ブチのめそう、モンスターズ
「近くまで来たが………ヤバいね」
「ヤバいのさ………」
「其れな」
「ぷわぁぁぁぁぁ………。い、今更ながらアタシ帰りたいですわ………」
「何というか………モンスターの争いに堂々と飛び込む私達って相当だよね」
「あはは……」
『グルッ』
夜のルルイアスにて出現した三体のモンスター、アトランティクス・レプノルカ&スレーギウン・キャリアングラー&アーコリウム・ハーミット、深海三強による怪獣大決戦の会場付近までやって来た、プレイヤー四人とヴォーパルバニー二羽とリュカオーンの分け身一匹は、真の頂点捕食者を決めんとして暴れ狂う者共を見ながら、各々言葉を紡いだ。
雷の雨が降り、魚や甲殻類に軟体類が産み出され、改造された魚共が空中を飛び回って。其れが雷に撃ち落とされ、蒼炎に燃やされて、魚同士が喰らい合うという、端から見ても地獄かディストピアと表現出来てしまう凄惨な惨状を目の当たりにする。
「作戦は移動中に伝えたが、再度確認する。囮は俺が、サンラクがアトランティクス・レプノルカのビーム反射。アイトゥイルとエムルさんにノワは援護、ペンシルゴンとサイガ-0さんは最高のタイミングで攻撃を叩き込んで。兎に角最優先撃破対象は『アーコリウム・ハーミット』、奴が魚達を出し続ける限りは戦いが終わらない」
全員が頷き、皆行動を開始。全員が所定の位置に着くのを見計らいながら、ペッパーは一人インベントリアの中に在る『アイテム』を見つめ。サンラクがEメールアプリで報せた瞬間に、彼は其れを取り出して高らかに掲げて叫んだのだ。
「御機嫌麗しゅう、深海の頂点捕食者達よ!互いが互いに争って、そんなに楽しいのか!」
そんな彼の声と其の方角から香る『匂い』に、三体の怪物や眷属達の視線が集まる。彼が両手に持ち上げ掲げるは、先日大時化を用いて投げ殺した、キリューシャン・スフュール"
成体まで生き残った事で、大振りに育った其の身は巨大かつゼリーの様にプルンと震え。食環境に恵まれた為に、通常種の成体以上に旨くなり。一撃で〆た事と
「コイツが欲しいか?だったらくれてやる!ただしッ!俺を仕留められたらなぁ!」
そう宣言してインベントリアに仕舞った瞬間、深海の頂点捕食者達が一斉に。我先にと言わんばかりに、ペッパー目掛けて突撃を開始。産み出した生物を向けつつも自らも動き出したヤドカリに、眷属を差し向けつつも直ぐに食べられるようにする鮟鱇に、其れ等を薙ぎ払い除けては雷の爆撃で打ち倒し迫る鯱と、ペッパーの背中に絶大な殺意が乗し掛かり襲う。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!絶対死んで堪るかァァァァァァァァァァ!!!!!」
当然ながらアーコリウム・ハーミットも産み出した生物達を迎撃に掛かるが、スレーギウン・キャリアングラーの放つフェロモンによってコントロールを奪われ、防衛戦が崩壊。殺到する眷属達が貝殻を砕かんとして牙を突き立てるが、其れを自らの巨体を回転させることにより、其れ等を全て薙ぎ払った。
そしてアーコリウム・ハーミットとスレーギウン・キャリアングラーが激突した最中、逸早く抜け出したアトランティクス・レプノルカだったが、ペッパーが更に速度を上げて走って100m以上離れたのを見た事で、深海の威光たる『ビーム砲撃』を使う事を決意する。故に蒼炎を鎮めて、口に電撃を集め、空中を駆けるペッパーに狙いを定める。
「戦艦鯱の位置、自分の高度と塔の角度、そして要塞ヤドカリの位置、………今ッ!サンラク、頼んだ!」
インベントリアでエスケープしたペッパーに変わり、サンラクがインベントリアを通じて取り出すは、キリューシャン・スフュール"恕志貫徹"の肉であり。
「オイゴラ二属性鯱野郎が!コイツが欲しくねぇのかぁ!!」
サンラクが掲げる其の肉に、アトランティクス・レプノルカの『攻撃対象』が変わる。だがビーム砲撃は既に発射モーションに入っている、故に急な変更は出来ない。サンラクは肉をインベントリアに入れ直し、インベントリアと
放たれたビームをジャストタイミングで回避した刹那、ルルイアスの塔に施された『反射』の力によってビームが跳ね返り、スレーギウン・キャリアングラーとゴタゴタしていたアーコリウム・ハーミットの貝殻を直撃。要塞たる宿にはヒビが走り広がって、ポリゴンが溢れていき、遂には貫通して体内にまで攻撃が届いたのである。
「ッシャア!ヤドカリに大ダメージ入ったァ!ペッパー、次だ次!」
「任された!アトランティクス・レプノルカ、さぁ着いてこい!」
再び現れたペッパーがキリューシャン・スフュールの肉を持っている事で、戦艦鯱の
そして其の頃、アトランティクス・レプノルカの反射されたビームによって、巨大な貝殻は致命的と言える傷を負ったアーコリウム・ハーミットは自身の傷を治さんととして生態系を操作、修復を基礎とするモンスター達を産み出そうと貝殻の内部に在る『無数の卵達』に情報を送り、卵を孵化させて新たな生態系を創らんとし。
「な・る・ほ・ど・ねぇ~?君はこうやって背中のモンスターを増やしていた訳だぁ~?へぇ~??」
『自分の貝殻の中から響いた声』に、要塞ヤドカリの巨体がビクリと跳ねる。
「サンラクさんの……皆さんを一番邪魔をする………存在は。先に、倒します………じゃなくて、倒させて……貰う!」
「さぁ、ヴォーパル魂を見せてやるですわ!」
「暴れまくりなのさ!」
『ワオーウ!!!!』
二人と二羽と一匹の声が死神の高笑いの如く響き、アーコリウム・ハーミットの体内にて衝撃と斬撃と刺突が襲い掛かり。生態系を産み出す卵が潰れる音を始め、要塞内部が砕き割れる音に、重要器官を破壊される音がドミノ倒しの如く爆音で響き、要塞ヤドカリは此の世の物とは思えない断末魔の悲鳴を上げる。
『ギュリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!?????』
「アッハハハハハハハハハハ!!!ホラホラァ、君の悲鳴でコーラスを奏でてあげようかぁ!!!!」
中でも要塞ヤドカリを内部から倒すのに、
特に『とあるクラン』が造った要塞を、自身が潰してケジメを付けた当時の阿修羅会の上位ランキング組と共に、知略計略用いて一晩で攻め落とした時は其れは其れは『本当に楽しかった』し、其の一件以来自分に
バフスキルを全快にした
其の瞬間、アーコリウム・ハーミットの巨体を、宿たる貝殻を構成するポリゴンが爆発四散して崩壊。NPCを除いた最終的な討伐プレイヤーが二人だったからか、ペンシルゴンとサイガ-0の目の前には要塞ヤドカリの
当然ながらヤドカリの背で育った生き物達は、宿が死んだ事で帰る場所を失って総崩れとなり、空母鮟鱇のフェロモンに囚われて眷属に成るか、戦艦鯱の雷に撃たれたり轢かれたりして死ぬか、無事に戦場から逃げ延びるかの三択しか残されていなかったのである………。
モンスター無限沸き絶許、死すべし慈悲は無い。