VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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状況本格始動




動き出した玉座を皆が止め、勇者はブラックズと共にシャコを受け持つ

最終局面に現れた万全状態のラスボス、または主人公達が追い詰めた手負いラスボスを、背後からの奇襲で倒して真のラスボスが主人公達の前に現れる。というパターンはロボゲーでよく見る展開やシチュエーションなのだが、実際にやられるとなれば話は違う。

 

此処まで打撃武器を持つペッパーやサンラクでは些細なダメージしか出せなかった、キメラモンハナシャコこと『キリューシャン・スフュール"恕志貫徹(ファースリィオ)"』に初めて、明確なダメージを叩き付けてヒーロー着地を決めたのは、数日前クライング・インスマン号に置ける船上戦で、鬼の形相の頭装備に日本風潮の漂う装備を全身に纏ったシャンフロ最強の攻撃力を保持するサイガ-0であり。

 

事情を知らない面々は『今まで何処に行ってたの?』や、事情をある程度知っている面々は『リアル大丈夫?』やら、色々聞きたかったのだが……………。

 

「………………………」

「ヒエッ」

 

最初の「見付けました………!」から無言&背中からゴゴゴゴゴと重圧感溢れるSEを放ちながら、サイガ-0は皆の方を向き。

 

『ギュリラリアアアアア!!』

「黙っていて……………!」

 

しかし其の先の台詞は言わせねぇ!とばかりに、屈辱の土ペロから立ち上がるキメラモンハナシャコを、振り向き様にスレッジハンマーで横っ面を殴り付け、近くの家屋に吹き飛ばす。

 

「えぇ………」

 

其の攻撃を見ていた面々は『やっぱり此の人、人の形をした殲滅兵器じゃないか?』と改めてそう思い。そして件のサイガ-0と言えば、ズン……ズン……と巨人族か何かと言わんばかりの足音を鳴らし、サンラクの方へと歩き。

 

「本ッッッッッ当に………ごめんなさい!!!!!」

 

赤黒いスレッジハンマーをインベントリに収納し、直角90度と言わんばかりの姿勢で、深々と頭を下げてきた。

 

「あ、えーと……レイ氏、リアルとかでゴタ付いてましたかね?」

「本当にごめんなさい……連絡出来ず、に……でも大丈夫、です…………、はい。邪魔(・・)はちゃんと、全部…………片付(カタヅ)けてきましたから」

 

ゾワッと背中に悪寒と嫌な汗が滲んだ感覚が、ペッパーとサンラクを襲う。其れは極道物のゲームでよくある、組の顔に泥を塗った主犯に『ケジメ』を着け終えた様な物であり。

 

其の刹那、此れまで座してキリューシャン・スフュールを見守っていた、アーコリウム・ハーミット"廃罪玉座(ルインスロン)"が一際大きな地響きと共に動き出し、其の視線はサイガ-0を射抜く程に鋭さを以て、近くの家屋を巨体で押し潰し牽き壊しながら、真っ直ぐ此方へ向かってくる。

 

「ペッパーさん!サンラクさん!ヤドカリさんが動き出して来てます!!」

「ちょ、此れ『サイガさん』狙ってない?!」

「おそらくキメラモンハナシャコをブッ飛ばした事がトリガーになったんだろう………!来て早々だがレイ氏、俺達で援護するからヤドカリ討伐のメインアタッカー、任せられるか?」

「了解、です……!今まで貢献………出来なかった分、此処で確りと……果たします」

 

スレッジハンマーを取り出し、地面に倒してオブジェクト化。一式装備を白亜の鎧へと変え、漆黒の大剣を握りつつ、オブジェクト化させたスレッジハンマーを拾い上げ、戦闘準備を完了させる。

 

「皆、ヤドカリから距離を取りつつ聞いてくれ!」

 

そんな中、サイガ-0を牽き潰さんと迫り来るアーコリウム・ハーミットから離れるべく移動を開始した一行に、空中を駆けるペッパーが、アイトゥイルとノワを抱えて言った。

 

