終幕後の賑わい
「……………………ぷふぇ~~~………。まぁじで、疲れたぁ…………!!」
アトランティクス・レプノルカ、スレーギウン・キャリアングラー、アーコリウム・ハーミットの三体を討伐し終え、緊張しきった身体を弛緩するように仰向けで地面に倒れたペッパーは
呼吸を調えれながらに辺りを見れば、スレーギウン・キャリアングラーと眷属と成った魚達の、ドロップアイテムが其処かしこに積み重なっており、
「やぁやぁ、あーくん。お疲れ様『ワゥワゥ♪』だね!?えぇ、ノワちゃん?
そんな折、此方へ走ってやって来たのはペンシルゴンとサイガ-0、アイトゥイル・エムル・ノワであり。仰向けで転がるペッパーの胸に真っ先に飛び付くノワと引き剥がして起き上がらせるペンシルゴンの、早速バチバチな雰囲気になり始めて彼は遠い目をした。
「おーおー修羅場だなぁ、ペッパーよぉ?」
「出来れば仲良くして欲しいんだけど……取り敢えず、ペンシルゴンとノワにアイトゥイル。頭を撫で撫でしてあげよう。おいで」
ペッパーの掌を翳せばノワが右手に、ペンシルゴンが左手に頭を寄せて来たので、撫でつつ「よしよし」とすれば両者共に御満悦となり。そしてアイトゥイルもまた撫で撫でによって、嬉しそうな表情になった。
「………………私も、陽務君に撫でて欲しい、な……………」
「レイ氏?」
「い、いえ!?な、何でもありません!はい、大丈夫ですッ!サンラクさん!!」
「お、おぅ………解りました」
其れを見たサイガ-0が何かを呟いたが、何を言ったかは討伐メンバー達には解らずに終わり。其れから二十数分後に避難していたメンバー達が戻って来て、積み上がったスレーギウン・キャリアングラーの素材の山に、あんぐりと口が開きっ放しになってしまう。
「ペッパー、スレーギウン・キャリアングラーを倒したのか、君は………」
『ツヨいね、ペッパーは』
「凄いです………!」
「天晴れで御座るな」
「空母鮟鱇だっけ、凄いなぁ………」
「メカで空を飛ぶか、海中で戦ってみたい」
「お前ら………スゲェな………」
皆驚きや称賛の視線を向ける中、ペンシルゴンとノワはムッフンと言わんばかりにドヤ顔をしていて。
「フッフッフ……其れだけじゃないんだよぉ~、アラバちゃん?」
「応よ。よぉく見やがれアラバ、コレが成果だ!」
インベントリアを操作して取り出し、此の場の一角に積み上げるは、ペンシルゴンがアーコリウム・ハーミットの、サンラクがアトランティクス・レプノルカの素材の
と此処で、サンラクがペッパーとペンシルゴンに対し、こんな質問をしてきた。
「無事深海頂点捕食者三体の討伐が出来た訳だが……。ペッパーとペンシルゴンよ、素材を『トレード』したりって出来るか?」
「トレード?」
「要塞ヤドカリや、空母鮟鱇の素材が欲しいの?サンラク君」
「あぁ、ただ『冥王鯱の照鏡骨』だけは要交渉だけどな。どうする?」
ルルイアスの初日にアトランティクス・レプノルカを討伐していたペッパーは、其のドロップアイテムが『盾』に使えると睨んだので、サンラクは其れを使った新たな武器に盾を作りたいと考えている、と思考する。
「良いぜ。此方も他の素材が気になってたんだ」
「私も良いよ」
話は決まり、ペッパー・サンラク・ペンシルゴンによるドロップアイテムの交渉が始まり。其の話し合いの中、ペッパーの提案で他のメンバーも欲しい素材を、此処で手に入れた金銀財宝宝箱を用いた取引をする事となって。反転都市ルルイアスの王城に戻った上で、交渉による市場が開幕、ペッパーやサンラクにペンシルゴンは各々の素材を出し合って、交渉し合いながら欲しい物を手にしていく。
