終戦へ
ペッパー達がスレーギヴン・キャリアングラー"
ペンシルゴンはペッパーが
「天王ちゃん、ありがと」
『ペンシルゴン、御武運ヲ』
天王に股がっていた彼女は背中に脚を付け、頭部を走って鼻先から跳躍し、屋根の上に降りて其のまま鐘楼が吊るされた、とんがり屋根の付近まで登っていく。
「距離良し、高さ良し、ヘイト管理…………大丈夫!天王ちゃん!私が落ちてきたら受け止めてね!」
『了解デス』
インベントリアから取り出し、右手に握るは此の戦いの行方を左右する鍵たるアイテム。ユニークモンスター・墓守のウェザエモンとの決戦にて、ゾンビアタックをする為に用意した『
ペンシルゴンは見る。作戦成功の為に動く三人のゲーマーを、二羽のヴォーパルバニーを、一匹のリュカオーンの分け身を。そしてゆっくりと空から降りてくる、一匹の死なずの空母の巨体を。
「さぁ、行こうか!」
おおよそを計算、投擲時の弾道方向の予測を行い、筋力と器用に関係するバフスキルを全開にしながら、ペンシルゴンが右手に力を込める。
「ペッパーはん!ペンシルゴンはんが何か投げようとしてるのさ!」
「ナイス、アイトゥイル!」
再誕の涙珠を投擲し、アンデットアンコウを蘇生によって殺す事がペンシルゴンの狙い。そしておそらく、彼方の艦載機達が十中八九、涙珠の飛翔進路を邪魔するだろう。なればとペッパーは、左手に持った世界の真理書「墓守編」をグランシャリオに翳して、七つ在る内の持ち手から『五番目』の穴に宝玉へと変化した書物を納める。
「ウェザエモン・天津気さん、貴方の絶技──────使わせて頂きます!」
敬意を示すと同時に彼の左手から蒸気が溢れ出し、其れはモクモクと形を作り、巨大な『雲の左腕』と成って現れ始めた。
「
此の技を始め、晴天流の中でも取分『発汗器官による働き』に着目し、其の機能を増長させる事によって産み出された蒸気を用い、形成された『雲』を自在に操りながら敵を倒す此の
トゥワイス・ジャンピングによる跳躍、そして全身を全力で回転。雲の左巨腕を振り回し、彼は叫んだ。
「
襲い掛かる眷属の特攻を薙ぎ払い、彼は白い竜巻と成りながら、ペンシルゴンの投擲進路を邪魔するであろう敵を押し退けながら、上へ上へ飛んで行き。敵のヘイトがペッパーに向いた其の瞬間を見逃さず、ペンシルゴンが屋根より自身のスキル:乾坤一擲を点火し、再誕の涙珠が豪速球でルルイアスの空を飛ぶ。
スレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"が、其の眷属達がペッパーにヘイトを向けて動き、僅かに出来た隙間を貫いて、死した空母鮟鱇の身体に着弾。同時にエフェクトの展開によって巨体は包み込まれ、浮かんでいた身体が『死亡』によってルルイアスに墜落し、ペッパーを追い掛けていた眷属達も纏めて死に至る。
「おぉ………!やりやがった、ペンシルゴン!」
「やっぱゾンビは蘇生か浄化って感じかね………」
「ナイスだ、ペンシルゴン!」
空中ジャンプで落下ダメージを軽減するべく、地上に降りてくるペッパーを始め、作戦の立役者兼フィニッシャーとなったペンシルゴンを、サンラク達は見ていて。だが……………スレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"の
「……ん?ヴォエ!?くっっっっさ!?」
「スレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"……ん?は?」
一番最初に『其れ』に気付いたのはサンラク。自身の鼻に香るのは、腐敗に満ちた最悪の『臭い』で。続いて気付いたのはペッパーであり、空中から見たからこそスレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"の身体から、『ガス』めいた靄が漂って鮟鱇を中心に、フィールドへ拡がり始めているのに気付く。
「エヘヘ~~……『良い香り』ですわぁ~………」
「あぁ~『甘露』なのさ~………」
「エムル!?アイトゥイル!?どうした!?!」
「サンラクぅ~何かあっちから『美味しそうな匂い』がするよ~~………」
「おい、嘘だろ!ってリュカオーンの分け身は!?」
『ウォウ?』
フラフラと無気力状態になりながら、エムル・アイトゥイル・オイカッツォがスレーギヴン・キャリアングラー"傀儡羅針"の墜ちた場所へと歩いていく。
だがノワと、呼び出されたロボットホースの天王は『何ともなく』、ふと振り向けばペンシルゴンも此方に向かってフラフラと歩いており、ペッパーが何かの液体が入った瓶を彼女の口に突っ込んだのを見て、サンラクは確信に至る。
「ペッパァ!天王呼び寄せて、カッツォ達を救助!あのゾンビアンコウ、此の一帯を腐敗で発生したフェロモンガスで『爆破』する気だ!」
「だよなぁ!?!天王ォォォォォ!サンラク達の所へダッシュウウウウウウウ!!??」
『了解ッ!』
ペッパーのアイテムを飲み込んでか、ペンシルゴンが正気を取り戻して距離を取り出し。天王がオイカッツォ達の進路を塞ぎつつ、サンラクが一人と二羽を回収して天王に股がり、ペッパーは猛ダッシュでノワに駆け寄り、抱えながらに全速力で走り。
そしてスレーギヴン・キャリアングラーの身体はどんどんどんどん膨れ上がり、其処から放たれ続けるフェロモンによってマーマンゾンビ達が引き寄せられていき。最後には鯨の死体が腐敗によって、体内に蓄積されたメタンガスが弾けるように……………爆発。
其の破壊力はルルイアスの一部を粉砕し、轟音が鼓膜を麻痺させ、衝撃波が踏ん張った天王の巨体を後ろに圧す程の凄まじさを見せ付けた。
そして……………スレーギヴン・キャリアングラー"
ペッパーとサンラクには別のリザルト画面が表示されたのである。
『モンスター
『討伐対象:スレーギヴン・キャリアングラー"
『エクゾーディナリーモンスターが撃破されました』
『称号【
『称号【
『
『称号【
其れは祭の終わり飾る、花火の如き奥義
取得条件:スレーギヴン・キャリアングラー"
効果:死亡した瞬間に発動し、10秒間自身を中心としてフィールドに特殊かつ強烈なフェロモンを散布する。其の匂いを嗅いだモンスター及びプレイヤーはシステムによってコントロールされ、対象者に近付く。
10秒後に対象者は自爆し、敵味方問わず周囲に大ダメージを与える。其の際のダメージは対象者の持つMPの総量によって変動する。
生物の完成は『死』であり、其の最後の煌めきは時に輝かしく、世界に刻み付ける物で無くてはならない。故にこそ不世出の奥義。
称号解説
【
深海にて、アトランティクス・レプノルカ"
ぶっちゃけると、遭遇から他プレイヤーへの何かしらサポートだったり、ダメージに貢献したりすれば手に入るので其処まで所得難易度は高くない。