VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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いざ、エネルギータンク探しに南西エリアへ




夜のルルイアスを捜索隊が往き、死の玉座と謁見す

夕食は鶏肉の照り焼きと白米、葱とわかめと油揚げ味噌汁に胡瓜大根人参のピクルスを作り、食後に片付けとトイレにシャワーを行った後、梓は布団を整え直してVR用のヘッドギアを装着し、シャンフロへとログインする。

 

「お、戻ってきたなペッパー」

「ペッパーさんですわ!」

「ペッパーはん、おはようなのさ」

『ワゥウ♪』

 

梓からペッパーへと戻ってベッドから起き上がった所、サンラクとエムル、アイトゥイルが此方を見て。そしてリュカオーンの小さな分け身にして、テイムモンスターたるノワが自分の身体に飛び乗ってくる。

 

「やぁ、サンラク。エムルさんにアイトゥイルにノワ。夕食作って、食べてたら遅くなった。待たせたか?」

「いんや、俺達も今さっきログインした」

 

ふと周りを見れば、夕方頃にログインしていたメンバー全員に加えて、京極(キョウアルティメット)の姿も在る。其の表情は随分と上機嫌であり、ペッパーを発見するや笑顔で此方に歩み寄って、言ってきたのだ。

 

「やぁ、クランリーダー♪随分と『楽しい事』が起きそうだねぇ?」

「……………『アレ』の事?」

「其れに関しちゃ俺にも届いたし、カッツォにも行ったらしいぜ」

 

にこやか、そして獰猛な笑みを浮かべて、京極は入ったばかりのルスト&モルド、レーザーカジキに秋津茜(アキツアカネ)といったメンバーには聞こえぬよう、ペッパーとサンラクに話している。

 

「フフフ……………『サブリーダー』から僕宛にメッセージが届いてねぇ。ルルイアスから帰ったら、楽しい楽しい『戦争』が待ってるんだってさ」

「……………俺達が『リュカオーンの分け身を討伐&クターニッドのユニークシナリオEX攻略中と、此方の鬼札(グランシャリオ)の存在が黒狼(ヴォルフシュバルツ)のサイガ-100さんにバレた』、と」

「そゆこと。そしてサンラク達が教えてくれた、君がテイムしたって言う其処の『ノワちゃん』。見た目こそ『バディドッグ』だけど『リュカオーンの小さな分け身』何でしょ?サイガ-100なら絶対に『斬り殺し』に来そうだねぇ……フフフ」

 

甘えてくるノワを撫でながら、ペッパーはペンシルゴンに如何に事情を伝えるかを思考する。分け身をテイムした事でユニークシナリオを発生させた等言えば、永遠は非常に面倒臭くなるのは間違いない。

 

「暫くはルルイアスに居たいなぁ……」

「深海で在りながら、地上反転で戦える稀有な場所だからなぁ……。モンスターと戦って、懐を暖めたいわ」

「僕も此処のモンスターには興味が有る。クターニッドの一式装備のエネルギータンク探しの次いでに、侵入してきたモンスターと戦いたいね」

「あぁ、其れとよペッパー。アラバに此の後の事を話したら、スチューデの護衛は俺に任せてくれって言われてな。エムルを連れてけるようになったわ」

「そうなのか、解った」

 

各々の思惑は在れど、目標は変わらず。サンラク率いるチームAにエムルを、ペッパー率いるチームBに京極を加え、開拓者達とNPC達は夜のルルイアスにてクターニッドの一式装備を動かす、エネルギータンクが埋め込まれた石像捜索の為、南西エリアを目指して移動を開始するのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南西エリアに向かう道中、海鮮物合体カイセンオー(呼称:サンラク)数体との交戦が有ったりしたものの、前衛後衛が各々の役割を果たし、戦い抜いた事で被害は出る事は無く、NPC含めて全員生存で無事目的地へと到着。

 

