VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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クターニッド攻略の其の中で




インパクト・オブ・ザ・ワールド ~神々は揺れる、世界は変わる~

ペッパー達一行が、ユニークモンスター・深淵のクターニッドによって反転都市ルルイアスに引き込まれ、其処で様々な出来事に見舞われていた頃。

 

現実世界の(ユートピア)(エンターテイメント)(ソフトウェア)の地下10階に存在する『原典閲覧室』では、シャングリラ・フロンティアという世界を創り上げた創造神・継久理(つくり) 創世(つくよ)がディスプレイを睨み付け。

 

其の世界をゲームとして存在するのに、必要なレベルに落とし込んでみせた調律神・天地(あまち) (りつ)が、苦虫を噛み潰した様な顔をして。

 

そして此の双神の間を取り持ち、ゲームを破綻させない防波堤の役割を担う仲裁神・木兎夜枝(つくよぎ) (さかい)は、胃薬と妻の手料理の『二重の加護』を受けて尚も痛む胃痛と戦いながら、此れで数度目(・・・)の追い胃薬を服用して此の様子を見守っていた。

 

「はぁ………………ペッパー、やはりコイツは『ブラックボックス』に叩き込む事でしか、根本的解決方法は無いのかしら?」

「私情を持ち込むんじゃねェよ神様よォ………。少なくともコイツはリュカオーンとの約束を違わずに、宣言通りに戦い抜いた結果として、其のアバターに『愛呪(あいじゅ)』を受けた。…………其の事実は変わらねぇ、違うか」

原典(・・)にも其れに関する記載は在った(・・・)………でもだからといって、リュカオーンが其のプレイヤーを見続ける為に、己の『小さな分け身』をルルイアスに送り込み、あまつさえ自分からテイムされに行くなんて、完全に想定外の事態(・・・・・・)よ」

 

議題はペッパーにテイムモンスターとして加わり、行動を共にする事になった『ユニークモンスター・夜襲のリュカオーン』の、小さな分け身の事。赤い刻印を刻み込み、己の所有物と外敵含めて全ての命に拭き込む其れは、ある意味では『シグナル』としても作用する。

 

其れが他のユニークモンスターと接触したなら警報となり、少しでも『ちょっかい』を掛けよう物なら、己の分け身を送り込む程に宿った寵愛の想いは強くなるのだから。

 

「ペッパー…………奴は規則(ルール)破りやチート、グリッチを一切(・・)使っていない。即ちコイツは自身の持つ力量と腕だけ(・・)で、此れだけの事をやって来たってのは『確信』を以て言い切れる。そしてサンラクもな」

 

天地の語る言葉に、創世は益々険しい表情を顕にする。此のままでは、幼稚園児の喧嘩じみたキャットファイトが勃発しかねないと、此処まで話を聞いていた境が口を開き、創世と天地に向けて質問を行う。

 

「………口を出すようで悪いが、ペッパーが手にしている『リュカオーンの一式装備』と『オルケストラの一式装備』を探すヒントに、其のリュカオーンのチビ分身は関係無い(・・・・)。違うか、創世?」

「其れは………そう、だけど」

「天地、チビリュカオーンは何かの『バグ』か何かか?」

「『リュカオーンのサーバー』からは異常は見られず、システムも正常に作動してる。調整班の報告にも全部目を通した」

「………少なくとも、大型アップデート時にペッパーに対する『修正』を加える事にはしておいて、だ」

 

境は大きな溜息を吐き、そして創世と天地に『資料』を渡して、こう言った。

 

「あの二人は『テスター』でも何でもない事も、過去ログ(・・・・)を含めて判明している」

 

其の資料には二人が此迄に購入・プレイしたゲームの一覧と、其処で用いた名前(PN)が在り。そして資料を見ていた天地の表情は、此迄以上に険悪な物へと変わる。

 

「………よりにもよってコレか、クソがよッ………!!!」

「あら、どうしたのアブラムシ…………嗚呼、成程ね。コレ(・・)は傑作だわ……フフフ」

 

其れ(・・)、は天地にとっての『最悪の呪い』であり。

其れ(・・)、は創世にとっては『酒の(ツマミ)』。

 

決して消えない………天地 律(彼女)の『傷』。

 

「で、結局コイツは『何処の出身』なの?」

「………………『μ』、だ」

 

其れは只の『ギリシャ文字』、しかし僅か一文字に込められたのは『裏の存在』を示すモノ(・・)

 

「フフフ……『γのガンマン』に『φの野人』、おまけに『χのアサシン』に続き、此れで四人目ね」

「ぐっ…………!」

 

歯軋りする天地に、笑顔を浮かべる創世を見て、境は再び胃痛を受ける。

 

「気分が良いわ。ペッパーのブラックボックス送りは、一旦『保留』としましょう。其れから、彼等が挑んでいるクターニッド………『其の攻略難易度を上げるべし』とサーバー(・・・・)側から自己申告を出してきたわ」

 

彼女の一言に天地と境の視線が向く。創世はディスプレイの画面とキーボードを操作し、一画面を展開。其れはクターニッドを実装する際に施した、能力の制限を行った『ロック画面』だった。

 

「…………其の最終確認をする為に、私達を呼んだのかよ」

「そうよ。此の中から調律神様にとって、相応しい要素を確認して欲しいのよね」

「見せてみろ…………嗚呼成程な、ただ『新規聖杯解放は一つ』だけだ。他には『クターニッドの一式装備状態じゃない時に発光間隔の変動』、後は『全ての聖杯の耐久値上昇』と第四段階時の『吸引力の増大』だけだ。『形態追加』は無しでな」

「まぁ……………其れなら良いわ」

「一応確認を………よりにもよって聖杯は『ソレ』を選んだか、クターニッドは」

「フフフ……私の可愛いクターニッド、彼等を確り苦しめて頂戴な………」

 

プレイヤー達を招いた、ユニークモンスター・深淵のクターニッド。其れを構成するAIが神々に申請した『ソレ』を見て、三者三様の表情をしながらも『承認』のボタンは押された。

 

同時にクターニッドを構成するAIは、神託を受けた瞬間より『ボックス』に封じた、新たなる『反転の力』を解放するのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






解禁される、隠しコード


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