VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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勇者、走る


※原作を読み直したら、色々間違いが在ったので修正します




四の逢魔時。勇者一向は反転都市の城へ往く

「ただいまー………って誰も居ないけど」

 

コンビニでのバイトを終えて、住んでいるアパートに帰宅した梓は、玄関に鍵を掛けてリュックサックを置き。シャワールームに入り、手洗いと嗽を行った後に服を脱いでシャワーを浴びて、髪と体を洗う。

 

バスタオルで全身と髪を拭き、腰に巻き付けて寝間着を取り出し、ドライヤーで髪を乾かして着替えた後、脱いだ服を洗濯機へ液体洗剤と共に投入し、スイッチオン。

 

布団を敷き、マグカップ一杯に水道から注いだ水を飲み干し、水分補給を行った彼はVRヘッドギアをチェックし、異常が無いかをチェックした。

 

(今日やる事は、ルルイアスの中央に在る巨大な城。彼処を調べて、クターニッドや其の一式装備に関する情報を、何か一つでも手にする事にある……!)

 

やるべき事は決まった。後は四日目でどれだけの情報を手にする事が出来るか、己との戦い。梓はヘッドギアを頭部に装着、布団へと仰向けになって寝転がり、シャンフロへとログインしていく………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁやぁ、あーくん……!ログインした、よう……だね?……ちょっとノワちゃん、其処私のポジション……!」

『グルルルル、グルルルル…………!』

 

シャンフロにログインし、意識が電脳の世界に溶け込み、此の世界におけるペッパーと成った彼の目に飛び込んだ景色は、押し競饅頭をし合ってポジション争いをしているペンシルゴンとノワ、其れを見つめているルスト&モルドのコンビと、レーザーカジキにエムル・シークルゥ・アイトゥイルだった。

 

「起きて早々何やってんの、ペンシルゴンにノワは……」

「ペッパーさんが起きたら、どっちが横を取るかで争い始めたそうです………」

「えぇ………」

 

レーザーカジキの説明に、顔が引き吊る。あまりにも、実にくだらない争いに頭を抱えるペッパーだが、全部自分が招いたトラブルなので事態の収束に掛かる。彼はベッドに腰掛けつつ、自身の膝をポンポンと軽く叩きながら言う。

 

「ペンシルゴン、ノワ。此方に、膝枕をしてあげよう。二人分有るぞ」

 

其の台詞に反応してか、一人と一匹の視線は彼に向き。ペンシルゴンは右を、ノワは左の太腿に各々頭を乗せてきて。彼がそっと頭を撫でれば、どちらとも安心した様子で笑顔になったのだ。

 

「ペッパーさん、凄いですね……」

「そうかな?」

「膝枕は安心出来る………」

「えっルスト、何で此方見てるの?………もしかして、膝枕したいの?」

「…………………」

「え、何で?」

 

無数の選択肢から的確にクリティカルを引き当てたペッパーに、レーザーカジキは感心しており、ルストは呟き、モルドが意図を察してか声を掛けるも、スッ……と目を反らした。

 

「さて、ルルイアス滞在も今日で四日目だけど………。来る戦いに備えて、中央に在る城を調べてみたいと考えてます」

 

ペッパーの言葉に、今此の場に居る全プレイヤーとNPCの視線が向く。

 

「理由を聞いても良い?」

「今の予定では七日目にクターニッドと戦う場合、ちょっと『時間が足らなくなる』可能性がある。今自分達に付与されている『深淵の刻限』……此れをルルイアスで目を覚ました時から始まっていた。そして此処から先を計算したら、此のままだと『足らなくなる』可能性が高い」

 

そう……ペッパーは数日前にクターニッドによってルルイアスに引き込まれ、目を覚ました時の時間を記憶し、覚えていた。そして其れを先々に延ばしてみると、若干足りなくなる危険性が出てきたのだ。

 

「つまり七日目の夕方に集合しても、タイムオーバーで間に合わなくなる可能性が有る………と?」

「はい。場合によっては七日目に入った『深夜帯』で、クターニッドを攻略しないといけなくなるかも知れない。まだ余裕は有れど折り返しに入ったから、少しずつ動いて良いかなって」

 

レーザーカジキ・京極・秋津茜・オイカッツォは六日目はログイン出来ない。そうなると今の段階からクターニッドと戦う為の準備や、ギミックが有るならば其れを解く時間を設ける事が必須になる。

 

「確かに……今の段階から城を調べて何か発見出来れば、ルルイアス攻略最前線で情報を共有するって感じにして、他メンバーとやり取りをするって形だね?あーくん」

「そうなるな」

 

チャット部屋を開き、話し合いの情報をメッセージに起して送信したペッパーは、ペンシルゴンとノワが頭をぶつけないように、ちょっとずつ動いて立ち。そして皆に言った。

 

「さて、と……。ルルイアスの中央の城へ向かうが、夜のルルイアスでは敵とのランダムエンカウントが予測される。注意して行こう」

 

参加メンバーは、ペッパー・ペンシルゴン・アイトゥイル・ノワ・ルスト・モルド・レーザーカジキ・シークルゥの五人と二羽と一匹のパーティー。

 

エムルはサンラクが目覚めた(ログインした)場合の案内役兼アラバと共にスチューデの護衛係に就き、ペッパー達一向はルルイアスの中心地に聳え立つ、巨大な城を目指して行動を開始したのである……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルルイアスの城へ向けて移動中、スーパーカイセンオー二体と其のスーパーカイセンオーが重武装化したであろう、ハイパーカイセンオーと遭遇し。其の三体全てを怒りに吠えたレーザーカジキが繰り出した、飽和風魔法攻撃により粉砕されるという、彼の持つ戦闘力の一端を目撃しながらも、一向はルルイアスの中心地に建つ城へと辿り着いた。

 

「やっと着いたぁ~………」

「改めて見るけど、デカいね」

「大きいのさ……」

「フィフティシアの最上級ホテルより大きい」

「そうだね………」

『ワウ』

「随分と大きいで御座るな……」

「わぁ………」

 

目の前に立った事で解る、此の城はサードレマの領主の城よりも大きな存在であると。城門を押せば門は開かれ、中庭を通り抜けて城の中へと入っていく。

 

潜入した場内はうっすらと薄暗く、灯されている蝋燭の炎は青白いLEDライトの様で。夕方から夜へと移ろう頃であるからか、リュカオーンの小さな分け身たるノワもペッパーの足下を離れて、自由に動けるようになった。

 

「城の中に入ったが、此の時点で何か起きる訳じゃないか………」

「手分けして探してみる?」

「一番手っ取り早いのは『そう』なんだろう。だが多分だけど、NPCは『待機』させた方が良い気がするんだよな………」

 

此の手のダンジョンでは、何処かに『情報』が有るのは『御決まり』レベルとなっているし、クターニッドが居るとすれば間違い無く『此の城の何処か』と断言出来る。

 

「クターニッドの体格的に考えて城の最上階は『窮屈』だろうから、多分奴は『地下』に居ると思う」

「そうなるとNPC達は、プレイヤーの誰かを付けて一階を捜索、残りのメンバーで上の階を………が良いのかな?」

「其れで良いと思う」

 

メンバー分けをするとペンシルゴンとノワが、ペッパーと行動すると言って面倒な事になりかねないので、彼はペンシルゴン・ノワ・アイトゥイルと共に一階を捜索、ルスト・モルド・レーザーカジキ・シークルゥは二階を捜索する事にして、各々行動を開始したのであった………。

 

 

 






城を調べよう



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