其の頃、サンラク達は
※原作を読み返した所、ミスを発見したので修正します
時間はペッパー達が、反転都市ルルイアスの中央に建つ巨城に辿り着いた頃。
午後六時─────セーブポイントとして利用している建物の、二階に在るベッドから起き上がったサンラクが空中一回転から地面に着地する。
「よっし、今日も今日とてシャンフロをやっていくとするか!」
「あ、サンラクサン!やっと目覚めましたわ!」
「おう、エムル。何せ今日は、俺だけじゃ無いんだぜ?」
握り拳を掲げるサンラクと、彼の目覚めの声に反応したエムルが鳥面に飛び付く中、其の視線がベッドの一つに向けられる。そうしてポリゴンが収束し、
「レイ氏、此方から時間指定してすいませんでした。大丈夫ですかね?」
「あ、いえ!はい、大丈夫……です!」
本日の夕方に判明したサイガ-0の正体。あの瞬間まで尻尾を出す事無く、
あの瞬間の衝撃たるや脳内のシャンフロアバターのサンラク達が、満場一致のスタンディングオベーションをした程だ。
「サンラクさん、サンラクさん。ペッパーさんから伝言を受け取ってますわ」
「ペッパーから?」
「はいな。『ルルイアスの滞在期間が折り返しを迎えたので、中央の城を探索してクターニッドに関する情報を集めてくる』って言ってましたわ」
慎重ながらも先々のログイン状況を考えて行動しているペッパーは、現状クターニッドが居る可能性が高い巨城を調査する選択を取ったらしい。
「ありがとな、エムル。レイ氏、俺達も城へ行きましょう」
「はいっ!護衛は任せてください!」
「エムル、準備は良いか」
「はいなっ、私にお任せですわ!」
半裸の鳥頭と純白の重騎士そして致命兎の魔術師は、先に巨城へ向かった一団を追い掛けて、夜へと移ろい行く淡い青一色の街を駆け抜けて行く。
尚、其の道中にて襲い掛かってきた八種類の魚に、甲殻類や珊瑚に骨を取り込んだ『スーパーカイセンオー』や、サメの身体にカエルの手足と全身から生えた針金のような硬毛によって魚を引っ掛ける特性を持つ『ディープフィッグ』は、サイガ-0のスレッジハンマーでコアとなるクラゲや、頭部から始まり頸椎と内臓を連鎖破壊して一撃粉砕。
いや此の情報ヤバくないか?
ルルイアス…………嘗てはルールイアと呼ばれていた国の王城にて、王様か女王が残した手記を読み終えたペッパー・ペンシルゴン・レーザーカジキの三人が抱いた感想である。
クターニッドの一式装備起動方法を始め、戦闘突入への条件、そして狂える大群青なる激ヤバな存在が記載された、情報爆弾の権化たる手記。自分達以外の誰かが訪れた場合に色々と説明追及される事を防がんとし、何とか手記を持ち帰れないか、あれやこれやと試してみた。
だが此の手の『イベント用アイテム』は、次に来た挑戦者が『詰まないように対策』がされており、置かれていた机に手記其の物が『固定』されていた為、持ち運ぶ事は出来ないようになっている。
「………特定エリアとはいえ、ライブラリのおじいちゃんに見付かったら、色々ヤバいねホント………」
「仮に此のユニークシナリオが『周回可能』だったら、ヤバい事にしかならんよ………。『独占』なんて事態が起きたら、第二第三の阿修羅会出現なんて事にも成りかねない」
エリアとして存在している以上、他のプレイヤーも来訪出来る可能性は存在しているし、其れは其れとしてライブラリのクランリーダー・似非魔法少女のキョージュへ、如何に状況説明を行うかが鍵となる。
「そういえば、ルルイアスの街の家屋の窓は塞がってたり開きっ放しだったりだったが、此の城の窓は其のまんまだな………」
青……狂える大群青の包囲に迫られていたとはいえ、外の様子を見る為に敢えて封鎖しなかったのか、今となっては理由は解らない。だが窓を塞がなかった事で、外の様子を見る事が出来たからこそ、ペッパーは窓枠に歩み寄って開ける事が出来たからこそ。
「おーい!」
「ん?……んんん?」
此方に向かって走ってくる、サンラク・エムル・サイガ-0の姿を目視確認出来たのである。
「サンラク!」
「ペッパー!城の探索はどうだー!」
「重要情報を見付けた、ルストとモルドが今最上階に行ってる!」
ペッパーはそう言いつつ、インベントリからロープを取り出し窓から伸ばして、サンラク達が城の入口と階段の経由をショートカット出来るように立ち回る。
自身のスキルで壁を駆け上がったサンラクと、其のロープを使い登るサイガ-0が、漸くペッパー達と合流した。
「此処何処の部屋だ?」
「旧名ルールイア、現在のルルイアスの王様か女王の執務室って所かな。此処に在るのが、クターニッドに関する重要情報てんこ盛りの本」
サンラクとサイガ-0が読めるように皆移動し、二人は本を読み始めて。およそ十数分にはなったものの、読み終えた二人が此方を向く。
「取り敢えずアレには、ヤバい情報しか書かれてないってのは判ったわ」
「クターニッドの一式装備……とても気になります」
各々思う所が有るようだが、先ずやらなくてはならない事がある。
「えっと、サイガ-0さん。クターニッドの一式装備に関する情報の秘匿、御願いしますね」
「了解、です」
地上に帰ったら黒狼との戦争が待っているし、此れ以上の火種は作らないに越した事は無い。と、そんな時である。
「あ、居た居た。皆、最上階の探索を終えたよ」
最上階に向かっていたとレーザーカジキが言った、ルストとモルドが探索を終え、部屋に入って来たのだ。
「何か収穫は有りましたか?」
「最上階探索チームは城の最上階でモンスターと遭遇して、倒したら『コレ』をドロップしたんです」
モルドが指先に視線を向けると、ルストの頭の上に『
間違い無い…………ルストが持つ王冠がルルイアスの要石の一つであり、元の姿に戻す事でクターニッドとの戦闘が始まるのだ。
「コホン……ルスト、モルド。一応此処に在る本を読んで欲しい。大事な事なので」
そう言ったペッパーに二人は顔を見合せた後、ルールイアの王が書き記した本を読み。最終的に王冠と箱の中身を知るに至った。
「さて、と………今から最上階と玉座を探しに行こう。其処にクターニッドの一式装備と起動に関わるヒントが有る」
開拓者達は動き出した、クターニッドの一式装備を手にする為に…………。
いざ最上階へ