VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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巻きで行こう

※今年度、最終投稿です。大晦日と正月三が日はお休みします




簒奪者を叩き落とし、もたらされるは神秘

「此のエリアのボスは『簒奪者の竜(ユザーパー・ドラゴン)』……魔法攻撃や、プレイヤーの武器を簒奪………文字通り『奪う事』を得意と、しているモンスター……です」

 

無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)の端っこにて、夜襲のリュカオーンとの遭遇戦を何とか全員生存で乗り切った、クラン:旅狼とサイガ-0・レーザーカジキは、最大火力(アタックホルダー)からエリアボスの攻略情報を聞いていた。

 

「俺とペンシルゴン、レーザーカジキはパーティーで一度戦った事があるけど、殆ど地上に降りてこない影響でグダグダしかけたからなぁ………」

「まぁでも、今回はあーくんが居るから時間掛からないとは思うよ」

「ってなると、純魔のエムルとレーザーカジキは後方待機。秋津茜は物理攻撃主体で、後は袋叩きにすればOKかな?」

「其れで良いと思う、あと魔法物理のオイカッツォも下げた方が良いんじゃないかな?」

「いや、俺普通に拳気バフ入れなくても殴れるから大丈夫だぞ、京極(キョウアルティメット)

「微力ですが、お手伝いします!」

 

そうこうしている内に、エリアボスの居るフィールドに到着。迷彩色の身体を顕にして、簒奪者の竜が現れた。

 

「家のクランメンバーや、協力してくれたプレイヤーがリアルの関係もあるんでね……速攻で叩き落とす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星天秘技(スターアーツ)・ミルキーウェイは、夜の時間帯にだけ使えるようにして正解だったと思う。人がポイポイ空を走れて良いのかって、真面目に声が上がりそうな性能だ。

 

つまり何が言いたいかって言うと━━━━━だ。

 

「やっぱり、空中戦が出来るプレイヤーが一人居るだけで、難易度が変わるって事だよねぇ~」

 

物理遠距離攻撃持ちが居ないと、余裕をぶっこいていたユザーパー・ドラゴンだったが、明け方の夜空を超スピードで駆け上がりながら、ペッパーが炎熱属性が乗った飛ぶ斬撃を放って、翼膜を機能不全に追い込み。

 

飛翔手段を失った竜は地上に落ち、其れは羽を奪われた蝶と同じであり。其所に蟻が群がり狩りをするのは、自然界の定められた不変の摂理だったという事。

 

「斬打ブチコミまーす!」

「殴り込みの時間だゴラァ!」

「切り捨て後免!!!」

「たぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「斬りまくるのさぁ!!」

「行くで御座るよ!」

 

四人と二羽が群がってエリアボスを袋叩きにする光景は、何とも言えない感情を抱くには充分で。

 

「トドメ………!」

 

サイガ-0の必勝の切札・アルマゲドン。あの凄まじい一撃には当然ながら反動………即ちデメリットも在った。其れが発動後、一日の間全ステータス半減及びスキル使用不可という、決して無視出来ない制約を受けている。

 

しかも『ある理由』から、其のデメリットが『倍増』しているのだと言っていたが、其の制約を抱えても尚最大火力(アタックホルダー)の一撃は重く、そして強かった。

 

簒奪者の弱々しい、か細い断末魔を上げながら、其の身が荒野に倒れ伏す。此方である程度ダメージを与えたとはいえ、最後にキッチリ決めるサイガ-0はやはり凄まじいプレイヤーと言えるだろう。

 

ポリゴンの爆発とユザーパー・ドラゴンのドロップアイテムが転がり、誰が持つかと言う話し合いの末、秋津茜にアイテムが渡り。

 

そうしてヴォーパルバニー達は、各々マフラー・箱・マントの中に隠れて移動し。一同は遂にシャンフロ第15の街にして現状最後の、大型アップデート後は新大陸に旅立つ第二の始まりの街となる、フィフティシアへと到達したのである……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィフティシアの門でサンラクが呼び止められたり、ペッパーは自身の右手の愛呪について、NPCの門番から聞かれたりして、少しばかりの足止めを食らったものの無事通る事が出来た。

 

深夜勢がログアウトし、朝方から昼間でプレイするプレイヤーがログインする頃で、NPCも此れから起きて活動する為か、街に居る人々は疎らであったものの、シャンフロの中でも此所は指折りの大きさを誇り、人の往来も其れなりに有る。

 

「サイガ-0さんには御礼を。今回のフィフティシア行軍への御協力、そして御尽力に感謝します。其れと質問なのですが……サイガ-100さんには『リュカオーン』の事を伝えるべきでしょうか?」

「いえ、私も今回の行軍はとても楽しかった(・・・・・)ですから、御気になさらず。其れとリュカオーンの事になると、姉さ………じゃなくてクランリーダーは『面倒臭く』なるので、一週間は言わない方が良いかと」

「成程……ありがとうございます」

 

サイガ-0にクランの代表として頭を下げて、礼を述べつつ質問すると、具体的な回答を出してくれた。確かに此方も、ユニークモンスター・深淵のクターニッドに関わるユニークシナリオの攻略が有る以上、邪魔をされたく無いのは事実だ。

 

「取り敢えず裏路地に入って、其所で解散という形で良いかな?」

 

