VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ルルイアス攻略陣営の動き




半裸鳥頭&白兎は藤壺封将に挑む

ペッパーがログインし、夜襲のリュカオーンの小さな分け身をテイムしていた其の頃。サンラクとエムルはルルイアスの街並みを駆け、四方に鎮座する塔の一角へとやって来た。

 

「此処だな」

「はいな」

 

午前中に魔法能力を無効化する封将『クリーオー・クティーラ』を討伐し、クターニッドの一式装備を動かすエネルギータンク『黄緑の宝閠(ラムシア・ジュエル)』を獲得。ハッキリしたのは、封将全てを討伐並びにルルイアスの何処かに在る、女性の石像に埋め込まれた宝石型のエネルギータンクを探さなくては、起動出来ない事が判明したのである。

 

「さてと、此処に居るのはどんなヤツなのか………行くぞエムル」

「はいな!私も頑張っちゃいますわー!」

 

鞍馬天秘伝(くらまてんひでん)・グラビティゼロを起動、跳躍と塔の外郭を利用した壁蹴りで塔を登り、其の中腹付近にて魔法攻撃無効化封将(クリーオー・クティーラ)が居た場所と、同じくらいの広さのバトルフィールド…………其の中央に固まった『突起型の貝で全身を構築したような群体』の見た目をしたモンスターを、サンラク&エムルは発見した。

 

モチーフから察するに『フジツボ』と思われる封将━━━━『バーシュド=メルナクル』はサンラクを発見するや、全身のフジツボ達を動かし。フリットフロートで降りてきた一人と一羽を、目が何処に在るか解らないながらも静かに見つめている。

 

「アレが封将か………どう見ても『フジツボ』だな」

「全身貝だらけですわぁ……」

「取り敢えず戦ってみなくちゃ、何を『無効化』するのか解らねぇもんなぁ!ヨッシャブチ咬ます!」

 

傑剣への憧刃(デュクスラム)を両手に、バフスキルを点火。エムルを頭に乗せたまま、サンラクが先制奪取とばかりに藤壺群体へ刃を振るうが、突如として貝の口から『藤壺の幼生達』が大量発生、英傑へと届かずとも手を伸ばす其の刃を止めて、本体を守ってしまった。

 

「うえっ!?何其の突発ガード!?エムル!」

「【マジックエッジ】ィ!」

 

至近距離の物理攻撃が効かなかった事から、即座に魔法攻撃の指示をエムルに出し、白兎の魔術師は魔導書を翳して魔力の刃を叩き付ける。だが其の攻撃もまた、他の箇所から発生した幼生達による差し込み(インターセプト)に阻まれ、防がれてしまう。

 

「ダメですわ!!攻撃が届かないですわ!」

「ちぃっ!……って何じゃ其のジェット噴射は!?」

 

バックステップで距離を取ったサンラクに、群体藤壺は背中の貝口から水を噴射。ジェット機に似た加速を乗せつつ、右腕を構成する藤壺達を増殖させながら殴り掛かって来たのだ。

 

「うおぉッ!?」

「ぴぃいいいい!?」

 

回避した二秒後、藤壺の巨大拳が叩き付けられた。増殖した藤壺による攻撃面積の増大、各部の貝口からの水の噴射を用いた急加速、そして近接攻撃を防ぐ藤壺幼生での防御。

 

魔法攻撃の無効にしてきたクリオネ封将より、格段に厄介な相手だとサンラクは思いつつも、何を無効化しているのかを確かめなくてはならないと理解し、エムルに指示を出す。

 

「なろっ、コイツと戯れてろ!エムルは少し離れた場所からマジックチェーンをブチ当てろ!!」

「任せて下さいですわー!」

 

ウツロウミカガミ起動。残像(ヘイト)を置き去りにしながら距離を取り、エムルを離れた所に置いて。群体藤壺の背後に回って斬り掛かるも、三度目の幼生ガードで攻撃が届かない。

 

「嘘だろ、全方位防御完備かよ!?」

「行きますわ!【マジックチェーン】!」

 

幼生ガードに斬撃が阻まれたサンラクに対し、離れた所からエムルが放ったマジックチェーンが、藤壺封将の右腕に飛んで行き。幼生ガードが発生(・・)せず(・・)に、右腕関節部に『絡まり付く』。

 

「やりましたわ、絡まりましたわ!」

 

近接での斬撃や魔法には幼生ガードが発生し、離れたマジックチェーンは発生しなかった…………絡み付いた魔力の鎖を藤壺の増殖で引き剥がそうとする封将と、エムルの間を目算したサンラクは其の距離が『およそ15m以上離れている』事を目撃。

