状況本格始動
最終局面に現れた万全状態のラスボス、または主人公達が追い詰めた手負いラスボスを、背後からの奇襲で倒して真のラスボスが主人公達の前に現れる。というパターンはロボゲーでよく見る展開やシチュエーションなのだが、実際にやられるとなれば話は違う。
此処まで打撃武器を持つペッパーやサンラクでは些細なダメージしか出せなかった、キメラモンハナシャコこと『キリューシャン・スフュール"
事情を知らない面々は『今まで何処に行ってたの?』や、事情をある程度知っている面々は『リアル大丈夫?』やら、色々聞きたかったのだが……………。
「………………………」
「ヒエッ」
最初の「見付けました………!」から無言&背中からゴゴゴゴゴと重圧感溢れるSEを放ちながら、サイガ-0は皆の方を向き。
『ギュリラリアアアアア!!』
「黙っていて……………!」
しかし其の先の台詞は言わせねぇ!とばかりに、屈辱の土ペロから立ち上がるキメラモンハナシャコを、振り向き様にスレッジハンマーで横っ面を殴り付け、近くの家屋に吹き飛ばす。
「えぇ………」
其の攻撃を見ていた面々は『やっぱり此の人、人の形をした殲滅兵器じゃないか?』と改めてそう思い。そして件のサイガ-0と言えば、ズン……ズン……と巨人族か何かと言わんばかりの足音を鳴らし、サンラクの方へと歩き。
「本ッッッッッ当に………ごめんなさい!!!!!」
赤黒いスレッジハンマーをインベントリに収納し、直角90度と言わんばかりの姿勢で、深々と頭を下げてきた。
「あ、えーと……レイ氏、リアルとかでゴタ付いてましたかね?」
「本当にごめんなさい……連絡出来ず、に……でも大丈夫、です…………、はい。
ゾワッと背中に悪寒と嫌な汗が滲んだ感覚が、ペッパーとサンラクを襲う。其れは極道物のゲームでよくある、組の顔に泥を塗った主犯に『ケジメ』を着け終えた様な物であり。
其の刹那、此れまで座してキリューシャン・スフュールを見守っていた、アーコリウム・ハーミット"
「ペッパーさん!サンラクさん!ヤドカリさんが動き出して来てます!!」
「ちょ、此れ『サイガさん』狙ってない?!」
「おそらくキメラモンハナシャコをブッ飛ばした事がトリガーになったんだろう………!来て早々だがレイ氏、俺達で援護するからヤドカリ討伐のメインアタッカー、任せられるか?」
「了解、です……!今まで貢献………出来なかった分、此処で確りと……果たします」
スレッジハンマーを取り出し、地面に倒してオブジェクト化。一式装備を白亜の鎧へと変え、漆黒の大剣を握りつつ、オブジェクト化させたスレッジハンマーを拾い上げ、戦闘準備を完了させる。
「皆、ヤドカリから距離を取りつつ聞いてくれ!」
そんな中、サイガ-0を牽き潰さんと迫り来るアーコリウム・ハーミットから離れるべく移動を開始した一行に、空中を駆けるペッパーが、アイトゥイルとノワを抱えて言った。
「あのキメラモンハナシャコへ、ダメージを与える『方法』が判った!ただ其の為には、奴を要塞ヤドカリから引き剥がす必要がある!足止めを頼めるか!」
其れは虚勢等では断じて無く、勝利に至る為の道筋を確信した瞳であり。
「OK、確りダメージ叩き込めよクランリーダー!」
「速攻でヤドカリ仕留めて、シャコもトドメ貰うからねペッパー」
「そりゃ大変だ、さっさと仕事をするとしよう!ルストとモルドはサンラクとサイガ-0さんの援護を、レーザーカジキと秋津茜は合体魔法攻撃準備!エムルさんとシークルゥさんはサンラク達のサポートを!」
「解った」
「うん!」
「粉骨砕身で頑張ります!」
「了解です!」
「頑張りますわー!」
「承った!」
敵に脚撃によるダメージを与えるに加えて、ダメージの数値が其のまま『ノックバックの速度と距離に直結』する秘奥の一撃が、
吹き飛ばされる自身が育てし王を見たアーコリウム・ハーミットは、直ぐに排除対象をサイガ-0からペッパーに切り替えるも、フォーメーションを変えた開拓者達が立ち塞がり、其の行く先を阻みに掛かる。
「おぅおぅ、要塞ヤドカリよぉ。あのキメラモンハナシャコんとこ行きたけりゃぁ、俺達全員ブッ倒してから行きな。尚俺達は全力で抵抗するぜ?全員気合入れて行くぞ、作戦名『オペレーション:要塞砕き』だ!」
各々が武器を取り、臨戦態勢を整えたサンラク達がアーコリウム・ハーミット"廃罪玉座"に挑む。
「此処まで吹き飛ばせば、良い感じか」
そして渾身のノックバックにより、キリューシャン・スフュールをアーコリウム・ハーミットから吹っ飛ばし、引き剥がしたペッパーは、アイトゥイルとノワと共にキメラモンハナシャコと対峙する。
『ギュリリリリ………!!!』
『ルゥゥゥゥゥ……!』
「どうやら、やっこさんも御怒りの様なのさ」
歯軋りする様に口を鳴らし威嚇する王に、リュカオーンの小さな分け身たるノワもまた、敵に対して真っ向から威嚇しに行く。
「さて、キリューシャン・スフュール"恕志貫徹"。お前の身体の構造を見た事と、ついさっきサイガ-0さんの一撃での反応から、ちょっと『閃いたんだよね』………」
そう言って彼はグランシャリオの鞘を右手に当てつつ、鞘をくるりと回して抜剣。更に世界の真理書「墓守編」を蒼桃色の宝石に変え、七つ在る穴の『持ち手から三番目』の位置にセットしつつ、左手には『ヴァンラッシュブレイカー』を装備する。
「俺が避けタンクをやる!アイトゥイルは遠距離攻撃、ノワは影を渡りながら俺に釘付けにするよう挑発してくれ!」
「はいさ!」
『ワゥ!』
リュカオーンとの初戦で失われた、右手の装備枠。グランシャリオ限定ではあるものの、取り戻された斬打二刀流のフォームを以て、一人と一羽と一匹は巨大蝦蛄へ挑む。
最強の個を倒せ