キメラモンハナシャコを倒せ
アーコリウム・ハーミット"
「よっ、せいっ、そいやぁ!」
サキガケルミゴコロ
「ペッパーはん!行くのさ!」
「アイトゥイル、頼む!ノワも
『ワォウ!』
アイトゥイルの酔伊吹が放たれ、刹那にペッパーが投げ込んだ投擲玉:炸油にぶつかり、通常以上の炎となって其の身を焼く。そして燃える身体を冷やすように、再びヴァンラッシュブレイカーの水属性側が幾度と無く叩き付けられ、其の身からは蒸気が放出される。
『ギュリリリリ……!』
『ワゥ!ワゥ!ワゥ!』
ノワが吠えて影へと潜り、ペッパーの後隙を埋め合わせ、再び彼が動けば自身は影を使って消えて。そうしてキリューシャン・スフュールの身には炎の鉄面が、水の鉄面が次々と叩き据えられていき、蒸気が幾度と無く発せられていく。
そしてステルス空気弾を強制スタン触手を、何度も幾度も潜り抜けながら叩き付け続けた結果─────バキン!と一際大きな『破砕音』が頭部の堅殻から鳴り響き、キリューシャン・スフュールの巨体が痙攣。亀裂が走り、其所から『たんこぶの様な物』が出現した。
『ギュリリリ!?』
「視覚系のスキルでお前の体内構造を見た時、甲殻と内臓の間には『妙な空間』が在った。最初はマナの粒子で内臓を保護していると考えたが、サイガ-0さんのスレッジハンマーによる攻撃を受けた時に、其の空間が『湾曲』したのを見て────判った。
キリューシャン・スフュール……お前の頑強極まる甲殻硬度の秘密は『深海水圧と体内空気によるサンドイッチ』によって成り立っている!」
そう……………キリューシャン・スフュールの頭堅殻と内臓の合間には攻撃が重要器官に届かないよう、大きな『空気の膜』を備えている。謂わば重要機材を段ボールで運送する際に、空気が入ったプラスチック製の『エアクッション』を入れるように、其れを用いる事で自身の身体の変形防止と水圧による圧迫強化で、規格外の硬度を得ていたのだ。
即ち其のバランスが崩れよう物なら、亀裂は致命的な『弱点』を露出させる未来を決定付けるのである。
「アイトゥイル、ノワ!二人は下がって!」
「はいさ!」
『ワゥア!』
ペッパーの指示で後ろに下がる一羽と一匹、ペッパーはグランシャリオを地面に突き刺し、キリューシャン・スフュールの放つステルス空気弾を回避。襲い来る触手攻撃をミルキーウェイと機動系スキルで振り切り、自身の速度が一定以上に至った場合に発動すると、動体視力に大きな補正が入る『
そうして攻撃を掻い潜り、インベントリアを操作して、取り出し纏うは
対応する
「
空色の魔方陣が展開し、全長3m程のロボットホースが出現。巨体がルルイアスに飛び出すや、ペッパーは音声認証を用いて指示を出す。
「天王!甲冑形態へ変形、そして合体だ!」
『了解ッ!』
天王が其の身を五つの部位へ別ち、右腕・左腕・右脚・左脚・胸部へとパーツを次々に合体。胸部に加わった装甲の中心には大きく『
そうして彼は攻撃が止まぬ空中を走り、地面に刺したグランシャリオを拾い、大天咫を鞘に納めながら、唱えるように述べた。
「ウェザエモン・天津気さん!貴方の絶技………再び使わせて頂きます!」
グランシャリオが輝き、襲い掛かる触手達の絡み付きも覇撃に秀でた甲冑形態で引き千切り、彼の左手がキリューシャン・スフュール"恕志貫徹"の髭を掴む。
世界の真理書「墓守編」をグランシャリオが読み取り、剣を握るペッパーに示すのは、ウェザエモン・天津気───ユニークモンスター・墓守のウェザエモンが使用した、晴天流の奥義達。
抜刀居合の【風】、生体を流れる電気信号を増大させる【雷】、投げ技に当たる【波】、吐息に関する【空】といった形で、七つの派閥が存在。世界の真理書を七つ在る穴にセットする事により、持ち手から最も近い場所より風・雷・波・空・雲・熱・灰の奥義を使用出来る。
手にした真理書の数と位置が、使える奥義の数と種類に直結する中で、ペッパーが選択・セットしたのは『投げ技に関する絶技』を発現する三番目の位置であり。
「
其れは最速にして剛力の投げ………スキルを使用したプレイヤーの筋力を参照する時に、他よりも突出している程に『対象を投げる速度と投げられる重量が増大する』、晴天流の奥義が一つ。
天王との合体、大天咫装備によるブースト、覇撃に秀でし甲冑形態。三つの要素によって増大が成された筋力が、キリューシャン・スフュールの巨体を軽々と掬い上げ、モンスターを投げる時に自身より重ければ重い程、筋力が上昇する強化スキル『
「
ゴジャッ!か、はたまたグヂャッ!か。
ゴア表現やグロ表現が此の神ゲーに搭載されていたなら、間違いなくキリューシャン・スフュールに出来上がった、空気膜のたんこぶが破裂して頭部を粉砕していただろう。
だが空気膜が潰れ、エアクッションの役割を失った時点で、キメラモンハナシャコに此の衝撃から逃れる術は無く………自身の身体が
此れぞ正真正銘─────『一投確殺』の一撃だった。
「キリューシャン・スフュール"
一礼、同時にポリゴンは爆発四散。キリューシャン・スフュールのドロップアイテムたる素材達が積み重なって、ペッパーの前に現れる。
「ペッパーはーん!」
『ワォーン!』
「アイトゥイル、ノワ!二人ともよくやってくれた!だが皆はまだ戦ってる、急いで戻ろう!」
そうして彼は天王との合体解除と空間へ収納、インベントリアにドロップアイテムを仕舞い込み、直ぐ様
戦いはまだ終わっていない