VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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ルルイアスの一日




海鮮ツアー in ルルイアス!

二日目にして封将全て&深海の不世出存在(エクゾーディナリーモンスター)二体の討伐、リュカオーンの小さな分け身ことノワのテイムに、サイガ-0の帰還とペンシルゴンの御説教と独占欲宣言等々、字面に表し直せば中々にハード&ハイペースな一日を送った、翌日の午前八時。

 

雨が雨戸を打ち付ける音が聞こえる室内で一人、朝食を食べ終えて洗浄から、寝間着より衣服に着替え、歯磨き&顔洗いにトイレと水分補給を終えた梓は、布団を再度引き直しつつ、室内に雨粒が入らないように位置を調節。室内に空気が巡回するよう工夫していた。

 

「さぁて、クターニッドとの一戦まで残り四日……今日中に出来る限り、ルルイアスで採れるアイテムやモンスターの素材を集めまくるぞ!」

 

今日を除けば、七日目以外でまともに動ける時間が無い以上、やれる事を全てやってしまいたいのだ。

 

「アイトゥイルには迷惑を掛けるだろうが……『モンスターを呼び出せる』魔法(?)を所持してるなら、利用しない手は無い………!」

 

パートナーのヴォーパルバニー・黒毛風来女兎のアイトゥイルが持つ『ランダムエンカウンター』。此れを如何に生かして戦うかが、今回の稼ぎで重要になるだろう。未来の為に此処で苦労と苦心を先払いする為に、梓はVRヘッドギアの動作チェックを行い、シャンフロへとログインしたのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海鮮ツアー in ルルイアス!本日の進行は旅狼(ヴォルフガング)クランリーダーのペッパーと、付き兎兼モンスター呼び出し要員のアイトゥイル。そしてマスコットのリュカオーンの分け身たるノワが御送りします。

 

「空中は俺の領域でも有るんだよなぁ!!」

「ペッパーはん、今日は何時も以上にやる気に満ちてるのさ………!」

『ワォウ♪』

 

昼間のルルイアスはクターニッドの眷属となった魚達が、マーマンゾンビとして都市内を徘徊する、レーザーカジキ曰く『お魚さん達に対する冒涜』と称した其の街並みを、ペッパー達は駆け抜ける。空は人の上半身に擬態した人魚達が飛び回り、地上は形様々なマーマンゾンビが彷徨いて、時々キメラなるモンスターが産み出したサンラク呼称の海産物合体カイセンオーが現れる。

 

「気分は護衛ミッション+無双ゲー!!良いぞ、楽しくなってきた!!」

 

深海に潜むモンスターと地上判定化で戦える、おそらくシャンフロでも唯一無二の場所・ルルイアス。ゲーマーとして己の成すべき事は、此処で採れる深海のモンスターの素材を採れるだけの採る事を含めて『三つ』在る。

 

其の為にサブ職業(ジョブ)にセットしますは、神秘(アルカナム):運命の輪(ホイール・オブ・フォーチュン)。幸運・レアドロップ確率の倍増&武器・防具・アイテムの耐久減少倍増の、解りやすいメリットデメリットが混在しているタロットカード状のアイテム。

 

確かに武器を用いて、敵やオブジェクトに攻撃をぶつければ耐久値は少なからず減少し、強敵ともなれば損傷は避けては通れない。なので…………素の耐久数値が非常に優れ、かつクリティカルを出せば耐久値が減らないという特性を持ち、まるで『運命の輪と合わせて使ってくれ』と運営が言っているかのような武器────『傑剣への憧刃(デュクスラム)』&『傑鉄への鐵鎚(タウスレッジ)』を中心に用います。

 

元々新鮮な魚が反転の力で変わったからか、腐ったマーマンゾンビを倒せば新鮮な魚の肉や特徴となる素材が落ちる。毒針一つにしても五種類は有るらしく、各々が保有している毒の質もまた異なる上、魚の肉にも食べられる物と食べられない物が有るので、他の使い道を模索する。

 

「はい、其処ォ!んでもって、次ッ!!そしたら『手斧』に速攻切り替えて…………オラァ!」

 

今回の海鮮ツアーの目標(タスク)は、第一がマーマンゾンビや人魚にカイセンオーの素材を集めまくる事。次にルルイアスの何処に在るのか判らない『深淵を見定む蛸極王装(オクタゴラス・アビスフォルガ)』の手掛かりを掴む事。

