VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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一方のペッパー




勇者と獣一行は、巻貝の騎士と刃を交える

サンラクとエムルが反転都市ルルイアスの一角に座す、藤壺封将ことバーシュド=メルナクルに戦いを挑み、其の反転の能力に気付いた頃。

 

ペッパーは相棒のヴォーパルバニーたるアイトゥイルとテイムしたリュカオーン(分け身)を抱えて、ルルイアスの別の塔の外壁をグラビティゼロ・頂天律驚歩(ヌフールァウォーク)、そしてファウラム・チャージングの三種のスキルを点火し、駆け上がっていた。

 

「よっ、ほっ、せいっ………!アイトゥイル、ノワ。相手が何をして来るか俺達は知らないから、気を付けて行こう」

「はいさ」

『ワンッ』

 

外壁を駆け、上へ上へと登って行けば、見えてきたのはバトルフィールド。其の中央に居たのは『全身を貝殻の甲冑で武装』し、頭の部分に『巻貝』を乗せて触覚とも呼ぶべき触手足を畝らせる西洋騎士めいた姿の『アンモナイトの魚人』─────エンカウントした事で『アンモーン・オトゥーム』と名前が表示された。

 

「アレが封将ってヤツなのさね、ペッパーはん」

「みたいだな……何て言うかアンモナイトならぬ『アンモ騎士(ナイト)』か、見た目は」

『ワゥ?クゥン』

 

塔の上側に存在し、外と中を繋ぐ人が一人通れる戸口から中を見下ろし言うと、巻貝封将が此方に気付いた様で、腰から右手にレイピア・左手にカトラスを装備し、戦闘態勢を取ってくる。

 

「レイピアにカトラスの『二刀流』か、なら此方は『四刀流』だ」

 

インベントリアから取り出し、ウェザエモンの一式装備たる悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)を全身に、インベントリアから取り出して両脚に纏うは、更なる強化を施した甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)【改八】。

 

左手には轟斬型(ゴウザンガタ)太刀(タチ)(シキ)武装(ブソウ):大天咫(オオテンタ)を取り出し右腰に差し、右手で星皇剣(せいおうけん)グランシャリオを取りて鞘を握り締め、リュカオーンの愛呪の持つ装備不可の制約を一時的に取り払い、両刃共に引き抜いて巻貝封将に鋒を翳す。

 

「俺が注意を引き付けるから、アイトゥイルは隙を見つつ遠距離から酔伊吹と『アレ』を。ノワは影からあのアンモ騎士の様子を見て、何か変化があったら吠えて教えてくれ」

「はいさ!」

『ワンッ!』

「よし、じゃあ行くぞ!」

 

塔の内部に在る影にノワを置き、ペッパーの肩からアイトゥイルが離脱、ペッパーは巻貝封将のアンモーン・オトゥームとの戦闘を開始したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイピアという武器は、中世ヨーロッパ時代に貴族が決闘の為に用いた武器であり、現在では其の決闘を競技とした『フェンシング』で扱われている。

 

刺突の特性は『点』の攻撃であり、刀や剣の『線』の攻撃とは異なり、其の一撃を受ける場合には凝縮された『一点集中』を面で受ける事になる。

 

其れが鎧の薄い箇所─────例えば騎士兜の視界を確保する部分や、鎧の構造上どうしても薄くせざるを得ない首や手首、足首に膝と肘の関節部で受けようなら、貫かれて内部を抉られてしまう事も有る為、決して侮ってはならない。

 

「暗殺者もターゲットを殺す時、迅速が『モットー』だからな。そう考えると刺突攻撃は『シチュエーション』が整えば、本当に優秀な攻撃手段だ」

 

人体の急所及び関節に食らえば間違いなく死ぬだろうレイピアによる『鋭い刺突攻撃』を刀の棟部分でずらし、其れとは真逆に御世辞にも良いとは言えないカトラスの『生物的なブン回し斬撃』は受けずに回避。

 

「アイトゥイル!」

「はいさ!【華魔威断(カマイタチ)】ッ!!!」

 

ペッパーが隙を作り、アンモーン・オトゥームの背後を取ったアイトゥイルが、己が得物にして薙刀たる嵐薙刀(らんなぎなた)虎吼(とらぼえ)の刃先から、翡翠のオーラを纏う『裂傷確定付与』を宿した、風属性・斬撃魔法が放たれる。

 

ペンシルゴンのバースデーサプライズの準備中に、エンハンス商会の会員エリアで売られていた巻物から購入、アイトゥイルに覚えさせた低燃費高火力を両立。

そこそこの再使用時間(リキャストタイム)を必要とする魔法だが、酔伊吹を使う為の酒が無い時に備え、ペッパーが彼女の戦闘方法拡張に習得させた物なのだ。

 

しかしそんな期待を裏切るように、飛ぶ斬撃の初陣はアンモーン・オトゥームを覆う貝殻甲冑に弾かれて、ダメージを与えられない。

 

「うぇ!?無効化されたのさ!」

「魔法は効かない……。いや、魔法無効化の封将はサンラク達が倒しているし、其の能力が他の封将に引き継がれる可能性が有るのか?」

 

大天咫でレイピアを弾き、グローイング・ピアスを使用。グランシャリオの特性を宿す刺突攻撃がアンモ騎士の貝殻甲冑を貫き、クリティカルと共にポリゴンが溢れ落ちる。

 

「スキルは効いた、じゃあ何でさっきのアイトゥイルの攻撃は効かなかった?」

 

アイトゥイルの攻撃を放った距離はおよそ『13m』は離れていて、対して自分はおよそ『3m』の距離感で巻貝封将と相対している。

 

「アイトゥイルは『10m内側から』酔伊吹を!ノワは俺の近くの影まで移動して!」

「はいさ!」

『ワゥ!』

 

バックステップで距離を取り、10mより外側から風暴鬼の飛脚(マルトリアス・レッグス)を甲皇帝戦脚の爪先に宿る刺突脚撃を飛ばし。アイトゥイルは10m以内から瓢箪水筒の酒を口に含んで魔力と混ぜて、火焔に変えた魔炎を放射する。

 

ペッパーが放った飛ぶ刺突脚撃は『弾かれ』、逆にアイトゥイルの火炎放射は『弾かれず』、触手や身体を焼かれたアンモ騎士がたじろいだ事で、ペッパーは此の封将が持つ『無効化能力』に気付いた。

 

「アンモ騎士……いや『アンモーン・オトゥーム』よ。お前が無効に出来るのは、自分から『10m以上離れた攻撃』のみ。即ち『遠距離攻撃無効』って訳か!」

 

スキルと魔法の二種類の要素を反転させ、無効化する封将が居るように。此のアンモーン・オトゥームと同じく『距離攻撃』を─────残りの二体のどちらかに此方とは比較にもならない、前衛の物理職・魔法職を機能不全に追いやる、『近距離攻撃無効』持ちの封将が居る事になる。

 

「攻略法は導けた、後はコイツを俺達の持てる力で攻略する……!アイトゥイル、ノワ、行くよ!」

「了解なのさ!」

『ワゥ!ワゥ!!!』

 

大天咫とグランシャリオを構え、薙刀を構え、牙を向き唸る。ペッパー達とアンモーン・オトゥームの戦いは、更なる熱を帯びていく………。

 

 

 

 






解き明かした封将のチカラ


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