをサイガ-0に聞く事にし。
リュカオーンの分身を倒し、報酬として手に入れた『特殊状態』なる物を、ペッパーはチェックした。
・特殊状態【導きの灯火】
昏く黒い夜闇の中において、夜の帝王と遺産への道を示す『小さな炎』をその身に宿した状態。
闇を束ねるリュカオーンは、逆説的に光を払う事ができる。リュカオーンより授けられた灯火は、リュカオーンの『一部』であり、破棄された『光』である。
『ユニークモンスター・夜襲のリュカオーン』と『夜の帝王を模倣した神代の大いなる遺産』が一定範囲内に存在する場合、其の方向を指し示す。
(リュカオーンの一式装備と、リュカオーン本体を捜す為の『レーダー』を備えた状態ね。其の範囲が一体どの程度かは知らないが、愛呪を受けた以上はリュカオーン討伐時に絶対必須……。
多分大型アップデートで行ける『新大陸』の何処かに、リュカオーンの『本体』が居る可能性は有るし、あまりモタモタしてはいられないな)
現状『夜襲のリュカオーンを模倣した一式装備』と、リュカオーンの本体を捜す為のレーダーを搭載した特殊状態と、『冥響のオルケストラに関する一式装備』の捜索・攻略に必要な
改めて思うが、自分はユニークモンスターと縁が在り過ぎている気がしなくもない。其の内ペンシルゴンやクラン連盟側から、漏れ無く『オハナシ』が飛んで来そうだと、ペッパーは心の中で溜息を付く。
ふとサンラク達の方を見れば、皆も導きの灯火の能力を見たのだろう、其の瞳の奥に闘志の炎が着いたのを感じた。ペンシルゴンは何か企んでいる感じだが。
「取り敢えずレイ氏には感謝を。エリア攻略だけじゃなく、リュカオーンの討伐まで付き合わせてしまって……」
「あ、いえ、そんな………お気になさらず!えっと、この程度の事でしたら、幾らでも付き合いま……付き、合い…………? 付き合う……?…………!つ、つつ、つ…………ぅぁ!!!???」
ボスン!と水蒸気爆発に似た音が静寂の残骸荒野に木霊し、サイガ-0が貧相な姿になった己の持つ大剣をぶん回し始め、暴風域ならぬ暴刃域が構築されて近付く物を斬り捨てんとしてくる。
「うぉ!?あぶっな!?」
「い、いえいえいえ!!! まだエリアボスを倒してません!ですので、最後までつき、つ、つつ、付き合いますとも!!はい!!!!」
やっぱりサイガ-0ってヤバい━━━━━━其れが此の場に居た全プレイヤーとNPCが抱いた感想であり、シャンフロ最強のアタッカーにして最前線を張るクラン:黒狼の切札が、構成員十名にも満たないユニークモンスター討伐一番乗りしただけの弱小クランへ移籍を希望していると、此の世界に公表されようものならゴタゴタ処か最悪『戦争』さえも不可避になるだろう。
「あ、そうだ。あーくんとサンラク君の呪いって、どっちも違う感じ?」
「あぁ」
「うん」
ペンシルゴンの問いにサンラクとペッパーは答え、各々に刻まれた呪いの効果を説明すると、ペンシルゴンの目からハイライトが消え失せた。其の理由がペッパーに刻まれた、リュカオーンの愛呪による物であり。
「へぇ……そうかぁ、そうかぁ………。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………と一際ドス黒い、リュカオーンの漆黒以上の黒を纏うペンシルゴンに、一同は引き気味になり。
そういえばリュカオーンとの戦いで、今の時間と自分はどうなったのかと思ったペッパーは、聖盾イーディスを拾いつつ、時間の確認と自身のステータス画面、そしてスキルを見て━━━━━口が開きっぱなしになった。
「オーマイガー…………」
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PN:ペッパー【
レベル:99 Extend
メイン
サブ
体力 130 魔力 50
スタミナ 213
筋力 160 敏捷 200
器用 135 技量 135
耐久力 4057 幸運 100
残りポイント:71
装備
左:
右:
両脚:無し
頭:ライノベレーの帽子(耐久力+350)
胴:隔て刃の皮ベスト(耐久力+4)
腰:発掘研磨腰帯【古兵】(耐久力+400)
脚:烈風竜印のズボン(耐久力+300)
アクセサリー
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・
・旅人のマント(耐久力+2)
・革のフィンガーレスグローブ(器用補正:小)
所持金:14,571,500マーニ
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致命武技
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・ミルキーウェイ
・グラヴィトン・レイ
【風】
・晴天流「
スキル
