VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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探索開始




都市の探索、汝見付けるは如何なるモノか?

七日間でクターニッドを攻略する為に、ログイン可能な日を皆で共有した後、ルスト・モルド・レーザーカジキ・京極(キョウアルティメット)は休憩の為、二階に在るベッドにてログアウト。NPCはアラバ・アイトゥイルを残して眠りに着き、残されたサンラク・ペッパー・オイカッツォ・ペンシルゴンはルルイアス探索会議を初めていた。

 

「さて、先ずはルルイアスの捜索だが。………結論から言うがペッパー、最大高度(スカイホルダー)取ったお前の力で、上空からルルイアスの『スクショ』撮ってくんね?」

「………いや、何で?」

 

唐突にサンラクから依頼され、ペッパーは首を傾げる。

 

「ペッパー。時間が無い中で、未踏の地の攻略に必要な物って何だと思う?」

「……………………もしかして『ルルイアスの地図』を作るつもり?」

「大正解!さっすが私のあーくん♪冴えてるぅ」

 

どうやら外道三人衆は此処ルルイアスの地図を作り、攻略メンバー全員とチャットを使って共有。其れを用いる事によって、探索を有利にするつもりでいるらしい。

 

「……………確かに限られた時間と人員なら、やれるだけの事はやっておきたいな………。解った、直ぐに準備に入る」

「頼むわ」

 

立ち上がり、スキルの使用状況を確認。建物から出たペッパーは屈伸で準備運動を行い、今あるスキルを点火して跳ね上がり、空中を蹴ってルルイアスの中央の城の真上を目指し、空へと登り上がっていく。

 

「いやぁ何時見てもヤバいな、ペッパーの空中移動」

「さぁて、私達もあーくんばっかりに負担は掛けられないね。手始めに空を泳いでる魚を捕まえられないか、私達で試してみよう。食糧調達はサバイバルじゃ必須だよ!」

「「おー」」

「あ、アラバさ。クソガキとエムル達の御守りを頼むわ。あとお前の探してた剣見掛けたら、知らせに来るぜ」

「………すまん。そうだ!もし魚を採ってきたなら俺に見せてくれ。食べられるか否かくらいであれば、教えられるぞ」

「お、そりゃ助かるわ」

 

ペンシルゴンが音頭を取り、NPCの御守りをアラバに任せながら、サンラク・オイカッツォ・ペンシルゴンは探索兼魚採りに向かうのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりデカいな………ルルイアスは」

 

簡易食糧でスタミナを回復しながら、天空神の加護(レプライ・ウーラノス)で空中ジャンプを続け、攻略拠点としている建物から都市の中心に在る、巨城の上空付近に辿り着いた。

 

「さぁ、もう一踏ん張り!」

 

トゥワイス・ジャンピング、セルタレイト・ケルネイアー、タップステップ、グラビティゼロ起動。安全に着地する為のミルキーウェイを温存しつつ、ペッパーは渾身の力で真上に向かって空中ジャンプ。

 

更に高く、更に遠く、更に上に飛んだ勇者は空を背にして、都市全体をスクリーンショットの視界に納め、シャッターを切る。そうしてアルバムに追加された一枚の写真を見ると、其所には『城を中心にフィールドのほぼ全域が納められた、反転都市ルルイアス』が追加されていた。

 

「よし、ちゃんと撮れてる!」

 

アルバムを閉じて、ミルキーウェイにシャルク・スライダー起動。己の描くマナ粒子の道を滑り降り、落下速度を軽減していた時だ。

 

「…………ん?」

 

彼の視界の先に建つ、アラバが言っていた『封将』が座す四本の塔。其の塔と塔の丁度中間地点らしき場所で、一瞬だが『緑色』の光が見えたのを、ペッパーは目撃する。

 

「何だ………?」

 

見間違いかも知れない、だが見間違いでは無いかも知れない。ならば確かめ無くてはならない、其れが開拓者(プレイヤー)という『種族(いきもの)』なのだから。

 

