クターニッド攻略の其の中で
ペッパー達一行が、ユニークモンスター・深淵のクターニッドによって反転都市ルルイアスに引き込まれ、其処で様々な出来事に見舞われていた頃。
現実世界の
其の世界をゲームとして存在するのに、必要なレベルに落とし込んでみせた調律神・
そして此の双神の間を取り持ち、ゲームを破綻させない防波堤の役割を担う仲裁神・
「はぁ………………ペッパー、やはりコイツは『ブラックボックス』に叩き込む事でしか、根本的解決方法は無いのかしら?」
「私情を持ち込むんじゃねェよ神様よォ………。少なくともコイツはリュカオーンとの約束を違わずに、宣言通りに戦い抜いた結果として、其のアバターに『
「
議題はペッパーにテイムモンスターとして加わり、行動を共にする事になった『ユニークモンスター・夜襲のリュカオーン』の、小さな分け身の事。赤い刻印を刻み込み、己の所有物と外敵含めて全ての命に拭き込む其れは、ある意味では『シグナル』としても作用する。
其れが他のユニークモンスターと接触したなら警報となり、少しでも『ちょっかい』を掛けよう物なら、己の分け身を送り込む程に宿った寵愛の想いは強くなるのだから。
「ペッパー…………奴は
天地の語る言葉に、創世は益々険しい表情を顕にする。此のままでは、幼稚園児の喧嘩じみたキャットファイトが勃発しかねないと、此処まで話を聞いていた境が口を開き、創世と天地に向けて質問を行う。
「………口を出すようで悪いが、ペッパーが手にしている『リュカオーンの一式装備』と『オルケストラの一式装備』を探すヒントに、其のリュカオーンのチビ分身は
「其れは………そう、だけど」
「天地、チビリュカオーンは何かの『バグ』か何かか?」
「『リュカオーンのサーバー』からは異常は見られず、システムも正常に作動してる。調整班の報告にも全部目を通した」
「………少なくとも、大型アップデート時にペッパーに対する『修正』を加える事にはしておいて、だ」
境は大きな溜息を吐き、そして創世と天地に『資料』を渡して、こう言った。
「あの二人は『テスター』でも何でもない事も、
其の資料には二人が此迄に購入・プレイしたゲームの一覧と、其処で用いた
「………よりにもよってコレか、クソがよッ………!!!」
「あら、どうしたのアブラムシ…………嗚呼、成程ね。
決して消えない………
「で、結局コイツは『何処の出身』なの?」
「………………『μ』、だ」
其れは只の『ギリシャ文字』、しかし僅か一文字に込められたのは『裏の存在』を示す
「フフフ……『γのガンマン』に『φの野人』、おまけに『χのアサシン』に続き、此れで四人目ね」
「ぐっ…………!」
歯軋りする天地に、笑顔を浮かべる創世を見て、境は再び胃痛を受ける。
「気分が良いわ。ペッパーのブラックボックス送りは、一旦『保留』としましょう。其れから、彼等が挑んでいるクターニッド………『其の攻略難易度を上げるべし』と
彼女の一言に天地と境の視線が向く。創世はディスプレイの画面とキーボードを操作し、一画面を展開。其れはクターニッドを実装する際に施した、能力の制限を行った『ロック画面』だった。
「…………其の最終確認をする為に、私達を呼んだのかよ」
「そうよ。此の中から調律神様にとって、相応しい要素を確認して欲しいのよね」
「見せてみろ…………嗚呼成程な、ただ『新規聖杯解放は一つ』だけだ。他には『クターニッドの一式装備状態じゃない時に発光間隔の変動』、後は『全ての聖杯の耐久値上昇』と第四段階時の『吸引力の増大』だけだ。『形態追加』は無しでな」
「まぁ……………其れなら良いわ」
「一応確認を………よりにもよって聖杯は『ソレ』を選んだか、クターニッドは」
「フフフ……私の可愛いクターニッド、彼等を確り苦しめて頂戴な………」
プレイヤー達を招いた、ユニークモンスター・深淵のクターニッド。其れを構成するAIが神々に申請した『ソレ』を見て、三者三様の表情をしながらも『承認』のボタンは押された。
同時にクターニッドを構成するAIは、神託を受けた瞬間より『ボックス』に封じた、新たなる『反転の力』を解放するのだった…………。
解禁される、隠しコード