王鯱戦決着
「マジでタフだな……………アトランティクス・レプノルカ!」
サムライアーマーと白光を纏い、ペッパーは青の都市の天地を駆け抜けて、蒼炎を燃やして蒼雷を放つ王鯱を相手に一歩も退かぬ戦いを繰り広げていく。
アトランティクス・レプノルカの胸鰭が電撃を纏う、範囲攻撃の無差別落雷が放たれんとしている。
「雷攻撃はッ、撃たせない!」
グランシャリオを握り、スキル『
立て続けに
其の最中に体勢を変更、
だが此れだけダメージを加えても尚、未だに倒れない巨体を見ながら、ペッパーは自身のスキルの中でも、今の自分が繰り出せる『斬撃系攻撃最強コンボ』を王鯱にぶつける事に決めた。
「勝負ッ!」
刀武器スキルで、連続鱠切りの最上位クラスに位置する、其の名の通り『九十九連続』の斬撃を叩き込む『
剣武器スキルにして、自身の敏捷のステータスが『攻撃力とクリティカル発生』に直結・其の数値が高い程に総合的なダメージが爆発的に上昇する『
剣や刀と言った斬撃武器での攻撃が、敵に弾かれなくなる『スリックランペイジ』。
自身の筋力・技量・器用の合計数値を参照、スタミナを消費して飛距離と威力を決定。剣と刀から『飛ぶ斬撃』を可能とする『
特殊状態:
最後に
「ふっ━━━━━━━━━!!!!!」
ダメージ軽減を許さない剣と不屈の誓いを立てた刀より、0.1秒に充たない刹那の双刃達が過ぎ去り往き。斬撃の濃霧と鎌鼬の風が、アトランティクス・レプノルカの巨体を襲い、其の身を出鱈目の滅茶苦茶に、木っ端微塵の塵に還るが如く、巨体に無尽の斬り傷を刻み付け。
まるで火山が噴火するかの様にポリゴンが爆ぜ、王鯱の残された胸鰭が断絶されて宙を舞い飛び。蒼炎を纏う上体部及び切り刻まれてきた下体部は、より深く更に深い傷を受けた結果、其の巨体は遂に堕ちて。
アトランティクス・レプノルカを構成するポリゴンが、崩壊を始めたのだ。
『ギッ、ギギギギィィィィィ……………━━━━━━』
「アトランティクス・レプノルカ。蒼き炎と蒼き雷を操り、俺を仕留めるまで決して止まる事の無い、強き王鯱よ。戦っ……!?」
崩壊し始める王鯱の身体………其の上体部に纏う炎が膨張し、まるで己の命の風前の灯を燃料に『爆発』し、此の近辺諸とも『道連れ』にでもしようとしているかの様な………。
「うおおおおおお!!!!!」
人馬形態時の最高速度で逃げ出し、少し離れた建物の影に飛び込んだ瞬間、アトランティクス・レプノルカの膨張した炎が爆弾の如く『爆発』し。熱風と閃光が、王鯱から『半径300m』を一瞬の内に焼き尽くしたのだ。
其の威力たるや、並のワイバーンやドラゴンのブレス以上の熱量と破壊力を以て、近辺に在った家屋の壁や屋根の木材部分を焼き払い、石造りの壁は熱によって熔け落ちる程の威力である。
「さ、最後まで言わせろよ………!」
お前の長ったらしい台詞を聞くくらいなら、自爆してでも道連れにした方がマシだと言わんばかりに、アトランティクス・レプノルカは最後まで抵抗。しかし其の巨体を構成したポリゴンは、遂には爆発四散を遂げて、此処に勝者が決定した。
「………………アトランティクス・レプノルカ。蒼き炎と蒼き雷を操り、俺を仕留めるまで決して止まる事の無い、強き王鯱よ。俺はお前を、決して忘れない。戦ってくれて、ありがとうございました」
礼を述べた後、ペッパーは天王との合体を解除。サムライアーマーを纏った武人と、機械の騎馬に分かれて戻った。
崩壊したポリゴンの後に残るは、アトランティクス・レプノルカの討伐報酬たる、積み上がり重なった
「ありがとう、天王。お陰で王鯱を倒せたよ」
『ペッパーノ実力ガ有ッタカラコソ、倒セマシタ。オ疲レ様デシタ』
天王の頭を撫で、大天咫とグランシャリオを共に鞘へ納め、早速アトランティクス・レプノルカのドロップアイテムを回収し始めたペッパー。
「冥王鯱の照鏡骨に、冥王鯱の凝触羽。冥王鯱の扇薙鰭と冥王鯱の重頭殻………冥王鯱の剛耐皮、其れから冥王鯱の炎雷器官含めて色々か………フフフ」
「ペッパーか」
「っうぉ!?」
インベントリアに素材を入れ、フルフェイスヘルメットの内側で口角を吊り上げ、笑顔になっていると後ろからサンラクの声。振り向くと彼とエムル、抱えられられながら目をキラッキラに輝かせるレーザーカジキが居た。
「ペッパーさん!無事でしたわ!アイトゥイルおねーちゃんは無事って、サンラクさんが言ってましたわ!」
「本当ですか!?良かった……!」
「………もしかしてだが、さっきまでアントカレプリカと戦ってたの、お前か?」
「アントカレプリカ………あぁ、アトランティクス・レプノルカね。天王と天将王装、其れと諸々のバフのお陰も有って、何とか倒せたって感じ」
「まぁじか………ソイツ『深海の王様』なんて呼ばれてるって『アラバ』が言ってたんだが………倒したんか」
「アラバ?」
「まぁ、詳しい説明は後だ。多分他の連中も来るんじゃねーかな?」
ドロップアイテム達を回収し終えて、ペッパーは先程からキラッキラの純真無垢な視線を向ける、レーザーカジキど同じ視線の高さになるように、其の身を屈めた。
「はわわわ……!ペッパーさん、カッコいいロボットスーツを着て、ロボットホースを従えてる……!!」
「此方のユニーク由来の物なんだが、何れ『クラン共有』にするつもりでいる。レーザーカジキも使いたい?」
「あ、僕は……其の、ロボットホースに乗ってみたい……です!」
「良いよ。天王、レーザーカジキを乗せるから、身を屈めてくれないか?」
『了解シマシタ』
「喋った……!?凄い……!!!」
魚も好きだがロボットも好きという、実に健全な男の子といった具合に大興奮しているレーザーカジキを見る、ペッパーとサンラク。
彼が天王の背中に乗った其の時、彼の視界の端で転がっていた瓦礫達が『独りでに動き始めて』、宙に浮かぶや壊れた家屋に戻っていくのを目撃した。
其れだけでは無い。アトランティクス・レプノルカの自爆で焼け落ちた木材も、最初から『何事も無かったかのように』再生し、元の状態へと戻っていく。
「な………!?建物が、修復されていく………!?」
「えっ!?えええっ!?な、何ですか、これ……!」
「間違いねぇ………!此の現象、クターニッドの反転の力が働いてやがるんだ……!」
「な………クターニッドの!?」
「反転……ですか?」
「あの野郎………『楽しんだから御片付けくらいはしてやるよ』ってか、ふざけやがって………!」
サンラクは奥歯を噛み締め、ペッパー・レーザーカジキ・エムルは唖然となる。ユニークモンスター・深淵のクターニッドの持つ力は、彼等彼女等に想像を絶する理不尽の一端を見せながら、此処に示されたのだった…………。
ハンテンのチカラ