地面に続くマナの粒子の道を、スロープの様に滑走して下り降り、深淵の都市をペッパーが駆け抜ける。前へ、前へ、前へと。其の足と其の瞳はまるで、まだ見ぬ宝物を発見したかのような、期待に満ち溢れた物であり。

 

そうして都市を駆けて、簡易食糧の食らって、塔と塔の中間地点…………ミルキーウェイで滑走する中で見た、緑色の光の在った場所に青年は辿り着く。

 

「確か此の辺りだったような……………!」

 

撮影と保存しアルバムに入った、反転都市ルルイアスのほぼ全域を納めた写真を見つつ、近辺を隈無く探していると、其所には『明らかに意味深な女性の石像と、額にブリオレットカットが施された掌サイズのエメラルドが埋め込まれた』物を、彼は発見したのである。

 

「……………コレどう見ても、明らかに()の気配しかしないんだが」

 

辺りを警戒し、念には念を入れて局極到六感(スート・イミュテーション)を起動させる。石像の前や後ろ、更には真下に周囲を強化された視覚で見るが、罠らしき物は何処にも無い。

 

「取り敢えず………罠では無さそう」

 

意を決して石像に埋め込まれたエメラルドを引っ張ってみるが、全く外れる気配がない。ならば引いて駄目なら押し込んでみたりもするが駄目、武器で石像を叩いてみたりするも弾かれてしまい。色々と試してみたが外れはしない。

 

「いやこれ、どーしたもんか………」

 

ならばポーションを滴し掛けたり、アイテムを御供えしてみたりと、思い付く限りの方法を試しては、石像相手にやっては見たものの、宝石は一向に変化無しという始末。

 

「…………もしかして『見てるから』取れないとか?いやまさか、な…………」

 

目を閉じて、指先で宝石に触れ。嵌め込まれた縁に指を掛けて力を込めると、此迄の苦労は一体何だったんだと言わんばかりに、あっさりと外れた。

 

ペッパーは早速、其のフレーバーテキストをチェックして━━━━━━━言葉を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑の宝閠(グリーム・ジュエル)

 

深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)の胴装備、天輪界道(テンリンカイドウ)導人(ドウジン)にセットされ、一式装備を稼働させる為に必要となる、神代の時代に開発された宝石型のエネルギータンク。

 

クターニッドが振るう『━━━━』。其の緑光は生きとし生きる、全ての命の『━━』を反転させる。其の光からは、誰もが逃れる事は出来ない。

 

此のエネルギータンクは『八つ』在る………其等を全て揃え、正しき場所に納めて輪廻させし時に、深淵の盟主と力を分けた鎧は目覚めるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(深淵を見定む蛸極王装、其れがクターニッドの一式装備の名前なのね…………。いや、問題は其所じゃないんだわ………此の宝石、緑色は『視界』を遮った事で外す事が出来た。つまりクターニッドは『何かを持っていて』、其れが光ると『何かが変化』するって事。

 

此の反転の能力が『緑=視界』であるとして、其の力が『一つ一つ違うとしたら』、クターニッドは少なくとも『八つの何かを反転させる』事が可能だ。確かアラバさんが言ってた、封将の内の一体が『魔法』を反射するとかって話だが、もしかして『スキル』を反射出来る奴も居るのか………?

 

じゃあ仮に封将とやらを倒さなかった場合、クターニッドは其の『反転の力』を使ってきたり?………いや、封将は大前提で倒すとして、どうやってクターニッドを倒すんだ………?というか、力を分けたって何??まさかクターニッドと蛸極王装って、兄弟だったりするの???)

 

単なる宝石と思われていたアイテムが、まさかの重要情報搭載の爆弾であった事に、ペッパーは一人頭を抱えた。此の情報は間違いなく、旅狼(ヴォルフガング)に知られるだろうし、ペンシルゴンからの『オハナシ』は不可避。

 

ペッパーは取り敢えずインベントリアの方に緑の宝閠を入れ、現在連絡が着くプレイヤー達にEメールでルルイアスのほぼ全域を納めた写真を送り、彼は四つの塔の合間に在るだろう石像を探す為、動き出したのだった………。

 

 

 

 






クターニッドの一式装備のエネルギー源

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