VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ヤる事をヤって

※ペンシルゴンが向かったのは職場でした。訂正します





情景変わる都市、腐れた魚のゾンビパニック

「ありがとうございましたー」

 

翌日、都内某所のコンビニにてバイトで汗を流す梓は、若干痩せていた。昨日はヤバかった………ゴムを八個使ってヤり続け、気付いた時には深夜一時。其れから一緒にシャワーを浴びて、仮眠を取った永遠は午前五時に起きて自分の職場へと向かって行った。

 

最後に「クターニッド攻略が終わってゴタゴタが片付いたら、一緒にリアルで御忍びデートや両親に挨拶へ行こう?」と、耳元での囁き&口付けを交わして。

 

「梓君、大丈夫?何かサキュバスに生命力吸われた一般人みたいな感じだけど………」

「え?あぁ、いえ……其の『色々』有りましてね」

「色々」

 

八回ヤるまで満足しなかった、永遠の性欲の底無しさがヤバいのか。体力と性欲も其れなりな中で、八回戦持ちこたえた自分が強かったのか。一体どっちが正解なのだろう?

 

「と………いけないいけない、仕事しなくちゃ」

 

バイトはまだまだ始まったばかり、大学生なれども己の役割を果たして、此の人生を精一杯に生きる為に、梓は今日も戦うのだ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっしゃ、今日も張り切ってルルイアス攻略と行こうか!」

 

梓がコンビニバイトで忙しく働いている其の頃、迫る一学期の期末テスト勉強を一通り終えた楽朗は、シャンフロにてサンラクとなってログイン。セーブポイントのベッドで目を覚ます。

 

「おぉ、サンラクか」

「よっ、アラバ。今日も元気そうだな」

「サンラクはん、おはようなのさ」

「サンラク殿、目覚めたか」

「サンラクさん、おはようですわ」

「お、おおお、目が覚めたみたいだな」

 

目を開けると自分が討伐し、渡していたアルクトゥス・レガレクスの白身を捌き、ヴォーパルバニーズとスチューデに振る舞うアラバが居た。其の音は静かであり、何よりも『昼間のルルイアス』の特性故に静かにしている……といった所が大きい。

 

「其れギガリュウグウノツカイの肉だっけ?」

「あぁ。淡白だが後味と程好い油が中々旨いぞ、食べてみるか?」

「んじゃ、御言葉に甘えて」

 

丁度良い厚さに切り分けられた刺身状の肉を受け取り、凝視の鳥面の下顎を開いて、口に放り込む。シャンフロに働く味覚制限によって、サンラクに伝えられたのは『口と舌触りは其れなりの、ほんのりフレーバー香るチューインガム』の用な物だったが、咀嚼して飲み込んだ所『味覚制限が一部解除されました』というリザルト画面。

 

「ギガリュウグウノツカイ………お前高級魚なのかよ。あと何つーかなコレ………あぁそうだ『煮込み料理』にしたいわ。酒・味醂・醤油を加えて、じっくりコトコト煮込んだ奴」

「おとーちゃ……コホン。カシラも魚は赤身より、白身が好きだって言ってましたわ」

「酒は解るが、其の名を聞くとは………。サンラク殿は、ミリーンとショーユを知っているで御座るか?」

 

シークルゥの疑問、其れをサンラクは聞き逃さなかった。

 

「えっ?開拓者(俺達)の間じゃ、ポピュラーで偉大な調味料だぞ?」

「昔々に親父殿から聞いた事は有る。確か『伝説の調味料』であり、其れを用いればあらゆる料理を『美味』にしてしまう『魔法の汁』なのだとか……。開拓者から聞いたのは初めてで御座るよ」

 

どうやら此の世界(シャンフロ)には、味醂や醤油は存在していないらしい。自分達の世界では和洋中問わず使われる調味料にして、此処では伝説とまで呼ばれているとか。

 

醤油は偉大だ。新鮮な魚介類を刺身にして食す時に、此れと山葵に花穂や穂紫蘇、ツマや海藻類が有れば口の中の魚の旨味をリセットして、他の刺身を美味しく味わえる。其処に炊きたての白米と味噌汁、漬物と甘味を添えてやれば本格的な刺身御膳にもなる。

 

「イカン腹減ってきた…………アラバ、他にも捌いた魚は有るか?」

「ウム。サンラクが採ってきた魚の中でも、特に一押しの物を用意したぞ」

 

