VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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海底の猛者へ贈る鎮魂歌(レクイエム)




四の夜の漆。戦艦鯱と空母鮟鱇に終わりを与えん

アーコリウム・ハーミットが撃破された。

 

アトランティクス・レプノルカとの落雷攻撃による死地圏内の鬼ごっこ&スレーギウン・キャリアングラーの眷属弾幕に飽和攻撃をされながらに走るペッパーは、遠くで崩壊した要塞ヤドカリを見てグッと拳を握り。サンラクはサイガ-0とペンシルゴンが戦っているだろう方角へと、サムズアップを送りながらも、都市を駆けるペッパーを見ながら次の塔を目指して走っていた。

 

次は二属性戦艦鯱へ、ルルイアス初日で冥帝鯱相手に行ったカウンタービームを叩き付けて墜落させ、自分がバフスキル&格闘・打撃スキル全開で倒し、其の間にペッパーが昨日アルクトゥス・レガレクス相手に見せた、死神の斬撃(デス・マサカー)なるスキルで空母鮟鱇の首を斬って100秒決着を付ける──────其れが今回行う『深海頂点捕食者三体撃滅作戦』の大まかな内容である。

 

真界観測眼(クォンタムゲイズ)再使用時間(リキャストタイム)終了まで愚者(フール)込みでも、相応の時間は掛かるか。……進化したからといって、やっぱ無視出来ない代償だよなぁ」

 

真界観測眼────フラッシュカウンターから始まり、ジャストパリィにレペルカウンターを越えて、パリングプロテクトを経由し、セツナノミキリの選択の先に在る瞬刻視界(モーメントサイト)の先に至った、視界系最上位クラスのスキル。

 

サブ職業(ジョブ)にセットされた神秘(アルカナム)愚者(フール)の効果で再使用時間半減という状態でも、長期戦になった場合に一回もしくは二回使えるかどうかという、長い再使用時間を抱えている。一応コレ無しでも攻撃を躱わしたり出来るが、有ると無しとでは前者に軍配が上がるのは明白だった。

 

しかもペッパー曰く、此のスキルは昇華(スタンバイ)なる領域が存在しており、特定条件を満たせば其の先の進化形態に成るらしく、其処に至るにはレベルキャップ解放が必須になるが、其れよりも前にやらなくてはならない事も沢山有る。

 

(問題は一回ビーム反射をしたから、二属性戦艦鯱が警戒する可能性が有るって事だ。お前ならこんな時どうする?ペッパー)

 

思考を切り替え、少し離れた位置でサンラクは状況を見守りつつも、鯱と鮟鱇に追い掛けられる彼を見ながら、レトロゲーマーの実力拝見とし。

 

(実はアトランティクス・レプノルカに対して、ちょっと『試したい事』が有るんだよ………ね!)

 

一定速度での走行アクション中に自身の敏捷が上がる『ビート・ラン』、夜限定で空中に己が描いたマナの道を駆けられる『星天秘技(スターアーツ)・ミルキーウェイ』、15秒という短時間ながら加速と空中での移動補正が極大化する神威光臨進(かむいこうりんしん)、最高速度時にソニックブームを纏う轟烈迅速(ヴスティオ・ファーレ)の起動。

 

其の圧倒的加速でアトランティクス・レプノルカから100m以上の距離へと逃げ延びてみせ。同時に二属性戦艦鯱もまた、自身の繰り出すビーム砲撃の条件を満たしたペッパーへ向けて、蒼炎を静めて雷エネルギーを口の中へ集約させながら、其の一撃を高め続けていく。

 

だがペッパーは此処で、とんでもない行動を起こした。アトランティクス・レプノルカがビーム砲撃モーションに入った瞬間に、空中ダッシュの方向を反転。あろう事かアトランティクス・レプノルカ目掛けて真正面から突撃し始めたのである。

 

「オイオイオイオイ!マジか、ペッパーの野郎!ビーム放つ前に顎をカチ上げて、アレを奴の体内で『暴発させるつもりか』!?」

 

そう、サンラクが気付いたペッパーの狙い。ビームによる衝撃波と破壊範囲を考慮しつつ、其の威力を放った本人に全てブチ当てるという、サンラクでも試した事の無い一手をやろうとしているのだ。

 

ペッパーの目と全身が輝き出す其れは、サイガ-0と同じく様々なバフスキルを点火したのと同じであり、エネルギーの膨張が最高潮に達し、後は放つだけの状態になった瞬間。空中を超スピードで駆けるペッパーが、二属性戦艦鯱の顎まで、残り5m圏内に突入した瞬間。

 

アトランティクス・レプノルカの目の前から、小蝿が突如として消え去った刹那に、下顎を襲う凄まじい衝撃と共にビームを放つ為に集めた、膨大なエネルギーが体内へと逆流して──────()ぜた。

 

使用者は瞬間移動(アポート)じみた挙動を可能にする『レーアドライヴ・アクセラレート』。

 

凄まじい威力を備えながらも、積み重ねたバフの総数が総合的なダメージ総数に計算される『聖攣の神覇業(ウルク・フォルセティ)』。

 