 

「エムル来い、確り掴まれよ!ウツロウミカガミの再使用出来次第、今度は『10m外側』からマジックエッジを叩き込むぞ!」

「は、はいなぁ!」

 

エムルと合流し、ウツロウミカガミの効果が終了。狙いを定め直したバーシュド=メルナクルに、サンラクは両手の傑剣への憧刃を煌蠍の籠手(ギルタ・ブリル)にチェンジ。

 

フォーミュラ・ドリフト起動で回り込み、其処から更に兇嵐帝痕(イデア=ガトレオ)(スペリオル)の起動・加速を重ね掛けながら、藤壺封将を置き去りにする形で一周。アガートラムにハリケーン・ハルーケンを乗せた右ストレートを繰り出すものの、やはり幼生達が発生して攻撃を邪魔される。

 

(至近距離の物理・魔法に幼生ガードが発生したのに、エムルのマジックチェーンにはガードが発生しなかった。いや、もしくは『発生出来なかった』って可能性も有る……エムルのマジックエッジで、其のカラクリを解き明かす!)

 

煌蠍の籠手による至近距離の連撃を藤壺の壁に阻まれながら、神秘(アルカナム):愚者(フール)により再使用時間(リキャストタイム)が半減となっているウツロウミカガミの利用可能を待ち、ジェット噴射と群体増大化した左拳を()わして、ヤクザキックを繰り出すが、此れもまたガードに阻まれる。

 

「ちぃっ……!だが、漸く再使用時間を終えた!エムル!」

「何時でも良いですわ!」

「OK、じゃあ『答え合わせ』の時間と行こうや!」

 

煌蠍の籠手より傑剣への憧刃へチェンジ。ウツロウミカガミの起動と共に、サンラクは目算で『10m以上』の距離を取る。残されたサンラクの残像を殴りまくる、藤壺封将を見ながら、彼は当初の予定通り作戦を決行した。

 

「エムル、やれ」

「【マジックエッジ】!」

 

魔術書から魔力を帯びる刃が飛び、其の切っ先は真っ直ぐに進み、藤壺封将の身体に直撃(・・)して、其の身から裂傷によるダメージが、青白いポリゴンとなって身体から放出される。

 

「サンラクさん!ダメージが通りましたわ!」

「ッシャア、ビンゴ!フジツボ(テメェ)が幼生ガード出来るのは、自分から『10m以内』で放たれた攻撃だけだッ!ザマァ見やがれ!」

 

そう………藤壺封将ことバーシュド=メルナクルを何度も何度も、しつこく至近距離から殴り続けては幼生ガードにより阻まれ、エムルが離れた場所から放ったマジックチェーンとマジックエッジにはガードが発生しなかった事で、サンラクが辿り着いた『答え』━━━━其れが前衛職を否定する『近接攻撃無効』だった。

 

反転というシンプルで凶悪極まり、超常の権能(チカラ)を振るう、ユニークモンスター・深淵のクターニッド。魔法・スキルという表裏一体の要素を無効化する封将が居るように、此の藤壺封将とアンモ騎士に残り一体の封将の何れかが、後衛の物理職・魔法職の存在を否定する、『遠距離攻撃無効化能力』を宿していると結論付けたのだ。

 

「とはいえ、此方は『攻撃の手数』が足らねぇ……!ルスモルコンビか、秋津茜かレーザーカジキの魔法攻撃が欲しい……!エムル、MPは?」

「ポーションが有れば、何とかやれなくもないですわ。でもあの群体貝が、其れを許してくれなさそうですわ………」

 

「だよな」とバーシュド=メルナクルに視線を向ければ、マジックエッジの一撃が相当腹に据えた様で、貝口ジェット噴射をしながらの殴り付けを仕掛け。サンラクは其れを持ち前の動体視力で往なしつつ、煌蠍の籠手を収納。右手に傑剣への憧刃を、左手にインベントリアからマナポーションを取り出し、エムルに渡しながら宣言する。

 

「攻略法が判った状態で撤退なんて、味気無い戦いはしたかねぇよなァ?エムル」

「はいなッ!」

「やってやるよフジツボ、こちとら避けタンクなんだ。遠慮無くテメェをブッ飛ばす」

 

肩に乗せたエムルへとマナポーションを手渡し、サンラクは片手剣の切っ先を向けたのだった………。

 

 

 

 






辿り着いた反転能力の答え


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