事を終えて
改めて思うが、
焼き払われたルルイアスの街並みと、アーコリウム・ハーミット"
「わぁ!レベルアップと、新しいスキルを覚えましたよ!」
「俺もだわ。レベルカンストだからボーナスポイントは入ってないけど………」
「おう、良かったじゃねぇか」
「ペッパーと茜ちゃん。二人はどんなスキルを手にしたの?」
「俺は『
肉体其の物の耐久を三倍に、破壊属性による部位破壊を受けなくなるのは単純明快ながら、タンク職の面々が喜ぶスキルだ。サイガ-0の視線がペッパーに向けられている事からも、此れはペッパーではなくサイガ-0が取った方が良かったと、サンラク達は考えた。
問題は
「えっと………私は『ルインスロン』ってスキルでして、一定時間ステータスとダメージが半減しちゃうんですけど、条件を満たせば一分で死ぬ代わりに『全ステータスが十倍』になるみたいです!」
彼女が口走った圧倒的な強化倍率に、此の場に居る全てのプレイヤーとNPCの視線が向けられる。ある者は『大当たり枠そっちかよ!?』の驚愕、ある者は『其のスキル欲しいなぁ』の羨望、またある者は『其れが有ればもっと記録を伸ばせるかな………』と期待、更にある者達は『不世出の存在を探してみよう』と決意したり、ある種の混沌が其所には在って。
「あ、ペッパーさん。えと………其所に居る『バディドッグ』は?」
サイガ-0が指差す先………ペッパーの足元に寄り添いながら、
「あ~…………コホン。サイガ-0さん、此の子の『正体』を秘匿して頂けるならば、御話しても宜しいですが……どうしますか?」
一際真剣な眼差しを向けてくるペッパーに、サイガ-0は暫く思考と沈黙の後に「解りました」と頷き。彼は息を吸って吐いた後、事実を以て
「此の子の名前は『ノワ』。自分が今日ログインしたセーブポイントのベッドの近くに居た、小さなモンスター。正体は『夜襲のリュカオーンの小さな分け身』、自分の目の前に『テイムしますか?』と表示が出たのでテイムしたら、今受けてるリュカオーンのユニークシナリオとは違う『別のユニークシナリオ』が発生したんです」
「へぇ~………?其れは其れは、随分と興味深い話だねぇ???」
非常に聞き馴れた声に、バッと振り向いたペッパー。其の視線の先に居たのは、両目のハイライトが完全に消失して、怒髪衝天状態のペンシルゴン&ギリギリギリギリと歯軋りしながら目を血走りさせて、呪詛の如く『ユニーク……!ユニーク………!』と呟きまくるオイカッツォの姿。
ペッパーは一瞬の内に理解した、此れはもう逃げられないと。
「さぁて、あーくん…………。今からちょっと、アタシと『オハナシ』しようか?」
「アッハイ」
ペッパーは直ぐに正座態勢に移行し、ペンシルゴンのオハナシが始まったのだった。
尚、其のオハナシは一時間に渡って続いたものの、ペッパー自身が包み隠さずに此処までの経緯を含めて、全て正直に話した事。テイムしなかった場合にNPC含めて甚大な被害を与える可能性が在った事を踏まえ、彼女に説明をしたのでオハナシ『其の物は』三十分で終わった。
だが残りの三十分は、ペッパーがノワにベタベタされた事に対する、色々な御説教がペンシルゴンからペッパーに行われる事となり、此の場に居たプレイヤー及びノワ以外のNPC全員は『ペッパーはペンシルゴンの尻に敷かれている』と確信するに、そう時間は掛からなかった。
「はぁ~~~~………………あーくんの言い分も、ノワちゃんの事情も、ちゃんと私に包み隠さず話してくれたから許すけどサ」
大きな……其れも大きな溜息を付いて。ペンシルゴンは正座をしているペッパーの太腿に乗っている、リュカオーンの小さな分け身へと歩み寄り、身を屈めながら宣言する。
「ノワちゃん。あーくんや私達を邪魔しない限りは、君は私達『
だけどね────────
君があーくんに『変な事をしたなら』、私は君を『許さない』から。其の時は私が責任を以て、キッチリ『殺す』よ。………あーくんは『私のモノ』だから…………例え貴女が
ニッコリと、しかしながらハイライトが無い瞳を以て、一歩も退くつもりも無い事を、リュカオーンの小さな分け身へと宣言するペンシルゴン。対するノワは彼女の意思や姿勢が本物である事を悟ってか、ギロリと白眼で見定めながら、狼特有の喉の鳴らしと共にペンシルゴンを威嚇した。
「なぁ、サンラク。ペンシルゴンって結構『独占欲の強い女』だったんだな?」
「だな、カッツォ。というか俺等の前で『そういう』事言えるの、改めて感服するわ」
「…………何と言いますか、とても修羅場……ですね」
「修羅場ですわ……」
「修羅場なのさ……」
「修羅場で御座るな……」
「私も好きな人が出来たら、思いきってやってみます!」
「茜ちゃん、茜ちゃん。其れは真似しなくて良いと思うよ?」
「おっかないなぁ………えっ、何で此方見てるの?ルスト?」
「…………別に」
「あわわわ………あ!」
最早カオスという他無い状況、其所で話題の切り替えを作り出したのはレーザーカジキだった。
「あの!実は僕達、アイテムを探してまして!捜索、再開しませんか!!!」
二体の不世出存在との戦いで吹き飛んでいたが、自分達は本来クターニッドの一式装備にして、深淵の盟主と力を分けたなる存在の
「あ、確かに……サイガ-0さん。今から俺達が探している物の情報を『秘匿』して頂けませんかね?他のクランやプレイヤーにバレたら、色々と不味いので」
「は、はい。解りました」
コクコクと頷いたサイガ-0、そしてペッパー・ペンシルゴン・サンラク・オイカッツォ・京極・秋津茜・レーザーカジキ・ルスト・モルド・サイガ-0の十人プレイヤーと、シークルゥ・アイトゥイル・エムル・ノワの三羽と一匹の一つのパーティーは、石像に嵌まった残り一つのエネルギータンクを探しに旅立つのだった。
尚、クターニッドの持つ反転の力によって、ルルイアスの街並みが修復される光景を見たサイガ-0が驚愕したのは、言うまでも無い…………。
さぁ、宝石の謎解きへ