VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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友を見付けて




同郷の友、倒すべきはクリオネ

フェアクソ…………正式名称を『フェアリア・クロニクル・オンライン 〜妖精姫の祈り〜』。悪辣過ぎる敵と御粗末が極まった味方・九割がヒロイン元凶なクソ過ぎるシナリオ・予測不能なバグの三位一体が建てた、クソゲー界のトライアングルピラミッドとまで称される、レジェンドオブクソゲー。

 

此のゲームのヒロインにして『アバズレ』『真なる邪神』『フェアカス』『邪神さん可哀想』と言わ占める『フェアリア』は、語れば語る程に悪辣が極まり当時の記憶で脳が震え。更には意図的にヘイトを薄める『アーク』なる妨害キャラが居たにも関わらず、購入し最後までプレイし、戦いを終えた者やそうでない者達からも『おのれフェアカス!』やら『お前も邪神と一緒に沈め!』と言われる程。

 

クソゲーマー・サンラクにとっても、クソゲー史上最高にクソと言って差し支えないゲームだったが、まさか其の地獄を乗り越えていた者が居たとは、思いもしなかったらしい。

 

「……………新大陸の端から端まで飛ばされた時は、レーザーカジキはどうしようって考えた?」

「沸き上がった怒りを、蓋をするように落ち着かせて、何時か必ず晴らそうって思いました…………。あの三分に、アルゼンチンバックブリッカーへ其の時の怒りを。………サンラクさんは、機嫌直しの三時間はどんな想いを?」

「取り敢えず、飛び蹴りブチ噛ますのは確定したね。後三発腹パン入れてやるってな」

 

同じ地獄を乗り越えた者、其れ故に通じる会話にアラバとエムルは首を傾げる。

 

「サンラクさんは、クリアまでにどの位掛かりましたか?」

「大体一ヶ月かな………シャンフロ早くプレイする為に、怒りを御すのは大変だったわ」

「凄い、ですね………僕は去年の夏休みに。カートで超特価で売られてたので、興味が湧いて………。人生最悪の二ヶ月でしたけど………色々と勉強になりました」

「おぉぅ、よく投げ出さなかったな……」

 

フェアクソをプレイした大抵のプレイヤーは、ログアウト後にヘッドギア等を地面に投げて『二度とやらねぇこんなクソゲー!』と声高らかに叫ぶのだが、どうやらレーザーカジキは其の怒りをコントロールし、報酬の三分間まで折れる事無く、地獄を乗り越えたようだ。

 

「さ、サンラクさん。さっきから何を話してるですわ?」

「お、俺もよく解らんぞ………」

『ネレイスも、ワカらない』

 

ネレイスの自己紹介だった所が、地獄を越えた者同士の会話で完全にすっぽ抜けになってしまった。

 

「兎に角、兎に角だ!良かった、本当に良かったぞ………!」

『アレにタべられたトキは、ホントウにコワかった……』

「やっぱ食べられてたんか、アレ。取り敢えず、ナイスだレーザーカジキ」

「あ、ありがとうございます」

 

見付けるのが遅かったなら、ネレイスの入ったカイセンオーが出来ていた可能性が在った事を思いつつも、取り敢えず目的の大太刀救出を無事完了した事を、素直に喜ぶとしよう。

 

『アリガトウ、トリのヒト。そしてアオいマジュツシさん。ネレイス、おレイするよ?』

「礼ならアラバの武器として、此処からの戦いに加わってくれ。でなきゃ俺達纏めて全員蛸の餌だ」

 

無事に武器が戻った事で、此処からはアラバも戦力に数えられる。プレイヤーは、ペッパー・ペンシルゴン・サンラク・オイカッツォ・京極(キョウアルティメット)秋津茜(アキツアカネ)・レーザーカジキ・ルスト・モルド、そして姿が見えないサイガ-0の十人。NPCは護衛対象のスチューデを始め、エムル・アイトゥイル・シークルゥ・アラバの五人で、計十五人という一つのパーティーで組める、最大上限人数の大所帯になった。

 

他のゲームならレイドボスにも挑めるだろう此れなら、並大抵の敵に負けない自信が有る。

 

『ワカった。ネレイス、トリのヒトとアオいマジュツシさんとアラバを、マモるタメにガンバる。あと……なんかシロくてヤワいウニっぽいのも』

「ヴォーパルバニーとは呼んでくれないんですわ!?」

 

ネレイスにツッコミを入れたエムルを頭に乗せつつ、サンラク達はフォーメーションを変える為、セーブポイントの建物へと帰還するのであった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、今からアラバが言っていた魔法無効能力持ちの封将を、物理職でブッ倒しに行こうと思う」

「サンラクさん、唐突ですね!?」

「サンラク、君には休むという選択肢は無いのか……?」

「身体が動ける時にやっといた方が良いだろ?」

 

道中でゾンビパニックに三回巻き込まれ、内一回は人魚のデバフでアラバが殺られそうになったものの、何とか危機を乗り越えて帰還した一行は、サンラクの提案を聞いていた。

 

「とはいえだ。先程半魚人に追い回されたりして、疲れたから少し休憩を取るのは勿論の事、魔法無効なのでレーザーカジキとエムルは留守番、動けるのは俺とアラバに秋津茜・シークルゥ・アイトゥイルか………」

 

欲を言えばペッパーが居れば道中は安定しそうなのだが、無い物をねだっても仕方無いのは事実。今有る物で如何に攻略するかを考えるのも、ゲーマーという生き物だ。

 

「エムルとレーザーカジキの二人は、スチューデの護衛を。秋津茜・アラバ・アイトゥイル・シークルゥは、十五分の休憩を挟んで封将討伐に出掛ける。良いか?」

「はい、粉骨砕身で頑張ります!」

「任せて下さい、サンラクさん」

「ホントは一緒に行きたかったですわ………」

「エムル、スチューデを護る事も立派な仕事なのさ」

「其の通りで御座るよ」

 

パーティーメンバーを切り替え、サンラクは一端ログアウト。水分補給とトイレ休憩を経て再度ログインし、秋津茜・アラバ・アイトゥイル・シークルゥと共に、魔法無効能力を持つ四体の封将が一角…………『クリーオー・クティーラ』の討伐に動き始めたのだった。

 

 

 

 

尚、其の封将の居る塔まで八回のゾンビパニックに巻き込まれ、サンラクと秋津茜は何処かに『中継地点のセーブポイント』を作った方が良いと結論するまでに、そう時間は掛からなかったという…………。

 

 

 

 






封将討伐へ


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