巻きで行こう
※今年度、最終投稿です。大晦日と正月三が日はお休みします
「此のエリアのボスは『
「俺とペンシルゴン、レーザーカジキはパーティーで一度戦った事があるけど、殆ど地上に降りてこない影響でグダグダしかけたからなぁ………」
「まぁでも、今回はあーくんが居るから時間掛からないとは思うよ」
「ってなると、純魔のエムルとレーザーカジキは後方待機。秋津茜は物理攻撃主体で、後は袋叩きにすればOKかな?」
「其れで良いと思う、あと魔法物理のオイカッツォも下げた方が良いんじゃないかな?」
「いや、俺普通に拳気バフ入れなくても殴れるから大丈夫だぞ、
「微力ですが、お手伝いします!」
そうこうしている内に、エリアボスの居るフィールドに到着。迷彩色の身体を顕にして、簒奪者の竜が現れた。
「家のクランメンバーや、協力してくれたプレイヤーがリアルの関係もあるんでね……速攻で叩き落とす!」
つまり何が言いたいかって言うと━━━━━だ。
「やっぱり、空中戦が出来るプレイヤーが一人居るだけで、難易度が変わるって事だよねぇ~」
物理遠距離攻撃持ちが居ないと、余裕をぶっこいていたユザーパー・ドラゴンだったが、明け方の夜空を超スピードで駆け上がりながら、ペッパーが炎熱属性が乗った飛ぶ斬撃を放って、翼膜を機能不全に追い込み。
飛翔手段を失った竜は地上に落ち、其れは羽を奪われた蝶と同じであり。其所に蟻が群がり狩りをするのは、自然界の定められた不変の摂理だったという事。
「斬打ブチコミまーす!」
「殴り込みの時間だゴラァ!」
「切り捨て後免!!!」
「たぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「斬りまくるのさぁ!!」
「行くで御座るよ!」
四人と二羽が群がってエリアボスを袋叩きにする光景は、何とも言えない感情を抱くには充分で。
「トドメ………!」
サイガ-0の必勝の切札・アルマゲドン。あの凄まじい一撃には当然ながら反動………即ちデメリットも在った。其れが発動後、一日の間全ステータス半減及びスキル使用不可という、決して無視出来ない制約を受けている。
しかも『ある理由』から、其のデメリットが『倍増』しているのだと言っていたが、其の制約を抱えても尚
簒奪者の弱々しい、か細い断末魔を上げながら、其の身が荒野に倒れ伏す。此方である程度ダメージを与えたとはいえ、最後にキッチリ決めるサイガ-0はやはり凄まじいプレイヤーと言えるだろう。
ポリゴンの爆発とユザーパー・ドラゴンのドロップアイテムが転がり、誰が持つかと言う話し合いの末、秋津茜にアイテムが渡り。
そうしてヴォーパルバニー達は、各々マフラー・箱・マントの中に隠れて移動し。一同は遂にシャンフロ第15の街にして現状最後の、大型アップデート後は新大陸に旅立つ第二の始まりの街となる、フィフティシアへと到達したのである……………。
フィフティシアの門でサンラクが呼び止められたり、ペッパーは自身の右手の愛呪について、NPCの門番から聞かれたりして、少しばかりの足止めを食らったものの無事通る事が出来た。
深夜勢がログアウトし、朝方から昼間でプレイするプレイヤーがログインする頃で、NPCも此れから起きて活動する為か、街に居る人々は疎らであったものの、シャンフロの中でも此所は指折りの大きさを誇り、人の往来も其れなりに有る。
「サイガ-0さんには御礼を。今回のフィフティシア行軍への御協力、そして御尽力に感謝します。其れと質問なのですが……サイガ-100さんには『リュカオーン』の事を伝えるべきでしょうか?」
「いえ、私も今回の行軍はとても
「成程……ありがとうございます」
サイガ-0にクランの代表として頭を下げて、礼を述べつつ質問すると、具体的な回答を出してくれた。確かに此方も、ユニークモンスター・深淵のクターニッドに関わるユニークシナリオの攻略が有る以上、邪魔をされたく無いのは事実だ。
「取り敢えず裏路地に入って、其所で解散という形で良いかな?」