ペッパーがルルイアスの空を飛び回って見渡し、仲間達への伝達や区画毎の探索を進めていく。そして開始からおよそ三十分が経過したタイミングで、モルドから『女性の石像を発見した』との報告を受けたペッパーは、上空や街を駆け回り、皆に集合するよう伝えて。

 

そうして全員の目の前には『女性の石像と額にブリオレットカットが施された、掌サイズのアクアマリンが埋め込まれた』物が鎮座していた。

 

「随分と大きい」

「此れ、幾ら位で売れ……ちょ、ルスト痛い!?冗談だってば!?」

「ペッパー、コイツがそうか?」

「………うん、間違いない。クターニッドの一式装備の『深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)』を動かすのに必要な、エネルギータンクの一つ…………!」

 

インベントリアに収納していた緑の宝閠(グリーム・ジュエル)を照らし合わせた事で、確信したペッパーは皆を見つめながら言った。

 

「此の石像の宝石は、ギミックを解かないと外す事が出来ないようになっている。緑は目を閉じながら、紫は回復ポーションを振り掛けた事で、そして青はネカマのプレイヤーじゃなければ取れなかった」

「此のアクアマリンを取るにも、何かのギミックを解く必要が有ると」

「つまりパズルですね!私、そういうの得意ですよ!」

秋津茜(アキツアカネ)、一旦ステイな」

 

秋津茜の言い分も、サンラクの言い分も、どちらも正しい。夜のルルイアスにはモンスターが入ってくるらしい上、アトランティクス・レプノルカや其の不世出存在(エクゾーディナリーモンスター)だったりが来る事も有るので、早急に解いて退避するのが一番良い。

 

「皆、俺は上空からルルイアスの全域を見て回る。何か有ったら報告するから、何時でも動ける様にしておいて」

 

そう言ったペッパーは、アイトゥイルとノワを肩に乗せて、再使用時間(リキャストタイム)を終えた星天秘技(スターアーツ)ミルキーウェイを起動。マナで産み出された道を駆け上がり、上空からフィールド全体を見渡し始める。

 

『ルゥゥゥゥ………!!』

「フィールドに今の所以上は無し、問題は上から入ってくるモンスターだけど……?ノワ、どうし────」

 

空を駆け上がるペッパーの肩に乗る、リュカオーンの小さな分け身たるノワが天を見据え、歯を剥き出しにしながら威嚇した其の時だった。

 

上空が割れ、水柱を上げながら落ちてくる『一体のヤドカリ』と、其の巨大な背に居着く『一匹の蝦蛄』の姿をペッパーは見て。彼は今繰り出せる最大の声量を以て、仲間達に危機を報せる。

 

『全員、敵襲ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アーコリウム・ハーミット』と呼ばれるモンスターが、シャングリラ・フロンティアの深海には居る。

 

『深海の王 アトランティクス・レプノルカ』・『深海の空母 スレーギヴン・キャリアングラー』と並ぶ、深海三強が一角に座し『己の背にて独自の生態系を構築・産み出された危険生物を用いて狩猟及び戦闘をさせる』という、脅威の生態を持つヤドカリにして、魚人族(マーマーン)の間では『海の森』と呼ばれ、ペッパーから見れば『巨大要塞』にも見える。

 

通常は状況に応じて(・・・・・・)背中の生態系を操作し、新しい種を生成し、敵に対するメタを張り続けるのだが、ある個体(・・・・)は絶対的単体………即ち『最強の一個体』を生み出す為に、己の命の全てを捧げる個体が海底に産まれる事がある。

 

肉体的特徴は通常種と変わらず、然して其の思想において『異端』となった不世出の存在(エクゾーディナリーモンスター)、其の名を『アーコリウム・ハーミット"廃罪玉座(ルインスロン)"』。

 

天を破りて外海より来る巨大要塞が、反転都市の全域を揺るがし、己が死する事を是とする玉座が、此の地に降臨したのである……。

 

 

 

 

 

 






襲来する脅威、深海三強の不世出


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