「要塞寄居虫の甲殻、山脈巻貝の欠片………キリューシャン・スフュールにも負けず劣らず、何れも此れも堅そうだ」
「あ、そうだ。ねぇあーくん、要塞ヤドカリの『一番レアアイテム』が有るんだけどさ。空母鮟鱇の『一番レアな素材』と取引するなら、トレードするけど……………どうする?」
そうしてペンシルゴンが取り出したのは、『要塞寄居虫の楔甲殻』と呼ばれる、現実のヤドカリで言う所の『尾節と尾肢』が融合し、先端部分が研ぎ澄まされた『剣』の形状をしている物だった。
「良いよ、トレードに応じるね」
そう言ったペッパーはインベントリアの中から、スレーギウン・キャリアングラーの最も希少な素材である、宝石のような臓器を取り出す。
「大王鮟鱇の醇宝器官……スレーギウン・キャリアングラーが放つフェロモンを生成する、所謂『重要器官』らしい。多分コレ『アクセサリー』に使えるんじゃないかな?」
「お、良いね。トレード成立って事で」
御互いに欲しい物を取引・握手を交わし有った後、ペッパーはサンラクの方を見る。どうやらサイガ-0と話をし終えたようであり、続いてレーザーカジキと話を始めようとしていた。
「どうもです、サンラクさん」
「どうも、レーザーカジキ。なんか欲しい素材有るか?」
「あ、いえ。ちょっと質問が有りまして」
そう言ったレーザーカジキは、サンラクに対して至極当たり前な。しかしながらサンラクには、絶大な衝撃を与える質問をぶつけたのだ。
「サンラクさんって、其の……………『
其の問い掛けにサンラクは首を傾げ、ペッパー達も首を傾げて。
「何だ其のアイテム、ユニーク由来か?レーザーカジキよ」
「えっ?」
「え」
「え……………?」
沈黙、そして其れを破ったのはシャンフロ廃人こと、
「総身勇姿の護符………聞いた事、有ります。確か、シャンフロの『アクセサリー』の一つ、でして………。装備一つに付き、装備した防具の『合計耐久数値』が、えっと『装備されてない部位の耐久値』になる…………、アクセサリー、だったと思います」
其の説明にサンラクの脳内が強制シャットダウン、直ぐ様再起動からのビックバンを引き起こし。
「レイ氏、レーザーカジキ」
「ふえっ!?」
「ひょっ」
「ありがとう、二人は俺にとっての神だ」
自分達の目の前でいきなり何を言い出すんだとか、ペンシルゴンがノリノリでスクショを撮ろうとしたので止めたりだとか、レーザーカジキがエヘヘ……と凄い良い顔をしてたりだとか、其の時は色々な感情が在ったものの、やはり一番の衝撃を受けたのはサイガ-0であり。
ホヒュッなる声を出した瞬間、ボスン!と水蒸気爆発に似た音が鳴り響き、其の巨体なアバターが引っくり返って後頭部を強打したのだ。
「サイガ-0さん!?」
「サンラク、お馬鹿」
「えっ何で?!」
「コレは救えないねぇ………」
「無自覚にも程が有るわ……」
「いや、何で怒られてるの……?」
サンラクの鈍感っぷりも、極まれば此処まで至るのか。はたまたサイガ-0が恋愛に対して、あまりにも貧弱過ぎるのが悪いのか。何にせよ何処かしらでサンラクかサイガ-0に対して、少しアドバイスをしてやるかと、ペッパーとペンシルゴンが思うのに、そう時間は掛からず。
其れから暫くトレードは続き、皆各々で欲しい素材を宝箱やらで交換した後、ペッパーはクターニッドは地下に居る可能性が高く、接触すればヤバイかも知れないとNPCを含めて、此の場に居る全員へ注意喚起を行い。
現在ログイン出来ていない他参加メンバーにも、ルルイアス攻略最前線のチャット部屋にて情報交換を行い、城内に在るベッドルームへと移動。ノワに食べられる魚肉を与え、頑張ったなと撫で撫でし、一足先に本日のシャンフロを終えたのであった………。
(半裸にとっての)神アクセサリー