ペッパーの意見に、皆『さんせーい』と疲労の色を含んだ声で答え。取り敢えず、程好い場所でラビッツに帰還しようとした一同だったが、此所でペッパーが見たのは、裏路地の中腹辺りに胡座を掻き、涅槃のポーズで絨毯に座っている『覚醒の導師アーカナム』を見付け。其のアーカナムの視線は、ペッパー・サンラク・京極に注がれていた。
『強きに至りし者……汝が神秘を、覚醒してしんぜよう……』
「あ、アーカナムさんだ」
「えっ、うわ何だあのじーさん」
「覚醒の導師アーカナム……あの、サンラクさん……は、今のレベルは99ですか?」
「俺ですか?今レベル99とExtendですね」
「えっ?」
「え?」
『え?』
サイガ-0の言葉にサンラクも疑問で返し。周りの全員も疑問を抱いた後、暫く沈黙が流れる。そしてサイガ-0はアーカナムについてのレクチャーを始めた。
「えと、其の………覚醒の導師アーカナム……は、レベルを99まで上げたプレイヤーの前に現れる、特殊なNPC……です。サブ
「神秘?」
「はい。シャンフロにおける職業は、スキルの習得に影響を与えますが………神秘はステータスに直接影響を与えます。例えば、私の場合ですと………『
サイガ-0は其れから、プレイヤーが手にする神秘はプレイヤー自身のパラメーター等を参考にして、決定しているのだとサンラクに伝えた。どうやら神秘にも当たり外れが有るらしく、サイガ-0に関しては当たりの部類を引いたと見て良いだろう。
「………よっしゃ、ならログアウト前に其の神秘チャレンジとやら、試してみるか!」
『強きに至りし者……汝が神秘を、覚醒してしんぜよう……』
ドカッと、アーカナムの目の前に座ったサンラクを絨毯が包み、そうして隔絶された空間の中で、サンラクとアーカナムは向かい合う。
『さぁ、汝が神秘は運命が決める……札を引きたまえよ』
空間に漂うタロットカード達。其れを見たサンラクは目を閉じて、徐に一枚のタロットカードを掴み取り、呟いた。
「………こういうのは大抵イベントフラグを引いた時点で、何れ引いても一緒だわな。決めたぜ、アーカナムのじーさんよ………俺の神秘は『コイツ』にする!」
目を開き見れば、其所に描かれているイラストは『半裸の鳥頭と二足歩行の兎が一緒になって歩いている、番号は0番のタロットカード』。
「コイツは………『
『ほう……汝、定住せざる者。其の歩みは放浪か、それとも目的ありし旅か……』
ファサァ……と絨毯が開かれ、ぶちまけられたタロットカード達はアーカナムの掌に収まり、両手を合掌するやサンラクが掴み取った愚者のカードは彼の身体に突き刺さり、体内に取り込まれて。
此れまで空白だったサンラクのサブ職業に、新たに『神秘:愚者』の項目が追加された。
「効果は………スキルの再使用時間の半減!?マジか、大当たりじゃねーか!」
『愚者の神秘は、汝の再起を助けるであろう……』
「おう、ありがとうな!じーさん!!」
『だが………汝は汝の他に、助けを求めることが出来ぬ。故に病は、汝の首により鋭い刃を突きつけるであろう……』
「気を抜くなって事かな……まぁ、インベントリアで回復出来るし、其所んとこは
「まぁ、サンラクに愚者は似合ってると思うぞ?クックック………ったぁ!?」
「おう、カッツォ。其れ俺が
「上等だ、掛かってこいやゴラァ!?」
「はいはい、其所の馬鹿二人。遊んでないでイベント見守る!」
ギャーギャーと取っ組み合いを始めた、サンラクとオイカッツォをペンシルゴンが仲裁に入る。
「次は………京極が行く?」
「レディに譲るって?解ってるじゃないか、ペッパー」
果たして京極の神秘は、そしてペッパーの神秘は一体何になるのか。皆が見守る中、京極の神秘チャレンジが始まる………。
其れは彼の
300話記念、情報開示コーナー
遥か彼方に在る『銀河』の一つであり、星を食らう『獣』であり、其の昔にポポンガによって『結晶』へと姿を変えられたモノ。
凝縮と膨張の相剋にして、相対する力を束ねた命の光。幾星霜の時の流れの中、
もしも彼が。光を喪い、生に対する絶望に染まり、星の悉くを亡ぼす『
其の可能性は『不滅』の名を冠する最強種との出逢いと、数多の亜人種族との交流の中で薄れ、蒼空を舞う勇者の行動によって、完全に潰えたのだった。