各々の決着
反転都市ルルイアスの四方に建つ塔の一角、藤壺封将ことバーシュド=メルナクルと、サンラク&エムルのコンビの戦いは佳境に迫っていた。
「はい、其れ
金晶独蠍の素材を用いて造られた、
「エムル!」
「マジックエッジ!!!」
そして無防備となった背中に10m以上離れた場所から、エムルがマジックエッジを放ち、其の背中に魔力の斬撃を叩き付けるや、ポリゴンが飛び散って藤壺封将にダメージが入る。
既にエムルのマジックエッジを数発、サンラクの投擲スキルのパドロン・スローにより投げられた、片手剣やツーハンデットソードを受けたバーシュド=メルナクルの背中には無数の切り傷と、突き刺さった剣によりズタボロとなっていた。
此の藤壺封将は転倒耐性が『絶無』に等しく、ジェット噴射による突撃時にサンラクがふと、煌蠍の尾鞭剣を脚に引っ掛けてみた所、思いっきりスッ転んだ事で判明。其れによって、効率的にマジックエッジを叩き込める様になり、更にはマジックチェーンの止まった隙を投擲攻撃の練習にも利用出来たのである。
「まぁ、タネが判れば封将は前衛後衛一名ずつでも対処可能な感じか………。エムル」
「はいな、デカいのぶつけますわ!」
ウツロウミカガミ起動、藤壺増殖ナックルを残像に押し付けつつ、10m以上の距離へと退避。同時に
そして─────ギミックの解き明かしも含め、およそ三十分に渡る戦いの末に、藤壺封将ことバーシュド=メルナクルは痙攣しながら倒れ伏し、身体を構築していたポリゴンが爆発四散。其の場には構成元となったモンスターの素材、そして『ブリオレットカットが施された掌サイズのルビー』がドロップする。
「シャア、討伐完了!」
「マナが切れそうでしたけど、私の大活躍ですわー!」
ハイタッチ、そして落ちたドロップアイテムを拾い上げるサンラクは、ルビーをインベントリアに仕舞ってフレーバーテキストをチェックした。
クターニッドが振るう『────』。其の赤光は生きとし生きる、全ての命の『──』を反転させる。其の光からは、誰もが逃れる事は出来ない。
此のエネルギータンクは『八つ』在る………其等を全て揃え、正しき場所に納めて輪廻させし時に、深淵の盟主と力を分けた鎧は目覚めるだろう。
(此れで俺が二個で、カッツォが一個、ペッパーが二個の合計五個で、内分けが石像三個の封将二個……時間は未だあるから、ルルイアスで稼ぎつつ捜索するとしようか)
「よし、エムル。一度セーブポイントまで帰るぞ!」
「はいな!」
藤壺封将討伐と、クターニッドの一式装備起動に必要なエネルギータンクを手にし、サンラク&エムルのコンビは意気揚々とセーブポイントに帰還するべく、塔を脱出するのであった…………。
「
『ワゥゥ!ガウァ!』
そして近距離攻撃無効能力を持つ藤壺封将と、対極の無効化能力たる『遠距離攻撃無効能力』を宿す巻貝封将こと『アンモーン・オトゥーム』に戦いを挑んだ、ペッパー達のパーティー。
遠距離攻撃が効かず、至近距離での攻撃は効く特性から、天将王装に身を包んだペッパーがタンクを担い、相棒のヴォーパルバニー・アイトゥイルと、リュカオーンの小さな分け身でテイムモンスターとなったノワが、各々立ち回り続け。
戦闘開始から約二十分、アイトゥイルの斬撃で巻貝封将が握るレイピアを持つ右腕を切り落とし、ノワの噛み付きで脚にダメージを与えた所で、ペッパーが静かに
「
其れはユニークモンスター・墓守のウェザエモンも使用した、晴天流の『風体系の奥義の一つ』にして、神速の抜刀居合『
スタミナを全て消費して、其の消費量が多い程に攻撃力・抜刀速度・踏み込みの距離が増大する、必殺の一刀。外したり仕留め損なえば、スタミナ切れで一時的に動けなくなる、そんなハイリスクハイリターンの二面性を宿した大技。
其の
「
二刀流で繰り出した抜刀・抜剣の渾身たる斬撃が、貝殻の騎士甲冑を打ち破って、アンモーン・オトゥームの身体へ『Xの斬撃痕』を刻み付け。ペッパーの手には封将に致命傷を与えたと、刀と剣が教えてくれた。
同時にアンモーン・オトゥームを構成するポリゴンが揺らぎ、身体が崩壊を始めた。
「封将が一角、アンモーン・オトゥームよ。風すら貫く高速の刺突は、模倣したいと思う程に凄まじく、そして美しかった。戦って下さり、ありがとうございました」
ペッパーの言葉と同時にアンモ騎士の身体は崩壊。そして其の場には『ブリオレットカットが施された掌サイズのシトリン』と『赤い鯨が刻まれたカトラス』、そしてアンモーン・オトゥームの素材と思われる『大きなアンモナイト』がドロップする。
「ペッパーはーん!」
『ワゥウ♪』
「二人共、お疲れ様」
戦いを終えて、アイトゥイルとノワの頭を撫でたペッパーは三つのドロップアイテムを見ながら、アンモナイトをインベントリアに仕舞いつつ、クターニッドの一式装備を動かす為のエネルギータンクであろう其れを拾い上げ、フレーバーテキストをチェックする。
クターニッドが振るう『────』。其の橙光は生きとし生きる、全ての命の『──』を反転させる。其の光からは、誰もが逃れる事は出来ない。
此のエネルギータンクは『八つ』在る………其等を全て揃え、正しき場所に納めて輪廻させし時に、深淵の盟主と力を分けた鎧は目覚めるだろう。
(此れで三つ目………。今俺が持ってるのは緑と紫に橙、サンラクが黄緑のオイカッツォが青。八色だとするなら、他には何色が有るんだろうか……?)
そう疑問を抱きつつ、最後の一つであるカトラスを手に取ってインベントリアに収納しようとした、ペッパーの動きが止まる。そして徐に其れを持ち手と刃を『逆』にして見た事で、彼は『気付いた』のだ。
「何てこった…………!」
アイテム名『赤鯨のカトラス』、此処に来る前の『幽霊船 クライング・インスマン号』に乗り込む更に前の、船酔いに悩まされながら朧気に見上げた『海賊船 スカーレットホエール号』──────其の旗印に掲げられた『鯨のマーク』と完全に一致していたのだから。
「ペッパーはん………?」
『ワウ?』
「ユニークシナリオEXの連発で薄れていた………!成程成程、やってくれるじゃないか………!」
ユニークシナリオ【深淵の使徒を穿て】。其れはまだ終わっておらず。他のシナリオEXと共に
「こうしちゃいられねぇ………!アイトゥイル、ノワ!一度セーブポイントに帰還するぞ!」
「は、はいさ!」
『ワゥ!』
一羽と一匹を抱え、ペッパーは自身のスキルと共に空中を走り出す。仲間達に自分がテイムしたノワの事を、そしてユニークシナリオの事を伝える為に………。
ユニークシナリオは終わっていない