VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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此れが彼女のやり方だ




攻略法は時に当たり前から算出される

「死なぬなら 蘇生(おこ)してしまえ ホトトギス………てね。フフフ…………」

 

上空を泳ぐ寄生生物によって殺され、死せる故に死なずの怪物と成った不世出の存在(エクゾーディナリーモンスター)、スレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針(コンパペット)"………其れを見上げながらにペンシルゴンが笑う。其れはまるで邪悪なる魔王が妙案を思い付いた時の物と同じであり、サンラク・オイカッツォは額に冷や汗を滴し、ペッパーはゴクリと固唾を飲み込む。

 

「作戦は至ってシンプル。サンラク君、カッツォ君、あーくん、エムルちゃん、アイトゥイルちゃん、ノワちゃん。皆にはあの巨大空母鮟鱇が放つ、眷属達(艦載機)達の囮役を買って欲しい。アレは居るだけ邪魔だし、私がやる事においての最大の障害になる。狙いはアイツが『200m』まで降りて来たタイミングで、近くに有る建物から『再誕(さいたん)涙珠(るいじゅ)を放り投げて』、奴にぶつけるから」

 

ウェザエモンとの決戦でも、撃破に貢献した蘇生アイテムこと『再誕の涙珠』。其の内容から全員は彼女の意図を読み取るに至る。

 

「もしかして………!」

「多分な。あの巨大空母鮟鱇はペッパーの発言を噛み砕いたなら、ウェザエモンと同じ『アンデットタイプ』のモンスターって事になる………!」

「成程………アンデットなら『蘇生』や『浄化』をすれば良いって事ね!」

「そゆこと。頼めるかな?」

 

ペンシルゴンの問いに、スリーゲーマー達は『任せろ!』と力強く答えると同時に、鮟鱇が大きく身を動かして眷属達が一気に地上へと降り注ぎ始める。

 

「サンラクザン!マジでヤバいですわぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」

「気張れよ、エムル!」

「アイトゥイルはオイカッツォの援護!俺とノワで、ペンシルゴンの道を切り開く!アイトゥイル、頼んだ!」

「任せてなのさ!」

『ウォルゥ!』

 

爆撃を走り、ペッパーはインベントリアから悠久を誓う天将王装(フォーエヴァー・ウェザリオ)を全身に装着。左手に轟斬型(ゴウザンガタ)太刀(タチ)(シキ)武装(ブソウ):大天咫(オオテンタ)を握り締め、鞘より抜刀しつつ合言葉を以て機馬を呼ぶ。

 

質量転送(エクスポート)及び展開(サモンコール)………!試作型戦術機獣(しさくがたせんじゅつきじゅう)天王(テンオウ)】ッッッッ!!!こぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!!!」

 

展開する魔方陣、現れる全長3m近くのロボットホースこと天王は、ルルイアスの大地を力強く駆けてペッパーの元へ駆け寄る。

 

『ペッパー、呼ビマシタカ』

「あぁ。天王、起きて早々になるが頼みがある。今俺達は巨大な空母鮟鱇を倒さないといけない。そして戦いの鍵を握っているのはペンシルゴンで、彼女がアイテムを投げられる位置に連れて行かないと、作戦が失敗する。其処で天王にはペンシルゴンの護衛と彼女の脚になって貰いたい………頼めるか」

『了解シマシタ、オ任セヲ』

 

そう言い天王は鋼の四肢と共にルルイアスの大地を蹴り上げながら、ペンシルゴンの元へと走り。ペッパーはノワを右脇に抱えつつも、自身のスキルで空へ駆け上がり、此の戦場で最も危険なスレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"の真正面に登る。

 

「一度死んだ奴を酷使するなんて真似は、生に対する冒涜に他ならない!来いよ、スレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"!艦載機なんか捨てて掛かって来やがれぇい!?!」

 

サムライアーマーを装着したペッパーが余程気に入らなかったのか、はたまた一番邪魔な存在だと考えたのか。何にせよペッパーの挑発は成功し、彼を中心に狙いを変えて死した空母はホーミング攻撃を仕掛けに掛かる。

