続くよ、海鮮巡り
※ペッパー君ならアイテム収集するやん………って気付いたんで修正します
「座礁船エリア、無事到着………と」
スタート地点から進軍を続け、途中で数体のマーマンゾンビや空を泳ぐ人魚、果ては八か九の生物を取り込んだ『スーパーカイセンオー(ペッパー呼称)』との戦いを繰り広げ、ペッパー・アイトゥイル・ノワのパーティーは、二日前にペンシルゴンが金銀財宝宝箱の山脈を見付けた座礁船が連なる船の墓場に来た。
「ペッパーはん、そいえば何故に此処を目指したのさ?」
「一度行った小さな町とかには大体行かなくなるんだが、此の手のゲームだと一回行った場所には、フラグが埋まってたりする事が間々在るからさ。駄目元で散策しようかなって」
レトロRPGや横スクロールアクションゲームでは、初回攻略時に訪れた場合、特定アクションやアイテムが無いせいでアイテムが取れず、其れが出来るようになってから再度来訪………という経験がペッパーには有った。もしかしたらクターニッドの一式装備に関わる、重要なフラグが在るかも知れないと考え、彼は此処にやって来たのだ。
「行こう、皆」
「はいさ」
『ウォウ♪』
手始めに竜骨がパックリと割れて、西瓜割りされたようなガレオン船に乗り込む一向。船内に在る木造の扉を静かに開いて部屋の中を覗き、音を立ててマーマンゾンビを呼び寄せないように静かに行動していく。
最初に訪れた時は、金銀財宝宝箱の山に目を奪われたが、改めて船を見てみると、今からずっと昔の造船技術で造られただろう痕跡が残り、一部の部屋には本等を含めて調べられるオブジェクトが幾つか在った。
「昔の航海日誌に、医学関係の本、其れから此の近辺の海図………。こりゃ『ライブラリ』にして見れば、金銀財宝以上に価値が有りそうな資料ばかりだな……」
世界観を考察・真実を白日の元にする事を活動方針とするライブラリにとっては、当時の船乗りの生活や世界背景を知れるので、此れ一冊でも相当なマーニを取れるだろう。何ならペンシルゴンに本の事を話したなら、非常にニッコニコな笑顔で悪い事を考える気がしなくもない。
「とと、いけない………時間は有るとはいえ、他にも船は在るんだ。どんどん探索して行こう」
レア物にはならずとも、価値はプレイヤー各々で決まる。航海日誌を含めたアイテムを取れるだけ取り、インベントリアに収納。行く先々でも同様にアイテムをインベントリア内に入れては、船内散策を続けるペッパー達は途中でキッチンや食堂、船医室に入っては本や錆び気た道具等、色々な物を見付けた。
『薬剤の調合書』に、日本で言う所の『解体新書』。ティークに見せたなら、驚いて天井に頭を打ち付けそうな『海の食材のレシピ本』等々、取れる物は全て取り。そして何より、彼がガレオン船散策で一番の衝撃を受けたのは。
「おおぅ…………」
「凄いのさね……」
『ワゥ~』
船内の宝物庫に積み重なっている、金銀財宝宝箱の巨大山脈が彼等を出迎えたのである。二日前にペンシルゴンが見付けた物にも匹敵する量であり、ペッパーは独り占めにするのも悪いと考え、チャット部屋【ルルイアス攻略最前線】にて写真と共にメッセージを投稿。財宝の一部をインベントリアに収納し、次の座礁船を調べる為にアイトゥイル・ノワと共に移動していく……。
「…………………マジか」
【ルルイアス攻略最前線】に投稿された、ペッパーの新規メッセージ。其れを見て一際衝撃を受けたのは、ログイン出来ていないユニークシナリオ参加メンバーや、ついさっきログインした参加メンバー……ではなく。
二日前に一度、座礁船エリアにて鎮座していた金銀財宝宝箱の山脈を、一つ残らずインベントリアにブチ込んでいた『サンラク』だった。
「サンラクさん、サンラクさん。いきなり神妙な顔してどうしたのですわ?」
「サンラク、まだ奴等が付近に居るぞ……!」
セーブポイントとして利用可能な建物に隠れ、マーマンゾンビ達を遣り過ごしていたエムルとアラバは、サンラクに声を掛け。そしてサンラクは今後の行動を一羽と一匹に伝える。
「エムル、アラバ、悪いが素材乱獲の予定を一部変更だ。今すぐ座礁船エリアに向かうぞ」
「マジですわ?滅茶苦茶長距離移動ですわ……?」
「奴等に見付かるリスクも有るんだぞ……?」
「フッフッフ………。其れに関しても、既に秘策を用意してあるんだよなぁ。アラバはルルイアスを低空水泳、エムルは確り掴まっとけよ………痺れるから」
首を傾げるエムルとアラバをチラッと見て、ニンマァァァァァ………と、一際悪い笑顔を浮かべたサンラクは、マーマンゾンビが通り過ぎたタイミングを見計らって、一気に行動を起こす。
「え、あのぉ~……サンラクサン……?其の手袋叩き付けたらバチバチするのって、乗ってるアタシも巻き込まれそうですわ……?」
「賢いねぇ、エムルちゃん。此の際だから感電初体験もしておこうかぁ~?」
「あ、いえ、アタシは此処でお留守番しピェ!?」
「さぁ行こうぜぇぇぇぇ………!」
「アビビビビビビビビ!?」
「サンラク早いぞ!待ってくれ!?」
エムルに逃げられる前に頭を捕まえ、
所変わって座礁船エリア。此処ではペッパーがアイトゥイル・ノワと共に幾多の船達を散策しており、現在はペンシルゴンが財宝を発見したと、自分をEメールで呼び出した船にやって来ていた。
「…………………………」
船内を調べて、非常に『有益な情報』を手にした彼が訪れた部屋には、金銀財宝宝箱の山々。およそ二日前に
「他の船にも金銀財宝が在ったのは良いとして、此処に有った筈の物が在るってのは、そういう事か………!」
他の船でも宝物は一部ずつ、本や資料は全部貰って回収していた時に抱いた、強烈な違和感。其れがペッパーの中で、一気に確信へと変わる。
「
スパンは判らないが、時期によっては二回手に入る可能性が有る事が判明した、ルルイアスの金銀財宝達。此れは絶対に知らせておかなくてはと、【ルルイアス攻略最前線】にメッセージを送ろうとした時だった。突如船外で鳴り響く轟音と、其の合間に響く『電気音』と『悲鳴』が此の場に居る全員の耳に届いたのだ。
「ペッパーはん、エムルの声さ!」
「って事は、サンラクだよな……!一体何が起き………た?は???」
「ペッパーはん、どうしたの………えぇ???」
座礁船の外に移動し、外の様子を見たペッパーとアイトゥイルは、其の光景に絶句する。
先頭を黒雷を纏いながら『鮭の頭』を付けて走るサンラクと、其の肩に掴まりながら痺れているエムル、更には空中を全力で泳いでいるアラバの姿。そして其の後ろでは大量のマーマンゾンビと人魚に、全長500m越えの巨大な虹色のリュウグウノツカイが一頭、口からビームをブッ放しては其の巨体でゾンビや人魚を轢き殺しつつ、サンラクを食べんとして、此方へ向かってくるのが見えた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ死んで堪るかぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!!」
「だずげででずばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!??」
「のぉおおおおおおおおお!!!???」
死んだ鮭の瞳で走る様を見たペッパーは、ありのままの心情を吐露するように、こう呟いた。
「何やってんの?」
と。
電車を引き連れ、鮭が来た