ルルイアス攻略陣営の動き
ペッパーがログインし、夜襲のリュカオーンの小さな分け身をテイムしていた其の頃。サンラクとエムルはルルイアスの街並みを駆け、四方に鎮座する塔の一角へとやって来た。
「此処だな」
「はいな」
午前中に魔法能力を無効化する封将『クリーオー・クティーラ』を討伐し、クターニッドの一式装備を動かすエネルギータンク『
「さてと、此処に居るのはどんなヤツなのか………行くぞエムル」
「はいな!私も頑張っちゃいますわー!」
モチーフから察するに『フジツボ』と思われる封将━━━━『バーシュド=メルナクル』はサンラクを発見するや、全身のフジツボ達を動かし。フリットフロートで降りてきた一人と一羽を、目が何処に在るか解らないながらも静かに見つめている。
「アレが封将か………どう見ても『フジツボ』だな」
「全身貝だらけですわぁ……」
「取り敢えず戦ってみなくちゃ、何を『無効化』するのか解らねぇもんなぁ!ヨッシャブチ咬ます!」
「うえっ!?何其の突発ガード!?エムル!」
「【マジックエッジ】ィ!」
至近距離の物理攻撃が効かなかった事から、即座に魔法攻撃の指示をエムルに出し、白兎の魔術師は魔導書を翳して魔力の刃を叩き付ける。だが其の攻撃もまた、他の箇所から発生した幼生達による
「ダメですわ!!攻撃が届かないですわ!」
「ちぃっ!……って何じゃ其のジェット噴射は!?」
バックステップで距離を取ったサンラクに、群体藤壺は背中の貝口から水を噴射。ジェット機に似た加速を乗せつつ、右腕を構成する藤壺達を増殖させながら殴り掛かって来たのだ。
「うおぉッ!?」
「ぴぃいいいい!?」
回避した二秒後、藤壺の巨大拳が叩き付けられた。増殖した藤壺による攻撃面積の増大、各部の貝口からの水の噴射を用いた急加速、そして近接攻撃を防ぐ藤壺幼生での防御。
魔法攻撃の無効にしてきたクリオネ封将より、格段に厄介な相手だとサンラクは思いつつも、何を無効化しているのかを確かめなくてはならないと理解し、エムルに指示を出す。
「なろっ、コイツと戯れてろ!エムルは少し離れた場所からマジックチェーンをブチ当てろ!!」
「任せて下さいですわー!」
ウツロウミカガミ起動。
「嘘だろ、全方位防御完備かよ!?」
「行きますわ!【マジックチェーン】!」
幼生ガードに斬撃が阻まれたサンラクに対し、離れた所からエムルが放ったマジックチェーンが、藤壺封将の右腕に飛んで行き。幼生ガードが
「やりましたわ、絡まりましたわ!」
近接での斬撃や魔法には幼生ガードが発生し、離れたマジックチェーンは発生しなかった…………絡み付いた魔力の鎖を藤壺の増殖で引き剥がそうとする封将と、エムルの間を目算したサンラクは其の距離が『およそ15m以上離れている』事を目撃。
「エムル来い、確り掴まれよ!ウツロウミカガミの再使用出来次第、今度は『10m外側』からマジックエッジを叩き込むぞ!」
「は、はいなぁ!」
エムルと合流し、ウツロウミカガミの効果が終了。狙いを定め直したバーシュド=メルナクルに、サンラクは両手の傑剣への憧刃を
フォーミュラ・ドリフト起動で回り込み、其処から更に
(至近距離の物理・魔法に幼生ガードが発生したのに、エムルのマジックチェーンにはガードが発生しなかった。いや、もしくは『発生出来なかった』って可能性も有る……エムルのマジックエッジで、其のカラクリを解き明かす!)
煌蠍の籠手による至近距離の連撃を藤壺の壁に阻まれながら、
「ちぃっ……!だが、漸く再使用時間を終えた!エムル!」
「何時でも良いですわ!」
「OK、じゃあ『答え合わせ』の時間と行こうや!」
煌蠍の籠手より傑剣への憧刃へチェンジ。ウツロウミカガミの起動と共に、サンラクは目算で『10m以上』の距離を取る。残されたサンラクの残像を殴りまくる、藤壺封将を見ながら、彼は当初の予定通り作戦を決行した。
「エムル、やれ」
「【マジックエッジ】!」
魔術書から魔力を帯びる刃が飛び、其の切っ先は真っ直ぐに進み、藤壺封将の身体に
「サンラクさん!ダメージが通りましたわ!」
「ッシャア、ビンゴ!
そう………藤壺封将ことバーシュド=メルナクルを何度も何度も、しつこく至近距離から殴り続けては幼生ガードにより阻まれ、エムルが離れた場所から放ったマジックチェーンとマジックエッジにはガードが発生しなかった事で、サンラクが辿り着いた『答え』━━━━其れが前衛職を否定する『近接攻撃無効』だった。
反転というシンプルで凶悪極まり、超常の
「とはいえ、此方は『攻撃の手数』が足らねぇ……!ルスモルコンビか、秋津茜かレーザーカジキの魔法攻撃が欲しい……!エムル、MPは?」
「ポーションが有れば、何とかやれなくもないですわ。でもあの群体貝が、其れを許してくれなさそうですわ………」
「だよな」とバーシュド=メルナクルに視線を向ければ、マジックエッジの一撃が相当腹に据えた様で、貝口ジェット噴射をしながらの殴り付けを仕掛け。サンラクは其れを持ち前の動体視力で往なしつつ、煌蠍の籠手を収納。右手に傑剣への憧刃を、左手にインベントリアからマナポーションを取り出し、エムルに渡しながら宣言する。
「攻略法が判った状態で撤退なんて、味気無い戦いはしたかねぇよなァ?エムル」
「はいなッ!」
「やってやるよフジツボ、こちとら避けタンクなんだ。遠慮無くテメェをブッ飛ばす」
肩に乗せたエムルへとマナポーションを手渡し、サンラクは片手剣の切っ先を向けたのだった………。
辿り着いた反転能力の答え