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・ブランチャイズ・スロー
・シルヴァディ・スティングレイ
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・
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・レーアドライヴ・アクセラレート・
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・ジャイロヴォース・スロー
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・トゥワイス・ジャンピング
・
・
・チューンブレイク・ストライカー
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・エクストライズ・トリデュート
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・
・ポルータナリッグ・ゼイリアス
・タイタニアス・スタンパー
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・
・セルタレイト・ケルネイアー
・フォートレスブレイカー
・
・グローイング・ピアス
・セルタレイト・ヴァラエーナ
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・
・
・
・
・セルタレイト・ミュルティムス
・
・
・
・パウリングレッグス レベル1
・デッドオアサバイヴ
・シャイニングアサルト レベルMAX
・ファウラム・チャージング
・グラビティゼロ レベルMAX
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・ヴァーテクス・ガーラザイド→ティオ・チャクラ レベル1
・メダリオンフィスト
・マッシライズ・キャリー→ストレングス・キャリアー
・シャルク・スライダー
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・アンストライク・ビリーブ
・ルーパス・アサイラム
・シールディア・サフレィト
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・
・
・ハリケーン・ハルーケン
・
・
・パーティック・スラッシャー→スリックランペイジ
・セルタレイト・スラッシャー
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・
・テンカウンター
・キック・バスター レベル1
・
・ビート・ラン
・ブーストアップ レベル1
・メロスティック・フット
・荒割り レベル1
・
・タップステップ
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彼がそうなったのは、新規習得スキルが少ないからでもなければ、新スキルを試さなかったから変化が少ないでもなければ、Extendの表記が追加されていた事でもない。新たに追加された『晴天流』のスキル欄と、其所に刻まれた『疾風』の二文字が、彼を絶句させたのだ。
そして時刻は午前四時半過ぎという、一徹によって朝を迎えた状態………約束の交渉の時間は今日の午後六時とはいえ、半日に差し迫らんとした状態に有ったのだから。
「ヤバいぞ、皆……。現在の時刻、朝の四時半です」
「え、マジ!?うっわマジじゃん!?」
「クソ犬と何時間戦ったんだ、俺達……」
「此れヤバいね……取り敢えずフィフティシアに向かわないと」
「一徹しちゃいました……」
「時間を認識したら、凄く眠くなってきた……」
「あわわわ!?学校有るから急がなきゃ!」
「ぼ、僕も学校が有るです!?」
サンラク・サイガ-0・秋津茜・レーザーカジキの四人が慌てた事から、彼等彼女等はまだ学生の身分なのだとペッパーは思う。其れにしても若い身で有りながら、あれだけのセンスを発揮する彼等の才能は、本当に素晴らしい限りだ。
「取り敢えずエリアボスを攻略する為、移動開始!六時になる前にフィフティシアに到着しよう!!」
『了解!!!!』
ペッパーの音頭で全員の心は纏まった。リュカオーンとの戦いを越えて、疲弊した身体に鞭打ちエリアボス討伐に向かったのだった………。
いざ、エリアボス討伐へ
Q、ペッパーは何で疾風がスキルに追加されたの?
A、グランシャリオに墓守編をセットし断風を発現+称号【天津気の襲名者】の隠された能力『晴天流を自力習得可能となる効果』により習得に至った