 

そして本命(・・)が、今所持している『武器』を使いまくる事。現状レベル99 Extendの状態で成長が打ち止めされているが、何れ訪れるレベルキャップ解放で新規習得・進化に変化するスキルや、レベル100以上に成る事で使える『三桁スキル』に備えて己を鍛えていく。

 

ラビッツでのユニークシナリオ・実戦的訓練で手に入れ、此の日までインベントリの奥底で眠っていた、ルートエンドミノタウロスの戦斧こと『ダンジョンアックス』を取り出し、オブジェクト化させてから荒々しく振るい上げ、外れにいたマーマンゾンビを脳天から叩き割りながら、何時か造って貰うと決めた『双皇甲虫(そうおうこうちゅう)斧槍(ハルバート)』に想いを馳せて、彼は戦いを続けるのだ。

 

「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、ペッパーも海鮮ツアーか」

「ペッパーさんですわ!」

「おぉ、ペッパー。君もなのか」

『オハヨウ』

 

午前十時、武器の練習と素材集めをしながらルルイアスを駆けていると、同じように人魚を狩っていたサンラク・エムル・アラバ。そしてアラバの剣から出て来た半透明の精霊と、ペッパー達は出逢った。

 

「あ、どうも初めましてペッパーです。此方がアイトゥイルとノワ」

「アイトゥイルなのさ」

『ワウ!』

「あぁ、そうか。ペッパーは初めて出逢ったか。彼女は『ネレイス』、俺の剣に宿る憑依精霊(イグジステンツ)だ」

『ヨロシクね』

 

軽い自己紹介を挟み、ペッパーはサンラクに聞いてみた。

 

「サンラクもルルイアスで素材狩りツアーか?」

「おうよ。クターニッドとの戦いまで時間は有るからこそ、今の内に採れるだけ採ろうって思ってさ」

 

どうやら考えている事は同じだったらしく、サンラクの邪魔にならないように何処等辺で狩りをするか、聞いてみる事にした。

 

「なぁ、サンラク。どの辺りで狩りをする感じ?一応ダブって事故にならないようにしたいんだが……」

「俺等は東側かな、其れから北へ行って一周するつもり」

「そうか。俺達は南に向かって進みつつ、クターニッドの一式装備の在る場所に関する、何かしらのヒントを探すよ」

「成程。んじゃ、此方でも何か見付けたらEメールで連絡入れるぜ」

「頼んだ」

 

こうして話し合いをしたペッパーとサンラクは、各々のメンバーを連れてルルイアスの街並みを駆けて行く。目的を見失わず、成すべき事を成す為に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボーマクロンツォ、ホルタティェル、シャルホーボヤーシュ…………貝を取り込んだカイセンオーからは、食用にするなら良い素材がわんさか採れるんだな」

「火を起こして貝を焼き、酒と一緒に食してみたいさね………」

『ワゥ』

 

サンラク達と別れ、引き続きルルイアス&クターニッド一式装備捜索と武器練習を続けながら南下を続けるペッパー達は、セーブポイントとして侵入可能な家屋に隠れてマーマンゾンビを遣り過ごしつつ、インベントリア内に収納した素材を眺めて呟く。

 

此処ルルイアスで採れるモンスターやアイテムの種類は、大きく分けて三つ。武器や防具に使用出来る物、食糧として食べられる物、換金してマーニに使える物の三種類。昼間の場合はマーマンゾンビや人魚を討伐する事で武器・防具に使える素材が多く、カイセンオーを討伐すれば食糧として使える素材が多くドロップする傾向にあると、彼は少なからず感じた。

 

「行ったみたいだな。よし、続きだ続き……!」

 

目標は出来る限り一撃必殺でマーマンゾンビや人魚を、少ない手数でカイセンオーを倒して、武器の耐久値を保つ事。神秘:運命の輪は武器や防具の耐久減少倍増効果さえ除けば、本当に便利な存在だ。特にゲーム中に一回しか訪れられないだろう特殊フィールド(ルルイアス)ともなれば、其の恩寵は目に見えて顕著になる。

 

「此のまま座礁船の近辺まで向かう、そして道中の敵は無理しない範囲で倒す」

「はいさ」

『ワォウ』

 

青の都市を走り、道中のマーマンゾンビや人魚を速攻で倒し、ペッパー達は目的地を目指して進んで行く……。

 

 

 

 






隈無く、繊細に


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