 

「よし、釣れた!サンラク、オイカッツォ!エムルさんにアイトゥイル!爆撃に引っ掛かって死ぬんじゃないぞ!!!!」

「あったりまえだ!エムル、確り掴まれよ!」

「はいなぁ!」

「了解ッ!」

「援護は任せてなのさ!」

 

ホーミング弾を爆撃攻撃に合わせるように走り続け、サムライアーマーを纏ってノワを抱えながらに、空中を駆けるペッパー。

神秘(アルカナム)愚者(フール)の能力によって再使用時間(リキャストタイム)を短縮された機動系スキルで回避する、サンラクと其の肩に必死に掴まるエムル。

アイトゥイルの酔伊吹や華魔威断(カマイタチ)の援護で、撃ち漏らした眷属をノックバック重視の格闘で圧し出し、退けるオイカッツォ。

 

「皆の頑張り、無駄には出来ないね……!」

『ペンシルゴン、御久シ振リデス』

「お、天王ちゃん!良い所に来てくれた!君の脚を貸してくれないかな?」

『オ任セヲ、ペッパーカラモ貴女ヲ所定ノ場所ニ、届ケル事ニナッテオリマス』

「頼もしいね………!目標はおよそ300m先、とんがり屋根の教会みたいな建物!さぁ、頼んだよ天王ちゃん!」

『了解デス!』

 

身を屈めたペンシルゴンが渾身の力で跳躍(ジャンプ)し、天王に股がるや目標地点を目指して走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空母という兵器は時折『動く蜂の巣』と揶揄される。下手な戦力で手を出したなら、物量と言う名の津波に押し潰されて負けるなる意味が込めれており、かの日本も第二次世界大戦中に航空戦力の重要性を軽視、艦隊戦で戦うなる昔過ぎる勝ち方に拘り過ぎた結果、敗北したと言っても良い。

 

まぁ此方と向こうの国力と資源力の圧倒的な格差、物量戦になったなら敗北確定だったので、もしも……なる話は世界線の分岐という話にしかならない訳だが。

 

「つまり何が言いたいかと言えば、あの巨大空母鮟鱇は『空中を飛べる術持ち』か、奴のヘイトを文字通り『全て請け負うプレイヤー』が居ないと、まともに蘇生での討伐も出来ないって事だ」

「ペッパーがそう言うとはね……」

「まぁ、実際其れが可能なのってペッパー除くと、朱雀(スザク)青龍(セイリュウ)くらいだもんな、今の現状。ただソイツが居た所でゾンビアンコウは、ソイツを『集中砲火』するんだよな。倒したらまた絨毯爆撃&ホーミングの嵐」

 

サンラク、解ってくれますか。そう、あの死した空母鮟鱇は『空中を飛んでる奴』を目の敵にしているかのように、集中攻撃を仕掛けてくるのだ。多分前に行われていた『モンスターの行動ルーチン変更』に、此のスレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"と原種も関わっている可能性が非常に高い。

 

おそらくレディアント・ソルレイアを持ち出して飛んだりしたら、あの爆撃やホーミングの飽和攻撃に押し潰される未来が見える。というか見えた。

 

「ペッパーはん!ペンシルゴンはんが、位置に着いたみたいなのさ!」

 

一眼望遠鏡でオイカッツォの頭の上から見ていたアイトゥイルが、伝令を伝えてきた。

 

「よっし、皆もう一踏ん張りだ!気合入れ直していけッ!!」

『応ッ!!』

『ワォーン!』

 

ペッパーの号令、同時に彼は最も危険な空中に其の身を置き、サンラクとオイカッツォにエムルとアイトゥイル、そしてノワも体勢を整え直す。彼は同時に星皇剣(せいおうけん)グランシャリオを取り出し、右手の甲に鞘を当てた後で右手にて抜刀。大天咫を鞘に納めつつ、世界の真理書「墓守編」を取り出した。

 

戦いは、終局に向かい始める………。

 

 

 






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