そうしてアラバが持ってきたのは、赤身が二種・白身一種の刺身盛り合わせだった。

 

「我等魚人族(マーマーン)では主食として振る舞われる『海の旨味』とも呼ばれし『ノルヴィスクラッツェ』、海中では最高時速300kmを叩き出すともされる別名『海中暴走族』なる『ルージェットマグロ』。そして婚約の儀では、親戚一同に振る舞われる『幸福の象徴』とされる『ボンディングフィッシュ』だ」

 

おそらく鰹・鮪・鯛であろう魚の刺身達を、サンラクは一つ一つ食していく。どれも味覚制限であまり良い味はしなかったものの、三種類の魚を食べてか『味覚制限が一部解除されました』のウィンドウが三つ出てきたのである。

 

「深海マジパネーション…………」

 

シャンフロの海、深海の王や深海の帝王にギガリュウグウノツカイが闊歩する世界に生きる、彼等に感謝の意を示すべく合掌と一連を行ったサンラク。

 

「あ、サンラクさん。シークルゥさん。おはようございます」

「サンラクさん、アラバさん。おはよう……です」

「おぉ。秋津茜(アキツアカネ)にレーザーカジキ、おはよう」

「秋津茜殿」

 

そんな時、二階のベッドからログインした秋津茜とレーザーカジキが降りてきて、サンラク達に『小声』で声を掛ける。

 

「夜は夜でランダムエンカウントだが、昼間は昼間で『ゾンビパニック』だかんなぁ……」

 

夜は『魚達の楽園と化した嘗ての都市』であったルルイアスは、昼間になれば『死せる半魚人が彷徨う冒涜の都市』に変わる。

 

カーテン代わりに窓へと掛けた布を、少しずらして外の様子を一瞬見れば、少し先の通りをクターニッドの反転の力によって眷属へ変えられた『半魚人(ゾンビ)』達が歩いて行く。

 

元々生きていた魚が『人ならざる死せる半魚人』へ、反対に捕食等の食物連鎖によって死した魚は『魚ならざる生ける人魚』へと変えられて、空中と地上問わず歩き回る光景は下手なB級ゾンビホラー映画より、よっぽどリアルな光景だ。

 

「お魚さん達をあんな……!あんな『酷い』姿にするなんて………!クターニッドさんは、ちょっと許せないです………!」

 

怒りに拳を握り締めるレーザーカジキから、彼の姉たるAnimaliaと同じ匂いを感じながらも、サンラクは現状居るメンバーに今日の予定を伝える。

 

「さて、今日は『アラバの片手剣の捜索』。もしくは『魔法無効能力持ち』の封将の討伐を目指そうかと思う。昼間の移動は基本、音と半魚人の視界に入らないように『ステルス』するんだっけ?」

「あぁ。奴等はクターニッドの命令となれば、敵が毒まみれだろうが突撃してくる上に、何処からともなく『大量の津波』となって襲い掛かってくる。擦り潰されたくなければ、隠れて移動する他に方法は無い」

 

クターニッドの眷属となった半魚人及び人魚は、視覚と聴覚を頼りに見定めた敵を見失うまで追跡する。逃走途中で他の眷属達も見付かった場合は、其の連中迄もが襲い掛かって来る為、基本的に撃破ではなく敵との視線を切る事を意識しなくてはいけないのだ。

 

更に厄介なのは人魚達の放つ『歌声』であり、脱力等を始めとしたステータス干渉のデバフオンパレードであり、其れを耳にしたなら幾ら高機動職でも、ゾンビの津波から逃げ切れなくなる危険が出てくる。

 

「ただ大人数で動くと、其れだけ見付かる危険が有るんだよなぁ。……………よし、決めた」

 

暫く思考した後、サンラクは作戦を発表する。

 

「先ずアラバの片手剣探し、此れは機動力とデバフに強い俺と秋津茜で偵察を行いつつ、発見次第アラバを連れて剣を回収。其れが出来たら、アラバ・秋津茜・俺・アイトゥイル・シークルゥで魔法無効の封将をブッ飛ばす。エムルとレーザーカジキには其の間、スチューデの護衛を任せたい。此れは極めて『重大任務』だが………出来るか?」

「はい、任せて下さい……!」

「はいな…!」

「んじゃ……作戦開始と行こう」

 

ルルイアス攻略二日目、アラバの片手剣探しと魔法無効封将討伐が、此処に幕を開ける。

 

 

 






昼間のルルイアスを進撃せよ


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