ペッパーの意見に、皆『さんせーい』と疲労の色を含んだ声で答え。取り敢えず、程好い場所でラビッツに帰還しようとした一同だったが、此所でペッパーが見たのは、裏路地の中腹辺りに胡座を掻き、涅槃のポーズで絨毯に座っている『覚醒の導師アーカナム』を見付け。其のアーカナムの視線は、ペッパー・サンラク・京極に注がれていた。

 

『強きに至りし者……汝が神秘を、覚醒してしんぜよう……』

「あ、アーカナムさんだ」

「えっ、うわ何だあのじーさん」

「覚醒の導師アーカナム……あの、サンラクさん……は、今のレベルは99ですか?」

「俺ですか?今レベル99とExtendですね」

「えっ?」

「え?」

『え?』

 

サイガ-0の言葉にサンラクも疑問で返し。周りの全員も疑問を抱いた後、暫く沈黙が流れる。そしてサイガ-0はアーカナムについてのレクチャーを始めた。

 

「えと、其の………覚醒の導師アーカナム……は、レベルを99まで上げたプレイヤーの前に現れる、特殊なNPC……です。サブ職業(ジョブ)限定で対応する、アイテム状の職業『神秘(アルカナム)』を獲得出来ます」

「神秘?」

「はい。シャンフロにおける職業は、スキルの習得に影響を与えますが………神秘はステータスに直接影響を与えます。例えば、私の場合ですと………『神秘(アルカナム):世界(ワールド)』は……『全ステータスに上昇補正を加える』代わりに『スキル・魔法のデメリット効果を二倍にする』という効果を持ってます」

 

サイガ-0は其れから、プレイヤーが手にする神秘はプレイヤー自身のパラメーター等を参考にして、決定しているのだとサンラクに伝えた。どうやら神秘にも当たり外れが有るらしく、サイガ-0に関しては当たりの部類を引いたと見て良いだろう。

 

「………よっしゃ、ならログアウト前に其の神秘チャレンジとやら、試してみるか!」

『強きに至りし者……汝が神秘を、覚醒してしんぜよう……』

 

ドカッと、アーカナムの目の前に座ったサンラクを絨毯が包み、そうして隔絶された空間の中で、サンラクとアーカナムは向かい合う。

 

『さぁ、汝が神秘は運命が決める……札を引きたまえよ』

 

空間に漂うタロットカード達。其れを見たサンラクは目を閉じて、徐に一枚のタロットカードを掴み取り、呟いた。

 

「………こういうのは大抵イベントフラグを引いた時点で、何れ引いても一緒だわな。決めたぜ、アーカナムのじーさんよ………俺の神秘は『コイツ』にする!」

 

目を開き見れば、其所に描かれているイラストは『半裸の鳥頭と二足歩行の兎が一緒になって歩いている、番号は0番のタロットカード』。

 

「コイツは………『愚者(フール)』のカードか」

『ほう……汝、定住せざる者。其の歩みは放浪か、それとも目的ありし旅か……』

 

ファサァ……と絨毯が開かれ、ぶちまけられたタロットカード達はアーカナムの掌に収まり、両手を合掌するやサンラクが掴み取った愚者のカードは彼の身体に突き刺さり、体内に取り込まれて。

 

此れまで空白だったサンラクのサブ職業に、新たに『神秘:愚者』の項目が追加された。

 

「効果は………スキルの再使用時間の半減!?マジか、大当たりじゃねーか!」

『愚者の神秘は、汝の再起を助けるであろう……』

「おう、ありがとうな!じーさん!!」

『だが………汝は汝の他に、助けを求めることが出来ぬ。故に病は、汝の首により鋭い刃を突きつけるであろう……』

「気を抜くなって事かな……まぁ、インベントリアで回復出来るし、其所んとこは無問題(モーマンタイ)って奴だ!つまり愚者は俺的に大当たりって奴だぜぇ!」

「まぁ、サンラクに愚者は似合ってると思うぞ?クックック………ったぁ!?」

「おう、カッツォ。其れ俺が愚者(バカ)だって言いたいんか?オ?」

「上等だ、掛かってこいやゴラァ!?」

「はいはい、其所の馬鹿二人。遊んでないでイベント見守る!」

 

ギャーギャーと取っ組み合いを始めた、サンラクとオイカッツォをペンシルゴンが仲裁に入る。

 

「次は………京極が行く?」

「レディに譲るって?解ってるじゃないか、ペッパー」

 

果たして京極の神秘は、そしてペッパーの神秘は一体何になるのか。皆が見守る中、京極の神秘チャレンジが始まる………。

 

 

 

 






其れは彼の神秘(アルカナム)



300話記念、情報開示コーナー





超星煌耀宝珠(クロック・スタリオン)


遥か彼方に在る『銀河』の一つであり、星を食らう『獣』であり、其の昔にポポンガによって『結晶』へと姿を変えられたモノ。

凝縮と膨張の相剋にして、相対する力を束ねた命の光。幾星霜の時の流れの中、()の『過去』を知るただ一つの手掛かり。

もしも彼が。光を喪い、生に対する絶望に染まり、星の悉くを亡ぼす『崩星(ほうせい)』となったなら。コレは彼を止める『鍵』になる筈だった(・・・)モノ。

其の可能性は『不滅』の名を冠する最強種との出逢いと、数多の亜人種族との交流の中で薄れ、蒼空を舞う勇者の行動によって、完全に潰えたのだった。





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