其の頃、別の場所では
※少し短いです
シャングリラ・フロンティアという世界の、三つの神々によって世界が書き変わっていった其の頃。都内某所に在る、とある出版会社のカフェテラスでは、一人の女性が紅茶を飲んでいた。
彼女の名は天音 永遠━━━━日本が世界に誇るトップオブカリスマモデルにして、ティーンエイジャーの少女達の憧れの的が、プレーン味のスコーンを囓り、残った紅茶を飲み干し。雨が窓硝子を打ち付ける音を聞き、心を落ち着かせる。
「あーくん達も皆各々のペースで、ユニークシナリオを攻略しているみたいだねぇ………。あ~あ、私も早く帰ってログインしたいなぁ~……」
モデルとして今日の撮影の仕事も、あと少し時間が掛かる。ログイン出来るのは今日の夜になるだろうか?帰宅時間とルートを割り出すべく、アプリを起動した時だった。
「相変わらず
「あら、
「まぁ、な」
たゆんっと大きな胸が揺れ、茶短髪と会社のスーツに身を通した女性が一人、永遠に向き合う形で座る。彼女の名は『
高校時代からの腐れ縁に当たる
「…………夜襲のリュカオーンの『ユニークシナリオ』を、無断で進めたと言うのは本当か」
簡潔に直球で問いただしに来た百を見つつ、情報が何処から漏れたのかを永遠は思考する。
(確かレイちゃんとモモちゃんは、リアルじゃ『姉妹』だったっけ。となると漏れた可能性が有るのは、クターニッドによって反転都市ルルイアスに引き込まれた時に、レイちゃんだけ集合しなかった『あの時』かな?問題はどうやって『其の事実』を知ったかだけど、其れに関しては
着電300件を叩き付けて聞き出した………等という事実は知らないものの、此の一言だけで九割方の真実に辿り着いた永遠は、鋭い目付きをぶつけてくる百へと、静かに答える。
「そうだねぇ、私達が
実際リュカオーンとの遭遇戦は偶然の元に発生したし、
付け加えるなら戦術機獣の持ち込みに、レーザーカジキ&
そしてペッパーの武器・グランシャリオによるヘイトコントロールと、サンラク&ペッパーの最大火力をぶつけて、アルマゲドン発動に漕ぎ着けた事は、永遠は百に話す事は無い。
「其の話は『愚妹』から聞いた………。寧ろ
リュカオーン絡みになると、サイガ-100は誰よりも面倒臭くなる………酒の席で愚痴を幾度と無く聞いてきた永遠であるからこそ、此の話によって『此の先に待ち構える運命』が決定した気がしたのだ。
「……………うん。持ってるよ」
「そうか。ならば話が早『渡さないよ』………」
永遠の目からハイライトが消え失せる。其の瞳にはリュカオーン以上の漆黒を纏い、親友たる百に向けて宣言したのだ。
「彼は『私の
数秒の沈黙、そして百が永遠に対して言った。
「フッ………まぁ良いさ。此方も譲るつもりは毛頭無い。『戦争』をしてでも、私の所に引き込むだけだ」
「ヘェ…………?解ってるとは思うけど、御宅等が本気なら此方も此方で徹底的にヤるよ?覚悟は有るのかな?」
「無論だ」
そう一言述べて、百は離席して行き。永遠は百が完全に見えなくなった所で、ふぅ………と溜息を付いた。
「やれやれ……此れは明日辺りに電話が着そうだねぇ」
酒を飲んで寝れば大抵冷静になって立ち直れるのが、斎賀 百の長所である事を天音 永遠はよく知っている。シャンフロをプレイし、リュカオーンと出逢い。幾度も敗れ続けても尚、色褪せる事の無い『打倒リュカオーン』というモチベーションの炎を、時々羨ましいと思う程に。
(あーくんは
やれやれといった表情で、永遠はクターニッドのユニークシナリオ攻略後には彼女が更に荒れそうだと予感を抱きつつも、夜のルルイアスで出てくるモンスターと戦い、『目標達成』に向けて緻密な計画を構築していくのだった………。
だが、彼女は。ペッパーがとんでもない爆弾を━━━━━『リュカオーンの分け身』をテイムしていた事を『知らなかった』。
そして其れが『更なる火種』に成る事を、誰も知り得ないのだから…………………。
戦争は避けられない