脚撃によるダメージを与えるに加えて、ダメージの数値がノックバックの速度と距離に直結する『致命秘奥(ヴォーパルひおう)【オボロサイダン】』。

 

そして蹴りによる攻撃時に、スキルレベルが高い程に衝撃ダメージを上乗せ出来る『キック・バスター』を掛け合わせたサマーソルトキックの要領で、アトランティクス・レプノルカの下顎先端を蹴り抜き、梃子の原理でカチ上げてエネルギーを押し戻したのだ。

 

「やりやがった……!ハハッ、マジかあの野郎!やりやがった!!ペッパァ!二属性戦艦鯱は任せろッッッ!お前は空母鮟鱇をブッ潰せ!!!」

 

体内から黒煙を吐きながら、ルルイアスへと墜落していくアトランティクス・レプノルカに、サンラクが叫び。ペッパーは効果が残るミルキーウェイでスレーギウン・キャリアングラーへと肉薄、襲い掛かる改造眷属の飽和弾幕をレーアドライヴ・アクセラレートで越えて、刻蓬封点認視界(エディア・キュリス・ウラタナ)龍脈を映す視覚(ドラスティエル・ナルクト)で首の位置を確認。

 

秀刀(しゅうとう)白金(しろがね)】を取り出して左手に装備しながら、一定以上の心拍数を刻んだ事により合掌。発動条件を満たした超星時煌宝珠(クロック・スタリオン)で白光を纏いて、ミルキーウェイの効果切れからスイッチするように最後の一押しと旭天昇昂(きょくてんしょうこう)を起動。白く輝く一番星の輝きを放ちながら、其の手に握る短刀に宿るは、文字通り生命(いのち)を狩り取る死神の斬撃(デス・マサカー)

 

「フッ─────!」

 

一閃、まるで冥界の霊気でも籠ったような一瞬の斬撃。だが確かに、ペッパーの握る刀身には致命の一撃(クリティカル)の感触が刻まれて、彼の足は空中を駆け降りてルルイアスへと着地する。

 

ふと遠くではサンラクが、アトランティクス・レプノルカをサンドバッグにするかのような、怒濤の拳撃を叩き込みまくっており、時折『フェアカスがあああああああああああああああ!!!』や『ミナゴロシがああああああああああああ!!!』なる声が聞こえてきたが、気にしない事にする。

 

そして当然ながら、スレーギウン・キャリアングラーは眷属達を差し向ける。死神の斬撃の効果適用までの時間は90秒、インベントリアに入れた食べられる魚達を食らって、ペッパーはスタミナを回復。同時に温存していたレベルMAXの『グラビティゼロ』を起動して、此の最後の攻防戦に臨む。

 

「さぁ、来いッ!!!」

 

スレーギウン・キャリアングラーの眷属特攻包囲弾幕を、自身に対するヘイトを残像に肩代わりし置き去りにする、ウツロウミカガミの起動にてやり過ごし、残りおよそ一分弱を休ませてくれと叫ぶシナプスに、踏ん張れと鞭を打って走り続ける。

 

家屋を飛び越え、壁を蹴り上げ、リアルミーティアス(シルヴィア・ゴールドバーグ)がやった超挙動をシャンフロエンジンと、ペッパーというアバターを用いて再現しながら、制限時間に食らい付く。

 

そして………………空母鮟鱇の視界には命の終わりを与えに死神が訪れ、振り抜かれた鎌の漆黒の斬撃エフェクトによって即死判定を下し、一瞬にしてタフネスたる其の体力を0(HPをゼロ)に変えた。其れは同時に、スレーギウン・キャリアングラーによって眷属と成った生物達の終わりにして、本体が死ぬ事は彼等の死でもあり、次々と死に絶えて鮟鱇共々ルルイアスの大地に墜落し倒れたのだった。

 

時同じくしてサンラクもアトランティクス・レプノルカを殴り殺す事に成功してか、巨体を構成するポリゴンが火山噴火の様に崩壊を開始し、物凄い形相で避難したと同時に二属性戦艦鯱が自爆。周囲を焼き払うが、逃げ延びたサンラクを巻き込めなかったのを惜しむように、其の巨体は完全に崩壊した。

 

「深海の王、アトランティクス・レプノルカよ。深海の空母、スレーギウン・キャリアングラーよ。深海の森、アーコリウム・ハーミットよ。皆各々の強さと脅威を俺達は此の日、嫌と言う程に思い知らされた。俺達は決して、お前達の名を忘れない。戦ってくれて───ありがとうございました」

 

ペッパーの言葉を最後に、スレーギウン・キャリアングラーの巨体を、改造された眷属達を構成したポリゴンは、此処に完全崩壊。

 

彼がサブ職業(ジョブ)にセットした神秘(アルカナム)運命の輪(ホイール.オブ.フォーチュン)の効力によって増大した幸運により、積み上げられる素材の山々(ドロップアイテム)は彼等の勝利を称える報酬と成り。

 

そして討伐に関わった、ペッパー・ペンシルゴン・サンラク・サイガ-0にはリザルト画面が表示されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

『称号【三強撃破(さんきょうげきは)】を獲得しました』

 

 

 

 

 

 

 






深海三強撃滅完了


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