「あのキメラモンハナシャコへ、ダメージを与える『方法』が判った!ただ其の為には、奴を要塞ヤドカリから引き剥がす必要がある!足止めを頼めるか!」

 

其れは虚勢等では断じて無く、勝利に至る為の道筋を確信した瞳であり。

 

「OK、確りダメージ叩き込めよクランリーダー!」

「速攻でヤドカリ仕留めて、シャコもトドメ貰うからねペッパー」

「そりゃ大変だ、さっさと仕事をするとしよう!ルストとモルドはサンラクとサイガ-0さんの援護を、レーザーカジキと秋津茜は合体魔法攻撃準備!エムルさんとシークルゥさんはサンラク達のサポートを!」

「解った」

「うん!」

「粉骨砕身で頑張ります!」

「了解です!」

「頑張りますわー!」

「承った!」

 

兎月(とつき)暁天(ぎょうてん)】をインベントリに収納し、星皇剣(せいおうけん)グランシャリオ及び甲皇帝戦脚(エクスパイド.ウォーレッグ)【改八】を装着。空中を駆け走り、起き上がったばかりのキリューシャン・スフュールの胴体を致命秘奥(ヴォーパルひおう)【オボロサイダン】+致命極技(ヴォーパルヴァーツ):闘撃型(とうげきがた)那由多轍(ナユタワダチ)】のコンボスキルで叩き据えた。

 

敵に脚撃によるダメージを与えるに加えて、ダメージの数値が其のまま『ノックバックの速度と距離に直結』する秘奥の一撃が、再使用時間(リキャストタイム)&ダメージを十倍にする極技が、キリューシャン・スフュールを吹き飛ばす事によってアーコリウム・ハーミットから突き離して。

 

吹き飛ばされる自身が育てし王を見たアーコリウム・ハーミットは、直ぐに排除対象をサイガ-0からペッパーに切り替えるも、フォーメーションを変えた開拓者達が立ち塞がり、其の行く先を阻みに掛かる。

 

「おぅおぅ、要塞ヤドカリよぉ。あのキメラモンハナシャコんとこ行きたけりゃぁ、俺達全員ブッ倒してから行きな。尚俺達は全力で抵抗するぜ?全員気合入れて行くぞ、作戦名『オペレーション:要塞砕き』だ!」

 

各々が武器を取り、臨戦態勢を整えたサンラク達がアーコリウム・ハーミット"廃罪玉座"に挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処まで吹き飛ばせば、良い感じか」

 

そして渾身のノックバックにより、キリューシャン・スフュールをアーコリウム・ハーミットから吹っ飛ばし、引き剥がしたペッパーは、アイトゥイルとノワと共にキメラモンハナシャコと対峙する。

 

『ギュリリリリ………!!!』

『ルゥゥゥゥゥ……!』

「どうやら、やっこさんも御怒りの様なのさ」

 

歯軋りする様に口を鳴らし威嚇する王に、リュカオーンの小さな分け身たるノワもまた、敵に対して真っ向から威嚇しに行く。

 

「さて、キリューシャン・スフュール"恕志貫徹"。お前の身体の構造を見た事と、ついさっきサイガ-0さんの一撃での反応から、ちょっと『閃いたんだよね』………」

 

そう言って彼はグランシャリオの鞘を右手に当てつつ、鞘をくるりと回して抜剣。更に世界の真理書「墓守編」を蒼桃色の宝石に変え、七つ在る穴の『持ち手から三番目』の位置にセットしつつ、左手には『ヴァンラッシュブレイカー』を装備する。

 

「俺が避けタンクをやる!アイトゥイルは遠距離攻撃、ノワは影を渡りながら俺に釘付けにするよう挑発してくれ!」

「はいさ!」

『ワゥ!』

 

リュカオーンとの初戦で失われた、右手の装備枠。グランシャリオ限定ではあるものの、取り戻された斬打二刀流のフォームを以て、一人と一羽と一匹は巨大蝦蛄へ挑む。

 

 

 






最強の個を倒せ


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